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更新日:2017年7月26日

月刊「茶の間」2007年7月号

月刊「茶の間」7月号に掲載された、茨城県知事のインタビュー記事です。

今月の元気リーダー 橋本昌茨城県知事「産業大県を目指し、企業誘致を積極的に推進しています!」

今、日本で一番経済成長率の高い元気な都道府県はどこかと問われたら、皆さん、どこを連想されますか。答えは東京でも大阪でもない、茨城県です。
「今月の元気リーダー」は、まさに元気なこの県を率いる橋本昌知事です。茨城県は東京という大消費地へ農産物を供給する農業県としての顔はもちろん、筑波研究学園都市に象徴される最先端の科学技術が集積する工業県の顔を併せ持っています。「産業大県づくり」を目標に掲げ、陣頭指揮を執る橋本知事に、ビジョンと成果についてお話をうかがいました。

工場立地面積はダントツの全国トップ。

知事の重点政策の一つの柱が「活力あるいばらきづくり」とうかがっております。最近の茨城県の元気な点について、いくつかご紹介いただけますか。

橋本:日本の二大経済誌の一つに「週刊東洋経済」があります。昨年末に発行されたこの迎春合併特大号に、「都道府県別2007年度GDP成長率予測ランキング」が掲載されましたが、それによれば茨城県の成長率予測が2.46%で全国第1位だったんです。全国平均が1.6%という中で、他に2%を超えているのは愛知県と東京都だけでした。
「何で茨城県が1番なんだろう」と不思議に思われるかもしれませんが、こうしたランキングで1番になる状況になってきていること自体、茨城県が元気な証拠ではなかろうかと思っています。
その要因はいくつかあると思いますが、1つは平成17年8月に開業した「つくばエクスプレス」です。これは東京の秋葉原とつくばを最速45分で結ぶ都市高速鉄道で、その沿線を中心とした県南地域では住宅やショッピングセンターの建設などまちづくりが今、急ピッチで進行中です。
もう1つは、企業誘致が順調に進んでいることが挙げられます。私どもでは4年ほど前から企業誘致を促進していこうということで、全国にも例のない思い切った優遇措置をいろいろ講じております。
たとえば、企業が立地するのに伴って、法人事業税を3年間すべて免除する、あるいは不動産取得税も免除する、さらには市町村にも働きかけて固定資産税を3年間減免するということを実施しています。
また、平成18年度からは「産業立地推進座県本部」を立ち上げ、企業誘致をさらに積極的に推し進めています。
その結果、茨城県の平成18年の工場立地面積は187ヘクタールで全国第1位となりました。立地件数では全国第6位ですが、県外企業の立地件数では1位となっております。
さらに、平成18年までのこの10年間でみても、工場の立地面積は、1,068ヘクタールと断然トップです。2位の群馬県が736ヘクタールですから、その約1.5倍くらいですね。この数字が企業誘致の順調さを端的に物語ってくれています。

功を奏し、コマツなど優良企業が続々と立地。

企業誘致では、かなりの成果を収められ、知事が目指されている「産業大県づくり」が着々と進んでいるようですね。

橋本:おかげさまで最近、大きな企業が相次いで立地を決めてくれております。今年の1月には日本の大手建設機械メーカー、コマツが操業を開始しました。また、この6月には国内最大手の製材メーカー、中国木材が操業を開始します。さらに、この9月には日本の大手建設機械メーカーの日立建機が、年内には世界一の産業用ロボットメーカーのファナックが操業を開始する予定です。
このようにかなりの優良企業が茨城県に立地してくれて、それらがこぞって今年操業を開始するということが、GDP成長率予測に大きな影響を与えてくれているのだと思います。

ビッグネームの企業が次々と茨城県に押し寄せてくるのには、税の優遇措置以外に、どんな魅力を感じているからでしょうか。

橋本:まずは立地条件として、東京から非常に近いということ。そして、常陸那珂港が国際物流拠点として徐々に機能し始めていることもあります。
それから今、県内に3本の高速道路を整備中で、常磐目勣車道と合わせると計4本の高速道路ができることになり、急速に交通基盤が整ってきています。さらに、現在の百里飛行場の民間共用化を進めており〔(愛称)茨城空港〕、平成21年度の開港を目指しています。
これら陸・海・空の広域交通ネットワークが着々と整備されてきていることが、企業にとって大きな魅力になっているのではないかと思っております。

中小企業の振興に向け、さまざまに機能するバックアップシステム。

成長率トップがうなずけるはずですね。茨城県といえば、つくばに象徴される科学技術先進県、先端産業集積県のイメージがある一方で、既存企業や中小企業の活性化にも取り組まれているそうですね。

橋本:県北には本県の製造品出荷額のうちたいへん大きなシェアを占めている日立製作所があって、その関連企業がたくさんあります。日立の関係者だけで県内に約10万人いますので、日立がどれだけ元気になるかということが、県全体の大きな後押しになってくるだろうと思っています。
この日立製作所の系列企業は特に技術面でたいへん優れた、高度なモノづくり技術を持っています。こうした技術を活用して、中小企業への支援を行う「中小企業テクノエキスパート派遣事業」を10年来実施しています。
「テクノエキスパート」とは、日立の研究所OBの方々、つくばの研究者、大学の先生方を中心にした専門知識や経験を持つ専門家で、約300名の方々が登録されており、企業の現場に派遣され、技術面でのアドバイスをします。
派遣期間は原則として半年以内で延べ60日間が限度とされています。ただし最初の10日間は、エキスパートが役立つかどうかを見るための期間として、派遣料は無料です。残りの50日は1日9,000円で45万円必要ですが、大学の研究機関の相当実力のある学者、研究者の方々を中小企業でもお願いできるわけですから、大きな力となっています。

都市・自然・知的環境。この3要素がそろった「つくばスタイル」。

このインタビューに先だって、つい今し方、つくばエクスプレス沿線地域のひとつ「みらい平」の駅前周辺を知事自らご案内いただいたところですが、非常に活気がございましたね。

橋本:沿線の新しいまちづくりは順調に進んでいます。マンション関係は特に好調で、需要が多く、マンション用地として売り出せばすぐに買い手が付くような状況です。一戸建てのほうもその日に完売というまでには至りませんが、まずは順調に進んでいると思います。

この沿線地域ならではのライフスタイルを「つくばスタイル」として提唱されていますが・・・。

橋本:ほかの地域からつくばエクスプレス沿線地域へ移り住んでもらうには、やはり都市的な便利さ、快適さというものがないと、なかなか来てくれません。それから、せっかく郊外へ来てもらうのですから、自然も満喫していただきたい。それからもう一つ、「学都・つくぱ」ならではの知的な環境にも恵まれている。ここには博士号を所持している人が5,700人近くいるわけですからね。これら都市・自然・知の3要素を共に享受できるのが「つくぱスタイル」です。これからの生活を考える上で、ここに住みたいなと思っていただけるような魅力をアピールしていきたいという思いから、このライフスタイルを提唱しています。

県北の豊かな自然の中、昔ながらに悠々自適、スローライフを味わう。

その一方で、昔ながらのライフスタイル「いばらき さとやま生活」も提唱されていますね。

橋本:茨城県の場合、自然豊かな県北地域でも、都心から2時間くらいで来られますから、週末に来てもいいし、日帰りでもOK、さらに気に入れば住み着いてもらってもいい。いろいろな面で、他の所よりも住みやすく、利用しやすい環境にあると思っています。
「いぱらき さとやま生活」とは、この自然豊かな県北地域で、都会に住んでいる方々が気軽に地域とふれあいながら、スローライフを思い思いに楽しむ悠々自適のライフスタイルのことを言います。こうしたスタイルを団塊の世代あたりをターゲットにして売り出し、ぜひ多くの方々に来てもらえれば有り難いと思っています。
たとえば、のんびりと田舎暮らしが楽しめる民宿として最近人気なのが、「荒蒔邸」という貸別荘型の農家民宿です。これはキリンビール会長の荒蒔康一郎さんの親戚の家で、築150年という有名な民宿なんです。このほか、県北は美しい景色にも恵まれて、久慈川や那珂川などの清流も見物です。
久慈川支流の滝川上流には、日本三名瀑の一つに数えられる「袋田の滝」があります。この滝がよく見えるよう、今、新しく観瀑台をつくっているところです。

消費者のベストパートナーを目指す農業改革に取り組んでいます。

さて、茨城県と言えば昔から極楽を意味する「常世の国」と言われるほど食材に恵まれ、とりわけ農産物は豊かだと聞いておりますが・・・。

橋本:農業産出額では全国第3位ですが、東京という大消費地に近いことから、東京都中央卸売市場での青果物のシェアは3年連続して全国第1位になっております。
元気な茨城づくりのために、農業は決して欠くことのできない重要な部門ですから、平成15年を元年として「茨城農業改革」に取り組んでいるところです。
それはどういうことかというと、本県の農業はこれまで、生産者がいいと思ったものをつくって、非常に品質がいいですよということで売り出す形でしたが、そうではなく、これからは食べていただく消費者を中心に考えようではないかということで「消費者のベストパートナーとなる茨城農業」をキャッチフレーズに農業改革を現在進めています。
要するに、消費者がどういうものを欲しているか、これを市場の動向等を見ながら絶えず把握し、上手に提供していけるようにしようというものです。
たとえば、みず菜。今でこそ本県が日本一の産地となっていますが、4~5年前はほとんど作っておりませんでした。これは実は卸会社さんから農協にこういうものをつくってみないかという打診があって、それで栽培に取り組み始めたものです。ここ数年の間に、本場の京都を抜いて全国第1位になったのです。このように、消費者ニーズに沿ったものを、利用しやすいようにレシピなども付けて出せば、売れて行くんです。

全学年の児童を対象とした放課後の居場所づくり、「いばらきっずクラプ」。

きょうはさらに取手市立六郷小学校に知事とごー緒し、茨城県独自の取り組みである「いばらきっずクラブ」を見学させていただきましたが、子どもたちは明るくて元気でしたね。

橋本:自由な雰囲気の中、とっても元気な声が教室中に響きわたって、こちらも思わず元気をもらいましたね。
ふつう、放課後児童クラブといえば、仕事などで保護者が家にいなくて保育に欠ける小学校3年生までの児童が対象ですが、私どもでは全学年のすべての児童を対象にしています。
放課後の子どもたちの安全な居場所の確保という点からすれば、高学年の児童でも安全な環境の中でいろんな活動ができるようにしてあげなくてはいけないわけです。そのため、職員がいい提案をしてきたものですから、これは早速やろうということで、幾つかの小学校でモデル的に始めることにしました。この事業は、国が今年度から全国でスタートさせた「放課後子どもプラン」の先駆けともなりました。

全国に先駆けて全県立高校一年生に道徳を必修化。

知事は就任当初から教育問題にも熱心に取り組んでおられるとうかがっておりますが、道徳教育にも力を入れておられますね。

橋本:学力の低下もさることながら、昨今は、服装の乱れをはじめ、子どもたちの社会性の低下が目に付きますね。社会の最低限のマナーもそうですし、ルールもそうですし、そういうことがわからないまま学校を卒業してしまう子どもたちが多いことから、社会性を身につけさせたいと思いまして、この4月から全県立高校の1年生を対象に週1時間、道徳の必修化に踏み切りました。
学力の面でも、基礎学力が充分でない県立高校を10校指定して、「ステップアップスクール」といいうものを実施しています。
誰でも高校に入れる状況になってきた中で、英語や数学などでは授業に付いていけない子どもたちがたくさんいるんですね。そういった子どもたちがいる学校についてはティームティーチングのための非常勤講師を配置して、個々に応じたきめ細かな学習指導を行い、勉強面でのケアをしています。

東京からすぐ近くにありますので、茨城にぜひお越しください。

今年は11月に「ねんりんピック茨城2007」の開催も控えていますが、最後に茨城県のPRをお願いいたします。

橋本:関東圏の方たちにはそうでもないんですが、全国的にはたいへん印象が薄い県になっております。茨城ってどこにあるの?そういった印象を私どもとしては是が非でも打破して、多くの皆さんにお越しいただけるようにしていきたいと思っております。このインタビューがそのためのいいきっかけになってもらえればと思っております。
水戸黄門とか、サッカーの鹿島アントラーズなどは有名なんですが、「茨城」と言った途端にわからなくなってしまうものですから。
茨城県の人口は約300万人で全国第11位なんですが、まわりはなかなかそういう印象を持ってはくれませんね。
県内で東京から一番近いところは県南の守谷市なんですが、秋葉原から山手線で新宿へ行くのと、秋葉原から守谷へ行くのとが同じ所要時間なんです。山手線で半周している間に、つくばエクスプレスでは守谷に入ってしまうほど、首都圏から近いところにあります。
海岸線も190キロくらいあって水産業もたいへん盛んな県ですから、そういうことを知っていただくためにもぜひ本県にお越しいただいて、おいしいものを食べていただくことがたいへん大事なことだと思っております。

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