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中国の外貨準備高  /2005 その3


 

中国の外貨準備高はここ数年増加し続けているが、昨年、特に10月以降に激増した。中国人民銀行(中央銀行)にとって,2005年は外貨管理の強化が最重要課題となっている。
 外貨準備高増加の原因としては、
(1)9月以降国際的な原材料価格の上昇により、中国の輸入が抑制され、貿易黒字が拡大した
(2)外貨取得手続きが簡単になったことや、人民元への信頼性が高まったことから、国民や企業の外貨保有意欲が低くなり、ドルから人民元への転換が進んだ
(3)外国直接投資の拡大
(4)ホットマネー(投機資金)の流入
などが指摘されている。

 中国紙の報道によると、2004年上半年には外国直接投資と経営収支とを除いた外貨の増加(ホットマネーの流入を含む)が294億jに達し、全外貨増加分の50%を占めた。この傾向は下半年も継続したと見られる。
 アジア金融危機にみまわれた98年には人民元の切り下げ予測から654億jの資金が流出したが、今回は人民元の切り上げ予測から大量のドルが流入した。中国人民銀行はマクロ経済の安定と人民元の為替レートの安定(1j=8.2765元)を維持するために市場でドルを買い、それに伴って増加した人民元を吸収するために外国為替資金証券を発行している。2005年1月11日にも中国人民銀行は900億元の外国為替資金証券を発行したが,これは1996年以来最大規模の発行であり、証券の利率も上昇した。一方、中国の外貨準備の60〜70%はドル建て資産と言われている。ドルはユーロや円に対して下落傾向にあり、ドルを主体とする外貨準備の目減りを心配する声もある。

 

外貨準備急増の対策としては、
(1)資金流出制限の緩和と資金流入の制限
(2)ホットマネーの標的となっている不動産価格の沈静化
(3)外貨保有の民間への分散
(4)為替レート形成メカニズムの改善
などが論議されている。

 国際貿易紙の解説によると、2004年末の外貨準備は6099.32億jとなり、2003年末より2067億j(51.3%)増という著しい伸びを示した。貿易黒字が320億j、直接投資実行額が606億jでしかなかったことからすると、この伸びはかなり大きい。むろん,ほかの増加要因として,ドル以外の外貨で保有する外貨準備のドル換算額がドルの下落により増加したことや、米国FRBの利上げでドル資産の運用益が増加したこと、短期外債が増加したことが挙げられよう。しかし、1−9月期までは、外貨準備の伸びは月平均120億jのペースであった(9月末の段階では5,145億jで、前年末比1,113億j増)のが、10−12月期になると、10月末5,424.43億j、11月末5,738.82億jと月平均300億jのペースで急増しており、これはいかにも不自然である。

 

 ある国有商業銀行の上海分行個人銀行部総経理の話では、「人民銀行の利上げ以降ドルを人民元に交換し、人民元建ての借金を前倒しで返済するケースや、域外者が不動産を購入するケースが増加した。特に2004年12月20日以降は、「2005年1月1日に人民元が切り上がる・・・」という噂が広まり、ドルの人民元への交換による前倒し返済の傾向が更に強まった」という。事実、人民銀行上海分行の統計では、内資銀行の外貨預金は9月末の317億jから年末には178億jに減少しているのである。しかし何よりも外貨準備急増の要因としては、人民元切り上げを見込んだホットマネーの流入が激化したことが考えられよう。2004年11月28日、ASEAN+3首脳会議に出席した温家宝総理が、「人民元レートの切り上げは重大な経済政策であり、中国は外圧に迫られて人民元切り上げはできない。国際社会の人民元への投機が続くようであれば、切り上げは不可能である」と、強調した事は、投機の大きさを物語っている。
 しかし、国際金融の世界では人民元切り上げは既定事実化しており、中国当局がいかに早期の切り上げを否定したところで、資金の流れは容易に止まりそうにない。昨年であればまだチャンスはあったかもしれないが、中国政府の意図とは裏腹に、G7や投資資金の外圧に屈しない形で人民元レートを修正することは、ますます困難になってきているのである。

 

参考:国際貿易、国際金融報


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