わたしたちの県議会 茨城県議会

平成18年第3回定例会で可決された意見書

《意見書》
出資法及び貸金業規制法の改正を求める意見書
高等学校における日本史の必修化を求める意見書
不法投棄防止対策の推進に関する意見書

出資法及び貸金業規制法の改正を求める意見書

 平成17年の個人破産申立件数は全国で18万人を超えており,潜在的な破産予備軍とされる多重債務者も150万人以上と言われている。さらに,同年中の経済苦や生活苦による自殺者は約8千人に達している。これら破産や自殺の要因の一つと考えられる多重債務問題の解決には,社会全体としての取り組みが必要である。
 多重債務問題の原因として,貸金業者の利息制限法を大きく上回る高金利による貸付及び過剰融資があげられているが,先般,最高裁判所は,貸金業者の利息制限法の上限を超える利息について,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)第43条の「みなし弁済」規定の適用条件を厳格に解釈した判決を示したところである。
 また,「出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という。)の特例規定による金利(54.75%)を適用することが認められている日賦貸金業者や電話担保金融についても,集金による返済という形態の必然性が薄れていることや電話加入権の実質的な財産的価値が失われつつある今日,同様の特例金利を認める必要性は低いものと言える。
 さらに,貸金業者が高金利に加え関連保証会社などに保証料を徴収させ,出資法の上限金利を上回る脱法的な行為が見受けられる。
 よって,国においては,国民が平穏な生活を送ることができるよう下記の事項を早急に実現することを強く要望する。

  1. 刑罰金利である出資法第5条の上限金利年29.2%を,少なくとも 利息制限法第1条の制 限金利年15ないし20%まで引き下げること
  2. 貸金業規制法第43条のみなし弁済規定を廃止すること
  3. 出資法における日賦貸金業者及び電話担保金融に対する特例金利を廃 止すること
  4. 脱法的な保証料徴求を禁止すること

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


高等学校における日本史の必修化を求める意見書

 現在の日本は,戦後の高度経済成長を経て,経済的,文化的に豊かな社会を迎えているが,日本が米国と戦争をしたことさえ知らない若者がみられるなど,自国の歴史認識が不足している状況にあり,今後,我が国がさらなる発展を遂げ,国際社会に貢献していくためには,こうした状況を今改めて見つめ直す必要がある。
 特に,次代を担う子どもたちについては,今後,少子高齢化が進展する日本社会を支えるとともに,国際社会の中で活躍し,尊敬される国家国民になるために,日本人としての自覚を持ち,自主的,自律的に生きていく上で必要な資質や能力等を備えていくことが大変重要であり,その前提として,我が国の歴史や伝統,文化などに対する理解を深め,それを尊重する教育がこれまで以上に必要となっているところである。
 しかしながら,現在の高等学校においては,学習指導要領により,世界史が必履修科目である一方,日本史は,地理とともに選択して必履修する科目となっており,日本史を高等学校で学ぶことなく卒業してしまう高校生もみられるところである。本県でも約3割が日本史を履修することなく高等学校を卒業している状況にあるが,こうしたことが,郷土を愛し,祖国を愛する気持ちの希薄化や国際社会の中で日本の歴史や文化を語れない者が増えている原因ではないかと指摘する声も聞かれるところである。
 次代を担う高校生が,日本が歩んできた歴史を学び,世界の中で日本がどういう立場にあり,今後,どのように針路をとるべきか考えることは,大変意義のあることであり,何より日本人が日本史を学ぶことは当然の義務と考える。
 よって,国においては,高等学校の日本史を必履修科目とし,すべての高校生が必ず日本史を学ぶように学習指導要領を改正されるよう強く要望する。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


不法投棄防止対策の推進に関する意見書

 本県は,首都圏に近接していることから産業廃棄物の不法投棄が極めて多く,豊かな自然が傷つき周辺住民の生活が脅かされている。
 不法投棄対策については,監視員の設置や通報制度の充実など,各種対策を講じているところであるが,件数,数量は横ばい傾向で,決め手に欠ける状況にある。
 一方,排出事業者は産業廃棄物の発生から最終処分に至るまでの注意義務を有しているが,現状は処理行程の途中で廃棄物が混ぜられ排出元が不明となるものが多く,注意義務が履行されていない現
状にある。
 また,不法投棄等に起因する支障除去等は原因者に負わせることが基本であるが,代執行せざるを得ない事案が多く,財政負担が重くなっているのが現状である。
 このように,不法投棄対策について苦慮している状況にあるので,国及び政府においては,下記の事項について速やかな対応を図られるよう強く要望する。

  1. 監視強化だけではなかなか減らない不法投棄の防止のため,排出事業者の 負う最終処分に至るまでの注意義務の円滑な履行を図るために必要な措置を 講じること。
  2. 投棄者や排出事業者の不明などにより,生活環境保全の観点からやむを得ず,県が自ら支障除去等の措置を行う場合に要する費用については,国においてより一層の財源措置を講じること。
  3. 不法投棄等の原因者の責任追及に当たっては,その資産の保全が肝要であることから,より早期の資産保全を可能とする法的枠組みを構築すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



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