外資100%の銀行である米国シティバンク上海支店(浦東新区)と浦西支行(外灘の和平ホテル内)は中国人民銀行(中央銀行)の承認の下、中国企業と国民に対する外貨業務経営権を獲得し、3月21日から外貨業務を開始した。同行の取引先はこれまでほとんど外資企業だったが、今後は地場系企業相手の業務が拡大する模様。
写真 シティバンク浦西支行(和平飯店内)
中国が昨年12月にWTOに加盟したことを受けて、中国人民銀行(中央銀行)は今年2月1日から新しく「外貨金融機構管理条例」とその「実施細則」を施行した。今回のシティバンクによる外貨業務の開始は、外資100%の銀行にとって初めてのケースになる。
外貨金融機構管理条例では、外資系金融機関の外貨業務については取引相手の制限を撤廃し、あらゆる企業や個人を対象とした外貨業務を認めるとしており、この結果上海市民は誰でもシティバンクに外貨預金口座を持つことができるようになった。しかし、シティバンクの内部規定によると、1米ドルから預金を受付けるが、預金総額が5,000米ドル以下の場合、預金手数料6米ドル/月が預金者に課せられる。上海市民は預金を利息目的の投資のひとつと考えており、預け入れ金額によっては手数料が利息を上回ることもあり得るため一部では失望の声も聞かれる。業界関係者によると「中国の銀行は預金と貸出利息の差で利益をあげているが、ドルなど外資銀行は金融サービスで利益をあげているため、このサービス手数料がかかることは仕方のないこと」としている。
シティバンクはここ上海以外に北京、深セン、広州でも外貨業務認可を申請しており、いずれこれらの都市でも外貨業務が開始されることになる。
シティバンクは1812年に米国ニューヨークで創立され、1902年には早くも上海に「花旗銀行」の名前で進出した。シティバンクの中国名には今なおこの名称が使われている。この名の由来は、20世紀初頭に中国人がアメリカを「花旗国」と呼んでいたことに起因している(ただし現代の中国ではアメリカを「美国」と呼ぶ)。その後1995年に香港総本部を上海に移し、1996年には人民元の取扱いができる最初の外資系銀行になった。1999年には地場銀行同士の業務提携機関「上海ゴールデンカード ネットワーク」に外資銀行第1号として加盟、人民元業務の委託契約を締結した。これは外国のシティバンクの口座から上海市内のATMを利用して人民元を引き出せるという便利なシステムである。これら数々の実績が今回の外貨業務取扱いのパイオニアとしての地位につながっていった。シティバンクは中国の主要な都市に支店を設置してあり、顧客は中国であろうと、世界のどこであろうとも、常に質の高いサービスを受けられるとしている。
シティバンクグループのうち上海、香港、東京、シンガポールなどアジア地区の業務量がグループ全体利益の25%を占めており、シティグループでは今回の外貨業務開始を機に、今後の中国市場に一層の期待を寄せている。
一方、シティバンク以外においても、合弁銀行であるアモイ国際銀行が3月7日から既にアモイ市内での外貨業務を開始しているほか、上海においては香港系の東亜銀行(Bank of East Asia)が4月頃から外貨業務を開始する予定。同じく香港系のHSBC-匯豊銀行(Honkong and Shanghai Banking Corp.)も上海において近々外貨業務を開始する計画だという。
中国政府による第10次5ヶ年計画(2001〜2005)では、金融機関の金利や為替レートを需要水準に近づけるほか、企業の直接融資による資金調達を促進するなど、経済の市場化を重要な課題に取り上げている。外資銀行に対し、WTO加盟初年には外貨預金の業務を開放すること、また2年後には国内企業向けの人民元業務を認めることを政府は約束している。外貨預金と国際決済の分野だけでなく人民元業務の分野でも、外資系銀行と地場銀行が激しい競争を繰り広げることは間違いないと思われる。
参考:NNA、時事速報、Shanghai Daily、ビジネスウォーカー、新聞晩報