トピックス・イン上海

上海ではおしゃれな眼鏡がトレンディとなっている
■近視率の増加。進学競争の過熱化が原因?。
中国では総人口約13億人のうちの約8億人が眼鏡人口ともいわれ、全国民の半分以上にのぼる。中国新聞社の発表によると中国の学生の近視率は年々上昇傾向をたどり、現在近視率は50%-60%に達し、眼鏡をかけている学生数は世界一となっている。眼鏡を必要とする大学生は全体の70%を超えており、進学競争の過熱化が一因とされる。また中国経済の発展に伴いテレビやパソコンが普及し、併せて視覚的ゲームを楽しむ青少年が増加したことや、パソコンの普及などさまざまな目への過重な負担原因が考えられている。このほか、勉強する時の姿勢が悪い、長時間寝て本を読む、偏った栄養の摂取など、アンバランスな生活習慣も原因とされる。
全国学生健康調査の最新データでは、中国の近視発生率は小学生が22・78%、中学生が55・22%、高校生が70・34%になっている。近視率は上昇傾向にあり、小中高校生の病気のトップを占めていると指摘している。多くの父母は近視を病気とは考えていないため、子供の視力を重視せず、近視が進行するまで放っておいて治療の時機を逸している。教育関係者は、「学校や父母が児童・生徒に与える学業や心理的負担が重すぎると、近視の発生は避けられない。学校は進学率だけを追求し、父母の子供に対する期待が絶えず高まっている。宿題をしたかとうるさくたずねたり、宿題を余計に増やしたりする。学校、父母も近視の予防を口にしてはいるが、実際にはそれ程重視されていない」と、指摘している。

勉強のし過ぎで近視になる小学生が多い

大学生の近視率は70%を超える
■コンタクトレンズの普及
データでは半分以上の中国人が近視だとされるものの、ここ上海市において実際眼鏡をかけている人は少なく、男性の3/4くらいは眼鏡をかけていない。これは、男性の中でも出稼ぎ者など貧民層は眼鏡を買う余裕がないことと、余裕ある男性はコンタクトレンズをしているからだとされる。若い女性のほとんどについてもコンタクトレンズを使用しているので眼鏡姿はあまり見られない。
中国では最近まで焦点を合わせるためだけの眼鏡しかなく、機能とデザインを兼ね備えた眼鏡文化は育っていない。近年の高度成長を背景にある日突然高性能のコンタクトレンズが入ってきたわけで、あたかもLPレコード盤を知らずにいきなりCDで聴き始めたようなものである。
コンタクトレンズは外形の美感だけの問題ではなく、1990年代に入って科学技術の進歩と共に普及し、ここ数年でかつてないほど多種多様なものが登場してきている。おしゃれ嗜好のカラーコンタクトレンズなどはその代表であろう。ただし就寝時には必ず外さなければならないというデメリットは今なお解決されていない。中国でコンタクトレンズが普及しているのは北京、上海などの大都市のみであり、今後のコンタクトレンズの開拓市場は大きいとされる。

流行のカラーコンタクトをつけた女性
■眼鏡市場も有望
コンタクトレンズがあれば眼鏡が不要かといえば、そうはならない。いくら連続使用できるといっても限界があるし、自宅で雑誌やテレビを見る毎にコンタクトレンズをいちいち装着するには面倒すぎる。だから近視の人の自宅には必ず眼鏡がある。ただし、この室内でかける眼鏡が外出時のファッションとして満足のいくものかどうかは別問題である。そういった意味では、ファッション性を眼鏡に持ち込むことでコンタクトレンズ一辺倒だった女性でも眼鏡で外出する機会は増える。デザインがよく高級品の眼鏡はこれから都市部での市場性が高いといわれる。

ベネトンは新作眼鏡を中国市場に投入した
■シャルマン上海にインタビュー
茨城県上海事務所では潟Vャルマン上海支店の沼弘和支店長に中国の眼鏡市場について聞き取り調査を実施した。潟Vャルマンの発祥は福井県である。福井県は眼鏡枠の産地であり日本の生産量の90%以上は福井県産で占められている。シャルマングループは1956年に福井県に眼鏡製造会社を設立以降、日本のみならず世界各地で販売網を構築し、製販一体のビジネスを展開している。(www.charmant.com)

潟Vャルマン上海支店の沼弘和支店長
Q: 中国における眼鏡ビジネスはどういう状態か。
A: 眼鏡は単に視力を矯正するだけのものではなく、かけたときの機能、デザイン、安全性が重要であり、たった1本の眼鏡フレームにも約200の製造工程を要するという精密な製品である。弊社では世界各国に販売網を構築し、その国の消費者にマッチした製品を開発するために各国に専門のデザイナーを採用することで、市場のニーズを敏感にキャッチするように心がけている。顔、頭の形やサイズは人種によって大きく異なり、またカラーやデザインに対する嗜好も同じではないため、製品開発時には地道な市場調査が必要になる。中国市場に投入する商品を開発する際には、デザイナーが中国各地に赴き消費者のニーズを調査したうえで製品開発を行っている。弊社が取り扱う商品はオリジナルブランドのシャルマン(Charmant)のほか、BOSS HUGO BOSS、ELLE、ESPRITなどをライセンス製造、販売している。中国の消費者は流行に敏感で、また最近では世界の有名ブランドが上海市場に投入されているため、競争が激化しており日々気が抜けない。今後は弊社の原材料から製造、販売、アフターサービスまで責任を持って手がける製販一体のメリットを生かして市場を確保したいと考えている。
Q: 中国ではいわゆるニセモノといわれる産業があるが…。
A: 精密商品ともいえるシャルマン眼鏡フレームはデザインの真似はできても、機能や質感までは真似ができない。弊社としては素材開発にも力を注いでおり、まもなくチタンよりも軽量なジェラルミン素材の新作(シャルマンウルトラライト)を投入する。従来ジュラルミン素材は表面処理や溶接が難しい商品であるが、弊社の技術力で克服した。上海ではパリミキでの独占販売が決まっているので、中国の消費者の皆様、上海にお住まいの日本人の皆様にもぜひその軽さをお試しいただきたい。今後も皆様の心を引き付ける商品を提供できるよう努力していきたい。

シャルマンのショールームはNY、東京と上海にある
Q: 高額ともいえるシャルマンの眼鏡を中国人が買うのか。
A: 中国には「便宜没有好貨」という言葉があるが、これは安物に良い物はないという意味である。例えば中国では露天で50元前後のサングラスが売られているが、最近このような安物を買った消費者から健康被害の訴えが出るようになっている。一般に格安サングラスのレンズは粗悪品が多く、目に有害な紫外線をカットできない。このようなサングラスをかけるとどうなるか。サングラスをかけると瞳孔は通常より大きく開く、外からトンネルに入った時と同じ反応だ。その際レンズが紫外線をカットしなければ当然通常よりも大量の紫外線が目に飛び込み目の安全に問題を生じる。このような問題が表に出るようになってから、中国の消費者は多少高くても安全性の高い商品を選ぶようになってきている。シャルマンの眼鏡は660元から2,600元の間で販売されており、商品の機能性、デザイン性、安全性が広く認知されるようになってきている。確かに一般庶民の収入からみると高価かも知れないが、今後も商品の優位性を広くアピールすることでファンを増やしていきたいと考えている。
Q: 最近ではコンタクトレンズを使用する若い人が多いようだが、眼鏡ビジネスに影響があるか。
A: ご存知のとおり上海の街を歩くと若い女性はあまり眼鏡をかけていない。これは医療器具としての眼鏡に対する印象があまりよくないことが原因だと考える。今まで高品質でおしゃれな眼鏡が入手できなかったという背景も大きいだろう。シャルマンの眼鏡は十分にこれらの需要を満たしている。若い消費者にも十分受け入れられるデザインだと思う。今後も老若男女すべての消費者がおしゃれな眼鏡をかけて中国の町を闊歩できるよう優れた商品を提案し続けたいと思う。そして中国の経済成長同様に弊社のビジネスも成長させたいと考えている。
シャルマン上海支店の沼支店長は以前、福井県上海事務所長として上海に駐在していた。駐在中上海が気に入り、得意の中国語と優れたビジネスセンスで潟Vャルマンに再就職し、上海ビジネス界に打って出たというユニークな経歴を持つ。一般的に公務員が中途退職し、民間企業に第二の人生を見出すことはまれだとされるが、沼支店長の経営、営業戦略には目を見張るものがある。今後の沼支店長の手腕に期待したい。
参考: 中国情報局、時事通信、NNA
協力: シャルマン上海支店 沼弘和支店長、福井県上海事務所、上海交通大学