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大子町茶手揉保存会が作る、手もみの『奥久慈茶』

全国に認められた伝統的製茶法「手もみ」の技術

日本の食文化に欠かすことのできない緑茶。一般的には京都や静岡などが有名ですが、これまでに何度も日本第1位の評価を受けたお茶が茨城にあります。それが大子町茶手揉保存会のメンバーが作る、手もみの『奥久慈茶』です。
大子町茶手揉保存会のこれまでの主な成績は、平成14年度第10回全国手もみ茶品評会で一等一席・農林水産大臣賞受賞(藤田良さん)、平成19年度第15回全国手もみ茶品評会で一等一席・農林水産大臣賞受賞(小室栄寿さん)、平成15年全国手もみ茶技術競技大会で最優秀賞受賞(見越政広さん・清水善重さん・小室栄寿さん)など。その中でも、藤田良さんと小室栄寿さんは、全国名人の称号を与えられています。


「手もみ」とは昔ながらのお茶の製法で、茶摘みから、蒸し、もみ、乾燥まで全て手作業で行われます。特に、もみは焙炉(ほいろ)という台の上で3、4時間もかけて行われる大変な工程。修練された技術と長い経験が求められる作業です。仕上がったお茶は針のように細くよれ、黒みがかった濃い緑色の光沢を放つのが特徴。市場に多く出回る機械茶より優れ、お茶の高級品として扱われています。
審査は、形状、色沢、香気、いれたときの水色(すいしょく)、滋味など、それぞれの項目を評価します。生葉3キロを4時間半かけてもみあげ、出来上がりは約600グラム。良くできたお茶は手もみ茶特有の濃度感のある水色を持ち、飲むと凝縮されたコクと旨味が口の中に広がります。
高品質な茶葉を育てる山間部の気象条件
茨城県大子町は、最も北に位置するお茶の生産地のひとつと言われています。ではなぜ、寒い山間地で奥久慈茶が栽培されるようになったのでしょう。
奥久慈のお茶には約400年の歴史があり、伝承では1593年(文禄2年)のころ佐貫西福寺の僧、常庵などが京都巡礼の際に宇治から茶実を持ち帰ったのが始まりと言われています。そして江戸時代には、石附兵治らの努力と水戸藩の奨励によって近隣に広く栽培されるようになりました。
大子町は茨城県最高峰の八溝山を境に、北は福島県、西は栃木県に接する地域。山間地ということもあり、標高150メートルから350メートル前後の傾斜地でお茶の栽培が行われています。低温多雨の山岳気候と、厳しい条件の中で育つ奥久慈茶。しかし、この気象条件が高級茶を育む秘密でもあります。八溝山系の山肌の冷涼な気候、霜などによる適度な日照量が良質なお茶を育てるのです。そして、奥久慈茶本来のコクのある味は、手もみでこそ十分に引き出されます。
また、山間という条件は、手もみ技術の保存にも一役買っていました。製茶産業は明治時代末期に入ると急速に機械化が進み、みるみるうちに製茶機械が普及。手もみ茶製法は、徐々に衰退していきました。しかし、山深い大子町は機械化が遅く、昭和30年代ごろまでは手もみでお茶が作られていたのです。
手もみ茶を入れると茶葉が開き、
元の茶葉の形が現れます。
さらに、手もみ茶の製造技術は、機械茶の製造にも役に立つといいます。お茶の葉は同じ場所で育てても、その年の気候や摘み取った時期によって性質が変わるもの。良いお茶を作るためには、製造中の茶葉の変化を瞬時に見分け、製造温度や湿度、加圧などの調節を適切に行う必要があります。しかし、いくら機械製茶の技術が進んでも、その変化に対応することは困難です。
そこで、手もみを極めた製茶師が、高い技術力を発揮します。製造中の茶葉を握ることで状態を把握し、機械を常に最良の状態に調節することができるのです。
医学的にも注目される緑茶に含まれた有効成分
お茶は近年、健康食品という観点からも注目を集めています。もともと、中国に渡った僧侶たちが薬として持ち帰ったお茶には、さまざまな有効成分が含まれているからです。
その代表は、何と言ってもガンの予防効果が期待されているカテキンです。注目される発端となったのは、静岡県のガンによる死亡率が大変低いという調査結果。その謎を解き明かそうと国内外の大学などが研究したところ、お茶に含まれるカテキンにガン細胞の成長を抑制する効果があることが分かったのです。それ以外にもカテキンには、血中コレステロールの低下作用、抗菌作用、口臭予防など、さまざまな効果が発見されています。
また、お茶には老化を抑制する成分も含まれています。人間が老化する一因として考えられているのが、体内での活性酸素の生成。それを抑えるためには、抗酸化作用を持つ食べ物を摂取することが効果的です。お茶には、これら抗酸化作用を持つビタミン類が豊富に含まれており、老化抑制も期待できるというわけです。
お茶には、手もみ茶、玉露、煎茶、番茶、ほうじ茶など、さまざまな種類があります。美味しく飲むための入れ方も、種類によってさまざま。手もみ茶や玉露、また煎茶の高級品は、よく沸騰させたお湯を50℃から70℃程度にさまし、2分程度抽出するのが良いようです。また、番茶やほうじ茶は沸騰した湯を注ぎ、30秒程度で抽出します。
鎌倉時代の僧・栄西は、著書である喫茶養生記に「茶は養生の仙薬なり。延命の妙術なり」と記しています。飲んで美味しく、健康にも良い緑茶。その中でも最高級レベルの手もみの『奥久慈茶』を、一服、いただいてみてはいかがでしょうか。
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