わたしたちの県議会 茨城県議会

平成22年第4回定例会で可決された意見書・決議

《意見書》


尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書

 9月7日,尖閣諸島沖の日本領海内で中国漁船衝突事件が発生し,那覇地方検察庁は24日,公務執行妨害容疑で逮捕された中国人船長を処分保留のまま釈放した。
 「尖閣諸島は日本固有の領土で領有権の問題は存在しない」というのが政府の見解である。過去の経緯を見ても中国や台湾が領有権について独自の主張を行うようになったのは,1970年以降であり,それ以前はどの国も異議を唱えたことはなかった。
 しかし今回,中国人船長が逮捕されると,閣僚級以上の交流停止や国連総会での日中首脳会談の見送り,そして日本人4人の身柄を拘束するなどの対抗措置をとり,中国人観光客の訪日中止など日本の各種産業にも悪影響が出ている状況にある。
 このような流れの中で,船長を釈放したことは「中国の圧力に屈した」との印象を与え,今後同様の事件に関しては,国内法に基づいて厳正に対処していく姿勢を貫かなければならない。また,このような結果は,国際社会にも誤ったメッセージを与え,現政権与党の国家主権に対する認識に疑問を抱かざるを得ず,極めて遺憾である。
 よって,国会及び政府においては,次の事項を実現し,毅然とした外交姿勢を確立されることを求める。

  1. 「尖閣諸島は日本の固有の領土である」との態度を明確に中国及び諸外国に示し,今後同様の事件が起こった際は,国内法に基づき厳正に対処すること。
  2. 政府は,検察当局の判断も含め,臨時国会の場で国民に対し説明責任を果たすこと。
  3. 中国からの謝罪や賠償には応じず,日本が被った損害を請求すること。
  4. 尖閣諸島の警備体制を充実・強化すること。

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緊急的な米需給調整対策を求める意見書

 政府の需要見通しを上回る米消費の減少や平成21年産米の大量持越しに伴う契約・販売進度の大幅な遅れなどから,米需給が大幅に緩み,本県産米価格は出来秋から60kg当たり2,000円近く下落している。
 さらに,平成22年産米は20万トン程度の過剰米の発生が懸念されており,米の消費減や平成21年産米の持ち越し状況などと合わせると,50万トンから60万トンもの需給ギャップが生じかねない状況である。
 こうした状況を放置すれば,低米価が定着化することへの危惧や,生産者の所得減少,国の財政負担増,全国的な生産数量目標の削減などにより,国の需給調整と米戸別補償制度に参加した農家ほど,営農の不安や制度への不信を抱きかねない。
 よって,国においては,かかる危機的な状況を改善し,米生産者が安心して経営を展望できるよう,下記の対策を早急に講じられるよう強く要望する。

  1. 平成22年産米の適正な需給・価格環境を整備し,米価が大幅に下落する事態を招かないようにすること。
  2. 需給状況を改善するため,現下の過剰米を主食用市場から隔離することを柱とする国による緊急的な需給調整対策を早期に決定し,市場へ周知すること。
  3. 政府棚上げ備蓄(主食用米の買い入れ及び非主食用処理)は,現下の需給ギャップ数量を踏まえ,平成22年産米から前倒しし,早期に実施すること。
  4. 水田を最大限に活用し,我が国の主食である米の安定供給と飼料用米等の振興により,食料増産と自給率向上を図ること。また,主食用米については,国が定める生産数量目標を適切に管理するための出口対策を含め,整合性のとれた政策体系を確立すること。

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環太平洋連携協定(TPP)への参加に関する意見書

 世界的な貿易自由化の流れの中で,政府は,10月の臨時国会における内閣総理大臣所信表明演説において,EPA・FTAを積極的に推進する方針を打ち出しており,例外なき関税撤廃を前提とする環太平洋連携協定(TPP)への参加について検討することを表明したが,これまでの我が国の国際貿易交渉の基本理念から大きく転換するものである。
 米国,豪州等といった農業大国が含まれるTPPへ参加し関税が撤廃されれば,単に,安全・安心な国産農作物の多くが輸入農産物に置き換わることにより国内食料自給率の低下を招くばかりでなく,国土の保全や,水の涵養,文化の伝承といった農業・農村が持つ多面的機能を失うことにもなる。これは,日本農業と地域社会を崩壊させるものであり,全国有数の農業県である本県においても,農家経営や農村資源に与える影響は大きいものと予想される。
 さらに,農業は,地域において生産資材や農業機械等の製造業,食品加工,運輸,流通・販売,観光など広範囲な産業と密接に結びついており,農業への壊滅的な打撃は,単に農業関係者だけでなく,関連する産業において地域経済をより一層大きく冷え込ませ,雇用環境を極端に悪化させるおそれがある。
 現在,国においては,11月9日に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し,環太平洋連携協定について,「その情報収集を進めながら対応していく必要があり,国内環境整備を早急に進めるとともに,関係国との協議を開始する」としているが,我が国の農業振興や食料安全保障をはじめ,経済全体に与える影響を十分考慮し,協議にあたっては,より慎重な対応をする必要がある。よって,下記のとおり対応されるよう強く望むものである。

  1. 環太平洋連携協定への参加については,そのメリット・デメリットについて,国民に対し詳細な情報を提供し,徹底的な国民的議論を行い,拙速な参加の判断は行わないこと。
  2. 政府は,環太平洋連携協定の情報収集を目的とした関係国との協議を進めるとしているが,関税の完全撤廃は国内農業・農村へ甚大な影響を与えると同時に,食料安全保障の観点からも,我が国をきわめて危険な状況に追い込む恐れがあるため,まずは国内において,食の安全・安定供給,食料自給率の向上,国内農林水産業・農山漁村の振興等を損なうことのないよう十分な対策を行うこと。

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競輪事業における交付金制度等の見直しを求める意見書

 競輪事業は,戦後復興支援を主たる目的として開始されて以来,長年にわたり地方財政の健全化に大きく貢献してきた。
 しかし,近年,長引く景気低迷やレジャーの多様化の影響などにより,売上げが平成3年度の約2兆円をピークに減少し続け,平成21年度には約7,200億円とピーク時の3分の1に落ち込み,競輪事業から撤退する施行者も出るなど競輪事業を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっている。
 このため,競輪施行者は,経営の合理化,効率化,開催経費等の削減を図り,収益の確保などの経営に努めてきたが,売上減少に歯止めがかからず,多くの施行者がさらに厳しい経営を強いられている状況である。
 こうした中,現在,経済産業省産業構造審議会車両競技分科会において,競輪事業の見直しが検討されているところであるが,売上げが下げ止まらない状況下において,各施行者が安定した収益を確保し,競輪事業を継続していくためにも,現行の交付金をはじめとした事業の制度・仕組みなどについて抜本的な見直しを早急に行うべきである。
 特に,事業の根幹となるJKA交付金については,交付金の大幅な引き下げや,算定を収益ベースにすることなどこれまでにない思い切った改革を行うべきである。
 よって,国においては,競輪事業を実施する施行者の厳しい現状を踏まえ,下記の事項について,実現するよう強く要望する。

  1. 安定した競輪事業の継続を図るため,事業の制度・仕組み等について抜本的な見直しを早急に行うこと。
  2. JKA交付金の交付率を大幅に削減すること。
  3. 交付金の算定については,収益を基本とすること。

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高金利公的資金等の繰上償還制度の拡充を求める意見書

 高金利公的資金等に係る金利負担軽減のため,本県では,公営企業を含めこれまで公的資金や水資源機構割賦負担金の繰上償還を実施し,利息軽減を図ってきたところである。
 しかしながら,公的資金や水資源機構割賦負担金の残高はいまだ高水準にあり,その金利負担は本県財政や公営企業の経営に大きな影響を及ぼしている。
 よって,これら高金利公的資金等に係る金利負担軽減のため,次のとおり公的資金等の繰上償還制度の拡充を求める。

  1. 公的資金補償金免除繰上償還の対象に年利5%未満の起債についても認められたい。
  2. 水資源機構割賦負担金繰上償還の枠の拡大を図るとともに,年利5%未満の割賦負担金についても繰上償還を認められたい。

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