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更新日:2015年3月1日

地震及び原発事故に伴う本県農産物の技術対策について(第4報)

公開日 2011年5月9日

このたびの東北地方太平洋沖地震及び東京電力福島第一原発事故により本県農産物に大きな被害や影響が及んでいます。これらの被害や影響を少しでも軽減できるよう技術対策をとりまとめましたので,今後の営農に活用ください。

なお,今後,情報の集積状況などに応じて順次更新してまいります。
※太字は、第3報からの変更・追加情報となります。

水稲

1 地震災害対策

地域によって状況が異なりますので,水田への通水時期については,土地改良区と調整のうえ,浸種作業を行ってください。

(1)田植えの遅延対策について
田植え時期が遅くなると、水温や気温が上昇するので、浸種や育苗の期間が短くなります。また、6月中旬以降の田植えでは、中苗を用いることにより収量を安定させることができます。このため、田植え時期に合わせた苗の準備を行ってください。

<田植え時期別の育苗準備期間の目安>
田植え時期 苗質 浸種 催芽 播種~田植え 全体
5月上旬 稚苗 10日 1日 20~ 22日 31~ 33日
5月中旬 稚苗 8日 1日 18~ 20日 27~ 29日
5月下旬~6月上旬 稚苗 8日 1日 15日 24日
6月中旬 中苗 8日 1日 30~ 35日 39~ 44日
6月下旬 中苗 8日 1日 25~ 30日 34~ 39日

(注)浸種時の水温は、5月上旬移植の育苗が12℃、それ以降は15℃とした。

  • ア 気温が高くなると、苗の徒長や苗やけが発生しやすくなるので、温度管理に注意してください。
  • イ 中苗育苗は、箱当たりの窒素量を稚苗育苗の1/3 に減らし、播種量は乾籾で80~100gの薄播きにします。
  • ウ 移植時期と収量の関係について
    • あきたこまち
      4月下旬の田植えに比べ、5月中下旬の田植えでも5%程度の減収に抑制できます。
    • コシヒカリ
      5月上旬の田植えと比べ、5月下旬で5%程度の減収に抑制できますが、6月下旬でも中苗密植にすれば15~20%減収にとどまります。
      なお,コシヒカリの地域別の田植えの晩限は以下のとおりです。
      ※表参照 

(2)液状化等被害水田の対策について

  • ア 被害程度が小さい場合
    田面の高低差が10cm 未満なら,代かきによる均平作業で修正できます。
    液状化をおこした圃場では,噴砂を表土と混合します。整備後に土壌診断を行い,土壌改良資材や肥料を施用します。
  • イ 被害程度が大きい場合
    高低差が10cm 以上ある圃場では,レーザーレベラー等による再整備が必要になります。

(3)塩害軽減対策について
海水の流入した水田は,灌漑水で湛水と落水を数回繰り返し,塩類を洗い流します。さらに,代かきをしてから落水すると,除塩効果が高まります。除塩が必要かどうかはEC値により判断できますので,農林事務所経営・普及部門又は農業改良普及センターにご相談ください。

(4)水稲が作付できない場合の作物導入について
仮に田植えができない場合であっても,大豆,そば,麦類等の作付けが考えられます。
これらの作物は湿害に弱いので,作付けにあたっては農林事務所経営・普及部門又は農業改良普及センターにご相談ください。

コシヒカリの地域別の田植えの晩限
地域 稚苗 中苗
県北、県央、鹿行北部 6月第 5半旬 6月第 6半旬
鹿行南部、県南、県西 6月第 6半旬 7月第 1半旬

2 土壌中の放射性物質について

県内水田の土壌を分析した結果,原子力災害対策本部から示された土壌中放射性セシウム濃度の上限値を大きく下まわっていました。このため,土壌中の放射性物質を懸念した作付けの制限は一切必要ありません。

他方,地震災害による水利施設の破損などに伴い,水田への通水時期が遅延することが想定されますので,1(1)を参考にして,作付けの準備を進めてください。

野菜

1 原発事故対策

(1)共通事項
植え付け時はなるべくマルチを利用し,野菜への土の付着を少なくします。
出荷調製時には,野菜に付着した土やほこりを良く取り除き,可能な場合は洗浄してください。さらに,葉菜類については,外葉をできるだけ取り除いてください。

(2)施設野菜
換気により大気中の放射性物質が施設内に取り込まれる可能性がありますので,換気にあたっては風向きに注意し,必要最小限にとどめてください。換気扇等を用いた強制換気は行わないでください。

(3)露地野菜
粉じん等を避けるため,なるべくべたがけ資材を利用してください。
収穫中は,収穫物をほ場に長時間放置せず,屋内の施設に取り込んでください。

2 出荷自粛を求められた作目(ホウレンソウ、カキナ、パセリ)の廃棄方法について

(1)出荷制限の解除について
これまで出荷自粛を求められていたホウレンソウとカキナ、パセリについては、4月17日に北茨城市と高萩市のホウレンソウを除き、すべて出荷制限が解除されました。

(2)出荷制限を受けた野菜の廃棄方法について
これまで「すき込みや焼却は行わないでください。すき込みをしないで刈り取りをし
たのち、1箇所に集めて保管してください。その後,耕耘等の作業を行ってください。」としていましたが、農林水産省から「放射性物質が検出された野菜等の廃棄方法について(Q&A) ~5月6日更新~」が公表されたことにより、保管してあった野菜は、通常の一般の廃棄物として処分することができます。埋却や自治体が定める処分方法等で処分してください。

畜産

1 地震災害対策

(1)給与飼料等の切り替え上の注意
配合飼料等の切り替えが必要な場合は,給餌飼料の急変が家畜へ悪影響を及ぼさないよう徐々に給与割合を変更するなど注意してください。

2 原発事故対策

(1)放牧
放牧は,当面の間,行わないで下さい。

(2)飼養管理上の注意

  • 乾牧草(サイレージを含む)を給与する場合は,事故の発生前に刈り取り,保管されたもののみを使用してください。
  • また,事故の発生時以降も屋内で保管されたものを使用してください。
  • 屋外で保管されたものはラップ等の包材により外気と遮断されたものを使用してください。これらを使用する際は,包材の外装を念のため布でふきとったり,水洗いするなどしてから包材を開けてください。
  • 家畜の飲用水については,井戸水や水道水を利用するほか,貯水槽にふたをするなど降下する粉じんなどの混入を防止してください。

(3)粗飼料中(乾草、わら、飼料作物等)の放射性物質の目安(暫定許容値)
放射性物質の暫定規制値を超えない牛乳や牛肉を生産するため,粗飼料中の暫定許容値が設定されました(平成23 年4月14 日農林水産省)。

区分 粗飼料1キログラム当たり(実重量)の最大値
放射性セシウム(Bq/kg) 放射性ヨウ素(Bq/kg)
乳用牛
(経産牛及び初回交配以降の牛)
300 70
肥育牛
(出荷前短くとも15ヶ月程度以降の牛)
300 農産物で出荷制限が行われていない地域で生産された粗飼料
その他の牛
(繁殖牛、育成牛)
5,000

(4)牧草の収穫について
生育中の牧草は,収穫してかまいませんが、青刈り給与は行わず,サイレージ化する等して、原発事故後収穫した飼料として分かるよう,分別して保管して下さい。
また,茨城県においても,牧草の安全確認検査を行いますので,その結果については別途公表いたします。

それまでの間は,給与を行わないことと併せて,たい肥への混入,すき込み,焼却を行わないで下さい。

(5)23年度の飼料の作付けについて
現時点で飼料作物の作付けの制限は行いませんが,飼料作物の収穫・使用については,(4)の検査結果を踏まえ,情報提供いたします。

3 出荷自粛を求められた原乳(生乳)について

これまで出荷自粛を求められていた原乳(生乳)については、4月10日に出荷制限が解除されました。

その他

  • 当面作付け予定のない農地は耕耘・整地などの作業を控えてください。
  • 生産,販売,廃棄に関する記録については,記帳しておくよう注意してください。
  • 原発事故にかかる緊急つなぎ資金(利子助成)が創設されました。詳しくはお近くのJAにお問い合わせください。
  • 農林水産省ホームページに「野菜生産についてのQ&A~5月6日更新~」、「放射性物質が検出された野菜等の廃棄方法について(Q&A) ~5月6日更新~」が掲載されました。

URL
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/yasai_seisan_qa.html(外部サイトへリンク)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_haiki.html(外部サイトへリンク)

地震及び原発事故に伴う本県農産物の技術対策について(第4報)(PDF:312KB)

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部産地振興課管理

〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-3916

FAX番号:029-301-3939

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