最新ビジネスリポート

「中国の石油事情 -イラク戦争による影響-」  4/2003


 

1.石油輸入と備蓄

 この10年来、中国の国民経済は7%前後の発展を維持しており、それに伴い原油消費量も年平均約5.8%の伸びを示している。しかし、国内の原油供給量の増加はわずか1.7%に過ぎない。中国は1993年から石油の純輸入国に転じ、その量は年々増加している。特に1996〜2000年にかけての石油純輸入量は1996年の1,348.5万トンから1999年には2,858万トンに増加し、さらに2000年には6,000万トンを超えた。
 政府関係者の予測によると、今後15年について、中国の国民経済は引き続き7%前後の発展を続け、原油需要も約4%の増加が見込まれるが、国内における原油生産量の伸びはわずか2%程度にとどまるため、原油供給量の不足傾向はいっそう顕著になるとのことである。また別の試算では、2010〜2015年には年間石油輸入量が1.8〜2.5億トンに達し、さらに2020年頃には中国が世界一の石油製品輸入国になるともいわれる。
 中国は石油備蓄コントロールの遅れにより、最近の国際原油価格変動の影響を直接受けてここ数年で10億米ドルの損失額を計上した。米国の石油備蓄量が80日間分、日本は160日間分、韓国は74.5日間分と比較し中国は21.6日間分と石油備蓄量が極めて少ない。2001年度の全国人民代表会議(国会)において、初めて石油備蓄制度の整備が表明され、以降、早期確立が待ち望まれている。

2.イラク戦争の影響

 イラク戦争で石油の国際価格が高騰し、国内産業への影響を懸念する声が出ているなか、1〜2月の石油採掘業は昨年同期比の3倍に相当する241.7億元の売上高を計上した。石油加工業・化学原料製造業・化学製品製造業も原油価格の高騰に連動して製品価格が上昇、製品油は40%、化学原料・合成材料は11.8%、化学繊維は8.9%の値上げとなった。これにより利益総額は石油加工業が14.9億元、化学原料製造業が44.8億元、化学製品製造業6.8億元に達した。今後も値上げが続けば川下産業への影響が避けられないと予測されている。
 浙江省台州市は国内最大のプラスチック・ビニール製品の生産地であり、1万社以上の関連産業が集積して約80万トンのプラスチック製品を生産、180億元を売り上げていたが、昨年11月から原油が高騰、既に製造工場の1/3が操業停止に追い込まれた。またPET樹脂価格も50%値上がりし、身近なペットボトル飲料製品にも影響を与えている。ミネラルウォーターなど薄利多売の製品はシェア競争が激しく、製品値上げはシェアを失うとして生産縮小策を取らざる得ない企業も出てきている。この例に見られるように、原油値上げが及ぼす影響は産業全体に及んできている。
 中国中央銀行によると3月の企業物価指数(企業間で取引される商品の価格水準)の中で原材料を指す「初級産品」のうち、石油は50.4%、天然ゴムは49.1%、鋼材は13%と上昇した。
 中国の1〜3月の貿易収支は、イラク戦争による原油価格高騰などにより輸入の伸びが輸出を上回り、10億1,000万米ドルの赤字を計上した。輸出額は前年同期比33.5%増の863.3億米ドル、輸入額は前年同期比52.4%増の873.4億米ドルとなった。

3.中国の石油戦略

 中国政府は現在、石油輸入量の半分を占めている中東依存型からの脱却を目指し、ロシアや中央アジアからの輸入を拡大させることが重要だとして、これらの国における石油産出量や備蓄量へのシェアを拡大し、複数の安定した生産基地を打ち立てたいとしている。現在中ロ両政府が進めているイルクーツク−満州里−大慶を結ぶ石油パイプライン計画はその代表例である。また、国内石油関連企業に対し、国外石油・ガス資源の開拓調査を合弁などでの方式で積極展開することを奨励しており、これにより国外石油・ガス資源の比率を高め、輸入ルート、品質、方式などについて、国内外両ルートが資源戦略を補充しあう体制を早急に実現したいとしている。
 中国は、「第10期5ケ年計画」で石油政策を押し進めているが、このイラク戦争を機になお一層の多様化を図ることが必要だと認識したようだ。


                  参考: NNA、時事、中国巨竜


最新ビジネスレポートへ戻る  茨城県上海事務所インデックス