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更新日:2017年7月24日

ジャパンオンライン(2011年)

冒頭記載

茨城県は、日本列島のほぼ中央を占める関東地方の北東にあり、東は太平洋にのぞみ、北は福島県、西は栃木県に接し、南は利根川をもって千葉県、埼玉県に界しており、首都東京の中心から県南の取手市は30キロメートル、県都の水戸市は100キロメートルの距離にある。

  • 茨城県名産:常陸秋そば、常陸牛、落花生、納豆、メロン、レンコン、栗 等
  • 面積:6,095.69平方キロメートル 人口296万人
  • 茨城県知事:橋本昌 インタビュアー:青木麗子

対談

青木:

知事、本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、知事のご経歴を拝見していましたら、知事は茨城県日中友好協会の会長をなされているのですね。知事が御自ら日中友好協会の会長を務めることは日本全国でも他に例がないのではありませんか?

知事:

そうですね。以前は私だけでしたが今は山形県知事さんも日中友好協会の会長を務めておられるようです。茨城県には以前、日中の友好を図る団体が3つありました。3つあると力も分散されますから統合しようとしたのですが、その時の条件として私が会長を務めることになりました。

青木:

そうなのですね。でもとても先見性のあるご判断だと思います。日中関係、これからますます大事になってくることと思いますからね。ところで、「ローコストエアポート・オブ・ザ・イヤー2011」の受賞、誠におめでとうございます。

知事:

ありがとうございます。

青木:

実は、少し前に上海春秋航空の王会長と仕事でお会いした時に、橋本県知事のことを絶賛されていました。知事のご英断により、春秋航空を茨城空港に誘致したことにより、茨城空港が見事に活性化したと。最初は周りからいろいろな意見もありましたが、今は週に5便も上海から茨城に飛び、多くの中国人観光客が茨城にきているので、茨城空港は活気に満ちあふれ、そのことも評価されて、今年「ローコストエアポート・オブ・ザ・イヤー2011」まで受賞されたと、大変力説されていましたよ。

知事:

そうですか。王会長とはとても親しくさせていただいております。王会長は素晴らしい理念を持って春秋航空を経営されておられます。LCC航空は運賃が格安ですから、これまで運賃が高いので飛行機を利用できなかった人々が気軽に旅行を楽しむことができるようになりますからね。

青木:

はい。王会長は、これからは人々がバスに乗る感覚で飛行機に乗ることができるようにすることが自分の夢だと仰ってました。本当に時代をリードする素晴らしい経営理念だと思います。安いから安全性に欠けるということは決してなく、飛行機もみんな新しい機種で、パイロットも大手航空会社からベテランパイロットを採用しているので、全然問題有りませんし、それに、新生航空会社ですから、安全が命。少しでも事故が起きたら、会社運営ができなくなるので、安全性はどこの会社よりも重んじていると仰ってました。そして、今後は日本路線をどんどん増やし、よりよいサービスを提供するために、日本人客室乗務員もたくさん採用したいと仰ってました。

知事:

そうですね。春秋航空が茨城空港に乗り入れたことにより、観光客が大幅に増えました。今は週に5便なのですが、できるだけ早いうちにデイリー便になったらいいと願っています。

青木:

さて、橋本知事は知事になられて何年になりますでしょうか?

知事:

私は1993年に初当選以来、今年で知事になってから5期19年目になります。

青木:

そうですか。大変なベテラン知事ですね。今日本では多選批判もあってか、多くのベテラン知事がお辞めになられていますが、私は多選批判は必ずしも正しいとは思っていません。今、国際社会も非常に混迷し、日本国内においても政治も経済も極めて不安定な状況にあると思うのです。ですので、このような時代の舵取りはやはりベテラン知事でなければ、この荒波を乗り越えることは非常に難しいのではないかと思うのです。そういう意味に於いて、茨城県民の皆さんは賢明な選択をされたのだと思いますね。

知事:

ありがとうございます。今全国では最多選知事となりました。

青木:

ところで、県政を運営される中で、何が一番大変だと感じていらっしゃいますか?

知事:

それはなんと言っても財政難ですね。もちろんこれは茨城県だけではなく、多くの県も同じ問題を抱えているのですが、いかに財政収入を増やしていくかが最重要課題ですね。もちろん人口減少問題もありますが。

青木:

今、どこの地方も人口が減少していますね。これはやはり、出生率の減少と若者達がどんどん都会へと行ってしまっているからなのでしょうか?

知事:

自然減ということも否めませんが、しかし、国の政策にも問題があると思いますね。

田中角栄総理時代には、日本列島改造論が提唱され、国として地方の均衡ある発展を目指す政策がとられていました。しかし、小泉政権以来、山を高くすることで日本の繁栄を目指す方向がとられ、東京への集中が進み、地方が疲弊し、格差がどんどん広がってしまったのです。そして、調査データによりますと、地方の人口の減少も実はその当たりから始まり、加速しています。

青木:

ええ、そうなのですね。それは知りませんでしたね。ところで、財政難を打開し、財政収入を増やすために、御県ではどのような取り組みをされていますか。

知事:

そうですね。企業を誘致し、雇用を創出することに力を入れています。平成22年の数字で県内には190ヘクタールの工場の立地があり、日本一でした。

青木:

茨城県の産業の強みについて少し紹介していだたけませんか?

知事:

県都である水戸は東京都内から電車で1時間ほどの距離にあります。県内には茨城港(日立港区、常陸那珂港区、大洗港区)、鹿島港といった国の重点港湾があるほか、北関東を繋ぐ新たな高速道路の開通など高速道路網も発展しています。地域の優位性が高く評価され、日立製作所やキヤノンなどに加え、最近、日野自動車、コマツ、日立建機、など多くの日本を代表する企業の立地がみられます。また、県の南部に位置する「つくば」は、ナノテクノロジーやロボット、宇宙開発など、多くの分野で最先端の研究開発が行われています。東海村には現在、世界に2つしかない大強度陽子加速器施設(中性子などを利用した最先端の研究施設)があり、国内外の研究者が集まっています。これら、工業など優れたものづくりや最先端の科学技術を有する県として他地域にない魅力を持っている一方、日本屈指の農業県でもあります。

青木:

なるほど。ところで、知事は今最も力を入れて取り組んでおられることはなんですか?

知事:

住みやすい県づくり、具体的には、医療環境の整備、それから教育環境の整備、なかでも理数教育です。残念な事に我が県は、県民の数に対して医者の数の割合が47都道府県で2番目に少ない県です。県民が安心して医療サービスが受けられるように、医者の確保と医療機関の充実に力を入れて取り組んでいます。また、茨城県には筑波大学や多数の研究機関などがありますので、日本の科学技術・ものづくり技術を担えるよう、理数教育に力を入れていくことが重要だと考えています。

青木:

なるほど。筑波大学は茨城県にあるのですね。中国からさらに多くの優秀な若者達に筑波大学に留学にきてもらったらいいですね。

知事:

是非そうなればと思っています。

青木:

地方自治、どうであるべきとお考えですか?

知事:

そうですね、地域主権とか道州制がいろいろと話題になっていますが、例えばアメリカではワイオミング州のように人口が60万人程度の州もあります。大きさではなくて、考え方として、地方が独自に行動できるような財源、権限を与えて地方からアイデアを出して行けるような態勢、これがないと地域経済、地方が元気になるということは難しい。

青木:

今回の大阪の橋下知事の動きは地方自治のあり方に大きな影響をもたらすことになりますでしょうか。

知事:

これまで日本では、地方自治を育てるために、政令指定都市制度などを作り、基礎自治体への権限委譲を進めてきました。今回の動きは、その考え方を根本から変えようというものであり、日本の自治制度を本格的に検討することが必要になってきます。行政改革により無駄をなくすことには賛成ですが、大阪都構想を実現すれば大阪に繁栄が戻るかは不透明です。

青木:

それから、今、茨城県は中国のどこかの地域と友好提携をしていますか?

知事:

いいえ、今現在特定の地域と友好提携はしていませんが、1996年から上海に事務所を設置して、中国との関係の強化に努めています。また、天津の経済技術開発特区の公害防止など、循環型社会の構築を図る経済産業省の協力プロジェクトには本県も名を連ねています。

青木:

なるほど、いわゆるテーマに基づいて交流を行っているのですね。こういう交流のあり方も悪くないと思いますね。ニーズに基づく交流、素晴らしいですね。

ところで、3月11日に日本の東部地域では前代未聞の大震災に見舞われましたが、茨城県も大きな被害を受けられましたでしょうか?

知事:

死亡24名、行方不明1名などの人的被害がありました。また、多くの住宅や企業も甚大な被害を受け、被害額は約2兆5000億円になりました。復旧はかなり進んでいますが、しかし、本当の意味での復興となると、まだかなりの時間を要すると思います。

青木:

そうでしょうね。是非頑張ってほしいと思います。ところで、放射能の被害は深刻ですか?

知事:

放射能の影響を心配して、今、県内の大気中の放射能の濃度について毎日測定をしていますが、意外な数字が出ています。例えば11月24日の空間放射線量率を見ると、茨城県水戸市で0.081μシーベルト/h、シンガポールが0.070 μシーベルト/h、上海が0.092μシーベルト/h、ソウルが0.107μシーベルト/h、香港が0.120μシーベルト/hとそれぞれ調査の結果が出ています。この数字でもお分かりのように、今まったく通常と変わらない状況の中で生活を送っています。是非、皆様に安心して茨城にいらしていただきたいと思っています。農産物も厳しく検査しています。少しでも問題があるような物はまず市場には流通させません。ですから、マーケットに出ている物はまったく問題はありません。

青木:

茨城には、「西の富士、東の筑波」と並び称される名峰「筑波山」、日本三名瀑のひとつ「袋田の滝」、日本で2番目に大きい湖「霞ヶ浦」、日本三名園の1つでもある「偕楽園」等々、本当に豊かな自然がありますから、是非中国の皆さんに癒しにいらしていただきたいですね。知事、本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。

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