わたしたちの県議会 茨城県議会

平成19年第4回定例会で可決された意見書

《意見書》


地方の道路整備に必要な財源の確保に関する意見書

 道路は,日常生活や経済・社会活動を支える最も基本的な社会資本であり,本県の新しい飛躍と県土の均衡ある発展を図り,豊かで安心できる地域社会をつくるためには,道路ネットワークの構築がより一層重要となる。

 しかし,本県では,ネットワークの全体が完成することで本来の機能が十分に発揮される高規格幹線道路の整備は,未だ6割程度であり,今後も着実かつ早期の整備が求められる。直轄国道については,4車線化率が24%と関東で最も低く,依然県内各地で慢性的な渋滞が発生する要因となっている。また,県が管理する国県道については,急カーブ等交通危険箇所,幅員狭小箇所,右折レーンがない信号設置交差点等の改善を要する箇所が合わせて3,000以上,歩道のない通学路が500km以上もあることなど,これらの早期解消が県民から強く望まれているところであり,さらに,今後20年で建設後50年経過となる橋梁の割合が5%から42%に急増することや,300箇所以上の道路法面対策が必要であることなど,安全・安心な道路管理を行うための維持修繕費の増大が見込まれる。

 このような中,道路特定財源においては,立ち遅れた道路の整備推進を目的として定められた暫定税率が平成20年春に適用期限を迎える。もしもこの暫定税率が継続されなければ,本県の地方道路特定財源は,約200億円の減収となり,今後の計画的な道路整備に多大な影響を及ぼすことが明らかである。

 そこで,立ち後れた地方の道路整備を推進するためにも,国においては,以下の施策を講じられるよう,強く要望する。

  1. 受益者負担による合理的な制度である道路特定財源の趣旨を踏まえ,暫定税率を含めた現行制度を維持し,安定的かつ確実な道路整備のための財源を確保すること。
  2. 地方が「真に必要な道路」の整備を計画的に行うことができるよう,地方公共団体への道路特定財源の配分割合を高めるなど,地方における道路整備財源の充実強化に努めること。
  3. 国直轄事業費については,本来,事業主体である国が負担すべきであり道路にかかる国直轄事業負担金を廃止すること等により,地方負担の軽減を図ること。
  4. 有料道路の料金割引等により,既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

青少年に有害なサイト(携帯電話)の規制についての意見書

 携帯電話の急速な発達・普及は,利用者である国民に大きな利便性をもたらす一方で,有害な情報は,発達期の青少年の安全かつ健全な成長を阻害する恐れがある。

 とりわけ,携帯電話の有害なサイトから発信されるわいせつ又は児童ポルノ画像や売春又は児童売春の誘引,違法薬物の販売に関する情報等の違法な情報,出会い系サイトや他人の悪口や誹誇中傷を載せたサイト等の有害な情報等の氾濫は,大きな社会問題となっており,早急な対策が求められている。

 こうした中,内閣府のIT安心会議や教育再生会議,総務省などにおいて,インターネット上の有害情報の実態把握や法規制等を検討しているが,有害情報の規制については,インターネット接続業者,情報発信者などの自主規制に負うところが多く,一般家庭では,有害情報を制限するフィルタリングの導入が進んでいないのが現状である。

 よって国においては,青少年の健全育成のため,下記事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。

  1. 有害サイトの規制ができるよう法律を早期に制定すること。
  2. 家庭や販売店に対し,子どもに携帯電話を持たせる場合,フィルタリングの利用を義務化させる法律を制定すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


森林・林業・木材産業施策の充実を求める意見書

 森林は地球温暖化の防止,国土の保全,水源かん養など多様な機能を有し,「緑の社会資本」として,我々の生活を守るうえで重要な役割を果たしている。特に京都議定書による温室効果ガスの6%削減の約束達成に向け,森林整備による二酸化炭素吸収量の確保への期待が大きく高まっている。

 しかしながら,長期的な国産材需要の減少は林業の停滞を招き,林業従事者の減少・高齢化,森林所有者の施業意欲の低下が進行するなど森林整備を森林所有者のみに期待することは困難な状況となっている。このような状況が続けば,手入れ不足の森林が増加し,森林の荒廃による公益的機能の低下が強く懸念されることから,林業を再生し健全な森林を育てていくことが極めて重要となっている。

 一方,世界的な木材需要の増加や加工技術の向上などにより,国産材の用途が広がり,国産材の需要回復がみられるようになってきたことは,林業の活性化にも繋がる絶好の機会といえる。

 よって,国においては以上の現状を踏まえ,下記の措置を講じられるよう強く要望する。

  1. 森林吸収源対策として森林整備を着実に推進するため,安定的な財源を確保するとともに,自治体や森林所有者の負担を軽減する支援制度の拡充を図ること。
  2. 緑の雇用等の拡充により一層の担い手の育成・確保を図るとともに,国産材の安定供給や利用拡大に向けた支援策を推進すること。
  3. 森林整備の推進や山村地域の活性化を図るため,森林整備法人への支援拡充や林道等路網の整備を推進すること。
  4. 近年の災害の多発に鑑み,山地災害の防止や海岸防災林の整備などの計画的かつ効率的な治山対策を推進すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


地方議会議員の位置付けの明確化に関する意見書

 地方議会議員の活動は,単に本会議などの会議に出席し,議案の審議などを行うだけではなく,当該地方公共団体の事務に関し調査研究するための活動や,住民代表として住民意思を把握するための活動などいわゆる議員活動があり,とりわけ都道府県議会議員は,活動区域が広域であることや審議事項が広範多岐にわたることから,その職務は,常勤化,専業化している。

 また,地方分権時代において議会に期待されている利害調整機能,政策形成機能及び監視機能を十分に発揮するためには,議会改革や政策立案など今まで以上に積極的に議員活動を展開していく必要がある。しかしながら,現在,地方議会議員の職務や位置付けは法的に明確にされておらず,議員活動は一般的に議員の職務として認知されていない実態にある。このことが議員の活動に対する期待や評価において議員と住民との意識の乖離を生み出し,さまざまな問題の原因となっており,早急な対応が必要となっている。

 ついては,国会及び政府においては,住民代表として政治にかかわる地方議会議員の職責又は職務を法律上明確に定義し,それら職務等を遂行するために必要な経費を受けることができるようにするなど,地方分権時代にふさわしい議員活動を保障するため所要の措置を講ずる必要があるが,当面,地方自治法について,下記の改正を行うよう強く要望する。

  1. 地方議会議員の職責又は職務を明確にするため,地方自治法に新たに,例えば「議会の議員は,議会の権能と責務を認識し,その議会の会議に出席し議案の審議等を行うほか,当該普通地方公共団体の事務に関する調査研究及び住民意思の把握等のための諸活動を行い,その職務の遂行に努めなければならない。」旨の規定を設けること。
  2. 地方自治法第203条から議会の議員に関する規定を他の非常勤職と分離し,独立の条文として規定するとともに,議会の議員,とりわけ都道府県議会議員の議員活動の実態に対応し,職務遂行の対価について,単なる役務の提供に対する対価ではなく,広範な職務遂行に対する補償をあらわす名称とするため,「報酬」を「歳費」に改めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


「地方が主役の国づくり」に向けた地方分権改革の一層の推進を求める意見書

 地域社会が責任をもって自分の地域を創造していくという分権型社会の構築は,未だ道半ばであり,未完に留まっている。

 今,多くの地方で高齢化と人口減少が同時進行する一方で,経済のグローバル化等により,中央と地方の間では格差が拡大している。しかし,格差拡大のもう一つの要因は,三位一体の改革の名のもとに,地方の財政需要を踏まえず,地方交付税が大幅に削減されたことにある。多くの地方公共団体では住民に身近な公共サービスや地域活性化のための独自施策を大幅に抑制せざるを得ない状況に陥っている。

 地方はこれまで行財政改革に懸命に取り組み,国を上回るペースで歳出削減努力を行ってきた。もはや歳出の削減努力だけで住民の暮らしを支えるのは限界に達している。

 こうした状況を打開するためには,地方分権改革を断行し,活力があり希望の持てる未来を切り開いていくしか道は残されていない。

 本年4月に発足した政府の地方分権改革推進委員会においては,去る11月16日に今後の分権改革の羅針盤とも言うべき「中間的なとりまとめ」を行い,「地方が主役の国づくり」に向けて自治行政権,自治立法権,自治財政権を有する地方政府の確立のため,義務づけ・枠付けの廃止や権限移譲など,具体の見直し方策を提示したところである。

 しかしながら,この間の地方分権改革推進委員会における議論を見る限り,地方分権改革に対し,国が真撃に取組んでいるとは決して言えず,第二期地方分権改革が地方の望む方向に進まないことが大変懸念されるところである。

 従って,今後の改革の推進にあたっては,地方が真に望む分権型社会の実現に向けて,以下の事項を実現するよう強く要望するものである。

  1. 国と地方の役割分担の明確化
     国の役割は外交,防衛,金融等本来国が果すべき役割を重点的に担い,住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねるという,地方分権改革推進法の基本方針に則り,国と地方の役割分担を徹底して見直し,さらなる国から地方への権限移譲や義務づけ・枠付け,関与等の廃止・縮小を進めること。
     特に,自治事務についての国の義務づけ・枠付け,関与等については抜本的に見直しを行なうこと。
  2. 地方税財源の充実強化
     地方の財源不足に対応した地方交付税総額を復元・充実するとともに,国と地方の税源配分をまずは5:5にすることを目指し,国から地方への税源移譲を進め,並行して税収の偏在性が少なく,税収の安定性を備えた地方税体系を構築することにより,地方税財源の充実強化を推進すること。
     また,地方交付税を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」に変更し,地方固有の共有財源であることを明確にすること。
     さらには,地方財政計画の策定過程へ地方を参画させること。
  3. 国と地方の二重行政の解消等による行政の簡素化
     国の地方支分部局の廃止・縮小による国と地方の二重行政の解消,国庫補助負担金総件数の大幅削減によって国・地方を通じた行政の簡素化を推進すること。
  4. 「(仮)地方行財政会議」の法律による設置
     地方に関わる事項についての政府の政策立案及び執行に関して,政府と地方の代表者等が協議を行い,地方の意見が反映されるよう「(仮)地方行財政会議」を法律により設置すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



もどる