カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは現地企業「晨風集団公司」と合弁で、9月30日、上海市内にユニクロショップを2店舗同時にオープンさせた。ユニクロの中国店舗進出は今回が初めてである。歩行者天国である南京東路の中聯商厦ビルの2階に位置する第1号店「南京東路中聯店」は1,000Fの売り場面積を持ち、大繁華街を背景に客足が多い有利な地域性を持つ。一方、四川北路・魯迅公園近くのカジュアルモール東泰休閑広場に同時オープンした第2号店「四川北路東泰店」は、ツーフロアで800Fの売り場面積を持つ。「四川北路東泰店」は大繁華街には位置していないものの、近隣地域は居住人口が多く、商圏が広く大きいと言われる。
オープン当日、四川北路東泰店前には開店を待つ客500人が列をなした。国慶節連休となった10月1日から7日はオープニングキャンペーンとして定価129元のフリースを69元で特価販売し、当初目標の3倍を売り上げるなど好調な滑り出しを見せた。
ユニクロでは中国において「日本のカジュアル衣料でトップ、英国に15店舗展開」とのイメージ戦略で広告プロモーションを展開。またユニクロ広報チームによれば「他のカジュアル衣料と違い、幅広い年齢層の顧客にベーシックカジュアルというコンセプトが伝わった」としている。中国では、カジュアルと言えば10代が中心で、メーカーのブランドが個性だと思われているが、ユニクロはその固定概念を打破したいとしている。つまりカジュアル文化は職業や国、人種までをも超える可能性をもっており、個性は服そのものにはなく、着る人によって生み出されるもので、グレードの高低で語られるものではないとしている。
ユニクロ商品の販売価格は日本とほぼ同じなので、中国人にとって安い商品ではない。しかしユニクロはこの価格設定が今の上海の物価基準に合っていると判断した。今の上海マーケットには安いものから高級ブランド品まであらゆる商品が多層に並んでおり、その中で消費者がユニクロ商品をどう受け入れるかが一番の課題であり、日本と中国では市場環境が違うので、価格などの単純比較はナンセンスだとしている。
ユニクロの販売基本姿勢は「製造&小売り」であり、製品はすべてユニクロの中国委託工場で日本と同じ規格で製造されている。中国では直営しかやらない。代理店販売やフランチャイズはやがてユニクロブランドを壊すことになるからだ。ユニクロでは上海をセントラル基地として基盤を整え、人材を育成して将来的には中国一を目指す。その後、世界を相手にグローバルビジネスを展開するという広大なビジョンを持っている。
一方イタリアの大手アパレル企業ベネトンは、現地企業「中威有限公司」ほかと合弁で10月16日、中国初、アジア最大の直営店「ベネトンメガストア上海」を上海市中心部の繁華街、淮海路と思南路の交差点にオープンさせた。店舗は4階にわたり4,000Fの面積を持ち、若者と子供向けにベネトンカラーの衣料品やアクセサリーを販売している。ベネトンはこの上海店を起点にして中国市場へのベネトンブランドの一層の浸透を図り、今後中威有限公司と協力して北京や広州などの大都市でベネトンメガストアを展開したいとしている。
ベネトングループはアンダーカラー・オブ・ベネトン(テナント)店を1994年初めて上海市淮海路に開業させた。これがベネトンブランドを上海市民に浸透させ、今回のベネトンメガストア上海の開業につながった。ベネトングループはアンダーカラー・オブ・ベネトン店舗を世界に5,000店オープンさせており、年商20.6億ドルを売り上げている。ベネトンメガストア(大型店)は1998年から世界の大都市に進出、これまでに120店のベネトンメガストアが世界にオープンしている。
外資アパレル小売ビジネスは、中国最大の商業都市上海を起点として開始し、そして逐次他の都市にビジネスチャンスを広げていくというセオリーで展開される。ユニクロは最初の登竜門である上海において、中流層の幅広い世代に安価で高品質のカジュアルウェアを提供するという中国で初めての試みで、どこまでシェアを確保できるのであろうか。一方ベネトンはターゲットを富裕なヤング層に絞り、インパクトあるイタリアンカラーを全面に出してベネトンブランドを浸透させた結果、今後一層シェア拡大が期待できるとしてテナントショップから一挙直営大型店へ切り替えた。ベネトンはテナント店からメガ店へとステップアップしたわけであるが、他の有名ブランド店の進出が相次ぐなか、事業展開に相当な自信をもっているものと思われる。
ユニクロとベネトンは、それぞれ商品のコンセプト・顧客対象は違うものの、中国のファッション発信基地ともいえるここ上海で勝ち組に入らなければ、他地区への展開はありえないのである。
ユニクロ南京東路中聯店 ベネトンメガストア上海
参考: 時事速報、上海Daily、中国巨龍、Supercity