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更新日:2016年2月26日

平成28年第1回定例会(知事提案説明要旨)

平成28年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。

はじめに、今月6日、台湾南部において発生した地震により亡くなられた多数の方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被災地が一日も早く復興し、被災された皆様が平穏な生活を取り戻されることを心から願っております。

(第1政運営の基本方針)

さて、昨年9月の関東・東北豪雨から間もなく6か月になろうとしておりますが、復旧・復興はまだ道半ばであり、県といたしましては、引き続き国や関係市町と連携を図りながら、被災地が一日も早く元気な姿に戻れますよう、全力で取り組んでまいります。

また、東日本大震災から間もなく5年が経とうとしておりますが、未だ多くの避難者がおられるほか、根強い風評被害なども残っております。国において、平成28年度からの5年間が「復興・創生期間」と位置付けられましたので、県といたしましても、本格的な復興に向け、引き続き全力で取り組む決意であります。

一方、昨今の経済情勢については、景気の緩やかな回復基調が続いているとされておりますが、先行きについては、新興国経済が減速含みであることや、昨今の円高傾向などから景気の下振れリスクが懸念されるなど、極めて不透明な状況にあります。

こうした中、国では、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」を取りまとめるとともに、「総合的なTPP関連政策大綱」を決定し、これらを踏まえた約3.3兆円の平成27年度補正予算を成立させ、あわせて過去最大となる平成28年度予算を編成したところであります。

県におきましても、こうした国の施策を踏まえ、景気回復に取り組みますとともに、急激な少子高齢化や人口減少などに的確に対応し、将来にわたって活力ある地域社会を維持していかなければならないと考えております。

なお、本日、総務省が公表した平成27年国勢調査結果速報では、平成27年10月1日現在の本県総人口は2,917,857人と、平成22年の前回調査と比べ、51,913人、1.7パーセントの減となったところであります。

今後、昨年10月に策定した「茨城県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく施策を全力で推進し、本県のさらなる発展に努めてまいります。

また、今月22日に、茨城県総合計画審議会から安全・安心で質の高い暮らしと未来を支え切り拓く産業を創造し、日本や世界の発展に貢献する「イノベーション大県いばらき」を目指すことを内容とする答申をいただきました。

平成28年度を地方創生ならびに新しい県総合計画に基づく茨城づくりのスタートの年と位置付け、県民の皆様をはじめ多様な主体と連携しながら、「みんなで創るが輝く元気で住みよいばらき」の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 

〔県政の重要課題と予算編成の基本的考え方〕

次に、当面する県政の重要課題と予算編成に当たっての基本的な考え方について、後日提出いたします平成27年度補正予算案の関連施策も含めて申し上げます。

第1は、関東・東北豪雨及び東日本大震災からの復旧・復興や災害に強い県土づくりの推進と風評被害対策についてであります。

まず、関東・東北豪雨からの復旧・復興についてであります。

県管理道路につきましては、一部で片側通行となっておりました県道谷和原筑西(やわらちくせい)線が今月8日に全面開通となり、転落防止柵などの付属施設を除き、復旧は完了いたしました。

また、河川につきましては、鬼怒川流域において国、県、地元7市町が主体となり、ハード・ソフト対策が一体となった「鬼怒川緊急対策プロジェクト」に着手したところであり、堤防整備などのハード対策については、事業費約600億円をかけ平成32年度の完了を目指し、集中的に事業を実施してまいります。

農地及び土地改良施設の復旧につきましては、今春の水稲作付に間に合うよう市町等による工事が進められているところであり、県として引き続き技術的な助言・指導などを行ってまいります。

また、中小企業者の事業再建につきましては、円滑な資金調達のほか、新たに県及び中小企業基盤整備機構により基金を造成し、その運用益により復興イベントや販路開拓などの取組みを支援してまいります。

次に、東日本大震災からの復旧・復興につきましては、県有施設については来年度中に全て完了する見込みとなりました。また、緊急輸送道路の整備などの復興事業につきましては、一部の事業に自治体負担が導入されるものの、本県において現在実施中の事業については概ね支障なく進められる見込みであり、今後とも、国の支援策を最大限に活用しながら取り組んでまいります。

次に、防災体制の充実強化についてでありますが、引き続き緊急輸送道路の整備や海岸の堤防かさ上げなどを進めてまいりますほか、河川内の堆積土砂の除去などに集中的に取り組んでまいります。

また、災害対応力の強化を図るため、市町村向けの図上型防災訓練モデルの構築などに取り組んでまいります。さらに災害廃棄物の適正処理のための県計画を策定しますとともに、市町村の計画策定を支援してまいります。

また、新備蓄計画により必要とされる物資を保管するため、新たに水戸市内に防災倉庫を整備するとともに、地域の防災力強化のため、市町村や自主防災組織が行う活動を支援してまいります。

さらに、災害時に被災者へのこころのケアを行う「災害派遣精神医療チーム」いわゆるDPAT(ディーパット)につきましては、県立こころの医療センター、筑波大学附属病院、茨城県精神科病院協会の3機関が担うこととし、今後、活動要領の策定や必要な資機材等の整備を行うなど体制の充実に努めてまいります。

次に、東京電力福島第一原子力発電所事故による風評被害への対応についてであります。

観光施設等への入込客数は、県北臨海部などで依然として厳しい状況が続いておりますことから、引き続き、県内外において観光キャンペーンなどを実施してまいりますほか、茨城県北芸術祭の開催にあわせた宿泊クーポンの発行や県民一体となったおもてなしの向上などに取り組み、さらなる誘客促進に努めてまいります。

農林水産物につきましては、徹底した放射性物質検査により安全・安心を確保し、県内外での販売促進キャンペーン等を実施するなど、多くの方々に美味しさと安全性を実感していただく取組みを進めてまいります。

次に、指定廃棄物の処理についてであります。

県内の指定廃棄物につきましては、今月4日に開催されました「指定廃棄物一時保管市町長会議」において、環境省より、「茨城県においては、1キログラム当たり8千ベクレル以下となるのに長期間を要しない指定廃棄物は、一定程度まとまって保管されている現状のまま、保管を継続し、減衰後は通常の廃棄物として処理する」方針が示されました。県といたしましては、この方針を踏まえ、国や市町村と協力しながら、指定廃棄物の安全・安心な処理が図られますよう努めてまいります。

第2は、地方創生及び一億総活躍社会の実現ならびにTPP対策についてであります。

まず、地方創生についてであります。

国において、新たな交付金制度が創設されたことを踏まえ、平成27年度補正予算におきましては、国の「地方創生加速化交付金」を活用し、水郷筑波サイクリング環境整備による観光振興、北関東三県連携による広域観光や県産品の海外販路開拓、移住・二地域居住の推進などに取り組むことといたしました。また、28年度当初予算におきましては、国の「地方創生推進交付金」を活用し、地域の中核的な企業育成のための医療・介護機器の研究開発や商品化、ロボット産業の育成など、つくばの科学技術を活用した成長産業の創出などに取り組んでまいります。

次に、一億総活躍社会の実現についてであります。

国の「希望出生率1.8」に直結する緊急対策を踏まえ、認定こども園等の整備や保育士等の人材の養成・確保を支援しますとともに、不妊治療の経済的な負担を軽減するため、治療費への助成を拡充してまいります。

また、「介護離職ゼロ」の実現に向け、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の充実を図るとともに、介護サービスを支える介護従事者の養成・確保を支援してまいります。

次に、TPP対策についてであります。

TPPによる本県農林水産物への影響につきましては、国の試算方法と同様に算出した場合、生産額が20品目の合計で28億円から50億円程度減少する結果となりました。

こうした状況を踏まえ、平成27年度補正予算においては、生産コスト削減のための農地の大区画化や、農地集積に取り組む地域における農業用機械の導入等を支援してまいります。また、28年度当初予算におきましては、高収益な作物や栽培体系への転換を進めるための農業用施設等の導入や、畜産経営体の収益性向上のための施設整備、雌牛(めすうし)の導入に要する経費を支援するほか、新たなブランド豚肉の確立に向け系統豚(けいとうとん)の生産体制の整備などに取り組んでまいります。

第3は、「みんなで創るが輝く元気で住みよいばらき」づくりについてであります。

まず、「活力あるいばらき」づくりについてであります。

ひと・もの・情報の交流を活発にするため、圏央道等の整備促進や茨城港の物流機能の強化など広域交通ネットワークの整備を進めてまいりますとともに、企業誘致や産業拠点の競争力強化、ロボット産業の育成による最先端科学技術の拠点づくりなどを進めてまいります。

また、中小企業の振興や育成のため、本県ものづくり産業の活性化や人材育成、販路の拡大支援などに取り組んでまいります。

また、国内外からの観光客の増加などを踏まえ、県として観光行政をより積極的に推進していくため、商工労働部を「商工労働観光部」に改め、新たに「観光局」を設置するなど体制の強化を図ってまいります。

農業分野では、新たな農業改革大綱を策定し、「人と産地が輝く、信頼の『いばらきブランド』~消費者のベストパートナー茨城農業~」を基本理念として、6次産業化などに取り組む革新的な産地づくりや産地を支える経営感覚に優れた経営体の育成などにより、信頼に応え発展する「いばらき農業」を目指してまいります。

さらに、ジェトロ茨城貿易情報センターや栃木県、群馬県などと連携し、中小企業の海外進出や農林水産物などの輸出を支援するとともに、農業研究員等の受け入れや本県の農業技術者の派遣など海外との交流拡大を通じて、本県経済の活性化を促進してまいります。

次に、「住みよいいばらき」づくりについてであります。

団塊の世代すべてが75歳以上となる2025年を展望しますと、地域における効率的かつ質の高い医療・介護サービスの提供体制の整備が重要な課題となってまいります。このため、現在策定中の地域医療構想を踏まえ、病床機能の分化・連携などを推進しますとともに、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。

少子化対策につきましては、待機児童の解消や子育て世帯の経済的負担の軽減などに取り組みますとともに、子ども関連施策のより一層の強化を図るため、保健福祉部に「子ども政策局」を設置し、結婚・妊娠・出産・育児のライフステージに応じた支援を総合的に推進してまいります。

また、高齢者福祉につきましては、「第6期いばらき高齢者プラン21」に基づき、高齢者の誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、健康づくり、生きがいづくり、認知症対策などを推進してまいります。

また、「茨城県がん検診を推進し、がんと向き合うための県民参療条例」の制定を踏まえ、がん予防・検診の推進やがん医療の充実などに取り組みますとともに、本年度補正予算において、がん対策基金を設置し、がん患者とその家族等に対する支援の充実に努めてまいります。

また、本県の豊かな自然を守り、人と自然が調和した社会の構築を図るため、環境学習の推進と県民総ぐるみの地球温暖化対策の強化、あるいは霞ヶ浦などの水質保全、ラムサール条約に基づく国際的に重要な湿地に登録された涸沼の保全と賢明な利用の推進などに取り組んでまいります。

次に、「人が輝くいばらき」づくりについてであります。

資源小国である我が国にとって、将来の日本やいばらきを担う子どもたちを心身ともに健やかに育んでいくことが何より重要であります。

このため、自然体験活動や読書活動、就学前教育などの充実に取り組み、子どもたちの自主性・自立性を育成するとともに、本県独自の少人数教育により引き続き学力の向上に努め、特に、科学技術で日本や世界をリードしていく人材を育成するための理数教育、グローバル社会で活躍できる能力を身に付けるための国際教育、さらには豊かな心を育むための道徳教育、郷土を愛する心の醸成などに取り組んでまいります。

また、将来にわたって活力ある地域社会を維持していくためには、女性や若者が本県に定着し、いきいきと活躍できる環境づくりが重要でありますので、女性や若者の活動などへの支援を進めてまいります。

さらに、「茨城県文化振興条例」の制定を契機として、本年度補正予算において、文化振興基金を設置するなど、文化振興施策の総合的な推進に取り組み、心豊かな県民生活及び活力に満ちあふれた地域社会の実現に努めてまいります。

また、平成31年の国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の開催に向け、新たに「国体・障害者スポーツ大会局」を設置するなど体制の強化を図ってまいります。

第4は、改革の推進についてであります。

本県では、行財政改革を積極的に進めてきたところであり、私が知事に就任して以来、一般行政部門で約2,000人、教育部門で約3,500人の定員を削減するとともに、事務事業の徹底した見直しや出資法人改革などに取り組んでまいりました。

しかしながら、社会保障関係費の増加や退職手当の高止まりなどにより、本県財政は引き続き厳しい状況が続くものと見込まれますので、今後とも第6次行財政改革大綱に基づき、職員の資質向上と意識改革を図りながら、無駄の排除に努め、財政構造改革、出資団体改革など、徹底した行財政改革に取り組んでまいります。

 

(第2

次に、予算について申し上げます。

まず、平成28年度の地方財政計画における、歳出総額は、85兆7,593億円で、対前年度比0.6パーセントの増となっております。

本県の平成28年度当初予算につきましては、この地方財政計画や国の予算などを踏まえながら編成いたしました。

まず、来年度の財源見通しであります。県税収入につきましては、税制改正などによる法人事業税の増収などが見込まれますことから、27年度当初予算に比べ、3.5パーセント、125億円増の3,695億円と見込んでおります。

また、地方交付税につきましては、震災復興特別交付税の大幅減を見込み、27年度当初予算に比べ、4.3パーセント、86億円減の1,911億円と見込みますとともに、臨時財政対策債については、154億円減の620億円を計上いたしました。

一方、歳出につきましては、関東・東北豪雨や東日本大震災からの復旧・復興に関連する事業を除き、事務事業全般にわたり徹底した削減に取り組みますとともに、地方創生や「産業大県」づくり、「生活大県」づくりを進めるための、重要な政策課題などに重点的に配分したところであります。

この結果、平成28年度一般会計予算の総額は、前年度当初予算に比べ、3.5パーセント、405億円減の1兆1,208億2百万円となったところであります。

また、特別会計は12件で、総額2,649億9千5百万円、20.6パーセントの減、企業会計は6件で、総額1,123億8百万円、7.8パーセントの減となっております。

次に、平成28年度当初予算について、平成27年度補正予算案を含めながら、主な施策について申し上げます。

第1は「活力あるいばらき」づくりについてであります。

 

(人・もの・情報が活発に行き交う交流社会づくり)

まず、陸・海・空の交通ネットワークづくりについてであります。

圏央道につきましては、境古河(さかいこが)インターチェンジからつくば中央インターチェンジまでの区間において、来年度の開通に向けて工事が進められており、この区間の開通により東関道水戸線から東名高速道路までが圏央道で結ばれることになります。また、東関道水戸線につきましては、未開通区間の用地取得や工事が進められており、(仮称)鉾田インターチェンジから茨城空港北インターチェンジまでの区間については平成29年度の開通が予定されております。これらの開通により、利便性の向上はもとより、産業立地の推進や交流の拡大などにつながるものと期待しております。

次に、港湾事業につきましては、茨城港日立港区において、東京ガスのLNG基地が来月末に稼働する予定となっておりますほか、第3ふ頭地区の水深12メートル岸壁の整備などを進めてまいります。また、常陸那珂港区においては、中央ふ頭地区の水深12メートル耐震強化岸壁の完成にあわせ、ふ頭用地の舗装工事等を行ってまいります。鹿島港においては、新たにコンテナ貨物の新規航路開設を目的とした事業を実施するなど、鹿島臨海工業地帯の競争力強化につながる取組みを進めてまいります。

茨城空港につきましては、来月15日には台北便、同じく27日には揚州(ようしゅう)経由の成都(せいと)便の就航が、4月28日からは那覇への直行便の再開がそれぞれ予定されておりますが、今後とも、利用者の拡大による路線の定着及び充実を図ってまいります。

次に、観光の振興につきましては、外国人観光客の増加などを見据え、北関東三県連携による広域観光ルートのプロモーションなどを実施しますとともに、民間宿泊施設等が行う環境整備への支援や、全県的なおもてなし向上などによる受入態勢の充実に取り組んでまいります。

次に、国際政策の推進についてであります。

G7茨城・つくば科学技術大臣会合につきましては、「保健医療と科学技術」など6つの議題が設定されたところでありますが、今後とも、大臣会合の開催及びその成功に向け、官民一体となって万全の態勢で取り組んでまいります。

また、「いばらきグローバル化推進計画」に基づき、グローバルに活躍できる人材の育成や、外国人でも安心して生活・活動できる環境の整備などを進めてまいります。

さらに、輸出拡大支援駐在員のヨーロッパへの配置や、北関東三県連携によるベトナムへのアンテナショップの設置により、県産品のPRや販路拡大などに取り組みますとともに、外国人観光客や外資系企業を誘致するための情報発信の強化などの施策を総合的に推進してまいります。

 

(県北地域の振興)

次に、県北地域の振興についてであります。

県北地域の活力を維持していくためには、定住人口の確保とそれにつながる交流人口の拡大が重要であります。

定住人口の確保のためには、働く場を創出することが重要となりますので、引き続き、地域資源を活用した新たなビジネスの創出などへの支援、漆など県北中山間地域の特性を活かした農林畜産物のブランド力の強化やアグリビジネスモデルの創出などに取り組みますとともに、県北地域への移住を希望する方に対して、実際の生活や就労などが体験できる「お試し居住」の機会を提供してまいります。

交流人口の拡大については、温泉や滝などを活用した観光振興とあわせて、農家民泊を中心とした体験型教育・研修旅行の積極的な誘致に加え、親子向けの宿泊・自然体験交流ツアーなどを実施してまいります。

また、県北6市町を会場に本年9月に開催いたします「茨城県北芸術祭」につきましては、約80程度の作品を制作・展示することを予定しており、現在、国内外のアーティストが現地を訪問するなど、展示企画の検討が進められているところであります。今後とも、芸術祭の開催に向け、地元市町や関係機関と連携しながら、準備に万全を期してまいります。

 

(科学技術を活かしたイノベーションの推進)

次に、科学技術の振興につきましては、「科学技術イノベーション立県いばらき」を基本目標とする新たな「科学技術振興指針」に基づき、つくばに集積する最先端の科学技術を活用した医療・介護機器の研究開発・製品化や、ロボットの実用化・利用促進による産業の育成などに取り組んでまいります。また、「科学の甲子園全国大会」や「科学オリンピック」の国内大会の開催などを通じて、科学技術を支える若手人材の育成に取り組んでまいります。

 

(日本の発展をリードする力強い産業づくり)

次に、企業立地についてであります。

昨年上半期の工場立地動向調査によりますと、電気業を除いた場合、本県は、平成25年、26年に続き、立地件数、立地面積、県外企業立地件数の3部門とも全国第1位の実績をあげることができました。

今後とも、企業誘致を強力に推進してまいりますほか、本県への本社機能の導入促進等を図るため、新たに県税の不均一課税措置を定める「茨城県地方活力向上地域等における県税の特別措置に関する条例」を今定例会に提出したところであります。

また、工業用水道料金について、今後の収支改善の見通しなどを踏まえ、料金の引き下げを実施し、企業負担の軽減を図ってまいります。

次に、ものづくり産業の活性化につきましては、県内の産学官を結集した「いばらき成長産業振興協議会」に、新たに「次世代技術研究会」を設置し、分野横断的に先端技術等に関する取組みを支援してまいります。

商業の振興につきましては、引き続き、商店街活性化の手法などを学ぶ、いばらき商人塾(あきんどじゅく)事業を実施し、人材育成を支援するとともに、商店街の活性化や中心市街地の賑わいづくりのため、商店街活性化コンペ事業などを行ってまいります。

次に、雇用につきましては、大卒等の未就職者の正規雇用化を促進するため、スキルアップのための基礎研修や職業訓練を実施してまいります。また、東京圏等からのUIJターンを促進するため、新たに「いばらき地域しごと支援センター」をいばらき就職支援センター内に設置するとともに、都内における合同就職面接会等の開催、就職応援サイトによる情報発信の拡充、大学生の保護者を対象とした地元就職セミナーの開催などに取組み、本県への人材の定着及び還流に努めてまいります。

 

(農林水産業の成長産業化)

次に、農業につきましては、平成26年の農業産出額が7年連続で全国第2位になるとともに、平成27年の東京都中央卸売市場における本県産青果物の取扱高も12年連続で日本一となりました。

引き続き、新たな農業改革大綱に基づき、産地における地域ブランド力強化への取組みや新商品づくり、輸出を含めた販路の拡大などを推進するとともに、担い手への農地の集積・集約化、産地による研修受入れから就農までの一貫した担い手の育成支援などに取り組んでまいります。

林業につきましては、森林湖沼環境税を活用し、引き続き、間伐等の森林整備や木づかい運動による県産材の利用促進、海岸防災林の松くい虫被害対策を進めてまいります。また、森林資源の循環利用を推進するため、森林の若返りを図ることとし、低コストの植栽を推進するモデル事業などに取り組んでまいります。

水産業につきましては、新たな「茨城県水産業振興計画」に基づき、水産物フェアやプレゼントキャンペーンなどを展開し、本県水産物のイメージアップと消費拡大に努めるとともに、水産物の輸出促進対策などにより、高品質な水産物を供給する力強い茨城水産業の確立を目指してまいります。

第2は、「住みよいいばらき」づくりについてであります。

 

(少子高齢化に対応した医療・保健・福祉が充実した社会づくり)

まず、地域医療の充実につきましては、「第6次茨城県保健医療計画」に基づき、総合的な医師確保対策や、救急医療の充実などに取り組んでまいります。

また、地域医療介護総合確保基金を活用し、在宅医療の推進、介護施設等の整備、医療や介護従事者の確保などに取り組んでまいります。

医師確保につきましては、来年度の入学者から筑波大学の地域枠が8名増え36名となるなど、地域枠は合計で7大学53名となりました。今後とも、地域枠による医師の確保や、地域医療支援センターを核とした「若手医師教育研修立県いばらき」づくりを推進し、後期研修医の受入れなど医師の確保と定着に努めてまいります。

少子化対策につきましては、子ども・子育て支援新制度の実施を踏まえ、待機児童の解消のため、保育所や認定こども園の整備の促進、保育士確保のための支援を行ってまいります。

また、子育て家庭の経済的負担をさらに軽減するため、医療費助成制度、いわゆるマル福制度について、小児と妊産婦を対象に所得制限を大幅に緩和いたしますとともに、多子世帯の保育料についても、所得制限を緩和し、第3子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化を支援してまいります。

また、子どもの発達障害を早期に発見し、適切な療育が提供できる体制を整備するため、5歳児を対象とした健康診査のモデル事業を実施してまいります。

さらに、生活困窮世帯の子どもに対する学習支援について、現在阿見町において実施しております「いば・きら塾」を、他の町村部に拡大してまいりますとともに、ひとり親家庭の子どもの居場所づくりなどを支援するモデル事業を実施してまいります。

高齢者対策につきましては、医療・介護・生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めるとともに、認知症疾患医療センターの基盤強化による認知症対策や、特別養護老人ホーム、地域密着型介護施設など介護基盤の充実を図ってまいります。

また、シルバーリハビリ体操など県民自らが取り組む健康づくりの推進に努めますとともに、高齢者はつらつ百人委員会などにより、高齢者が自主的・主体的に仲間づくりや生きがいづくり等に取り組めるよう支援してまいります。

障害者対策につきましては、障害者の経済的な自立を促進するため、引き続き工賃向上に取り組む事業所を支援してまいりますとともに、有識者等で構成する「機能訓練等サービスのあり方検討委員会」の提言等を踏まえ、機能訓練サービスを身近な地域でより充実して受けることができる体制を構築するため、民間事業者と連携した取組みを進めてまいります。

 

(人にやさしい快適な生活環境づくり)

次に、地域公共交通の確保対策につきましては、地域の交通事情に応じた路線バスの広域運行や公共交通空白地域の解消に向けた取組みを支援するとともに、地域での日常生活を支える公共交通や買い物環境などの実態調査を行い、今後必要となる施策を検討してまいります。

また、地方創生に資するため地域活動団体などが取り組む様々な活動を支援し、地域の活性化や、ともに助け合う社会づくりを進めてまいります。

 

(安全・安心な暮らしが確保された社会づくり)

次に、安全・安心な県民生活の確保につきましては、行政区域における一体的な警察活動を推進し体制を強化するため、つくば市内の警察署の統合を進めてまいりますとともに、ストーカー・DVなど人身安全関連事案をはじめとする喫緊の課題に的確に対応していくため、警察官を23名増員いたします。

交通安全対策につきましては、交通事故死者の約半数を占める高齢者の交通事故防止のほか、歩行者保護や通学路の安全確保等の各種施策に取り組んでまいります。

次に、消費者行政につきましては、これまで県及び市町村の消費生活センターの機能強化等に努めてまいりましたが、インターネットを利用した取引形態の急速な普及など、消費生活を取り巻く環境が多様化、複雑化してきておりますことから、県民の安全・安心な消費生活を確保するため、消費者教育の取組みを充実させるなど、消費者行政の一層の推進を図ってまいります。

 

(人と自然が共生する持続可能な環境づくり)

次に、地球温暖化対策につきましては、職場や家庭において省エネや節電などの取組みを年間を通じて継続的に行う「いばらきエコスタイル」事業などを推進してまいりますとともに、国が2020年以降の温室効果ガス削減目標を決定したことを踏まえ、県の削減目標の見直しなど「茨城県地球温暖化対策実行計画」の改定を進め、持続可能な低炭素社会の構築を目指してまいります。

霞ヶ浦の水質浄化につきましては、森林湖沼環境税を活用し、生活排水対策や農地・畜産対策、環境保全団体への支援や環境学習などに積極的に取り組みますとともに、平成30年に本県で開催されます第17回世界湖沼会議の準備を進め、一般市民を巻き込んだ水質浄化活動のさらなる展開及び県民の気運醸成を図ってまいります。

第3は、「人が輝くいばらき」づくりについてであります。

 

(自主性・自立性を身に付け、生きる力を育む教育の推進)

まず、就学前教育・家庭教育の推進についてであります。

自主性・自立性に富み、社会を生き抜く力を備えた子どもたちを育てるためには、生涯にわたる人格形成の基礎となる乳幼児期の教育が極めて重要なことから、保護者が主体的に子どもの教育に取り組めるよう、親の学びや家庭のルールづくりなどの支援を通じて家庭教育の充実を図ってまいります。また、幼児教育と小学校の円滑な接続のため、幼児教育の質の向上を図る幼保交流や教職員の研修、幼保小合同研修会への指導員の派遣などを実施してまいります。

次に、確かな学力の向上についてであります。

小・中学校におきましては、本県独自の少人数教育を推進し、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導を行うとともに、「学びの広場サポートプラン事業」を引き続き実施し、補充指導の充実を図ってまいります。

また、県立高等学校等におきましては、国における高大接続改革や学習指導要領の見直しの流れを見据え、新たに「いばらき高等学校学力向上推進総合事業」を実施し、習得した知識・技能を活用して、思考力・判断力・表現力など社会で生き抜く力を育成する取組みを進めてまいります。

さらに、小学校高学年における理科教科担任制や、科学技術の集積地である本県の特色を活かした理数教育を推進するとともに、英語については小・中・高等学校を通して、実際のコミュニケーションを行う言語活動や、生徒の国際的な視野の養成を図る取組みを進めるなど、国際教育にも引き続き力を入れてまいります。

特別支援学校につきましては、児童生徒の急激な増加に対応し、常陸太田特別支援学校の全面開校、伊奈特別支援学校の校舎増築などを進めるとともに、石岡市の旧八郷南中学校を活用した新校の設置に向けた設計に着手してまいります。また、通学時における児童生徒の負担軽減等を図るため、スクールバスの増車や介助員の複数配置に取り組んでまいります。

また、特別な教育的支援が必要な子どもが在籍する小・中学校などに、医師や大学教授などの専門家を派遣する事業を拡充しますとともに、特別支援学級等を担当する教員を対象とした研修を実施するなど、特別支援教育の充実に努めてまいります。

道徳教育の充実につきましては、全国に先駆けて全県立高等学校の1年生に「道徳」の授業を導入してまいりましたが、来年度から高校2年生に拡充し、これまでの道徳的価値に気付く学習の成果を踏まえ、実際に行動へと移せる道徳的スキルを身に付ける学習に取り組んでまいります。

次に、私立学校につきましては、教育条件の維持向上や保護者の経済的負担の軽減を図るため、引き続き、高等学校や幼稚園等の運営費に対する助成を充実しますとともに、高等学校における先進的な国際教育や理数教育の取組みや、幼稚園における教育体制の充実を支援するなど、私学教育の振興に努めてまいります。

 

(一人ひとりが尊重され活躍できる社会づくり)

次に、女性がいきいきと活躍できる社会づくりにつきましては、「ウィメンズパワーアップ会議」の提言等を踏まえ、女性が働きやすい環境づくりを進める企業の認定・表彰制度の創設や、市町村及び中小企業のトップを対象としたセミナーの開催に加え、新たに官民が連携した推進体制を整備し、優良企業の取組み事例などの情報共有や意見交換などに取り組んでまいります。

次に、若者の挑戦を支える社会づくりにつきましては、若者が中心となり活動している団体などによる地域の課題解決に向けた企画提案に対し助成をするなど、茨城の未来を担うリーダーの養成に取り組んでまいります。

 

(生涯にわたって学び合う環境づくりと文化・スポーツの振興)

次に、文化の振興につきましては、文化芸術の鑑賞や体験の機会を提供するため、県芸術祭受賞作品等の県内巡回展や小・中学校等への出前講座を実施するとともに、子ども伝統文化フェスティバルの開催や県内各地で受け継がれる伝統文化の継承などを支援してまいります。

また、国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会につきましては、引き続き、市町村及び競技団体等と連携し、競技会場等の施設整備や選手強化による競技力向上に取り組んでまいります。

また、2020年東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、市町村等との連携・協力のもと、競技会場や事前キャンプの誘致、関連イベントの実施等に積極的に取り組んでまいります。

 

(第3例その他)

次に、条例その他について申し上げます。条例は、新たに制定するもの5件、改正するもの26件、合わせて31件であります。

新たに制定する条例は、先に申し上げました「茨城県地方活力向上地域等における県税の特別措置に関する条例」などであり、一部改正を行うものといたしましては、手数料の見直し等に係る「茨城県手数料徴収条例等の一部を改正する条例」などであります。条例以外の議案といたしましては3件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。

以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。

 

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総務部財政課管理

〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2343

FAX番号:029-301-2369

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