わたしたちの県議会 茨城県議会

平成23年第3回定例会で可決された意見書・決議

《意見書》


東日本大震災に際し,被災地で活動された自衛隊等に感謝する決議

 平成23年3月11日に発生した大地震は,我が国の観測史上最大規模であり,地震,津波,加えて原子力発電所における重大事故によって,想像を絶する甚大な被害が発生した。
 被災地の自治体組織や防災組織が壊滅的打撃を受ける中,自衛隊をはじめ,警察,消防機関等にあっては,直ちに被災地に入り,人命救助,生活支援,行方不明者捜索,遺体の収容,瓦礫の除去,そして,自ら被曝をも省みず,水素爆発により破壊された原子力発電所での放水活動など,使命感に燃え黙々と困難な作業に挺身された。誠に感謝に堪えないところである。
 特に,本県は,陸上自衛隊,航空自衛隊合わせて5つの駐屯地・基地があり,それぞれが独自の技術と能力を最大限発揮された。3月17日の第1回放水冷却活動では,百里基地第7航空団隷下に編組された放水冷却支援部隊が危機的状況からの脱却に寄与し,東京電力等の対処に当たる関係者のみならず,多くの国民に安心を与えた。
 厳しい環境の下,連日,被災地で捜索,復旧支援活動等に総力を挙げて取り組まれた自衛隊,警察,消防機関等に対し,本県議会は,深甚なる敬意と感謝の意を表するものである。


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放射性物質を含む下水汚泥等の処分及び再利用に関する国の支援等を求める意見書

 東日本大震災により発生した福島第一原子力発電所の事故により,下水処理場における水処理過程から発生する汚泥を脱水した脱水汚泥や,それを焼却した焼却灰から放射能が検出されており,これらの保管・処分が,自治体の大きな負担となっている。
 本県では,これまでも,これらの下水処理による汚泥等については,飛散防止措置としてフレコンバッグ等に封入し,処理場内に保管する等の対策を講じてきたところであるが,6月に原子力災害対策本部から示された処理基準により,8,000Bq/kg以下の汚泥等については,管理型最終処分場への埋め立てが認められたものの,処分場の設置者から埋め立ての同意が得られていない。
 また,これらの汚泥等のセメントへの再利用については,セメント会社が自ら汚泥の受け入れ基準を設定し実施しているが,実際には処分が十分に進んでいない。
 さらに,それら保管・処分に係る追加経費について,原子力損害賠償法に基づく補償基準が明確に定まっていない状況である。
 よって,放射性物質が検出された下水汚泥等の処分等及びそれら経費の賠償について,円滑に進むよう,以下の措置を講じることを強く求める。

  1. 最終処分場への埋め立てが円滑に進むよう,基準内の汚泥等の管理に関する安全性を明確にするとともに,受け入れる設置者等に必要な支援措置を講ずること。
  2. 風評被害をなくしセメント等への再利用が円滑に進むように,汚泥等を再利用したセメント等の安全性を明確にすること。
  3. 汚泥等の保管・処理費に係る追加経費については,原子力損害賠償法に基づき,速やかに全額補償されるよう,東京電力に対し必要な措置を講じること。
  4. 以上の措置が円滑に進むよう,自治体や処分業者及び東京電力へ必要な支援を行うこと。

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尖閣諸島をはじめ我が国の領土領海を保全するための体制整備 を求める意見書

 昨年9月7日に発生した,尖閣諸島周辺海域における中国漁船による領海侵犯及び海上保安庁巡視船への衝突など,我が国の主権を脅かす行為が増加するとともに,衝突した漁船の中国人船長を釈放するなど,領海侵犯等を取り締まる法体系の不備が問題となっている。
 これらの問題を放置することにより,今後,領海内での外国漁船等による違法操業が常態化し,我が国にとって多大な経済的損失を蒙るとともに,主権国家としての基盤である領土領海の保全についても大きな懸念材料となることが危惧される。
 よって,政府は,独立国家としての国民の生活と安全,並びに国家の主権を保全する見地から,尖閣諸島をはじめ我が国の領土領海を守るために下記の措置を講じることを強く求める。

  1. 尖閣諸島に関し早急に諸般の現地調査を行うとともに,船舶の安全航行と漁民の安全操業のため,灯台の設置及び避難港の整備等に取り組むこと。
  2. 領海内における悪質な違法操業等に対処するため,関係省庁による警備体制を強化するとともに,領海侵犯等を的確に取り締まるための関係法令の整備を図ること。
  3. 現在,自衛隊には,平時において領土領海を守るための法的根拠がないため,速やかに領域警備のための法制度を確立すること。

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義務教育の充実のための少人数学級の推進及び国庫負担制度の維持並びに学校教育の震災からの早期復興を求める意見書

 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」により,小学校1年生の35人以下学級の推進,市町村教育委員会が地域や学校の実情に応じ柔軟に学級を編成できる仕組みの構築,教職員定数に関する加配事由の追加等の改正が行われたところである。
 一方,日本は,OECD諸国と比較すると,1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多いのが現状である。
 教育の機会均等は憲法で保障された権利であるが,GDPに占める教育費の割合がOECD加盟国中最下位である日本においては,今回の制度改正の内容を着実に実施することはもとより,教育にかかる予算を拡充するとともに義務教育費国庫負担制度を堅持することが重要である。
 さらに,東日本大震災において,学校施設への被害や,児童生徒の心のケアの問題,教職員の負担増など,教育関係への影響も大きく,政府としての人的・物的な援助や,財政的な支援に一層取り組むべきである。
 以上の観点から,政府の平成24年度予算編成において,下記事項の実現について必要な措置を講じることを強く求める。

  1. きめ細かな教育の実現のために少人数学級を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため,その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 東日本大震災における教育復興のための十分な予算措置を行うこと。

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「子ども・子育て新システム」の導入に関する意見書

 政府は,7月29日の少子化社会対策会議において「子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめ」を決定し,「平成23年度中に必要な法制上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに,早急に所要の法律案を国会に提出する」との方針を示した。
 新システムの導入は,保育現場に市場原理が持ち込まれることになり,福祉としての保育制度が維持されないことや,保護者の負担増につながる制度見直しとなるなどの懸念があり,国の責任で福祉として行われてきた保育制度の根幹が大きく揺らぐ恐れがある。また,新システム導入に必要な約1兆円の財源は明確になっておらず,現状では新システムの導入は極めて不透明な情勢となっている。このままでは,平成24年度からの保育施設がどのような方向性になるのか明確でなく,保育現場での無用な混乱や不安に拍車がかかることになる。
 よって,政府及び国会においては,以下の項目について早急に実現を図り,誰もが安心して利用できる保育制度を維持・拡充されることを強く求める。

  1. 子ども・子育て新システムについて財源的な見通しが立たない中での移行は困難であり,「今年度中の法案提出」との方針を撤回すること。
  2. 保育制度の見直しにあたっては,保護者,保育現場等の意見を十分尊重し,慎重に検討すること。
  3. 来年度に向けて,「安心子ども基金」の拡充等,保育の充実に向けた地方の創意工夫が生かされる予算編成を行うこと。

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円高・デフレを克服する経済対策を求める意見書

 欧州での経済危機や,米国の国債格下げ問題等に起因する歴史的な水準にある円高の影響等によって,日本経済はデフレが長期化しており,さらに東日本大震災による被害もあり,国内産業の長期にわたる停滞が懸念される状況にある。
 政府は,今年度二度にわたる補正予算を編成しているが,本格的な復旧・復興のための予算編成ではないため,景気回復に実効性のある内容とはなっていない。さらに,電力需給の逼迫が長期化し,円高が続くことになれば,企業が海外に生産拠点を移すことにより,国内の雇用・産業の空洞化が懸念されるが,政府からは具体的な対応策が示されていない。
 また,歴史的な水準にある円高は,地域の製造業,観光業等に大きな打撃を与えており,この状態を放置すると地域経済はますます深刻な事態に陥ることになる。
 被災地の復興のためには,施設等の復旧はもちろん,まず日本経済全体の復興が必要であることから,政府は抜本的な円高・デフレ対策に取り組むべきであり,下記の対策を早急に講じることを強く求める。

  1. 日本経済全体を底上げするための景気対策,さらには防災対策のための必要な公共事業の推進などを含めた補正予算を早急に編成し,執行すること。
  2. 年末に向けた中小企業の万全な資金繰り対策の拡充など,円高の影響を直接受ける輸出産業を支援する施策を打ち出すこと。
  3. 地域の雇用維持・確保に活用できる臨時交付金を創設すること。

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軽油引取税の課税免除措置の恒久化を求める意見書

 軽油引取税は,道路等の行政サービスから得る受益に着目して課税されており,特別な政策的観点から課税免除することが適当であると認められる場合は,課税が免除される制度が設けられている。
 この免税軽油を多く利用している業種として砕石業があり,砕石は,コンクリート,道路等の社会基盤整備に不可欠な基礎素材であるが,近年需要の大幅な減少や製品価格の低迷により,経営環境は一層深刻なものとなっている。さらに,近年の燃料費高騰にもかかわらず価格転嫁が困難なことから,免税軽油の存在価値は極めて大きなものとなっている。
 また,漁業においても,元来経費に占める燃油費の比率が大きく,燃油価格の高騰と魚価低迷により厳しい状況にある中で,東日本大震災と福島第一原発の事故により,一層深刻な状態に陥っている。特に,軽油を主燃料としている沿岸漁業者には零細事業者が多く,課税免除の廃止により経営が圧迫され,廃業にさえ追い込まれかねない状況である。
 さらに,砕石業,漁業以外の分野においても,農業,港湾運送業など,様々な業種において,最近の経営環境の悪化に伴い,一層の経費縮減を図る上で,免税軽油の使用は企業の経営安定に不可欠なものとなっている。
 しかしながら,平成21年度税制改正における道路特定財源制度の廃止により,軽油引取税は目的税から普通税に一般財源化し,原則として全ての軽油使用が課税対象とされ,従来の課税免除については,地方税法附則により,平成24年3月31日までの特例措置とされていることから,期限経過後の影響が大いに危惧されるところである。
 よって,国においては,引き続き地域産業支援の観点から,課税免除制度を恒久化されるよう強く要望する。


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