わたしたちの県議会 茨城県議会

平成20年第2回定例会で可決された意見書

《意見書》


正規雇用の推進と労働者派遣制度の改善に関する意見書

 パート・アルバイト,派遣・契約社員など非正規雇用の占める割合は,役員を除く雇用者の約3分の1となっている。

 とりわけ,近年の派遣労働者の増加については,経済社会構造の変化や価値観の多様化などにより,企業と労働者の双方が多様な働き方を求めるようになっていることを背景としているが,若者を中心とした低所得の非正規雇用が増加し,固定化することは,社会全体の活力を失うことになりかねない。

 現在,国では,厚生労働省が設置した研究会において,労働者の派遣制度のあり方について,検討されているところであるが,誰もが,みずからの能力を活かし,将来に希望を持って暮らせるよう,働く者の視点に立った雇用の安定に資する見直しとなるよう慎重に対応することが求められている。

 よって,国においては,「新雇用戦略」に基づき誰もが能力を十分に発揮できる全員参加の社会の実現に向け,正規雇用への転換促進など正規雇用を推進する施策を強化するとともに,労働者派遣制度の改善を図るなど,安定的な雇用の確保に取り組むよう要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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安心して医療を受けられる体制を整備するため,
必要な医師・看護師の確保に関する意見書

 わが国の医療を取り巻く状況は,急速な少子高齢化の進展,生活習慣病の増加,医師・看護師等保健医療従事者の不足,あるいは偏在による医療の地域格差及び診療機能の縮小等,新たな課題への対応が生じており,どこに住んでいても安心して医療を受けられる体制を維持・整備するためには,医師・看護師の確保が喫緊の課題となっている。

 本県においては,不足する医師の県内定着促進を図るため,各種の県単独事業を実施しているところではあるが,依然として,医師数及び看護師数は全国的に低位にあり,県民から要望の高い小児や周産期等の政策的な医療あるいは救急医療等を,地域で提供していく上で大変厳しい状況にある。

 こうしたことから,国におかれては,医師・看護師の確保を図るため,下記の事項を早急に実現することを強く要望する。

  1. 医師を取り巻く背景の変化と需要増大等に対応するため,早急に医師の必要数を適切に見直し,医学部定員増の措置を講じて必要な医師の養成・確保を早期に図ること。
  2. 医師・看護師の確保及び勤務条件の改善のため,診療報酬改正等による有効な方策を講じるとともに,現在,国で検討中の産科医療補償制度や病院勤務医等の勤務環境改善のための方策を早期に実現すること。
  3. 医師・看護師を確保するため,実効性のある方策を早急に打ち出すとともに,処遇改善に必要な財源の確保を図ること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の改善を求める意見書

 平成18年6月の健康保険法等の一部を改正する法律により,75歳以上の後期高齢者等を対象とした長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が,本年4月1日から導入された。

 この制度は,高齢者の医療費を社会全体で支える新たな公的医療保険制度として創設され,都道府県ごとにすべての市町村の加入により設置された後期高齢者医療広域連合が運営を行っている。

 この制度が始まった4月1日以降,保険証の未着や保険料の徴収ミス,年金からの天引きが多くの反感を招くなど,制度そのものへの信頼がゆらぎかねない状況となっている。

 また,保険料負担において一定の激変緩和措置が設けられたものの,被保険者の負担のあり方,及び高齢者担当医の導入などの医療制度の改正に関し,多くの問題が指摘されている。

 国は,国民に制度の意義を十分に理解してもらうと同時に,医療保険に対する不安を払拭するための改善努力を行う必要がある。

 よって,本県議会は,高齢者が安心して医療を受けることができるようにするため,国において,低所得者へのより一層の配慮など,負担の軽減を図るとともに,制度導入後の状況を十分把握・検証し,改善すべき問題点を明らかにしたうえで,早急に必要な措置を講ずるよう,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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米の需要拡大に関する意見書

 最近の食料事情は,経済成長の著しい中国やインド等の需要増大やバイオ燃料としての新たな需要の出現,さらには干ばつによる生産量の伸び悩みなどにより,世界的に穀物価格が高騰している。

 このため,自国の食料確保を優先し輸出を規制する国も現れ始めている。一方,食料を輸入に頼るフィリピンやハイチなどでは価格高騰に不満を募らせた市民の暴動が起こり,貧困国では連日何万人という人々が餓死している状況にある。また,OECDやFAOでは,このような穀物需給の逼迫は今後とも長期化し価格も高水準で推移すると予測している。

 このような状況のもとで,我が国が安定して食料を確保していくには,食料自給率を向上させていくことが最も重要である。特に,米については,我が国において唯一自給可能な農産物であるにもかかわらず,食生活の変化により消費が減少し,大幅な生産調整を余儀なくされ,転作が難しい湿田等では遊休化がすすんでいる。また,米価の下落に歯止めがかからず,稲作農家の収入が低下し,生産意欲をも減退させている。

 今こそ,農家が国民の食料は自ら賄うという気概をもって農業に取り組めるよう,米の需要拡大を積極的に推進すべきである。

 ついては,国において,米の需要を拡大し食料自給率の向上を図るため,下記の事項に積極的に取り組まれるよう強く望むものである。

  1. 全国的な米の消費拡大運動を展開し,米の需要を喚起するための施策を積極的に実施すること。
  2. 若い世代を中心とした米離れに歯止めをかけ,将来にわたって安定的に米の需要量を確保するため,学校給食における米飯回数を増やすための支援策を講ずること。
  3. 米粉を活用した新商品の開発や米粉の小麦製品への利用拡大など需要拡大に積極的に取り組むこと。
  4. 飼料用米やホールクロップサイレージ用稲など新規需要米の導入を促進するため,超多収品種の開発と低コスト生産技術の確立を図るとともに,生産者への助成措置を講じること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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地方議会議員の年金制度に関する意見書

 地方議会議員の年金制度については,地方議会議員互助年金法に基づき昭和36年に発足し,翌37年に地方公務員共済組合法の中に組み込まれ,その後,数次の改正を経て現在に至っており,これまでに退職された議員や死亡された議員の遺族に対し,年金又は一時金が支給され,その生活の安定に大きな役割を果たしてきたところである。

 しかしながら,近年,会員である議員数の減少,年金受給者の高齢化に伴う年金受給期間の延び,更には積立金の運用利回りの低下等により,年金の財政状況が厳しい状況に陥っているところであり,昨年の4月には,掛金の引き上げ,年金給付の引き下げなどの法改正がなされた。

 一方,地方分権の進展に伴い地方議会の役割の重要性が増している中,議員の職務も常勤化,専業化してきており,地方議会議員の位置付けの明確化を求める活動を展開しているところである。

 このような中,議員年金については,周知のとおり厚遇ではないかとの批判があり,社会保障制度の充実が喫緊の課題とされている今日,公的年金制度とは性格や中身を大きく異にする議員年金制度については,議員自らが抜本的な見直しを行う必要があると考える。

 よって,国においては,現行法である地方公務員等共済組合法の改正など,年金制度の廃止を含め抜本的な見直しをされるよう要請する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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