平成27年第3回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書・決議》


《請願》


公共事業予算の増額を求める意見書

 先般の国土交通省の平成28年度予算の概算要求における公共事業関係費は約6兆円と,平成27年度当初予算である約5.2兆円の1.16倍の要求がされたところであるが,当初予算におけるピークであった平成9年度予算額9.7兆円の約6割にまで減少している。
 一方,道路や橋梁などの社会資本は,高度経済成長期に集中的に整備されたことから,今後,一斉に老朽化が進み,修繕や更新に係る費用が増大し地方財政をより厳しいものとすることが予想される。
 さらに,増大する維持管理費は,新たな社会資本整備に要する予算を圧迫し,国の補助金・交付金の減少や制度改正なども相まって,自然災害等を防止し被害を軽減する国土強靭化や地方創生などのために必要な社会資本の整備までも難しいものとしている。
 本県では,公共施設等総合管理計画に基づき,計画的な施設の維持,更新などによる財政負担の平準化等に向けた取り組みを進めているが,公共事業関係予算の削減が続き,必要な事業費の確保が大きな課題となっている。
 よって,国会並びに政府においては,公共施設の計画的な維持管理や更新に対する地方への積極的な財政支援措置を講じるとともに,国土強靭化,地方創生に資する社会資本整備のために必要な公共事業予算を十分に確保するよう,強く求める。

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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する
衆参両院農林水産委員会における決議の遵守等を求める意見書

 国は,一昨年3月にTPP交渉参加を表明し,同年7月には交渉に正式に参加した。その後,閣僚級会合等が重ねられ,本年7月末には大筋合意に向けてハワイで閣僚会合が開催されたが,合意には至らず,今後の交渉の行方が危惧されるところである。
 一方で,TPP協定は,経済活動や国民生活全般に影響を及ぼすにもかかわらず,国民に対する十分な情報開示及び明確な説明もないことから,国民は未だ十分に理解するに至っていない状況である。さらに,一昨年3月の県の試算では,米,牛肉,豚肉,乳製品を始めとする本県農業への影響は,関税を即時撤廃し,何ら対策を講じなかった場合,農業産出額が1,113億円減少すると見込まれるなど,深刻な影響が予想されているところである。
 このような状況を踏まえ,我が国の食料自給力の向上を支える農林水産業の持続的な発展が図られるよう,国においては,TPP協定の交渉に当たり,下記事項について適切に対応するよう,強く求める。

  1. 農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し,交渉脱退も含め衆参両院農林水産委員会における決議を遵守すること。
  2. 交渉により収集した情報について,国民に十分な情報開示を行うこと。

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教育予算の拡充を求める意見書

 平成27年度においても,これまで小学校1年生,2年生と拡充されてきた35人以下学級の3年生以上の拡充が見送られ,予算措置がなされなかった。
 日本は,OECD諸国に比べて,1学級当たりの児童生徒数や教員一人当たりの児童生徒数が多く,一人ひとりの子どもに丁寧な対応を行うためには,少人数学級を推進する必要がある。
 また,教育の機会均等は憲法で保障された権利であるが,日本は,GDPに占める教育費の割合が,比較可能なOECD加盟国31ヶ国中最下位という状況にある。教育予算を拡充するとともに,義務教育費国庫負担制度を堅持することが大変重要である。
 さらに,震災からの教育面における復興,すなわち,学校施設の充実や子どもたちの心のケア,教職員などにおける負担増の軽減などに対し,政府として,引き続き,人的・物的な援助や財政的な支援を行うべきである。
 将来を担い,社会の基盤づくりに繋がる子どもたちへの教育は,極めて重要である。
 よって,政府の平成28年度予算編成において,下記事項を実現するよう,強く求める。

  1. きめ細かな教育の実現のために少人数学級を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため,その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 震災からの教育復興のための予算措置を継続して行うこと。

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平成27年9月関東・東北豪雨による被害からの早期復旧及び生活再建への支援等を求める意見書

 過日,本県を襲った台風18号の影響等による記録的な豪雨は,鬼怒川や西仁連川等において堤防の決壊や越水などを引き起こし,流域の市町等に甚大な浸水被害をもたらした。
 その全容は未だ明らかではないが,死者ほか多数の負傷者などの人的被害,多数の流失家屋,床上・床下浸水約12,000件にも及ぶ住宅等の被害など,極めて大きなものである。
 また,収穫期を迎えた水稲等の農作物や農業用施設などが冠水により甚大な被害を受けるなど,今後の農業経営に対する影響が大いに危惧される。地域経済を担う中小企業などにおいても状況は同様である。
 県民生活はもとより,地域経済が大きな打撃を被ったところであり,こうした状況下,今なお,多数の方々が厳しい避難生活を余儀なくされている。
 県では,被災市町及び関係機関との連携・協力の下,早期復旧に全力で取り組むとともに,被災者の生活再建に力を尽くしているところであるが,これらを確実なものとし,安心して暮らせる県民生活を取り戻すためには,国によるさらなる支援や取り組みが不可欠である。
 よって,国においては,下記の事項について,特段の措置が講じられるよう,強く要望する。

  1. 被災者生活再建支援制度の支援上限額の大幅な引き上げ及び適用範囲の拡大を図ること。
  2. 米を始めとした農作物や農業用施設など及び豚を始めとした畜産や畜産関係施設などの被害に対する救済措置・支援策を講ずること。
  3. 中小企業などに対し必要な支援策を講ずること。
  4. 鬼怒川の堤防の迅速な復旧を図るとともに,早急な河川改修を行うこと。
  5. 公共土木施設,学校施設,社会福祉施設などの災害復旧に係る予算の確保などに特段の配慮をすること。
  6. 被災地域における災害廃棄物の処理に対する支援を講ずること。
  7. 被災地域における感染症のまん延防止など保健・衛生対策に対する支援を講ずること。
  8. 被災市町に対する財政支援を的確に講ずること。

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茨城県内に立地する政府関係機関の移転反対等に関する意見書

 地方創生に関して,国は,東京一極集中の是正を主たる目的として政府関係機関の地方移転について提案の募集を行ったが,東京圏に含まれない本県に立地する機関についてもその対象とされ,今般,多くの県から本県内の政府関係機関の誘致提案が出されたところである。
 現在,茨城県においては,最先端の科学技術や国内トップクラスの農業,ものづくり産業等の集積を活かした地方創生の実現に全力で取り組んでいるところであり,国が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいて検討を進める政府関係機関の地方移転についても,重要な施策の1つとして積極的に検討を進めてきた中,このように本県内の中枢となる研究機関等に関して誘致提案が数多く出されたことは,地方創生の趣旨に反するもので極めて遺憾であり,到底認めることはできないものである。
 誘致提案のあった本県内の機関の大部分が立地するつくば市は,昭和45年5月に制定された「筑波研究学園都市建設法」に基づき,東京一極集中の是正と高度な科学技術の集積を目的として,東京圏に立地していた研究機関等を移転させ整備された都市である。
 現在では,つくば国際戦略総合特区に指定されるなど,世界最先端の科学技術が集積する一大拠点として,その効果を生かして産学官連携による様々な研究・開発が進められ,科学技術創造立国日本の一翼を担う枢要な拠点として大きく発展している中,研究機関等が他県へ移転することとなると,これまでの研究成果などを台無しにするものであり,国にとっても大きな損失となることは論を俟たない。
 さらに,国は,平成28年5月に開催される「G7茨城・つくば科学技術大臣会合」の開催地決定にあたって,つくば市が最先端の科学技術が集積する世界最大級のサイエンスシティとして,我が国の科学技術力を世界にアピールできる環境が整っていることを理由としてあげたが,もし移転を行うことになれば,これに大きな矛盾を生じさせることとなる。
 むしろ,今後の我が国の成長・発展を考えれば,最先端の科学技術が集積し,優れた居住環境も整っているつくば市や東海村に,その集積に密接に関連する研究機関等を県外から移転させ,機能を更に強化することにより,世界のトップランナーとして革新的な科学技術を創出していくことこそが求められている。
 以上を踏まえ,政府関係機関の誘致に関して,下記の事項について特段の対応を図られるよう強く要望するものである。

  1. 茨城県内に立地する政府関係機関の県外への移転は,地方創生の趣旨に反するものであり,絶対に行わないこと。
  2. 茨城県における地方創生の推進にとどまらず,我が国の成長・発展を牽引する科学技術力の向上等に大いに資するため,茨城県が誘致を提案している政府関係機関を茨城県に移転すること。

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TPP(環太平洋連携協定)交渉に関する請願

 7月28日から4日間の日程で,米国・ハワイで行われていたTPP閣僚会合は,当初から困難な分野といわれていた知的財産権など,未解決の課題を残したまま終了した。
 政府は,「米,麦,牛肉・豚肉,乳製品,甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について,引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること」などとした国会決議を遵守するべきである。
 本県では,特に米,牛肉・豚肉,乳製品について関税撤廃となれば,甚大な影響が予想され,農業者は廃業の瀬戸際に立たされている。
 また,食の安全やISD条項など,国民の暮らしやいのちに関わる重要課題について不安を招来させぬよう,毅然とした交渉姿勢を貫き通すべきである。
 さらに,マスコミ報道で不安を抱いている全国の農業者に対し,懸念を払しょくする十分かつ明確な説明を行うべきである。
 次回閣僚会合に向けて,予断を許さない情勢が続いていくものと考えており,我々としても引き続き精力的に取り組みを展開していく。
 ついては,私どもの意をお汲み取りいただき,貴職におかれては,下記事項を政府・国会に対して働きかけを行われるよう強く請願する。

  1. 農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し,交渉脱退も含め衆参両院の農林水産委員会における国会決議を遵守すること。
  2. 交渉により収集した情報について,国民に十分な情報開示を行うこと。

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中通川拡幅工事早期完了に関する請願

【請願趣旨】

 中通川は,台風等の降雨の度に冠水し,田畑だけでなく宅地にも浸水している。浸水範囲は,豊地区から真木川合流点にかけての約2キロメートルにも及び,排水機場のポンプをフル稼働させ,延々水を汲み上げても水位が下がらない。
 近年,気象環境の変化も著しく,台風やゲリラ豪雨等による大災害が各地で発生しており,年々恐怖と危機感が増しているのが現状である。
 また,その被害額も数千万円に上ると積算できる。
 中通川拡幅工事は,平成2年度に始められ,平成26年度末で進捗率は未だ55.8%とは,住民無視のあり得ない進捗状況である。
 よって,下記事項を請願する。

【請願事項】

  1. 中通川の速やかな排水を実現するべく,できるだけ早期に拡幅工事を完了すること。
  2. 冠水・浸水被害等の恐怖を取り除き,安心して生活できるよう改善すること。

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教育予算の拡充を求める請願

【請願趣旨】

 2015年度においても,これまで小学校1年生,2年生と拡充されてきた35人以下学級の3年生以上の拡充が見送られ,予算措置がされていない。日本は,OECD諸国に比べて,1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多くなっている。しかしながら,第7次教職員定数改善計画の完成後9年もの間,国による改善計画のない状況が続いている。
一人ひとりの子どもに丁寧な対応を行うためには,ひとクラスの学級規模を引き下げる必要がある。
 文部科学省が実施した「今後の学級編制及び教職員定数に関する国民からの意見募集」では,約6割が「小中高校の望ましい学級規模」として,26~30人を挙げており(それ以下を含めると約9割),保護者も少人数学級を望んでいることは明らかである。
 日本国憲法には子どもたちが全国どこに住んでいても,機会均等に一定水準の教育を受けられることが明記されている。しかし,教育予算について,GDPに占める教育費の割合は,OECD加盟国(データのある31カ国)の中で日本は最下位となっている。子どもたちの「ゆたかな学び」を保障するための少人数学級の実現をはじめ,公教育の一層の充実のためにも,教育予算を拡充するとともに,義務教育費国庫負担制度を堅持することは大変重要である。
 さらに,東日本大震災以降,学校施設の被害や子どもたちの心のケアの問題,子どもたち,教職員の負担増など教育関係の影響がいまだに残っており,政府として人的・物的な援助や財政的な支援を継続すべきと考える。
 将来を担い,社会の基盤づくりにつながる子どもたちへの教育は極めて重要である。こうした観点から,2016年度政府の予算編成において下記事項が実現されるよう,地方自治法第99条の規定に基づき国の関係機関へ意見書を提出していただくよう要請する。

【請願事項】

  1. きめ細かな教育の実現のために少人数学級を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため,その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 震災からの教育復興のための予算措置を継続して行うこと。

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AEDの使用促進に関する請願

 心肺停止時に使うAED(自動体外式除細動器)を一般の人が使えるようになって11年が経過したが,実際に使用された割合はまだ低い。心肺停止では,電気ショックが1分遅れると1割ずつ生存率が下がると言われており,誰もがAEDを迷わずに使えるよう,使用の啓発,講習,実習の拡大が不可欠である。
 茨城県は,平成25年4月全国に先駆けて条例を制定し,AEDの普及促進に積極的に取り組んできた。その結果,学校や病院などの公共施設をはじめ,利用者の多い民間施設などへのAEDの設置が進んできている。
 AEDの設置促進に合わせて,一般の人の使用割合を高めていくことが重要であることから,茨城県医師会では,平成23年度から茨城県の委託を受け,小中学校においてAED使用の普及啓発事業を実施してきた。この事業は3年間で終了したが,県民の救命率の向上のために大変重要で意義のある取組みであることから,平成26年度からは茨城県医師会の自主事業として,県内全域の小中学校で継続して実施しているところである。今後は,学校はもとより事業所や地域社会において,実習の機会を数多く確保することが必要不可欠である。
 条例を制定し,AEDの設置が着実に進んでも,やはり講習・実習の機会を増やさなければ,使用の拡大にはつながらない。茨城県においては,条例の定めに従い,関係各団体と連携協力しながら,学校や家庭,公共の場所等において有効に利用されるよう,県民に向けたAEDの講習,実習,啓発にさらに力を入れて取り組むことが責務と言える。
 ついては,AED使用による県民の救命率向上に向けて,下記事項に特段のご配慮をお願いする。

  1. AED有効利用に向けた県民の講習,実習機会の確保
    学校,事業所,地域社会において,AED・心肺蘇生法の知識・技能の習得に向け,すべての県民が講習,実習に参加できる機会の確保に努めるとともに,AED使用の啓発活動を行うこと。
  2. 必要な予算の確保と事業の実施
    AED・心肺蘇生法の講習,実習に必要な指導員や機材等を準備するために必要な予算を確保し,関係団体との連携協力のもとに,茨城県が主体的に事業に取り組むこと。

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