近年の自然志向により,森林からのおくりものである山菜は,春の味覚として,多くの県民に利用されるようになってきました。それに伴い,ポピュラーな山菜のオオバギボウシ(うるい)と間違えて,毒草のバイケイソウを食べ,中毒を起こす事例が増えてきました。
バイケイソウは,死に至る危険性もある恐ろしい毒草です。この機会に,見分け方を完全にマスターしましょう。
1.バイケイソウの毒と中毒の症状
新芽も葉も茎も根もすべて有毒で,毒性の強いアルカロイドを含みます。煮ても湯がいても天ぷらにしても毒は消えません。食べてから30分〜1時間くらいで下痢や吐き気をもよおし,血管が広がって血圧降下,心拍数の減少,めまい,手足のしびれ,けいれんなどの症状が出ます。重症の場合は意識不明となって死亡します。
2.近年の茨城県内での中毒事例
| 発生年月日 | 中毒者の性別と人数 | バイケイソウ採取場所 |
| 平成11年4月16日 | 女性1名 | 北茨城市内 |
| 平成11年5月 3日 | 男性1名,女性2名 | 北茨城市内 |
| 平成14年4月15日 | 男性3名 | 福島県大滝根山 |
| 平成15年4月13日 | 男性2名 | 不明 |
| 平成15年4月19日 | 男性1名,女性1名 | 福島県 |
この事例では,幸いにして死者は出ていません。
5件の事例のうち2件は,「おすそ分け」による中毒が含まれます。バイケイソウは,大きな群落を作るため,たくさん採りすぎて「おすそ分け」により被害が広がる可能性があります。毒きのこと同様に,「もらい物」にも注意が必要です。
3.生えている場所
バイケイソウもオオバギボウシも山地の湿地や川岸などに生えます。茨城県では,バイケイソウは県北部の奥山に限られますが,オオバギボウシは平地の里山にも見られ,観賞用として栽培もされています。芽吹きは,バイケイソウが4月上旬〜中旬,オオバギボウシはこれより少し遅れるようです。両者は混生せず,発生時期もずれるので,現地で実物を比較できないことも,間違いやすい原因の一つです。
4.見分けるポイント
@ 新芽の表面を観察しよう(写真1,2)
中毒は,新芽の時期に起こります。どちらの新芽も,葉が幾重にも巻合い,葉巻を突き立てたような状態で生えてくるので,この時期が一番似ているからです。新芽の外側が,葉が開いたときに葉の裏側になります。バイケイソウでは,葉が葉脈に沿って蛇腹状に縦に折り畳まれているので,葉脈は縦縞状の溝となっていますが,オオバギボウシでは,葉脈が外側へ出張っています。
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| 写真1 バイケイソウの新芽 |
写真2 オオバギボウシの新芽 |
| 葉脈は,縦縞状にくぼむ。 |
葉脈は,筋状に出張る。 |
A 葉を広げてみよう(写真3,4)
それでも迷ったときは,硬く巻いている葉を剥がして広げてみます。バイケイソウの葉脈は,折れ筋となって,葉の元と先端で閉じる平行線となっていますが,オオバギボウシの葉脈は,一般の広葉樹の葉のように,真ん中を走る主脈から葉の上縁へ向けて枝分かれしていますから,区別は一目瞭然です。また,バイケイソウの葉の裏側には,細かい毛が生えているので,少しザラつく感じがしますが,オオバギボウシの葉の裏側は 無毛で滑らかです。
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| 写真3 バイケイソウの葉 |
写真4 オオバギボウシの葉 |
| 葉脈は平行に走る。 |
葉脈は,主脈から枝分かれしている。 |
B 葉が開いていたら,葉の付き方を観察しよう(写真5,6)
葉が開ききってからは,姿形が大きく変わってきます。葉が開ききったものがあったら,よく観察してください。バイケイソウは,茎が立ち上がりながら,葉柄のない葉が茎に交互に付くのに対して,オオバギボウシには,茎がなく,長い葉柄のある葉が地際から生えています。
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| 写真5 バイケイソウの葉の付き方 |
写真6 オオバギボウシの葉の付き方 |
立ち上がった茎に交互に付く。
葉柄はない。 |
地際部に付く。 長い葉柄がある。 |
C それでも自信がなければあきらめる
山野草の中には,死に至る猛毒を持つものがたくさんあります。調べても判断がつかなかったら,絶対に食べたり,人にあげたりしてはいけません。
なお,オオバギボウシの他にも数種類のギボウシ類が食用として利用されていますが,全て同じ方法で見分けることができます。
5.相談窓口は
山野草の種類については,最寄りの林業指導所もしくはきのこ博士館へ,山野草による中毒については,最寄りの保健所へご相談下さい。
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