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 上海の水事情

 国家環境保護総局によると、第11次5カ年計画(2006〜2010年)なかで、環境保全のための投資額は概算で1兆3750億元に達する。(前計画6500億元増) 内訳は、都市環境インフラ施設に約6600億元、工業汚染源整備に約2100億元、環境保全施設に約3500億元、生態環境保全に約1150億元、核の安全への投資が約100億元、環境保全監督管理能力のレベルアップに約300億元となっており、経済の発展に伴い、環境保全事業への資金投入も増加している。
 環境に対する投資が増加する一方、生活の基盤である土壌や水の汚染は止まらず、食料品等の生産物の安全性は損なわれているとの指摘もある。ある調査によれば、「中国人の5人に4人は食品の安全性に不安を抱いている」との実態が明らかになっている。

 今回のレポートは、生活には欠かせない「水」について、上海と周辺を中心に、河川の汚染管理体制の状況、政府の取り組み、さらには、実際の生活水の状況などを報告する。


以前に比べ格段にキレイに
なった蘇州河

ゴミのポイ捨ても
水質汚染の原因のひとつ

1.管理体制
 中国では、70年代から全国的に環境保護機構が設立され、79年の環境保護法によって、環境保護機構の職責が定められ、84年に正式に国務院環境保護委員会が設立、88年には国家環境保護総局が設立され、全国の環境保護が統一的に管理監督されるようになると、省、市、県人民政府も相次ぎ環境保護行政主管部門を設立し、管轄区を統一的に管理監督するようになった。現在では約2500あまりの環境保護行政主管部門が環境管理、観測、統計、科学研究、広報、教育などを行っている。
 上海市でも環境観測センターをはじめ、市内20カ所に環境観測地点を設け、地表水、排水、排気、空気、騒音、土壌、生物などの観測を行っている。排水については、水質汚染監視ネットワークを設け、長江、黄浦江、蘇州河、淀山湖などの重要な場所およそ120カ所及び市内の重要な企業、約100社の排水について、水質の状況を定期的に観測している。

水環境保護(上海統計年鑑)
96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年
排水総量
(工業・生活他)
億トン
22.85 21.10 20.81 20.28 19.37 19.50 19.21 18.22 19.34 19.97
化学的酸素
要求量の排出量
万トン
27.46 38.55 36.55 34.98 31.87 30.48 32.96 28.38 29.38 30.44


2.上海市周辺の取り組み
 上海市は2009年までに環境保護モデル都市の認定を目指している。環境を改善するための265のプロジェクトに計400億元を投資。また、上海市の域内総生産(GDP)に環境保護への投資が占める比率は、今後も毎年3%前後を維持する。
 具体策として、同市域内の生活汚水の域内処理率を80%に、生活ごみの無害化処理率を85%以上にそれぞれ高めていく。幹線交通での騒音は70デシベル以下に抑制。市内の河川から臭いをなくすほか、重要な水源である長江からの安全な飲用水確保にも努める。モデル都市に認定されるには、空気の汚染度や水質検査で国が定める基準をクリアする必要がある。現在、杭州、青島、大連など67都市が認定されている。
 今年6月に着工された上海蘇州河汚泥浚渫プロジェクト(1949年以来、堆積土砂を一度も浚渫したことがなく、川底には汚泥がたまり、大量の有機物や無機物が発生していると思わる)の実施により、浚渫工事後には水質が更に改善されるとの大きな期待が寄せられている。
 また、環境保護3年行動計画の水処理重点プロジェクトの一つである竹園第二汚水処理場建設工事も今年3月に正式に着工。完成すれば、上海の都市部の汚水処理割合は41%から71%まで高まる。
 2008年までの上海の汚水処理目標によると、上海の郊外の90%をカバー。市内の汚水処理場は18カ所となり、現在より166万m/日の処理能力がアップされる。
 2007年度上海市民節能減排意識調査報告で上海市民の上海の環境品質への関心度を調査し、水汚染が最も重要な汚染問題であるという結果となり、水処理関係への取り組みの強化は、今後も一層強化されていくと思われる。

住宅地を流れる河

用水路では釣りを楽しむ人も

 上海紙・東方早報によると、江蘇省はこのほど、中国有数の湖である太湖の水質汚染を改善するため、太湖周辺にある企業から「排汚権(排水権)費」を徴収することを決めた。2008年1月1日から省内の他地域に先がけ試験導入する。
 環境資源の使用経費や環境資源の補修経費として徴収する考え方を取り、その額や徴収方法については07年中に詰めるという。省当局はすでに、南京、無錫、常州、蘇州、鎮江の5市に実施準備を進めるよう通達を出したという。
 排水権費では、水質汚染改善コストを算定した上で、業種ごとに汚染度を算出し、徴収額を決める。算定では、08年は化学的酸素要求量(COD)を用い、順次、アンモニア窒素、リン酸も対象に加える方針。また、07年末までに生産を開始した企業には排出総量規制を行い、それを上回る部分か、前年実績を上回った部分について有償化する方針。08年以降の生産開始企業は、実際の排出量に対し徴収する。

3.水道水の状況
 中国旅行のガイドブックなどには、中国では水道水ではなくミネラルウォーターを飲むようにと書かれていることが多い。実際に水道の蛇口からでる水は、黄色や赤茶色で生臭いことがある。特に浴槽にお湯をためたときに、その違いを旅行者は感じる。
 そもそも、日本と中国の水道水には大きな違いがある。水の硬さ、ミネラルの主成分であるカルシウムとマグネシウムの量を比較した硬度が違う。日本の水道水は硬度が20〜100mg/Lの軟水であるの対して、上海の水道水は130〜240mg/Lの硬水であり、日本人の旅行者が水に慣れずに下痢をするのは硬度の問題といえる。日本のお米がふっくら美味しく炊け、上海の洗濯洗剤の泡が立ちにくいのも、硬度の違いによるものである。
 また水道水に含まれる残留塩素量の違いも指摘されている。塩素は水中の細菌やウイルスを殺す働きをしており、水道の味を損ねる原因となるものの、一定量の塩素を維持することにより、水道水の安全が保たれている。しかし、上海の浄水場でも日本と同じように塩素殺菌されているが、各家庭へ届くまでの課程において設備の老朽化が進み、有機物と塩素が結合し、殺菌能力が低下していると見受けられる。
 日本では、水質検査計画を策定して利用者に水道水に含まれる無機物質や有機化学物質の基準や目標値等の情報が提供されている。個人レベルでは経費が高額になりすべての含有物質等の水質検査はほぼ不可能といえるが、最近では一定の条件下において、水中の溶解物質を測定できるTDSメーターを使用することにより、水の安全性を推定することができる。


参考  
中国網 時事通信 NNA 東方早報 上海市環境管理センターHP 新民網   アクア商貿(上海)有限公司


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