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更新日:2015年4月1日

情報009:茨城で刊行された日本最初の自然科学書「雪華図説」土井大炊頭利位

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情報009茨城で刊行された日本最初の自然科学書「雪華図説」

土井大炊頭利位(どいおおいのかみとしつら)

茨城から発信された自然科学への取り組み

いまでは重要な学問領域のひとつとなっている自然科学。その学問に対する日本で初めての取り組みは、茨城県古河市で始まりました。江戸時代、下総国古河(現・茨城県古河市)の藩主・土井大炊頭利位(どいおおいのかみとしつら)が、日本初となる自然科学書を刊行したのです。

土井利位(1789~1848)

土井利位(1789~1848)

 

利位は空から舞い降りる雪に魅せられ、家老である蘭学者・鷹見泉石(たかみせんせき)とともに観察を続けていました。その観察の仕方とは、雪が降りそうな寒い夜、あらかじめ黒い布を外にさらして冷却しておき、その布で受け止めた雪を黒い漆器の中に入れて、息がかからないように注意しながら蘭鏡(顕微鏡)で見るという方法です。

そして1832年(天保3年)、雪の結晶を「雪華(せっか)」と名付け、約20年間にわたる研究結果をまとめた『雪華図説』という図鑑を刊行しました。そこに収められた結晶のスケッチは86種。この雪華図説は、日本最初の雪の自然科学書として高い評価を得ています。

『雪華図説』古河歴史博物館蔵

『雪華図説』古河歴史博物館蔵

 

また、利位の雪華に対する思いはそこにとどまらず、1840年(天保11年)には雪華図説の続編『続・雪華図説』も刊行しています。収められた雪華図は97種。当時の雪の結晶に関する記録は他にはほとんどなく、観察日時や場所が明確に記されていることから、極めて資料的価値が高いといわれています。

 

美しい雪華図は江戸でも大ブレイク

土井利位は、土井家の分家の子として刈谷(現・愛知県刈谷市)に生まれました。しかし25歳のとき、本家に当たる土井利厚(どいとしあつ)の養子に迎えられ、一躍、表舞台へと立つことになります。このとき、古河藩家老の鷹見泉石と運命的な出会いを果たしたのです。

蘭学者としても知られる泉石は、広く西洋の学問に通じており『雪華図説』では、参考文献の収集など編集作業を行ったといわれている人物です。利位が雪の結晶の観察を始めた経緯はよく分かりませんが、泉石が紹介したオランダの本に影響されたのではないかと言われています。

「雪華文蒔絵印籠」古河歴史博物館蔵

「雪華文蒔絵印籠」古河歴史博物館蔵

 

こうして日本で初めて紹介されたさまざまな形の雪の結晶は、利位の官名にちなんで「大炊模様(おおいもよう)」と名付けられ江戸で大流行しました。茶道具や浴衣、また浮世絵や刀の鍔にも大炊模様は用いられ、町人はもとより、武士の間でもブームとなったことを物語っています。

 

茨城で描かれた、日本初の世界部分地図

『雪華図説』の刊行に協力した鷹見泉石は、蘭学者としても非常に有名な人物です。当時の古河は、水陸ともに交通の要地で江戸にも近いことから幕府要職を任じられた大名が多く入封しており、古河藩の家老を務める泉石も早くから海外事情に関心を示していたと考えられます。その関心はさまざまな分野に向けられ、地理、歴史、兵学、天文学にまで及びました。

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そして地理学の分野では、オランダ大通詞・中山作三郎から入手した世界地図などを参考に、詳細はオランダの地図『新訳和蘭国地図』を描いています。この地図は、日本人が作成した日本以外の世界部分地図としては日本で初めてのもの。自然科学以外の学問領域でも、茨城県は日本をリードしていたのです。

泉石が残した収集品のなかには、温度計、望遠鏡、分度器、コンパスなど数多くの理化学機器が目立ちます。泉石は西洋の進んだ科学知識にふれ、その知識を日本にも普及させようと考えていたようです。泉石は雪華図説の後書にこう書いています。

「東洋と西洋は遠く離れているとはいえ、(雪の結晶ひとつ見ても)物事の道理というものは同じである」

これは単に科学の普遍性を言っているだけではなく、広く世界に目を向ける必要性を言っているようでもあります。

 

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