令和元年第3回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書・決議》

《請願》


台風第15号による農作物等の被害に対する支援を求める意見書

 去る9月9日に本県を通過した台風第15号により,強風や大雨に見舞われ,農作物や農業用施設等において,被害額が約35億円に及ぶ甚大な被害が発生した。
 その中でも,農業用施設などで,多数の損壊・倒壊の被害があり,また,倒壊した施設内の作物の収穫や出荷が不能となっている。被災農業者は,施設の多くを失い収入も大きく減少することが見込まれる状況のなか,今後の経営の継続に大きな不安を抱えている。農業用施設の復旧・修繕が遅れれば,被災農業者の生活や農業生産のみならず,地域経済にも大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
 ついては,下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

  1.  被災した農業用ハウス等の撤去及び再建・修繕について,被災農業者の負担が生じないよう,一日も早い経営再開が可能となる支援策を講ずること。
  2.  農業用資材の不足が懸念されることから,施設の復旧・修繕に支障を来すことがないよう,資材の円滑な供給について業界団体等に働きかけを行うこと。
  3.  農業共済について,損害評価を迅速に行い,共済金が早急に支払われるよう働きかけること。
  4.  水田活用の直接支払交付金のうち飼料用米の数量払いについて,台風第15号による減収を考慮した支払算定方法の見直しを行うなど,柔軟に対応するよう努めること。

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東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において子どもたちに広く参加する機会を設けることを求める意見書

 オリンピック・パラリンピック競技大会は,世界各国のアスリートが参加する世界最大級のスポーツの祭典である。この大会に国民がボランティアとして参加することは,国際理解の推進など大いに意義のあることであり,また本人にとっても一生の思い出ともなり,夢と希望を膨らませ,人生の幅を広げるすばらしい体験ができるまたとない契機である。
 茨城県でも,茨城カシマスタジアムで開催されるサッカー競技の成功に向け,大会に向けた機運の醸成や都市ボランティアの研修など,準備を進めているところである。
 昭和39年の東京大会では,ボーイスカウトが国旗掲揚を行ったり,ガールスカウトがパラリンピック大会の開会式に参加国のプラカードを持って入場するなど,子どもたちにも参加機会が設けられていた。
 一方,来年に迫った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,国民が大会ボランティアとして参加するには,満18歳以上という年齢制限があるなど,現時点では,子どもたちの参加機会は設けられていない。
 しかしながら,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に子どもたちが参加することは,国際感覚を養い,国際理解を深め,さらには共生社会の理念を広める絶好の機会であり,教育的な観点からも大きな意義がある。
 よって政府は,公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対し,昭和39年当時のように,子どもたちに広く参加する機会を設けることを働きかけるよう強く要望する。

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新たな過疎対策法の制定に関する意見書

 過疎対策については,昭和45年に「過疎地域対策緊急措置法」が制定されて以来,4次にわたる特別措置法の制定により,総合的な過疎対策事業が実施され,過疎地域における生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げたところである。
 しかしながら,依然として多くの集落が消滅の危機に瀕し,また,森林管理の放置による森林の荒廃や度重なる豪雨・地震等の発生による林地崩壊,河川の氾濫など,極めて深刻な状況に直面している。
 過疎地域は,我が国の国土の過半を占め,豊かな自然や歴史・文化を有するふるさとの地域であり,都市に対する食料・水・エネルギーの供給,国土・自然環境の保全,いやしの場の提供,災害の防止,森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 過疎地域が果たしているこのような多面的・公益的機能は国民共有の財産であり,それは過疎地域の住民によって支えられてきたものである。
 本県の過疎地域においても,人口減少や高齢化が顕著であり,公共交通機関の衰退,医師等の不足,空き家の増加など生活基盤の弱体化が進む等,地域を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。このため,これらの地域の生活基盤の整備を進めるとともに,地域の特性を活かした産業振興の取組みが引き続き必要となっている。
 現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は令和3年3月末をもって失効することとなるが,過疎地域が果たしている多面的・公共的機能を今後も維持していくためには,過疎地域に対して総合的かつ積極的な支援を充実・強化し,住民の暮らしを支えていく政策を確立・推進することが重要である。
 過疎地域が,そこに住み続ける住民にとって安心・安全に暮らせる地域として健全に維持されることは,同時に,都市をも含めた国民全体の安心・安全な生活に寄与するものであることから,引き続き総合的な過疎対策を充実強化させることが必要である。
 よって,新たな過疎対策法の制定を強く要望する。

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豚コレラ対策の強化を求める意見書

 昨年9月に岐阜県の養豚場において26年ぶりの豚コレラ発生が確認されて以降,愛知県,三重県,福井県へと感染が拡大し,今月に入ってからは,長野県,埼玉県でも発生が確認されるなど,本県への侵入リスクが高まっていることから,養豚農家は不安な日々を送っている。
 本県は豚の産出額で全国第6位の養豚県であり,新たな銘柄豚の生産にも取り組んでいるところであるが,万が一本病が県内で発生すれば本県養豚業は壊滅的な打撃を受けるばかりでなく,全国の豚肉需給にも大きな影響を及ぼす懸念がある。
 今回の豚コレラは海外由来のウイルスが野生いのししに感染し,いのしし間で感染が広がって豚に感染するなど,これまでわが国が経験したことがない感染拡大の様相を呈しており,いのししに対する経口ワクチンの投与など対策を講じているものの依然として発生県が拡大していることから, 国においては次の事項について特段の措置を講じられたい。

  1.  豚コレラウイルスの農場への侵入防止対策を的確に実施するため,感染経路や発生原因を早急に解明すること。
  2.  迅速な患畜の殺処分・埋却等,摘発・とう汰を豚コレラ防疫の基本としつつ,ワクチンの有効な利用方法についても早期に検討を進め,豚コレラの感染拡大を防止すること。
  3.  野生いのししの捕獲, 駆除を推進するとともに, 経口ワクチンの投与地域を拡大するなど, 野生動物による感染拡大を防止すること。
  4.  海外からの豚コレラウイルス等の侵入を防止するため,検疫探知犬を増頭し,茨城空港へも常時配置するなど,水際検疫を更に徹底すること。

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保育士等の人材確保に向けた税制等の見直しを求める意見書

 本年10月から,3歳から5歳までの幼稚園,保育所,認定こども園などに通っている全ての子供の保育料が無償化されることにより,子育てを行う家庭の経済的負担の軽減が図られる一方,新たな保育需要が喚起されることにより,利用希望者の増加が見込まれる。
 人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性からも,幼児教育・保育の質の確保・向上を図るため,保育士等の人材の確保は極めて重要な課題である。
 国では,保育人材の確保を図るとともに,既に働いている方々が安定的かつ継続的に働くことができるよう処遇改善に取り組んでおり,賃金の改善が進んでいる。
 一方,賃金収入が増加したパートタイムの女性保育士が働く現場では,いわゆる「103万円・130万円の壁」などと言われるようなものが要因となり,所得税の非課税や配偶者控除・配偶者特別控除の対象になること,配偶者の扶養に入ることなど税制及び社会保険制度の適用を求めて,勤務日数や勤務時間を自ら制限するなど,賃金上昇に逆行して働く時間を短くするような就業調整が行われている。
 こうした就業調整により,保育士不足が常態化している保育現場においては,代替保育士の確保が一層困難な状況になっており,正職員などフルタイム勤務者の残業で対応するような負担が増加している。
 女性の活躍推進が期待され,また人的資源を十分に活用できるようにする必要があるなか,国が取り組む処遇改善などの政策に反して,税制及び社会保険制度が労働供給を抑制する足かせとなるような矛盾が生じている。このことは介護職員についても同様の状況にある。
 よって,国においては,保育士等の人材確保を進めるため,税制及び社会保険制度の更なる抜本的見直しを行うよう強く要望する。

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教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書

 学校現場における課題が複雑化,困難化する中で,子どもたちの豊かな学びを実現するためには,教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが不可欠である。
 特に,小学校及び義務教育学校前期課程においては,新学習指導要領の移行期間中であり,外国語教育実施のため授業時数の調整などの対応に苦慮する状況となっており,教職員が人間らしい働き方ができるための長時間労働の是正とともに,教職員定数の改善が必要である。
 また,義務教育費国庫負担制度については,「三位一体改革」により国負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられたが,子どもたちが全国のどこに住んでいても,一定水準の教育を受けられることが必要であり,豊かな子どもの学びを保証するための条件整備が必要である。
 よって,政府の令和2年度(2020年度)予算編成において,下記事項を実現するよう,強く求める。

  1.  計画的な教職員定数改善により,少人数学級を推進すること。
  2.  教育の機会均等と水準の維持向上を図るため,義務教育費国庫負担制度を堅持すること。

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悪質・危険な運転の根絶に向けた対策の強化を求める意見書

 本年8月,茨城県内の常磐自動車道において,いわゆるあおり運転による悪質・危険な行為を受けて高速道路上で停車させられた上,運転者があおり運転を行った男に暴行を受けるという衝撃的な事件が発生した。
 平成30年1月には,前年に神奈川県内の東名高速道路で夫婦が死亡した事故を受け,道路交通法以外にも刑法の暴行罪などあらゆる法令を駆使して厳正な捜査を徹底するよう,警察庁が全国の警察へ通達した。その結果,高速道路における道路交通法違反(車間距離不保持)による取り締まり件数は,平成30年は前年の倍となる約1万1千件に上ったが,その後も全国各地であおり運転が絡んだ事故・トラブルは後を絶たない。
 現在,あおり運転そのものを取り締まる法律がなく,現行法が想定していない危険行為が相次いでいる。今や現行法を駆使して取り締まる方法は限界に達しており,悪質・危険な運転に対する厳正な対処を望む国民の声が日増しに高まっている。
 よって,本県議会は,国会及び政府において,国民の生命を守り,安全・安心な暮らしを確保するため,現行法の改正にとどまらず新たな法の制定も視野に入れ,取締りの強化と更なる厳罰化を進め,悪質・危険運転の根絶に向けた対策を強化するよう強く要望する。

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文化財建造物に対する支援を求める請願

 文化財は我が国の歴史,文化等の正しい理解のため,欠くことのできないものであり,且つ,将来の文化の向上発展の基礎をなす国民すべての共存財産である。これらを後世に渡り受け継いでいくことは,文化財を所有する者の責務である。
 しかしながら個人が所有する文化財建造物については,所有者の高齢化が進んでいることや後継者の不在などが原因で所有者の負担が増大している。その上,適切な保存が困難になっている状況にあるため,国や地方公共団体など行政からの支援が必要不可欠である。
 所有者の負担が年々増大してゆく中,このままでは文化財建造物が適切に保存されないまま放置され,やがて失われてしまう恐れがある。この危機的な現況を憂い,ここに以下のとおり請願する。

【請願事項】

  1.  文化財建造物に対する国及び県の助成措置を拡充すること。
  2.  特に,個人所有の文化財建造物については,早急な配慮を検討すること。

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教職員定数改善と義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書採択を求める請願

 学校現場では,解決すべき課題が山積しており,子どもたちのゆたかな学びを実現するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。
 特に小学校においては,新学習指導要領の移行期間中であり,外国語教育実施のため授業時数の調整など対応に苦慮している。ゆたかな学びの実現のためには教職員定数改善などの施策が最重要課題である。また,教職員の定数改善を行うことにより,教職員の働き方改革もすすむ。教職員が余裕をもって学校教育にあたれるようになり,教育の質を高められる。
 義務教育費国庫負担制度については,2005年の制度改正により2分の1から3分の1に引き下げられた。各地方自治体は,厳しい財政状況の中,独自財源による定数措置が行われているが,地方自治体の財政を圧迫している。国の施策として定数改善にむけた財源保障をし,子どもたちが全国のどこに住んでいても,一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請である。ゆたかな子どもの学びを保障するための条件整備は不可欠である。
 こうした観点から,2020年度政府予算編成において本請願事項が実現されるよう,地方自治法第99条の規定にもとづき国の関係機関への意見書提出を請願する。

【請願事項】

  1.  計画的な教職員定数改善により少人数学級を推進すること。
  2.  教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため,義務教育費国庫負担制度を堅持すること。

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いきいき茨城ゆめ国体2019(国民体育大会)馬術競技場の有効活用に関する請願

 いよいよ「いきいき茨城ゆめ国体2019(国民体育大会)」が9月28日から開催されるにあたり,本県ではこれまで,天皇杯・皇后杯の獲得に向けて中長期的な視点で競技力向上に取り組んできた。
 一方,国民体育大会の成果を一過性のものにせず,将来にわたって本県のスポーツ振興や地域の活性化につなげていくことが求められている。
 那珂市では,国民体育大会の正式競技として,馬術が開催される。
 当該競技の会場である県立水戸農業高等学校特設馬術競技場は,仮設であり,取り壊される予定であるが,国民体育大会終了後も,その施設・設備等の有効活用を図ることにより,馬術の競技力向上,及び馬術を通じた地域の振興を図ることが可能となる。
 ついては,下記事項を請願する。

【請願事項】

県立水戸農業高等学校特設馬術競技場について,国体終了後も引き続き,大規模な馬術大会が開催できるよう,必要な施設・設備等の機能を継承すること。

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