わたしたちの県議会 茨城県議会

平成17年第1回定例会で可決された意見書
《意見書》
台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書
雇用対策と地域経済の活性化を重視した施策の推進を求める意見書
社会保障制度の抜本的改革を求める意見書
地籍調査の数値法による再調査に関する意見書
屋外広告物法の改正を求める意見書
真に安定的な国民健康保険制度の構築に関する意見書
障害者自立支援法案に関する意見書

《決議》
地域産業の育成・振興に関する決議

台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書

 政府は,平成15年7月に「観光立国行動計画」を策定し,「日本を訪れる外国人旅行者を2010年に倍増させること」を目標として掲げたところである。
 「観光立国行動計画」には,観光立国に向けた環境整備の一環として,
査証取得の負担を軽減することが盛りこまれた。これを受けて,昨年4月からは,香港の旅券保持者に対して査証免除が認められ,7月には小泉首相が日韓首脳会談で,韓国人に対する観光目的査証免除を検討する考えを明らかにした。このような政府の措置は,双方の経済交流と観光を促進したいとの思いからである。
 しかしながら,アジアの中で台湾については,貿易・経済・技術・文化などの面ではとりわけ交流が深く,かつ平成15年5月から日本の旅券所持者について,30日間の査証免除がされているにもかかわらず,台湾から日本を訪れる場合には,査証取得が義務づけられている。
 日本を訪れる外国人のうち,台湾からの観光客は韓国に次いで二番目に多く,また不法就労により退去強制手続きを執った外国人のうち,台湾の不法就労者や事件事故の加害者は,極めて低い状況である。
 よって国においては,わが国と台湾との各種交流,相互理解を一層促進するとともに,観光立国の実現に資するため,台湾からの一般旅行者に対する査証免除を実施するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


雇用対策と地域経済の活性化を重視した施策の推進を求める意見書

 我が国の経済は,緩やかな景気回復基調を維持しているが,国民の生活実感からほど遠く,デフレ脱却の道筋もいまだ見えてきていない。
 また,失業率は4%台に低下し改善の兆しが見られるとは言え,270万人以上もの失業者を抱えている。本県においては33ヶ月連続して有効求人倍率が,全国平均を下回るなど依然として厳しい状況が続いている。特に若年無業者やフリーターなどの問題は,労働市場に大きな影響を及ぼすばかりでなく,我が国の将来の社会経済に深刻な影響を与えかねない問題である。
 かかる実態を踏まえ,我が国経済を持続的な成長軌道に乗せ,国民生活の安心・安全を実現するためには,国と地方が一体となって雇用対策と地域経済の活性化を重視した施策を最優先に遂行しなければならない。
 よって国においては,雇用の維持・創出とミスマッチの解消,セーフティネットの整備,中小企業経営基盤の強化,規制改革及びデフレ対策など,雇用情勢の改善と地域経済を活性化させるための諸施策を一層推進するとともに,充分な予算を確保するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


社会保障制度の抜本的改革を求める意見書

 公的年金や医療・介護保険等我が国の社会保障制度は,国民の健康と暮らしを守り,生活の安定を図るために重要な役割を担ってきた。
 しかしながら,今日,我が国の総人口の減少が予測され,高齢化が一層進展する中で,社会保障制度は多くの問題を抱えるようになってきており,制度全般にわたる見直しが求められている。
 特に公的年金制度は,国民の高齢期の生活を支える極めて重要な制度であり,年金制度の改革は,今日,国民の最大の関心事となっている。
 昨年,年金改革関連法成立後の三党合意による協議がいまだ実現していないことや,年金制度,社会保険庁に対する不信感を払拭できず,国民年金の未加入問題が続いていることは,極めて遺憾なことである。
 また,高齢者の自立支援,尊厳の保持を基本として創立された介護保険制度は,サービスの質の向上や負担と給付のあり方など,全体的な見直しが求められており,医療制度のあり方を含め,社会保障制度全体の抜本的改革を行うことが喫緊の課題となっている。
 よって国においては,国民が生涯を通じて安心して暮らせる社会保障制度を実現するため,次の事項について早急に実施するよう強く要望する。

1 各種年金の一元化をはじめ,介護保険及び医療制度等の社会保障制度全般の一体的見直しを行い,早急に抜本的改革を実施すること。
2 特に,子育て支援の充実,雇用政策,住宅政策などとの連携を十分に図ること。
3 社会保険庁の改革を早急に行うとともに,年金制度に対する国民的不信感を払拭すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


地籍調査の数値法による再調査に関する意見書

 地籍調査は,1筆ごとの土地について所有者,地番,地目,境界及び面積を調査し,土地の境界を明確にすることにより,土地取引による経済活動全体の円滑化・活性化に資するとともに,公共事業の効率化・迅速化を推進するうえで極めて重要なものである。
 本県の地籍調査は,国土調査法が施行された昭和26年度に着手し,平成15年度までの調査進捗率は61パーセントに達している。
 また,調査完了面積の約78パーセントが図解法により実施されている状況にある。
 このような状況において,図解法により調査完了した一部の市町村では,
境界復元作業の煩雑さ等の理由から,任意で再調査している事例が見られるので,下記の事項について強く要望する。

 図解法による地籍調査が完了した箇所において,数値法による再調査に
ついて十分に検討を行うこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


屋外広告物法の改正を求める意見書

 近年,全国各地で,街中や道路沿いなどにヤミ金融関連のはり紙や風俗関係の立て看板など大量の違反広告物が氾濫し,地域の美観を損ねるとともに環境悪化を招いている。これは住宅地区にも広がりをみせており,青少年の健全育成に対する悪影響も大変懸念されているところである。
 屋外広告物については,屋外広告物法や同法に基づく条例により規制が行われており,本県においても,市町村等関係機関と連携して違反広告物の一斉除去等に取り組んでいるところであるが,この種の広告物は,一たん取り除いても,すぐに大量かつ無秩序に繰り返され,また,違反広告の実行者を取り締まっても後を絶たず,実効を上げるには至っていない。
 これに対し,最も有効かつ効果的な手段は,違反広告の実行者の行為をもって広告主まで罰則の適用範囲を拡大することであると思料するが,現行の屋外広告物法にはその規定がないため,広告主まで罰則が適用できるよう法の改正を行う必要がある。
 よって国においては,地方における屋外広告物の現状と対策の実情を踏まえ,実効ある取り組みが可能となるよう,屋外広告物法の早急かつ適正な改正を強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


真に安定的な国民健康保険制度の構築に関する意見書

 国民健康保険制度を初めとする医療保険制度については,医療制度改革に関する基本方針(平成15年3月28日閣議決定)に基づき,国,県,市町村の役割等を含めて医療制度改革の具体化のための議論がなされているところである。
 こうした中,三位一体改革において,平成17年度より保険基盤安定制度の都道府県負担割合が4分の1から4分の3に変更されるとともに,新たに都道府県財政調整交付金が唐突に導入された。
 国民健康保険制度は,従来,市町村が事業主体となって運営されてきたにもかかわらず,十分な議論もないまま新たに県の役割が導入され,これまでの国,市町村に県が加わることにより三重構造になる等,制度が一層複雑になった。
 また,今回の制度改正により,都道府県の負担に当面必要な財源は所得譲与税で移譲されることになっているが,国民健康保険のこれまでの医療費の伸びを勘案すると,将来的に都道府県の財源不足が生ずることは明白である。
 もともと,国民健康保険制度には都道府県負担はなかったところであり,本来,都道府県財政調整交付金等の導入は,こうした医療制度改革の論議の中で十分な議論を尽くして検討すべき問題である。
 よって国においては,今回の導入を元の制度に戻すことも含めて,今後,だれが主体となって制度運営をしていくべきかなど,真に安定的な制度を構築すべく制度の根本的な議論をし,適切な措置を講ずるよう要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


障害者自立支援法案に関する意見書

 第162回通常国会に,障害保健福祉施策の改革を内容とする「障害者自立支援法案」が提出されたところである。
 同法案は,障害者の地域生活と就労を進め,自立を支援する観点から,これまでの障害種別ごとに異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス,公費負担医療費等について,共通の制度の下で一元的に提供する仕組みを創設しようとするものである。また,支援費制度における「国の財政責任」が不明確であるなど,現行制度の様々な課題を解決し,今後,安定した総合的な保健福祉サービスを提供する仕組みを構築しようとするものである。
 支援費制度は,施行初年度から国の予算が不足したことなど制度に対する信頼性が揺らいでおり,法律に基づいて国の費用負担を明確に義務付けを図り,制度の持続を確立すべきである。
 急速な少子高齢化が進む中,年金,医療,介護等の社会保障制度は,給付の面でも負担の面でも国民生活にとって大きなウエイトを占めてきており,家計や企業の経済活動に与える影響も大きくなっている。このため社会保障制度に関する国民の関心は高まり,また世代間の不公平の是正や持続可能性を確保することが重要になっている。このような点を認識して,個々の制度のみならず,社会保障制度の全体を見通して一体的な見直しに取り組む必要がある。
 このような観点から,新法に基づく利用者負担の見直しについては,低所得者に配慮しつつ,介護保険制度,老人保健制度等他の社会保障制度全体との均衡を確保した制度とするよう要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


地域産業の育成・振興に関する決議

 本県地域産業の中核を担う中小企業は,本県経済の屋台骨を支える重要な役割を果たしている。特に,IT関連等のベンチャー企業は,本県の新たな産業創出や雇用の確保を図るうえで,極めて重要な分野を担っている。
 また,中小企業で構成する業界各種団体は,行政各般にわたり奉仕的に協力しながら,さまざまな公益的な活動にも取り組み,県内産業発展の大きな基盤となっている。
 したがって,本県の中小企業及びその業界団体等の育成・振興は,将来の県土づくりのため,また激化する地域間競争を勝ち抜くために喫緊の命題であり,県としても,精力的に取り組む必要がある。
 しかし,昨今の経済状況を見ると,景気回復の兆しが見えるとはいえ,中小企業にはその実感はなく,依然として厳しい経営を強いられている。
 このため,中小企業の育成,県土の発展の基盤である業界団体等の存続にも影響をもたらすなど,悪循環が生じている。
 本県議会としても,過日,県内産業界各層の方々から,現在置かれている状況や課題を聴取し,改めて厳しい状況を認識しているところである。
 県の発注する公共事業等の状況を見ると,県外企業が受注している事例が多々あり,これは中小企業の経営基盤の強化や活力の向上を図る機会を大いに損失しているといえる。
 よって,本県議会は,受注機会の拡大や県産材の活用による地産地消などを推進して,中小企業の競争力向上や雇用情勢の改善に努めるとともに,業界団体等の活性化を図り,地域産業の育成・振興に積極的に取り組むよう,県に対し求めるものである。

 以上,決議する。


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