ホーム > 広報・お知らせ > 広報 > いばらきもの知り博士 > いばらきもの知り博士情報一覧 > 情報046:日本最古の組み立て式歌舞伎舞台「西塩子の回り舞台」

ここから本文です。

更新日:2015年4月1日

情報046:日本最古の組み立て式歌舞伎舞台「西塩子の回り舞台」

←情報045

情報047→

←いばらき・もの知り情報

西塩子の回り舞台保存会

江戸時代から続く農村歌舞伎の貴重な資料を発見!

茨城県常陸大宮市塩子地区に、日本最古と言われる組み立て式の農村歌舞伎舞台が残されています。それが「西塩子の回り舞台」です。江戸時代に誕生し大きな発展を遂げた歌舞伎は、いまや日本を代表する伝統芸能のひとつ。国の重要無形文化財に指定されていることもあり、少し敷居の高いイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、かつて歌舞伎は誰もが楽しめる庶民の娯楽。全国の農村や漁村で、村人たちが自ら演じることも少なくありませんでした。西塩子の回り舞台も、そんな農民たちの暮らしを生き生きと伝える重要な文化財として、大変に貴重な資料であることは言うまでもありません。

西塩子の回り舞台が作られたのは江戸時代後期。現存する大幕に、文政3年(1820年)の文字があることから、約200年前には実際に使用されていたと考えられます。舞台は組み立て式で、花道や回り舞台を含む床面の部材と、ふすまなどの舞台背景や大幕、水引などの舞台道具のみを保持。柱や屋根に使う木材や竹などは、必要に応じて伐り出して使い、終われば売り払っていたようです。

舞台の大きさは、会場となる敷地によって間口四間(一間=約180センチ)から最大七間までに拡大が可能。花道は四間もしくは六間の長さに組み立てることができます。奥行きは一丈ほど(約3メートル)で、舞台の後方中央に、間口二間、奥行き八尺(一尺=約30センチ)の回り舞台を一段高く設置しました。

 

屋根の骨組みには長さ五から七間もある真竹を格子状に組んで縄で縛り、菰(こも)を掛けます。扇状に開いた見物席の屋根は、跳ね上げるように設置した竹のしなりでドーム状に会場を覆い、人びとは最前面の曲線をカガミと呼んで、その美しさを舞台のできばえとして評価していました。

 

困難を極めた「西塩子の回り舞台」復元プロジェクト

郷倉

西塩子の回り舞台の価値が明らかになったのは、平成3年(1991年)に行われた大宮町歴史民俗資料館によって行われた調査がきっかけでした。地元の郷倉からは、江戸時代の大幕など舞台で使用された道具類が数多く見つかったのです。聞取り調査では、舞台は昭和20年(1945年)を最後に地元での本格的な組み立ては行われておらず、活動の中心であった古老もすでにこの世にないとのことでしたが、祖先の遺した文化財を現代に活かそうと、平成6年(1994年)に「西塩子の回り舞台保存会」が設立されました。

しかし、舞台を組み立てた経験者は誰もいません。高齢化が進む地域でどうやって復元したらいいのか、また、組み立てる意味があるのかなどさまざまな声が上がり、実現することはほとんど不可能と思われていました。

そこで歴史民俗資料館の職員たちは、地域の理解と協力を得るため地道な話し合いを重ね、一緒に全国地芝居サミットにも参加。さまざまな交流を行ううちに、次第に住人たちの心も動き、結成から3年後の平成9年(1997年)、約50年ぶりに舞台の組み上げが行われました。

当時の模型

もちろん設計図などは残っているはずもなく、組み上げに際しては、地元の古老たちにお話を伺って作った模型をもとに、入念なシミュレーションを行い作業が進められました。完成まで、実働で約1カ月。地元住民で力を合わせ、何もない空き地に、間口、奥行きともに20メートル、高さ7メートルの壮麗な舞台が出現しました。

 

復元された回り舞台では、「西塩子の回り舞台」復活記念公演を開催。わずか2時間あまりの公演に約3000人もの見物客が詰めかける大盛況となりました。そして、翌年には完全復活と銘打って再度の組み立てを実施するに伴い「第九回全国芝居サミット」の開催地として声が掛かりました。全国から集まった芝居関係者からも高い評価をいただきました。

その後、平成13年(2000年)からは定期公演として3年に一度、舞台を組み立て地芝居公演を開催。舞台上では西塩子地区の若衆で結成された「西若座」の芝居や、地元の小学生たちが演じる子ども歌舞伎などが披露され、毎回、県内外から約4000人ほどの観衆を集める一大イベントに成長しています。

人びとの交流から生まれる地域活性化に大きく貢献

常陸大宮地域での芝居興行の歴史はかなり古く、史料をひも解くと宝暦元年(1751年)には村々で盛んに興行が行われていたと記されています。この連綿と受け継がれてきた伝統を守り次の世代に継承することは、文化財保護の観点はもちろん、地域の活性化という面でも重要です。そこで常陸大宮市では、さまざまな取り組みをおこなっており、その中でも特筆に値するのが「平成の大幕作り」です。

 

4コマ・マンガ「ガマくんとローズくん」

このプロジェクトは、舞台には欠かすことのできない大幕を自らの手によって作成しようという壮大な試み。西塩子の回り舞台復活のきっかけともなった文政の大幕に倣い、地元で綿を栽培し、糸を紡ぎ、生地を織る工程に至るまで、すべて地域住民の手によって行おうというものです。

この事業は平成14年(2002年)にスタートし、平成15年(2003年)夏には約100キロの綿を収穫。さらに糸紡ぎと織りに3年を費やし、兵庫県の染織家浅井一甲氏に染めを依頼して平成18年(2006年)の第三回定期公演で披露されました。

こうして、地域の人たちの努力で復元された西塩子の回り舞台は、さまざまな分野で高い評価を受けています。平成18年(2006年)には地域の文化向上と活性化に貢献した個人や団体に贈られる「サントリー地域文化賞」を、また、平成20年(2008年)には第1回ティファニー財団「伝統文化振興賞」を受賞しました。

一時は東日本大震災の影響で延期されていた公演も、平成25年(2013年)には5年ぶりに再開。福島県で活動する2つの地芝居団体も参加し、震災からの復興支援をアピールしました。

西塩子の回り舞台は、保存会やボランティア、また地域の人たちなど多くの人たちの協力で復活を遂げました。地域の文化財を現代に活かすことはもちろん、こうして築かれた人びとの交流が地域の活性化にも大きく貢献しています。今後も、生きた文化財として公演を重ねる「西塩子の回り舞台」に、ぜひ一度、足を運んでください。

 

取材協力

西塩子の回り舞台保存会(外部サイトへリンク)

 

←情報045

情報047→

←いばらき・もの知り情報

 

 

このページに関するお問い合わせ

営業戦略部プロモーション戦略チーム制作・発信

茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2128

FAX番号:029-301-2168

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

質問:このページは見つけやすかったですか?