茨城県上海事務所


 第8回 南通木原配管有限公司 高木修身さん 総経理

 「社員は俺のことを総経理(社長)だと思っていない。どっかのオヤジ程度に考えていやがる!(笑)」歯に衣着せぬ物言いで、ユーモアセンス抜群、人間味にあふれる南通木原配管有限公司(以下、南通木原)の総経理、高木修身さんをご紹介します。
 中国に来てそれほど困ったという事態に遭遇していないと言う高木さんですが、現地に溶け込んでいる様子などを中心に「さくく」語って頂きました。

「高木総経理」

「家族のような社員」


■生粋の茨城人
  1954年生まれの53歳。生まれも育ちも茨城(水海道出身、現在は常総市)で、中国に駐在するまではずっと茨城に住んでいた生粋の茨城県人。1973年に木原製作所(本社:茨城県常総市)に入社し、主に部品加工や生産工程の管理を担当。機械加工の分野において、普通旋盤作業、マシニングセンタ作業、数値制御旋盤作業(NC旋盤)でそれぞれ1級の資格を有し、モノ作りのプロフェッショナルを極めた。2000年に大手ユーザーの中国進出に際して、木原製作所から技術支援チームのメンバーの1人として派遣され、ユーザーの現地工場の立ち上げに携わったのが中国との関わりの始まり。以来、中国進出の必要性を社内で主張し、計画。そして同社の中国現地法人、南通木原を03年に立ち上げ、現在は駐在員1人で、現地法人の工場を切り盛りしている。


■立ち上げからトラブルなく順調
 「困って日本に帰りたくなるようなことは無かったよ(笑)」と高木総経理は振り返る。進出場所については色々と検討したが、パートナーの部品メーカーの勧めもあり南通に決めた。工場建設にあたり発生する様々な問題は、中国側の合弁パートナーに任せ、すべて解決。立ち上げ後、生産が追いつかないほどの増産で忙しいという、うれしい悲鳴以外には大きなトラブルはないとキッパリ言い切る。
 「ただ、はじめて来たときは寒くて驚いた」準備段階になりはじめて南通に駐在したのが1月6日の真冬。事務所はただ仕事をするスペースといった状況で、暖房器具などはまだ一切なく、軍手をはめてパソコンに向かった。


■会社紹介と意気込み
 日本の親会社である木原製作所は、創業以来50余年に渡り、トラック、バス及び建設機械に附属する金属パイプの加工生産に特化した企業。南通木原は、建設機械油圧配管部品を製造し、日本への輸出分と中国に進出した日系企業に部品供給。加工技術や品質の向上だけでなく、多品種少量生産など、他社では困難とされるニーズにも取り組んでいる。
 工場の様子を一言で表現すると、とにかく忙しそう。06年度から08年度にかけて生産は倍増。工場が手狭となり、来年08年5月には、同じ南通の開発区内に新工場を完成させ、移転する予定。その準備もありラインだけでなく事務方も大忙し。また、外注していたメッキ工程、塗装工程を内生化する為、南通綺麗鍍飾有限公司を設立(07年4月)するなどして業務範囲も拡大させている。
 ユーザーとなる中国に進出した日系企業は、一般的に中国で製造される部品に疑心をもたれることが多いという。だから、作業工程には、製品の検査だけでなく、その検査のチェック体制を設けるなど、工数をかけてユーザーへの信用を高めている。さらに、日本の木原製作所では採算の合わない手間がかかる部品や付加価値の高いものも引き受けて、ここ南通木原で製造している。だから高木総経理は「生産拠点としての能力は日本に負けない」と現場の責任者として胸をはる。

「パイプの曲げ工程」


■この先ずっと南通木原の社員が食っていいけるように
 「社員教育は難しいね」とポツリ。通訳が全部訳しているかは不明としながらも、叱るときは「ばかたれぇ!」と声を荒げるという。もの作りの現場ではダメなものはダメなのだ。若い頃は先輩に部品を投げられたこともあったと感慨深げ。しかし今は、班ごとに勉強会を実施し、社員自身に考えさせ、改善提案を出させるようにしている。
 そんな高木総経理を社員はどう見ているのか?
 社員に聞いてみたところ、「総経理は怒っても全く後に引きずらない。それに土日も関係なく工場に来て仕事しているタフなスーパーマンみたい」という。面子を重んじる中国人が怒られても気にしていないというのは驚き。総経理が先頭に立って現場を引っ張り、総経理自身が職人として技術に長けていて、皆に認められているからだろう。
 また高木総経理がいう「親会社への利益還元も大事ではあるが、南通木原の家族のような社員がこの先ずっと食ってけるようにしたい」という言葉も社員の様子からうなずける。


■スーパーマンのエネルギー源
 たまに時間がある休日は、工具街などを散策。現地の社員も知らないような店で、安くて使えるものを見つけては購買担当に購入を指示する。製造工程の改善にも積極的。日本だと提案してもなかなか図面さえ引いてもらえず、さらに実施となると数ヶ月もかかる。中国だと驚くような安価で図面が2、3日で完成し、2週間もあれば改善できる。トライ&エラーでチャレンジできる中国の利点を存分に楽しんで仕事をしている感じ。これも、もの作りの基礎を掌握している職人だからできること。
 さらには食事も現地化。「一食、5元もあれば十分腹一杯になる屋台がいい」という。確かに探せばあるかも知れないが、総経理だからもっといい店にいけばと思うのが普通だろう。残業などで遅くなったときは社員みんなで行って、好きなものを好きなだけ腹一杯食べる。取材当日、この屋台街に案内して頂くと、早速同行した社員がお勧めの餃子としょっぱいパイみたいなものを買ってくれた。試食すると、とても小銭で買えるとは思えないほど美味い。また、屋台街はこの寒さにもかかわらず人で賑わい、活気にあふれている。どうやらここからスーパーマン・高木総経理はエネルギーを吸収しているようだ。

「社員と屋台街で」

「エネルギーの源、屋台街」


■最後に
 南通木原の経営理念としてお客様を最もよく知るオンリーワンパイプ加工メーカーを目指し、人づくりの経営を進め、企業の発展と社員の幸せを追求して行くため、中国でも日本に負けないお客様に提案もできる会社となるよう今後も進めていくつもりだそうです。


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