わたしたちの県議会 茨城県議会

平成13年第3回定例会


議会は10月9日及び23日の本会議において、次の7つの意見書を可決し、内閣総理大臣、関係閣僚などにその実現方を要望しました。

テロ行為の根絶と危機管理体制の整備を求める意見書

9月11日、アメリカ合衆国で発生した同時多発テロは、世界の平和と安全に対する重大な挑戦である。その方法における非情さと残虐性においても、歴史上類をみない暴挙であり、いかなる思想の下に行われようとも断じて許すことはできない。
アメリカ合衆国及び、犠牲となられた多くの方々に対し、哀悼の意を表するとともに、筆舌に尽くし難い辛苦の最中にあるご家族の心情を察し、心からお見舞い申し上げるものである。
 我が国としても、類似事件の危険性を視野に入れつつ、このようなテロ事件の発生防止、危機管理体制の整備に速やかに取り組むことが必要である。
特に原子力施設や防衛施設を抱え、さらに世界から多くの人々が集まるワールドカップサッカー大会を来年に控えている本県としては、重大な危機感を禁じえないところである。
よって、政府は我が国自らの平和と安全を確保するため、早急に必要な措置を講じるよう強く要望する。

1 世界の国々と協力のもとに、卑劣きわまりないテロ行為の早期 解明、及び再発防止・根絶に全力を挙げること。
2 出入国管理等、平常時からの情報収集体制・分析の強化及び、 国民への情報提供をすること。
3 非常時における警察・自衛隊等による即応体制等、危機管理に関連する法整備を早急に図ること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月9日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
外務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣
国家公安委員会委員長
警察庁長官
防衛庁長官
海上保安庁長官

「青少年の健全育成に関する基本法」の制定を求める意見書

明日の社会を担う青少年の健全育成は、すべての国民の願いである。
しかしながら、いじめや不登校、凶悪粗暴な非行など青少年の問題行動等は深刻さを増している。
こうした問題行動等の背景として、家庭における幼少時からのしつけの問題や幼児・児童虐待の問題、これまでの倫理・道徳教育が必ずしも実践力に結びつかず、人格形成の場としての役割を充分に果たせなかった学校教育の問題、青少年を取り巻く環境の悪化や「青少年を見守り、支援し、時には戒める」という義務を果たせなかった地域社会の問題が指摘されている。
これらの問題に対して、国ではそれぞれの分野における諸法規により、都道府県では青少年保護育成条例により対処しているところであるが、対策としては対症療法的であり、極めて不十分といわざるをえない。青少年問題は、国民的課題であるので、統一的な基本法による対応が望ましいと考える。
今求められているのは、青少年の健全育成に対する基本理念や方針などを明確にした、一貫性のある、包括的、体系的な法整備である。平成11年に発表された、第15期青少年問題審議会の答申においても、「青少年育成基本法」の必要性について言及されているところである。
よって、国においては特に「健全な青少年は健全な家庭から育成される」という原点に立ち返り「家庭の価値」の重要性を基本理念に捉え、国と地方、行政と地域・家庭の役割などを明確にした「青少年の健全育成に関する基本法」を早急に制定するとともに、テレビやインターネットなどによる有害情報の規制や青少年へのアルコール、タバコ類の販売規制について検討するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
警察庁長官

狂牛病(BSE)対策に関する意見書

 日本国内において初めて狂牛病(BSE)が確認されたことにより、牛肉や牛乳・乳製品に対する国民の不安が高まり、牛肉の消費低下や学校給食への牛肉の使用中止が相次いでいる。
 また、スクリーニング検査が開始されるまでの出荷繰り延べなど、消費者のみならず畜産農家や食肉流通業者にも大きな影響が生じている。
 このような中、本県においても畜産農家全戸に対する立入調査を実施するなど、県民の安全確保並びに生産者等に対する適切な指導に努めているが、価格の暴落など更なる影響が懸念されるところである。
 よって、国においては、国民の健康と食に対する不安を解消し、安全・安心な牛肉等の供給体制を早期に確立するとともに、生産者等に対する万全の対策を講じるよう、次の事項について強く要望する。

1 感染原因の早期究明を図るとともに、生前診断法を早急に確立すること。
2 出荷繰り延べや消費低下による経済的損失を緩和するため、畜産農家や食肉流通業者に対し万全の支援対策を講じること。
3 消費者の不安を解消するため、迅速、かつ、適切な情報の開示を行うとともに、風評による更なる被害の防止に万全を期すこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣

タクシーの安全輸送等に関する意見書

現在、タクシー業界は長引く不況のため需要が低迷し、零細事業者が多く、一般の産業に就労する労働者との所得格差は大きく開いている。
このような状況において、改正道路運送法が来年2月1日に施行される。
 この改正道路運送法では、免許制による需給調整規制を撤廃し、一定の資格要件をクリアすれば、新規参入が可能となる、許可制に移行される。
このことにより、新たに多くの事業者の参入が予想され、供給過剰状態となることは必至である。
長年、鉄道、バスの大量輸送機関の補完的輸送を担い、ドア・ツー・ドアの公共交通輸送機関として、安全第一をモットーに安心で信頼されるタクシーを目指し、日夜、労使協調して努力してきた。
 しかし、規制緩和による新規事業者の参入で、無用な競争の激化のはて、乗務員のお客の奪い合い等による交通事故の多発等、安全が阻害される恐れが予想される。
よって、国においては、日本のタクシーは世界一安全であるとの神話が崩れることのないよう、下記事項について、特段の対応をされるよう強く要望する。

1 過当競争による「運賃ダンピング」、交通事故の多発やサービスの低下などを招くことのないよう公正競争の確保を図るとともに、道路運送に関する秩序を維持するため、事業者に対する指導、監督を強化すること。
2 地方分権の進展する中で、タクシー業務の適正化、良質な運転者の確保方策、利用者利便の向上のためにも、全国画一的な運用でなく、地域の実情に応じた運用を行うために、権限を地方に移譲すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣

ゆたかな教育を実現するための教育予算に関する意見書

 21世紀を迎え、豊かな人間性と創造性に富み、自らの能力・適性・興味・関心等に応じて主体的に行動できる人材を育成していくことは大変重要なことである。このため、学校教育では、基礎学力の定着の上に児童生徒の一人ひとりの可能性を余すことなく発揮できるよう、個に応じたきめ細かな指導を推進することが不可欠であるとして、今般、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の一部改正とともに、平成13年度を初年度として5年間で教職員定数の改善を図るとした、少人数指導加配を柱とする「第7次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画」が示されたところである。
 しかし、今回の改正において、都道府県の実態に応じて学級編制の弾力化が図れるとしたことは高く評価されるものの、これに必要な国からの定数加配や財源措置がないことなど、まだまだ充分な改善計画とはいえないのが実情である。
 よって、政府においては、「第7次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画」の完全実施を実現するほか、都道府県が行う学級編制の弾力化に伴って必要となる教諭の定数加配や財政措置を講じるよう強く要望する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
総務大臣

義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る制度として定着しており、現行教育制度の重要な根幹をなしている。
しかしながら、政府は、昭和60年度以降、国と地方の費用負担の見直しを進め、これまでに教材費、旅費、恩給費及び共済費に係る追加費用等を国庫負担の対象外として、一般財源化を行ってきたところである。
 さらに、今後は厳しい財政状況の中、学校事務職員及び学校栄養職員に対する給与費等が国庫負担の対象から除外されることが懸念されるところである。
こうした国から地方への負担転嫁は地方財政を一層圧迫するのみならず、義務教育の円滑な推進に大きな影響を及ぼすおそれがある。
よって、政府においては、地方に新たな負担転嫁を行うことなく、義務教育費国庫負担制度を堅持するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
総務大臣

ふれあいと活力のある社会のため少子化対策の充実を求める意見書

 近年、急速に少子化が進行し、子どもの成長に及ぼす影響や若年労働力人口の減少、現役世代の負担の増加など社会・経済両面にわたっての深刻な影響が懸念されており、少子化対策は我が国の将来に対する最重要の課題である。
 少子化は未婚率の上昇や晩婚化が主な要因とされているが、その背景には企業の雇用慣行などにより仕事と子育ての両立が依然として難しいことや、核家族の進行に伴う子育て負担の増加など、多くの課題が残されている。
 少子高齢社会をふれあいと活力のある社会にするためには、若い世代が結婚・出産に不安を抱くことのない、子育てのしやすい社会を再構築することが急務であり、地域で支えあう体制づくりが求められる。
 このため、国においては、少子化対策を総合的に推進するとともに、下記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

1 結婚し子どもを生み育てながら男女を問わず多様な働き方ができるよう、企業に対して雇用形態や労働時間の弾力化、職場復帰等が可能な雇用環境の整備を働きかけること。
 特に、子どもとふれあう時間を確保しながら仕事を続けることができるよう、待遇面や仕事の内容は正社員と同じで勤務形態が短い、短時間正社員の制度について制度導入を支援すること。
2 子どもの健全な成長を支援するため、放課後児童対策を拡充すること。
  特に、放課後児童クラブの利用については、仕事を持つ持たないにかかわらず利用できるよう運用を弾力化すること。
3 地域における子育て支援施策をさらに充実するため、地域の人材を地域子育て支援センターや子育て相談に活用するなどして、地域ぐるみで子育てを支援する体制づくりを推進すること。
4 地域における多様な子育て支援サービスなどの担い手として期待されるNPOなど、市民団体の活動環境の整備に努めること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成13年10月23日

茨城県議会議長 鬼 沢 忠 治

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣