中国の旅行事情 8/2005 その2
近年、中国では経済の発展とともに国内外に出かける旅行者が急増している。海外への個人観光が制限され、団体での観光旅行が原則という状況下で、2004年は約2,800万人の中国人が仕事や留学、観光などの目的で海を渡った。
■中国国内の夏の旅行状況
夏の旅行先としては黒竜江省の人気が上昇中。ハルビンの氷祭りをはじめ、もともと冬の観光は人気だが、最近は避暑地としても注目を集めているようだ。同省統計局によると、同省を訪れた国内旅行客(6月)は昨年同期比12.3%、観光収入は13.8%増加。伊春の森林公園や牡丹江の鏡泊湖など、美しい大自然と新鮮な空気を求め、広東、上海など南の地域から涼を取りに訪れる観光客が多いという。
また、大連では日光浴を目的にロシアからの観光客が急増している。大連晩報によると、昨年大連を訪れたロシアからの観光客は2万4,000人で、このうち半数以上は夏の観光シーズンに集中。今年はさらに2倍以上に増加する見通しで、各旅行会社はロシア人観光客の争奪戦を繰り広げている。
ロシア人観光客が必ず訪れるのが海水浴場で、中でも付家荘が人気のスポット。毎日たくさんの人が日光浴にやって来るため、周囲のホテルなどではロシア語通訳を雇って対応している。大連からはウラジオストク、イルクーツク、ハバロフスクに航空便が就航しており、毎年夏になると訪れるリピーターも少なくないという。
■5年後の海外からの旅行者は6,400万人
国家旅遊局によると、中国への海外旅行者数は年間平均7%前後の増加を続け、2010年までには延べ6,400万人に達し、中国への海外旅行者数は世界3位となる見通しとなることが分かった。さらに、中国への海外旅行客による外貨収入は426億米ドルに達する見込み。国内旅行者数も延べ16億9,000万人となり、国内旅行による観光収入は8,810億元に達するという。
観光業収入は1兆2,260億元に上り、これは国内総生産(GDP)の7%を占めることになる。今後、中国経済における観光業の重要度が増していきそうだ。
■富裕層を中心に増える海外旅行
調査会社、ACニールセンが北京市、上海市、広東省広州市の3大都市の市民を対象に行った調査で、過去1年以内に海外旅行を行った人が全体の7%に上っていることが分かった。特に富裕層では14%と2ケタ台に達しており、沿海部の大都市を中心に、中国から外に向けた旅行市場が着実に伸びつつある現状を浮き彫りにした形だ。
調査は3都市の市民3,000人を対象に実施した。過去1年の海外旅行歴に関する質問では、世帯所得が月5,000元以上の富裕層で14%が「経験がある」と回答。中間層(2,500〜4,999元)の4%、低所得層(2,500元未満)の2%と大きく差を付け、高額所得世帯が海外市場をリードしている実態を裏付けた。また今後1年以内の旅行計画でも、富裕層の13%で、平均7%が「計画している」としており、海外旅行客層のすそ野拡大をうかがわせる結果となった。
3都市だけで海外旅行市場は200万人に達する計算で、ACニールセンは「世界的にみても上位の市場に育っている。人民元切り上げ(による海外での購買力増)も今後の後押し材料になるだろう」と分析している。
■人気渡航先はアジアが主流
渡航先1位は全体の23%が訪れた香港。以下はタイ以外の東南アジア諸国(16%)、タイ(13%)となっており近隣のアジア各国・地域が上位を占めている。また期間も4〜7日が半数以上を占めており、短期で近場の旅行がまだまだ主流のようだ。
ただし個人旅行経験者も37%に上っており、個人行動で買い物や観光をする層も育ちつつある実態をも示している。今後こうした海外に慣れた層が拡大すれば、日本や韓国など近隣国の旅行業も波及が期待できそうだ。
■日本旅行への関心
遼寧省、北京市、天津市、山東省、上海市、江蘇省、浙江省、広東省の各地域で月収5,000元以上の男女100人ずつを対象にNNAが今年の2月に実施したリサーチによると、海外旅行に対し興味をもっている人は「ある」と「まあある」の合計で91.8%に達し、関心度の高さが窺える。
しかし、日本旅行に対し興味をもっている人は「ぜひ行ってみたい」と「まあ行ってみたい」を合わせても70.7%にとどまり、興味を持たない人は14%にも達した。日本旅行よりも欧米、東南アジア旅行に対する関心度のほうが高いようだ。
また、わずかではあるが、女性の方が男性より海外旅行に高い関心があることが分かる。日本旅行に限れば、女性の関心度は男性より20%も高く、今後、中国人女性に魅力のある旅行商品を提供することが重要となる。
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日本への観光旅行に興味をもつ565人に日本旅行の目的を聞いたところ、日本の名所・旧跡を訪れたい、日本独自の行事や風習を体験したい、風光明媚な場所を訪れたい、がそれぞれ、65.1%、57.7%、56.6%を占め、トップ3となっている。みるだけでなく、体験型のコース作りが求められている。また、日本料理を楽しみに行きたいというのも54.3%を占め、ここでも食を大事にする中国人の特徴がみられた。
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■ 日本の地域の知名度
各地域のうち、知名度のもっとも高いのは北海道で、88.8%を占める。次は東京が属する関東地区で、70.3%を占める(注:質問をする際、地区名の横に各自治体(都道府県)の名称も提示)。現在、旅行会社が提供している商品は、知名度の高い地域を巡るいわいるゴールデンコースがほとんどである。そのほかの地域に関しては、中国人観光客を呼び込むために、まず知名度をあげることが求められる。
参考 NNA