わたしたちの県議会 茨城県議会

平成20年第3回定例会で可決された意見書

《意見書》


行政書士に行政不服審査法に係る不服審査手続の
代理権の付与を求める意見書

 行政不服審査法に係る不服審査手続の代理権については,弁理士,税理士,司法書士,土地家屋調査士及び社会保険労務士には,特定分野ごとの高い専門性に着目して,一定の範囲において付与されているところである。

 しかしながら,行政書士については,官公署提出書類の作成,種々の手続の代理等の業務を行い,国民と行政との橋渡しの役割を担っているにもかかわらず,不服審査手続の代理権が付与されていない現状は,国民の利便性向上の観点から,望ましい状況にはないと考える。

 去る7月には,行政書士の高い専門性に着目し,行政書士法の改正により,行政手続法に係る聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続の代理を法定業務として行えることとなったところであり,行政書士を取り巻く社会環境が変化する中,国民のニーズを的確に把握し,一層国民の利便に資することが行政書士に求められている。

 このような中,行政手続法,行政不服審査法等が資格試験の科目とされ,不服審査手続にも精通している行政書士に代理権が付与されていないことは,甚だ遺憾なことである。さらに,不服審査手続における手続の煩雑さやそれに伴う国民の経済的負担を考慮すると,行政書士の参画が急務であり,それにより制度の活用の拡大が図られ,国民の権利行使に大きく貢献するものと期待されている。

 よって,国においては,不服審査手続の円滑化を図り,国民の利便に寄与するため,実体法に精通し高度な専門性を有する行政書士に行政不服審査法に係る不服審査手続の代理権を付与するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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たばこ税の増税に反対する意見書

 地方財政が大変厳しい状況にある中,地方にとってたばこ税は極めて貴重な財源であり,茨城県における平成19年度の県たばこ税額は約66億円にのぼっている。

 こうした中,たばこ税をめぐる近年の状況をみると,本年6月の超党派の国会議員によるたばこ税の大幅引き上げを目指した議員連盟の設立や,「たばこ1箱を1,000円に値上げすれば税の増収が見込める」といった報道がされるなど,たばこ税増税に向けた動きが強まりつつある。

 現在,たばこの税負担率は,国・地方を合わせて既に60%を超え国内の担税物品の中で最も高い税率となっており,たばこという特定の商品のみさらに税率を引き上げることは,税の公平性を著しく欠き,到底国民の理解は得られないものと思慮する。

 また,たばこの国内販売数量が喫煙規制強化や成年人口減少などの構造的要因等により9年連続で減少している中,さらなるたばこ税の増税が行われれば,たばこ離れに一層拍車がかかり,その結果,本県の貴重な財源である県たばこ税の税収減につながるおそれがある。

 さらに,たばこ税の増税は,たばこ耕作者,たばこ小売業者をはじめとする我が国のたばこ産業全体に打撃を与え,地域経済・地域農業にも大きな影響を及ぼすことになる。

 よって,国においては,こうした状況を十分考慮し,安易にたばこ税の増税を行うことのないよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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新たな過疎対策法の制定に関する意見書

 過疎対策については,昭和45年の「過疎地域対策緊急措置法」制定以来,3次にわたる特別措置法の制定により,総合的な過疎対策事業が実施され,過疎地域における生活環境の整備や交通・情報通信基盤の整備などが一定程度進んできたところである。

 しかしながら,本県の過疎地域は,人口減少や少子高齢化が顕著であるとともに,路線バスなど公共交通機関の廃止,医師及び看護師等の不足,耕作放棄地の増加,森林の荒廃など生活・生産基盤の弱体化が進む等,地域を取り巻く環境は依然として厳しい状況におかれている。

 一方,過疎地域は,豊かな自然や歴史・文化を有し,都市に対する食料や水資源の供給,自然環境の保全,いやしの場の提供,森林による地球温暖化の防止への貢献など多面的かつ公益的機能を担っており,都市住民を含めた国民全体の安心・安全な生活に寄与する地域である。

 過疎地域が果たしている多面的・公益的機能を今後も維持していくためには,過疎地域の振興を図り,安心・安全に暮らせる地域として維持していくことが重要である。このため,市町村合併の進展,情報通信技術の発展,都市からの移住・交流の可能性の拡大などの環境変化を踏まえた都市との交流の促進や集落の実態に即した維持・活性化に対する支援など,引き続き総合的な過疎対策の充実・強化が必要である。

 よって,国においては,過疎地域の状況を十分に認識され,活力ある住みよい人の輝く地域となるよう,平成22年度を初年度とする新たな過疎対策法制定を強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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地方消費者行政の抜本的拡充に必要な法制度の整備及び
財政措置を政府等に求める意見書

 近年,輸入冷凍餃子への毒物混入事件,こんにゃくゼリーによる窒息死事故や一連の食品偽装表示事件,ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事故,シュレッダーによる指切断事故,英会話NOVA事件など,多くの分野での消費者被害が次々と発生ないし顕在化した。多重債務,クレジット,投資詐欺商法,架空請求,振り込め詐欺などの被害も後を絶たない状況にある。

 消費生活センターなど地方自治体の消費生活相談窓口は,消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段であって,消費者被害相談の多くは全国の消費生活センターに寄せられており,その件数は,平成7年度が約27万件であったものが,平成18年度には約110万件に達し,平成7年度に比べ約4倍に増大している。

 しかるに,地方自治体の消費者行政予算は,ピーク時の平成7年度には全国(都道府県・政令指定都市・市区町村合計)200億円(うち都道府県127億円)だったものが,平成19年度は全国108億円(うち都道府県46億円)に落ち込むなど大幅に削減されている。

 一方,消費者を取り巻く社会経済環境が変化する中で,消費者トラブルの多様化・複雑化などが見られ,消費生活センターなどの機能の一層の強化が求められてきている。

 政府は,消費者・生活者重視への政策転換,消費者行政の一元化・強化の方針を打ち出し,「消費者庁の設置」などの政策を検討しているが,真に消費者利益が守られるためには,地方消費者行政の充実強化が不可欠である。政府の消費者行政推進会議の最終とりまとめにおいても,強い権限を持った消費者庁を創設するとともに,これを実効あらしめるため地方消費者行政を飛躍的に充実させることが必要であること,国において相当の財源確保に努めるべきこと等を提言している。

 よって,茨城県議会は,国に対し,消費者主役の消費者行政を実現するため,以下のような施策ないし措置を講じるよう強く要請する。

  1. 消費者の苦情相談が地方自治体の消費生活相談窓口で適切に助言・あっせん等により解決されるよう,消費生活センターの権限を法的に位置づけるとともに,消費者被害情報の集約体制を強化し,国と地方のネットワークを構築すること等,必要な法制度の整備をすること
  2. 地方消費者行政の体制・人員・予算を抜本的に拡充・強化するための財政措置をとること

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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元気な農林水産業の実現と国内食料供給の強化を求める意見書

 我が国の食料自給率は40%と,主要国では最低水準のレベルにあり,今や日本の食は,中国産をはじめ輸入食品の増大によりこの存在なくしては成り立たない状況に至っている。このまま,不安を感じる輸入食品に依存していいのか,不測の事態が生じたときに日本の食は本当に確保できるのか,多くの国民は不安を感じ,食料自給率の向上を求めている。

 一方で食料を供給する我が国の農林水産業を取り巻く環境は,原油価格や配合飼料価格等の高騰により大変深刻な経営状況になっているほか,農業従事者の高齢化や後継者不足,耕作放棄地の増加,農山漁村の過疎化などたいへん厳しく,食料自給率の向上はおろか,農林水産業は崩壊の危機に瀕する状況である。

 国においては,先に「安全実現のための緊急総合対策」をまとめ,強い農林水産業の創出対策として,農林水産業の供給力・競争力の強化,国産の農林水産物の需要喚起などを位置づけているところである。

 これらの政策の着実な実施が求められていることは論を待たないが,農林水産業は国民に対する食料の供給に加え,田畑による水源涵養や洪水調整機能など国土の保全,農業が営まれることによって伝えられてきた芸能・祭りなど文化の伝承等,多面的な役割を果たしており,そこに居住する人々のためだけではなく,国民のくらし・財産を守る重要な産業である。

 また,農林水産業の振興が地方の活性化に不可欠であり,その活力なしには我が国が成り立たないとの認識のもと,国においては,元気な農林水産業の実現と国内食料供給の強化を図るため,下記の事項に積極的に取り組まれるよう強く望むものである。

  1. 日本の農林水産業を守る国際ルールの確立
     農林水産に係る国際交渉については,十分な国内生産と食料安全保障が確保されるとともに,農林水産業者の生計が確保され,農村が維持されることに加え,国民が求める食の安全性が確保されるよう,全力をあげること。特にWTO農業交渉については,国内農業に打撃を与えないよう,十分な数の重要品目の確保,上限関税の導入阻止,低関税輸入枠圧縮に努めること。
  2. 農地の有効活用等による食料自給率の向上
     農地の有効活用を図るため,生産性の高い基盤整備を推進し,安心・安全で高品質な食料生産の増大を図ること。
     また,水田を有効活用するため,米粉・飼料用米など新規需要米の生産拡大への支援や,これらの利用拡大に必要な流通・加工・販売に亘る各種施策に積極的に取り組むこと。
     耕作放棄地解消のため,営農可能な状態への回復や営農定着活動などの取組に対し,助成措置等支援を講じるとともに,耕作放棄地発生防止を図るためにも,基盤整備を促進すること。
  3. 食料自給率向上に資する地産地消の推進
     地産地消を推進するため,食育を推進するとともに,直売所整備への助成や学校給食における米飯回数を増やすなどの支援策を講ずること。
  4. 意欲ある担い手の確保・育成
     農業後継者のみならず,新規参入者や定年帰農者など多様な担い手の確保や,競争力のある集落営農の育成を図るとともに,担い手の経営力向上にかかる取組や,法人化に伴う機械導入への助成,基盤整備を契機とした面的集積の促進など,経営的な質の向上に資する施策を講じること。
  5. 原油・飼料等の高騰に対応するための経営体質の強化
     国は原油等の高騰に伴う緊急対策を実施しているが,今後はこれらに加え,施設園芸などにおける省エネ設備の導入に対する助成や,普通作などにおける効率的な施肥体系の導入,畜産業における安定的な自給飼料の確保等の対策などを講じ,経営の体質強化を図ること。また,燃料,肥料の価格上昇に対する補填の実施及び生産コストに着目した価格安定制度を構築すること。
  6. 農山漁村の活性化
     地域資源を活かしたアグリビジネスの取組みへの支援を強化するとともに,子ども体験学習や都市住民のリフレッシュなど様々なサービスを提供できる農家民宿の整備支援等,都市農村交流の一層の促進を図ること。
     地域の創意工夫が活かされる活動を支援する交付金を創設すること。
  7. 良質な国産材の供給
     良質な国産材の安定的な供給を確保するため,原木市場や木材乾燥施設,木材加工施設等の整備についての支援策を拡充すること。
  8. 持続可能な水産業の確立
     水産業における省エネ対策・経営体質強化のための支援策を講じること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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教育予算の拡充を求める意見書

 子どもたちに豊かな教育を保障することは,社会の基盤作りにとってきわめて重要なことである。

 しかしながら,地方交付税削減の影響や厳しい地方財政の状況などから,自治体において教育予算を確保することは困難となっている。

 地方財政が逼迫している中で,少人数教育の推進,学校施設,旅費・教材費,就学援助・奨学金制度など教育条件の自治体間格差が拡がってきている。

 また,文部科学省による「勤務実態調査」で改めて教職員の厳しい勤務実態が明らかになり,「子どもと向き合う時間」を確保することが喫緊の課題となっている。

 一方,所得が伸びない中,原油や食料・原材料費等の高騰による物価の上昇によって,国民生活に影響が出始め,就学援助受給者の増加傾向が見られる。

 自治体の財政力や保護者の家計の違いによって,子どもたちが受ける「教育水準」に格差があってはならない。

 したがって,教育予算を国全体として,しっかりと確保・充実させるため,次の事項を実現されるよう,強く要望する。

  1. きめ細かい教育の実現のために,第8次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を策定すること。
  2. 義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 学校施設整備費,就学援助・奨学金など教育予算の充実のため,地方交付税を含む国の予算を拡充すること。
  4. 教職員の人材確保のため,教職員給与の財源を確保・充実すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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国民が安心で信頼できる医療体制の確保に関する意見書

 わが国の医療を取り巻く環境は,急速な少子化,高齢化の進行や疾病構造の変化に伴い大きく変貌し,ますます増大かつ多様化した国民ニーズに即した適切な医療提供体制を確保することが喫緊の課題となっている。

 このような中,深刻な医師不足による医師の地域偏在及び診療科偏在は,医療機能の低下とともに医療現場の疲弊を招いており,特に,救急,周産期,小児救急の分野においては極めて深刻な状況となっている。

 また,社会保障費の急激な伸びに伴い,安心して適切な医療を受けることができる「国民皆保険」制度の堅持が危ぶまれているほか,医療保険制度間における負担の不均衡が生じている。

 これらのことから,喫緊の課題である医師不足への早急な対策とともに,現在の医療資源を有効に活用するための医療提供体制や医療保険制度のあり方等,全国民が安心・信頼のできる医療体制の確保が求められており,下記事項について早急に実現することを強く要望する。

  1. 地域の実態を十分考慮した医療提供体制の整備を図ること。特に,全国的に深刻な状況にある医師不足の抜本的改善を図るため,地域の実情に応じた医学部定員配分や大都市に研修医が集中しないような臨床研修制度の見直しのほか,不足診療科の医師の養成確保のあり方などの医師確保対策を早急に検討すること。
  2. 地域の医療資源を有効に活用し,効率的で質の高い医療を実現するため,医療機能の分化・連携の推進や集約化などによる地域医療の提供体制の確保にあたって必要な財政措置を講じること。特に,救急,周産期,小児救急医療等の政策医療に関しては,勤務医の待遇改善等を含め,公的病院及び民間病院に対する支援措置を充実させるとともに,公立病院に対する交付税等の財政措置を確実に行うこと。
  3. 将来にわたり安定した国民皆保険制度を確保するため,医療保険制度の改革等を進めるとともに,安心して医療を受けることができるよう,必要な財源を確保すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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真の地方分権の実現に向け真摯な取り組みを求める意見書

 三位一体の改革に伴う地方交付税の大幅かつ急激な削減以来,一部の富裕団体を除き多くの自治体は,財源対策に汲々とした行財政運営を強いられている。

 これまでも国を上回るペースで行革努力を積み重ねてきた地方にとって,更なる歳出削減は「渇いた雑巾をさらに絞る」作業であり,住民サービスを低下させずに歳出を削減するには,職員の給与カットなどの人件費削減や県債管理基金からの繰替運用など,窮余の策で歳出歳入のギャップを埋めざるをえない状況にある。この財政危機は,三位一体の改革によりもたらされた構造的なものであり,地方自らの改革努力のみで安定した自立的な行財政運営を行っていくことは極めて困難な状況にある。

 閉塞感が蔓延する地方にあって,地方都市の中心市街地の衰退や中山間地の過疎化は一層深刻化しており,大都市部と地方の地域間格差はますます拡大してきている。

 また,中央集権の下で画一的に行われる施策は,財政的に非効率であるばかりではなく,生活者の視点の欠如により様々な行政課題を露呈させている。

 このような状況を打開するには地方分権改革を断行し,自治行政権,自治立法権,自治財政権を具備した「地方政府」を確立し,中央省庁の組織解体を含め中央政府のあり方そのものを変革していくしか道はないと考える。

 さらに激しく,ますます複雑に展開していく国際政治,国際経済,国際社会の中で,我が国がその立場を確固たるものとし,発言力や行動力あるリーダーであり続けることを目指すのならば,そもそも国は,外交,防衛,通貨,司法といった本来国でしか担えない事務に専念すべきである。それ以外の事務を地方に委ねることを躊躇しているいとまはない。地方分権の基本原則は,中央政府の役割を限定し,住民に身近な行政は地方自治体が担っていくということに他ならず,この原則からすれば,地方分権改革推進委員会の第1次勧告で打ち出した権限移譲項目がすべて地方に移譲されたとしても地方分権は完結するものではない。

 一方,政府の地方分権改革推進要綱(第1次)では,移譲項目の範囲は上記原則よりも大幅に狭まっている。そして,その矮小化された議論の中でさえ各省庁は激しい抵抗をみせており,地方の失望感,徒労感は非常に大きいものがある。

 第二期の地方分権改革の成否がかかっている今こそ,国においては,地方分権の意義,重要性を再認識され,下記事項について真摯に取り組まれるよう強く求めるものである。

  1. 国から地方への基本原則どおりの権限移譲が達成されるよう,すべての関係省庁は真摯に取り組むとともに,内閣総理大臣は強力なリーダーシップを発揮すること。また,権限移譲にあたっては,必要となる財源移譲も一体的に進めること。
  2. 地方の疲弊を重く受けとめ,地方の財源不足に対応して,地方交付税総額を復元・充実すること。
     あわせて,地方の安定的な行財政運営を確立するため,地方消費税の充実等を通じて地方税源を強化すること。
  3. 法人事業税の分割基準の見直し等により,地域間の税収格差の是正を図ること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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食の安全・安心の確保に関する意見書

 昨年来の相次ぐ食品表示偽装事件をはじめ,今年1月の中国製冷凍ギョーザによる中毒事件,今般のミニマム・アクセスに係る事故米の不正規流通事件の発生,さらにはメラミンが混入した可能性のある食品の国内での流通により,食品の安全性に対する国民の信頼は,正に根底から揺らぎ始めている。

 国民の食への信頼を回復するためには,輸入食品に対するさらなる安全性の確保を図るとともに,わかりやすく,かつ厳正な食品表示制度の確立を図っていく必要がある。

 例えば,我が国では厚生労働省所管の「食品衛生法」,農林水産省所管の「JAS法」など食品表示に係る法律が複数あることから,消費者や食品関連事業者等にとってわかりにくい制度となっている。また,国と地方との役割分担においても,国からの権限移譲が不十分なことから,地方においては効率的な食品表示指導に支障を来している状況にある。

 一方,平成18年5月から施行された残留農薬等のポジティブリスト制度は,食の安全・安心の確保の観点からは有効な対策と考えられるが,いわゆる一律基準については個々の農薬等の毒性試験など科学的評価に基づくものでなく,不合理な面も生じているため,一律基準が適用されている農薬等に対し早期に残留基準の設定を行う必要がある。

 このようなことから国においては,食の安全・安心の確保と信頼の回復を図り,国民の健康を守るため,下記の事項について早急に実施されるよう強く要望する。

  1. 輸入食品に対する消費者の信頼回復を図るため,輸入食品の検査体制の充実・強化を図ること。
  2. 今般のミニマム・アクセスに係る事故米の不正規流通事件の発生を真摯に受け止め,流通過程における不正防止策に対して万全を期すこと。
  3. 消費者がわかりやすく,安心できる食品表示制度とするため,食品表示一元化法を早期に制定するとともに,罰則規定を強化すること。
  4. 食品表示に関する法律の一元化に合わせて,消費者の立場に立った,食品表示の効率的な監視・指導が行えるよう,国と都道府県の役割分担を見直すこと。
  5. 食品表示一元化法の制定にあたっては,インターネット販売など,新たな販売形態における食品表示に関する規定を整備すること。
  6. 食品衛生法におけるポジティブリスト制度において,一律基準が適用されている農薬等に対して残留基準を早期に設定すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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