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更新日:2015年4月1日

高速道路沿線の産業構造と開通による効果について

 平成26年1月21日掲載

~平成24年経済センサス-活動調査の結果からみた北関東自動車道沿線の状況~

 目次

見たい項目をクリックしてください。

1.はじめに

2.北関東自動車道の状況

  1. 概要
  2. 交通量の変化
  3. 沿線市町における主な事業所の動き

3.平成24年経済センサス-活動調査の調査結果に見る沿線市町の産業構造

  1. 事業所数及び従業者数
  2. 産業別事業所数及び従業者数
  3. 主な産業別売上高
  4. インターチェンジ周辺地域における産業構造の特徴

4.過去の調査結果との比較による産業構造の変化

  1. 事業所数の推移
  2. 従業者数の推移
  3. 1事業所当たり従業者数の推移
  4. 6市町及びインターチェンジ周辺地域における産業別従業者数の増減

5.その他の調査結果に見る沿線の産業構造の変化

  1. 人口の推移
  2. 製造品出荷額の推移
  3. 年間商品販売額の推移
  4. 入込客数の推移

6.おわりに

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 1.はじめに

経済センサスは,全産業分野のすべての事業所・企業を対象として平成21年から開始された調査である。それまで事業所・企業統計調査が実施されてきたが,インターネットの普及によって増加し続ける「SOHO」(Small Office Home Office;自宅マンション等を活動の場とする事業所のこと)等,外観からは把握が困難な事業所をどう捕捉するかについて課題がでてきた。このため,新たに商業・法人登記等の行政記録を活用するなど調査方法等を見直した経済センサスが実施されることとなった。

このうち,平成21年に事業所・企業の捕捉を目的とする経済センサス-基礎調査が実施されたのに続き,平成24年には経理状況の把握を主な目的とする経済センサス-活動調査が実施された。これにより,我が国及び地域別の全ての産業における経済活動の実態を明らかにするとともに,他の調査の精度向上に資する母集団を得ることが期待されている。

一方,この間の平成23年3月19日に北関東自動車道が全線開通した。

北関東自動車道の開通によって北関東地方の高速ネットワークが形成され,主要都市間の移動時間の短縮や,並行して走る国道50号等幹線道路の渋滞緩和などの直接的な効果に加え,企業活動の活発化,観光やショッピングへの集客力の向上,さらには災害時における緊急輸送路の確保等,多方面に渡る間接的な効果が期待されているところである。

ここでは,北関東自動車道の全線開通前後に実施された経済センサスの調査結果を中心に検証することにより,県内の北関東自動車道沿線地域の産業構造の特徴及び全線開通に伴う効果について分析を行う。

 

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 2.北関東自動車道の状況

 (1)概要

北関東自動車道は群馬県高崎市を起点とし,常陸那珂港を終点とする全長約150キロメートルの高速自動車国道である。北関東自動車道は北関東3県の主要都市と常陸那珂港を直結し,首都圏から100~150キロメートル圏を環状に連結している(県内の一部は国道6号「東水戸道路」及び県道常陸那珂港南線「常陸那珂有料道路」(いずれも一般有料道路)の位置付けとなっている)。

平成5年に建設が開始され,平成8年に水戸南インターチェンジから水戸大洗インターチェンジ間が開通したのを皮切りに,平成20年までに,県内のすべての区間が開通した。さらに,残りの太田桐生インターチェンジから佐野田沼インターチェンジ間が平成23年に開通したことにより,北関東自動車道が全線開通するに至った。

本自動車道が通過する県内の市町村は,水戸市,笠間市,ひたちなか市,筑西市,桜川市及び茨城町の6市町である。また,県内には10箇所のインターチェンジ及び常磐自動車道及び東関東自動車道とを結ぶ2箇所のジャンクションが設置されている。

笠間パーキング,茨城町西インター写真

北関東自動車道路線図(茨城県内)
北関東自動車道路線図(茨城県内)イメージ

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 (2)交通量の変化

北関東自動車道の県内区間における平成17年と平成22年の交通量を比較してみると第1図のようになる。平成22年にはまだ全線開通していないが,茨城県内区間については既に開通している。平成22年の調査で最も交通量が多かったのは友部JCT~茨城町西IC間の25,431台であり,平成17年と比較すると交通量は約1.8倍に増加している。他の地点についても,友部IC~友部JCTの約4.9倍をはじめ,水戸大洗IC~ひたちなかIC間の3.2倍,水戸南IC~水戸大洗IC間の3.0倍など,いずれも大幅な伸びとなっている。

一方で,並行して走る国道50号の交通量を見てみると,3地点とも平成22年の交通量は減少しており,特に結城市及び桜川市の交通量は0.7倍となっている。これらのデータにより,北関東自動車道の開通区間が延伸されるにつれて北関東自動車道を利用する車が増加した結果,国道50号の交通量が減少して慢性的な渋滞の緩和にもつながったことがうかがえ,北関東自動車道の開通により直接的な効果があったということができる。

ただし,平成21年3月28日から平成23年6月19日まで各種社会実験が実施され,高速道路通行料金の休日上限設定や水戸南IC~ひたちなかIC間の無料化などの措置が取られたことや,その後の平成24年3月31日までは,接続する常磐自動車道や東北自動車道の一部区間で東日本大震災による無料措置が取られたことも,北関東自動車道の交通量増加の一要因となったと考えられる。(第1・2図)

図1北関東自動車道の交通量の変化グラフ,図2国道50号の交通量の変化グラフ

国土交通省「平成22年交通センサス」24時間自動車類交通量(上下線)結果による

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 (3)沿線市町村における主な事業所の動き

北関東自動車の着工から全線開通までの県内沿線市町村における主な事業所・企業をめぐる主な動きは以下のとおりで,平成8年に水戸南IC~水戸大洗IC間が最初に開通して以降,新たな大型商業施設や工場が相次いで進出するなど,大きな動きがあった。

  • 平成10年10月:ひたちなか市新光町にジョイフル本田ニューポートひたちなか店開業
  • 平成16年10月:茨城町桜の郷に国立病院機構水戸医療センターが移転開院
  • 平成18年7月:ひたちなか市新光町に大型商業施設ファッションクルーズ開業
  • 平成19年1月:ひたちなか市長砂にコマツ茨城工場稼働開始
  • 平成19年4月:茨城町長岡に大型商業施設イオンタウン水戸南開業
  • 平成20年4月:ひたちなか市長砂に日立建機常陸那珂臨海工場稼働開始

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 3.平成24年経済センサス-活動調査の調査結果に見る沿線市町の産業構造

平成24年経済センサス-活動調査の集計結果(確報)のうち,平成25年8月に産業横断的集計結果の基本的事項が公表された。本分析においては,このうち,県・市町村別集計結果(事業所数,従業者数及び売上高)及び9月に公表された町丁・大字別集計結果(事業所数,従業者数)のデータを活用し,まず北関東自動車道沿線市町村及びインターチェンジ周辺地域等の産業構造の特徴を見ていきたい。

 (1)事業所数及び従業者数

沿線6市町における事業所数(※不詳を含まない事業所数とする)は30,360事業所であり,県全体の事業所数(118,063事業所)の25.7%を占めている。これは,水戸市が13,215事業所で県全体の11.2%を占めて県内第1位となっていることが大きく影響している。また,それ以外にも県内10位以内に笠間市,ひたちなか市及び筑西市の3市が入っていることにより,6市町平均でも県平均を大きく上回っている。

次に,従業者数については6市町で304,205人,県全体の25.0%と,事業所数とほぼ同じ割合を占めている。従業者数でも水戸市が県内トップの140,882人であり,県全体の11.6%を占めているほか,ひたちなか市及び筑西市が10位以内に入っており,6市平均でも県平均を上回っている。

また,1事業所当たり従業者数を見てみると,県平均が10.3人であるのに対してひたちなか市は12.0人,水戸市が10.7人と,県平均より高くなっている。一方で笠間市が7.6人,桜川市が6.9人と平均より低くなっている。このことにより,ひたちなか市などでは比較的規模の大きい事業所が多く,桜川市などでは規模の小さい事業所が多いことがわかる。(第1表)

第1表:6市町別事業所数及び従業者数
第1表6市町別事業所数及び従業者数の表

つくば関城工業団地,水戸東部工業団地写真

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 (2)産業別事業所数及び従業者数

次に,産業別の事業所数及び従業者数の状況について,産業大分類の上位5位までを見てみたところ次のようになった。(第2・3表)

第2表:産業大分類別事業所数構成比(上位5産業)
第2表産業大分類別事業所数構成比(上位5産業)の表

第3表:産業大分類別従業者数構成比(上位5産業)
第3表産業大分類別従業者数構成比(上位5産業)の表

注)表中のアルファベットは,産業大分類を表すもので,以下のとおりである。
A~R全産業(S公務を除くA~B農林漁業)C鉱業,採石業,砂利採取業,D建設業,E製造業,F電気・ガス・熱供給・水道業,G情報通信業,H運輸業,郵便業,I卸売業,小売業,J金融業,保険業,K不動産業,物品賃貸業,L学術研究,専門・技術サービス業,M宿泊業,飲食サービス業,N生活関連サービス業,娯楽業,O教育,学習支援業,P医療,福祉,Q複合サービス事業Rサービス業(他に分類されないもの)

 

まず,事業所数では県全体及び6市町計では上位5位までは同じ結果となった(第1位:「卸売業,小売業」,第2位:「建設業」,第3位:「宿泊業,飲食サービス業」,第4位:「生活関連サービス業,娯楽業」,第5位:「製造業」)。

次に,市町別の産業別事業所数を見ると,各市町ともに第1位は「卸売業,小売業」となっており,その割合は,いずれもほぼ25%前後となっている。

第2位,第3位には「宿泊業,飲食サービス業」や「建設業」が占めており,その割合は10%台の市町が多いが,桜川市については「製造業」が2位で,占める割合も25.4%と高く,「卸売業,小売業」の割合とほとんど変わらないのが目立つ。その他上位を占める産業としては,「生活関連サービス業」や「その他のサービス業」などとなっている。

 

一方,従業者数については,県全体では第1位が「製造業」となっているのに対し,沿線6市町計では「卸売業,小売業」が第1位となっている。これは水戸市で「卸売業,小売業」の従業者数が多いことがその要因であると考えられる。また,県と6市町計では第3位に「医療,福祉」が入っている。

市町別に見ると,水戸市,茨城町では事業所数と同様に「卸売業,小売業」が第1位となっているが,その他の4市においては「製造業」が第1位となっている。特にひたちなか市,筑西市,桜川市では30%以上を占めている。第2位以下の産業で目立つのは「医療,福祉」で,事業所数では上位5位に入っていなかったが,従業者数では上位3位までに入っている市町が多くなっている。特に茨城町では18.5%を占め,全体の2位となっているのが特徴的である。

このように,事業所数と従業者数では産業別構成割合に違いが見られるのがわかる。(第3・4図)

第3図:大分類別事業所数の割合
第3図大分類別事業所数の割合グラフ

第4図:大分類別従業者数の割合
第4図大分類別従業者数の割合グラフ

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 (3)主な産業別売上高

次に,県及び沿線6市町における主な産業大分類別売上高を示したのが下の第4表である。ここでは一部の産業しか掲載されていないが,今回の経済センサスでは,いわゆる「※ネットワーク型産業」においては事業所単位の売上高が把握できないため除外している。また,秘匿のある産業についても順位が確定できないため除外した。

この表により,まず産業毎に沿線6市町の県全体に占める売上高を見てみると,「不動産業,物品賃貸業」が40.3%,「医療,福祉」が39.5%,「卸売業,小売業」が38.3%と,高い割合を示している。一方,「製造業」(17.9%),「学術研究,専門・技術サービス業」(9.9%)などが低くなっている。これらの要因は,以下に述べるように,産業ごとの水戸市の占める位置による影響が大きいと思われる。

市町ごとにその特徴を見ていく。
まず,水戸市については「製造業」以外の分野において,ほとんど第1位から第3位に入っている。水戸市は県庁所在地で事業所が集中する傾向にあるため売上高も上位になっていると思われる。特に,「卸売業,小売業」,「不動産業,物品賃貸業」及び「医療,福祉」では県全体の売上高の30%前後を占めている。ちなみに水戸市は「卸売業,小売業」において全国第29位にランクインしており,まさに商業都市としての地位を保っているといえる。

笠間市においては「卸売業,小売業」,「宿泊業,飲食サービス業」及び「その他のサービス業」で第11位前後と県内上位に入っている。ひたちなか市では「製造業」の売上高が高く,県全体の9.5%を占めて3位となっている。その他の産業でもすべて10位以内に入っている。筑西市においても「製造業」が県全体の売上高の4.7%を占めて第6位となっているが,その他の産業でも10位前後に位置している。桜川市では「生活関連サービス業」が21位と比較的上位に位置している。茨城町においては「医療,福祉」が第11位と上位に入っているのが注目される。また,「卸売業,小売業」も第19位に入っている。(第4表)

  • 「ネットワーク型産業」の産業分類一覧
    「建設業」,「電気・ガス・熱供給・水道業」,「通信業」,「放送業」,「映像・音声・文字情報制作業」,「運輸業,郵便業」,「金融業,保険業」,「学校教育」,「郵便局」,「政治・経済・文化団体」及び「宗教」

第4表:主な産業大分類別売上高
第4表主な産業大分類別売上

 

以上のとおり,今回の経済センサス-活動調査における事業所数,従業者数及び売上高の結果から,沿線6市町における産業構造について,次のような産業特性があることがわかった。
(なお,農林漁業の個人経営については経済センサスにおいて調査の対象外となっているため含めていない。)

1.水戸市

「卸売業,小売業」が中心となっているほか,「不動産業,物品賃貸業」,「医療,福祉」などその他の多くの分野でも県内における中心となっている。

2.笠間市

「卸売業,小売業」や「宿泊業,飲食サービス業」などが中心的な産業となっている。これは,陶芸や笠間稲荷神社を中心とした観光関連産業が盛んであるからと思われる。

3.ひたちなか市

「製造業」が中心であるが,「卸売業,小売業」などをはじめとして各産業においても県内において上位の位置にある。

4.筑西市

「製造業」が中心となっている。市内数カ所に工業団地が存在するほか,県西地域の中心都市としてその他の産業においても上位の位置にある。

5.桜川市

「製造業」が中心的な産業となっている。特産の石材産業が中心になっていると思われる。

6.茨城町

「卸売業,小売業」と「医療,福祉」中心の産業構造となっている。イオンタウン水戸南や桜の郷地区の整備による影響と思われる。

常陸那珂地区の商業施設,国道50号沿いの商業施設写真

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 (4)インターチェンジ周辺地域における産業構造の特徴

ここまでは沿線市町別に見てきたが,さらに小地域における産業構造の特徴を見るため,大分類別町丁・大字別集計結果を活用する。なお,地域別・産業別に見ると事業所数が極端に少なくなることや,事業所数の増減と従業者数の増減が必ずしも比例しないため,主に従業者数に絞って検証する。町丁・大字別集計での比較のため,ICからの距離や面積等統一した条件とはならないが,各市町においてICに隣接した商業施設や工業団地の存在する地域を中心に選択して,その特徴を見ていきたい。

1.水戸市:水戸南IC周辺

<水戸市元石川町,酒門町,けやき台3丁目>

水戸市酒門町は水戸南ICの南西側及び北側の国道6号沿いに広がる地域である。面積が広いこともあり,事業所数が368事業所,従業者数も3,683人と多い。産業別従業者数では「卸売業,小売業」の従業者数が776人(全産業の30.8%)で最も多く,次いで「製造業」の642人(17.4人),「医療,福祉」の522人(14.2%)の順となっており,比較的「医療,福祉」の占める割合が高い。

けやき台3丁目は水戸南ICから西の国道6号バイパス沿いに位置する地域で,面積は狭いが,商店を中心に事業所が比較的多い。この地域では「卸売業,小売業」が353人(31.7%)で最も多いが,続いてその他のサービス業(■)が295人(26.5%)と多いのが目立つ。

また,元石川は水戸南ICの東側に広がる地域で,地域内には水戸東部工業団地がある。このため,この地域の「製造業」の従業者数は658人(49.8%)と約半数を占めており,次いで「卸売業,小売業」の208人(15.8%),「運輸業,郵便業」の188人(14.2%)などが続いており,「製造業」中心の産業構造となっている。(第5図)

  • その他のサービス業
    サービス業のうち,他に分類されないもので,例としては廃棄物処理業,自動車整備業,機械等修理業,職業紹介・労働者派遣業,政治・経済・文化団体,その他となっている。

第5図:水戸南IC周辺の産業別従業者数
第5図水戸南IC周辺の産業別従業者数グラフ

2.笠間市:笠間西IC・友部IC周辺

<長兎路,稲田,平町>

長兎路は友部JCT付近から常磐自動車道に沿って南側に広がる地域である。この地域には茨城中央工業団地(笠間地区)の一部が含まれている。この地域では「宿泊業,飲食サービス業」が273人で最も多く,48.9%を占めている。地域内に友部サービスエリアがあるため,「宿泊業,飲食サービス業」の従業者数の割合が高いものと思われる。また,「製造業」は179人(37.1%)となっている。

稲田は笠間西ICから北東に少し離れた場所に位置している。この地域には稲田石材団地があり,また,地元の産業である稲田御影石の産地となっている。このため,この地域ではやはり「製造業」が多く413人(48.5%)となっており,その他の主な産業としては「卸売業,小売業」の129人(15.2%)となっている。

平町は,友部ICを含んでその北側及び東側に及ぶ広い地域であり,地域内には国道355号バイパスも通っており,JR友部駅にも比較的近い。この地域には旧畜産試験場跡地があり,約34ヘクタールの跡地が事業用地として今後整備が進められる予定となっている。この地域の従業者数を産業別に見ると,「卸売業,小売業」の124人(18.8%),「建設業」の91人(13.8%),「医療,福祉」の87人(13.2%),「その他のサービス業」82人(12.5%),「宿泊業,飲食サービス業」の62人(9.4%)などとなっており,特に突出した産業はなく,各産業とも小規模の事業所が存在している地域と言える。(第6図)

第6図:笠間西IC・友部IC周辺の産業別従業者数
第6図笠間西IC・友部IC周辺の産業別従業者数グラフ

3.ひたちなか市:ひたちなかIC,ひたち海浜公園IC,常陸那珂港IC周辺

<ひたちなか市山崎,新光町,長砂>

ひたちなか市山崎は,ひたちなかICの北側に位置し,地域のほとんどが山崎工業団地となっている。従って,従業者数は「製造業」が755人で最も多く,全産業の58.7%を占めている。その他の産業としては「運輸業,郵便業」が243人(18.9%)となっており,2産業で全体の約8割を占めている。

新光町は,ひたちなかICとひたち海浜公園ICに挟まれた地域で,大規模商業施設や常陸那珂工業団地がある。この地域では「卸売業,小売業」の従業者数が1,433人と最も多く,全産業の51.6%を占めている。また,その他の産業でも「製造業,情報通信業」,「宿泊業,飲食サービス業」,「生活関連サービス業」,「その他のサービス業」などにおいても200人前後(全体の約5~10%程度)の従業者数となっている。このことから,新光町ではジョイフル本田やファッションクルーズをはじめとして現在も出店が続く大型商業施設を中心に,「卸売業,小売業」以外の事業所も進出していることがうかがえる。

長砂はひたち海浜公園ICの北側に広がる茨城港常陸那珂港及びその西側に広がる田園地帯から成っている。この地域においては「製造業」の従業者数が1,190人とかなり多く,全産業の67.9%を占めている。次に「運輸業,郵便業」の196人(11.2%)が続いており,この2産業で全体の約8割を占めている。これは,建設機械大手のコマツ,日立建機の工場が相次いで進出し操業を開始したことが大きな要因と考えられる。(第7図)

第7図:ひたちなかIC・ひたち海浜公園周辺の産業別従業者数
第7図ひたちなかIC・ひたち海浜公園周辺の産業別従業者数グラフ

4.筑西市:桜川筑西IC周辺

<玉戸,舟生,小川>

筑西市については,市内を通過する北関東自動車道の道路延長がわずかで,インターチェンジに近接した地域もないため,主な工業団地のある地域を中心に産業構造を確認していく。

筑西市玉戸はJR水戸線玉戸駅から南東に広がり,水戸線と常総線に挟まれた地域であり,幹線道路の国道50号も通っている。この地域には玉戸駅近くに玉戸工業団地がある。このため,この地域では「製造業」が最も多く,833人の従業者数となっているが,全産業に占める割合は27.7%とそれほど高くない。他の産業についても,「卸売業,小売業」が648人(21.5%),「宿泊業,飲食サービス業」が377人(12.5%),「運輸業」が359人(11.9%),「生活関連サービス業」が258人(8.6%)などと,バランスの良い産業構造となっている。これは,地域内に工業団地はあるものの,隣接する国道50号沿いには商店や飲食店等が多く,市街地として形成されてきた地域であるためと考えられる。

舟生は国道50号から南にやや離れた田園地帯となっているが,その地域内につくば関城工業団地が造成されており,現在も分譲中である。ここでは「製造業」が728人で最も多く,全体の構成比は77.0%に上っており,ほぼ工業団地中心の産業構造となっている。

また,川島駅から北に細長く広がる小川地区においては下館第2工業団地が造成されている。この地域でも「製造業」が3,234人(83.8%)と数,比率共に高い数値となっており,「製造業」が中心となっている地域であることがわかる。(第8図)

第8図:筑西市の主な工業団地周辺の産業別従業者数
第8図筑西市の主な工業団地周辺の産業別従業者数グラフ

5.桜川市:桜川筑西IC周辺

<岩瀬,御領1丁目,長方>

桜川市岩瀬は桜川・筑西ICのすぐ東側にあり,JR水戸線の岩瀬駅周辺から国道50号岩瀬バイパスの北側にまで広がる地域であり,交通の利便性が高く,桜川市の中心市街地となっている。産業別従業者数を見ると,「製造業」の243人が最も多いが,全産業に占める割合は24.8%でそれほど高くはない。「医療,福祉」の197人(全体の20.1%)や「卸売業,小売業」の142人(同14.5%)などが続いており,比較的小規模の事業所が産業の偏りなく存在している地域と言える。

御領1丁目は岩瀬地区と国道50号バイパス北側に面した狭い地域であるが,スーパーや飲食店が立ち並ぶ地域となっている。この地域の傾向は「卸売業,小売業」の144人(38.1%)や「その他のサービス業」の105人(27.8%),「宿泊業,飲食サービス業」の72人などが主な産業となっている。

さらに,桜川・筑西ICを中心としてその西側に広がる長方は,桜川市が平成21年に「桜川筑西IC周辺都市整備構想」として位置付けている地域である。この地域においては図で示すとおり「製造業」が中心となっており,395人,全産業の72.6%を占め,次に多いのは「卸売業,小売業」の90人(16.5%)となっており,この2産業で全体の約9割を占めている。(第9図)

第9図:桜川・筑西IC周辺の産業別従業者数
第9図桜川・筑西IC周辺の産業別従業者数グラフ

6.茨城町:茨城町東IC及び茨城町西IC周辺

<茨城町長岡,中央工業団地,桜の郷>

茨城町長岡は茨城町東ICから南に広がる地域で,インターチェンジには国道6号がアクセスしている。この地域には商業施設であるイオンタウン水戸南がある。産業別従業者数を見てみると,「卸売業,小売業」が1,094人と最も多く,全産業の37.9%を占めている。ただ,その他の産業についても「建設業」,「製造業」,「宿泊業,飲食サービス業」,「医療,福祉」,「その他のサービス業」等ほぼ200~300人程度の従業者数となっており,産業間のバランスの取れた地域となっている。

また,中央工業団地は,茨城町西IC周辺に広がる茨城中央工業団地のある地域である。この地域の総従業者数は121人で,うち「卸売業,小売業」が65人(53.7%),「製造業」が56人(46.3%)といずれも少数で,それ以外の産業の従業者はいない。

また,茨城町西ICから北東の位置にある桜の郷では総従業者数1,135人のうち,実に1,025人(全産業の90.3%)を「医療,福祉」が占めている,先に述べたとおり,この地域は国立病院機構水戸医療センターを中心に福祉施設や薬局が建設されるなど,「医療,福祉」の事業所が集積する地域となっていることがわかる。(第10図)

第10図:桜川・筑西IC周辺の産業別従業者数
第10図茨城町東IC・茨城町西IC周辺の産業別従業者数グラフ

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 4.過去の調査結果との比較による産業構造の変化

次に,今回の調査結果と平成21年7月1日に実施された平成21年経済センサス-基礎調査(以下「基礎調査」という。)との比較を中心に,北関東自動車道沿線6市町における産業構造の変化を検証してみたい,なお,基礎調査では経理項目は調査していないため,事業所数及び従業者数についてのみの比較となる。

 (1)事業所数の推移

まず,事業所数を基礎調査と比較すると,6市町の平均では7.4%の減少となっている。県全体の事業所数の減少率が7.2%となっているため,これを0.2ポイント上回っている。また,6市町について市町別に見てみると,5市が6.4%~8.1%の減少率となっているのに対し,茨城町は4.3%の減少と,減少率が低くなっている。ちなみに,県内すべての市町村において事業所数は減少している。
なお,全国の事業所数は7.3%の減少率となっており,本県や沿線6市町における事業所数の減少率は全国平均とほぼ変わらないといえる。

次に,参考までに平成18年まで実施されていた「事業所・企業統計調査」のうち,北関東自動車道が一部開通した平成8年と平成18年の事業所数の増減率を見てみると,沿線6市町では12.8%の減少となっており,県平均の減少率(10.9%の減少)を約2ポイント上回っている。市町別に見てみると,笠間市とひたちなか市の減少率がやや低くなっているのに対し,桜川市が25.4%の減少と,かなり高くなっている。(第5表・第11図)
ただ,この間の平成11年から平成13年にかけては水戸市と笠間市の事業所数が増加している。この時期の動きとしては,笠間市では岩間工業団地等での新規工場の新設,ひたちなか市では商業施設の新設があったことがその要因と思われる。

なお,この間には北関東自動車道の水戸大洗IC~ひたち海浜公園IC間が,平成11年7月22日に,友部JCT~水戸南IC間が平成12年3月18日に,さらに,友部IC~友部JCT間が同年12月2日に相次いで開通しており,これによって,友部ICから東側が開通し,本県内の交通網がより一層整備された時期でもある。

第5表:事業所数の推移
第5表事業所数の推移の表

第11図:事業所数増減率の推移
第11図事業所数増減率の推移グラフ

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 (2)従業者数の推移

沿線6市町の従業者数を前回基礎調査と比較すると6.5%の減少となっている。県全体の従業者数の増減率は4.9%の減少となっているため,これを1.6ポイント上回っている。
6市町を市町別に見てみると,茨城町を除く5市がいずれも減少しており,中でも桜川市は10.6%の減と,減少率が高くなっている。一方で,茨城町は唯一上昇しており,前回比0.9%の上昇となっている。ちなみに,前回と比べ増加しているのは県内では6市町村しかない。
なお,全国と比較すると,全国平均は4.5%の減少となっており,本県は全国平均よりも減少率がやや高くなっている。

次に,「事業所・企業統計調査」の平成8年から平成18年の従業者数の推移を見ると第6表のとおりとなっており,調査年によって増減しているが,このうち,平成8年と18年を比較した従業者数の増減率を見てみると,第12図のとおり沿線6市町の計では7.7%の減少となっており,県平均の4.1%の減少率より減少率が高くなっている。市町別に見てみると,笠間市が3.3%の増となっている以外は減少しており,特に,桜川市が20.2%の減少,筑西市が14.1%の減少と,県西の2市で減少率が高くなっていることがわかる。(第6表・第12図)
ただ,この間の平成11年から平成13年にかけては水戸市と笠間市が,平成16年から平成18年にかけてはひたちなか市と茨城町で従業者数が増加している。茨城町では平成18年に国立病院機構水戸医療センターが移転したことがその要因と思われる。

第6表:従業者数の推移
第6表従業者数の推移の表

第12図:従業者数増減率の推移
第12図従業者数増減率の推移グラフ

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 (3)1事業所当たり従業者数の推移

次に1事業所当たりの従業者数を見ると,沿線6市町における平成24年の従業者数は10.0人であったが,前回基礎調査と比較すると0.1人増加している。市町別では,筑西市と茨城町の1事業所当たり従業者数が県平均を上回る上昇率となったが,桜川市は減少している。これは,比較的規模の大きい事業所数の減少か,事業規模の縮小があったためと思われる。

次に,「事業所・企業統計調査」の平成8年から平成18年の1事業所当たり従業者数の推移を見てみると第13図のとおりであり,平成11年以降はほぼ上昇しているのがわかる。特に茨城町の伸びが高く,平成8年と平成18年を比較すると,14.0%の増加となっているのが目立つ。(第13図・第7表)

1事業所当たり従業者数が増加の一途をたどっているのは全国的にも見られる傾向であり,その要因としては,小規模の個人事業所等が廃業し減少する一方で,従業者数の多い大規模な事業所が増加しているためと思われる。

第13図:1事業所当たり従業者数の推移
第13図1事業所当たり従業者数の推移グラフ

第7表:1事業所当たり従業者数増減率の推移
第7表1事業所当たり従業者数増減率の推移の表

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 (4)6市町及び主なインターチェンジ周辺地域における産業別従業者数の増減

次に,沿線6市町及びインターチェンジ周辺の小地域における変化について,再び市町村及び町丁大字別の集計結果を,産業別に基礎調査と比較(従業者数の増減数及び増減率)することによって検証していきたい。

1.水戸市及び水戸南IC周辺

まず,水戸市における増減数は,「製造業」,「教育,学習支援業」及び「医療,福祉」でわずかに増加しているが,逆に,「卸売業,小売業」で大きく減少しており,次いで「宿泊業,飲食サービス業」,「その他のサービス業」などの減少数が大きくなっている。また,減少率では「鉱業,採石業,砂利採取業」が極端に高いが,前回の従業者数そのものが少ないため,わずかな減少数であっても減少率が高くなったものである(他の市町村でも同じ傾向となっている。第14図)。

第14図:水戸市の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第14図水戸市の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

次に,酒門町では「卸売業,小売業」で128人の減,「建設業」で89人の減,さらに,「宿泊業,飲食サービス業」で58人の減,「運輸業,郵便業」で54人の減などとなっており,一部に増加している産業はあるものの,全体では308人の大幅な減少となっている。

次に,けやき台3丁目では「その他のサービス業」が171人の増,「宿泊業,飲食サービス業」が88人の増で,全体でも187人の増となっている。また,元石川町においては,「製造業」が371人の増と大幅に増加し,全体でも325人の増となっている。これは,この間に新たな工場の進出か事業規模の拡大があったものと推測される。(第15図)

第15図:水戸南IC周辺の従業者数の増減
第15図水戸南IC周辺の従業者数の増減グラフ

2.笠間市及び笠間西IC・友部IC周辺

笠間市全体では,「製造業」及び「医療,福祉」でわずかに増加している以外はすべて減少し,特に「卸売業,小売業」や「建設業」で減少数,減少率ともに高くなっている。(第16図)

第16図:笠間市の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第16図笠間市の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

次に,長兎路においては「宿泊業,飲食サービス業」が91人増加している。その一方で「製造業」が31人減少しており,全体では48人の増となっている。この間,平成22年1月に友部サービスエリアがリニューアルオープンして業務拡大しており,その影響で「宿泊業,飲食サービス業」の従業者数が増加したものと思われる。稲田においては,「製造業」において85人の増となったが,逆に「卸売業,小売業」で67人の減,「建設業」で48人の減,「鉱業,採石業,砂利採取業」で40人の減など各産業で減少し,全体では81人の減少となった。

平町では「学術研究,専門・技術サービス業」及び「宿泊業,飲食サービス業」でそれぞれ6人増とわずかに増加したものの,それ以外は減少した。減少数が多いのはこの地域でも「卸売業,小売業」であった。(第17図)

第17図:笠間西IC・友部IC周辺の従業者数の増減
第17図笠間西IC・友部IC周辺の従業者数の増減グラフ

茨城町桜の郷の国立病院機構水戸医療センターと住宅団地写真

3.ひたちなか市:ひたちなかIC,ひたち海浜公園IC,常陸那珂港IC周辺

ひたちなか市全体では「医療,福祉」及び「その他のサービス業」で従業者数が増加した。それ以外の産業では従業者数は減少し,特に「製造業」において約3,000人の減と大幅に減少した。(第18図)

第18図:ひたちなか市の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第18図ひたちなか市の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

一方,地域別に見てみると,新光町では全体で21人の増となっている。このうち,「卸売業,小売業」が112人の増,「情報通信業」が73人の増となっている反面,「製造業」が87人の減,「運輸業」が54人の減となるなど,産業分野によって増減の動きが激しくなっている。また,長砂においては「製造業」の従業者数が一気に625人も増加しているが,この間に大手建設機械メーカーの工場が進出したことが大きく影響している。また,山崎では「建設業」において従業者数が187人減少しているのが目立つ。(第19図)

第19図:ひたちなかIC・ひたち海浜公園IC周辺の従業者数の増減
第19図ひたちなかIC・ひたち海浜公園IC周辺の従業者数の増減グラフ

4.筑西市:桜川筑西IC周辺

筑西市全体では「金融業,保険業」,「医療,福祉」及び「その他のサービス業」で従業者数が増加している。一方で「卸売業,小売業」をはじめ「建設業」,「宿泊業,飲食サービス業」などの減少数が多い。また,「電気・ガス・熱供給事業」と「複合サービス事業」の減少率が高くなっている。(第20図)

第20図:筑西市の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第20図筑西市の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

一方,地域別について見てみると,玉戸ではその他のサービス業が40人増となるなど一部産業で増加したものの,「卸売業,小売業」が184人の減,「製造業」が145人の減となるなど,全体では418人の大幅な減少となった。舟生においても「医療,福祉」で12人増であったが,「製造業」が289人減と大きく減少するなどしたため,全体でも281人の減少となった。逆に小川では「製造業」が342人と大幅に増加。「運輸業,郵便業」で46人の減少,「卸売業,小売業」で29人の減少などしたものの,全体では272人の増となり,舟生の減少数と逆にほぼ同じ数だけ増加する形となった。(第21図)

第21図:筑西市の主な工業団地周辺の従業者数の増減
第21図筑西市の主な工業団地周辺の従業者数の増減グラフ

5.桜川市:桜川筑西IC周辺

桜川市全体では「製造業」が増加しているのが目立つ。一方,「卸売業,小売業」の減少数が高くなっている。(第22図)

第22図:桜川市の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第22図桜川市の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

一方,地域別では3地域とも減少している。このうち,岩瀬では「卸売業,小売業」や「建設業」を中心に全体で70人減少した。御領1丁目では「宿泊業,飲食サービス業」が41人増加したものの,その他の産業では減少し,全体では41人の減少となった。長方においては「製造業」が19人増加した以外は減少し,全体で20人の減少となった。(第23図)

第23図:桜川・筑西IC周辺の従業者数の増減
第23図桜川・筑西IC周辺の従業者数の増減グラフ

6.茨城町:茨城町東IC及び茨城町西IC周辺

茨城町全体では「医療,福祉」をはじめ「運輸業,郵便業」,「製造業」,「生活関連サービス業,娯楽業」,「卸売業,小売業」など8産業で前回よりも増加しており,これまで見てきた5市とは異なる動きとなっている。一方で,「建設業」と「その他のサービス業」は減少している。(第24図)

第24図:茨城町の従業者増減数と増減率(H24-H21)
第24図茨城町の従業者増減数と増減率(H24-H21)グラフ

次に,地域別に見てみると,長岡では「生活関連サービス業,娯楽業」が140人の増と大幅に増加している反面,「卸売業,小売業」が84人の減となるなど,全体では6人の増にとどまっている。中央工業団地では全体で7人の増となっているが,産業別には大きな増減はない。一方,桜の郷においては「医療,福祉」が236人と大幅に増加している。他の産業でも若干の増があり,全体では269人の増加となった。(第25図)

第25図:茨城町東IC・茨城町西IC周辺の従業者数の増減
第25図茨城町東IC・茨城町西IC周辺の従業者数の増減グラフ

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 5.その他の調査結果に見る産業構造の変化

これまでは平成21年経済センサス-基礎調査と平成24年経済センサス-活動調査の集計結果により北関東自動車道沿線市町の産業構造における特徴と変化を見てきたが,次に,その他の主な統計データを検証することによって,経済センサスの集計結果との関連性を見てみる。

 (1)人口の推移

平成7年以降の沿線6市町における人口の推移を見てみると,6市町の平均ではほぼ横ばい状態となっている。県全体では減少傾向が続いているのに比べると人口減少に歯止めがかかっているかに見える。ただ,市町別に見ると,それぞれ異なる傾向となっている。

6市町の中で水戸市及びひたちなか市についてはこの間増加が続いている。特に,ひたちなか市は平成7年と22年とを比較すると10,310人,7.0%の増加となっており,続いて水戸市が7,475人,2.9%の増となっている。
これ以外の市町ではすべて減少しており,特に,桜川市(6,299人,12.1%の減),筑西市(9,551人,8.1%の減)の減少率が高くなっている。

このように,沿線6市町の合計では横ばいであるが,北関東自動車道の常磐道から西側の地域で人口が減少しており,逆に東側の地域でほぼ同じ人口が増加して6市町の合計では横ばいとなっていることがわかり,北関東自動車道沿線の東側と西側とでは人口増減の明暗が分かれる形となった。
また,先に見た経済センサスにおける従業者数の増減率と同じような傾向となっている。(第26・27図)

第26図:人口の推移
第26図人口の推移グラフ

第27図:人口増減率の推移
第27図人口増減率の推移グラフ

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 (2)製造品出荷額等の推移

平成7年以降の沿線6市町における製造品出荷額等の推移を見てみると第28図のようになる。この間は全体として製造品出荷額等の減少傾向が平成14年まで続いたあとは上昇に転じている。ただ,平成21年は県平均をはじめ,6市町についても落ち込んでいるが,これは平成20年のリーマンショックによる影響と思われる。

6市町の中では,ひたちなか市及び筑西市の製造品出荷額等が高く,6市町の平均を押し上げており,県平均も上回っている。その他の4市町は県平均を下回っている。

ひたちなか市と筑西市は同じような推移を示しており,両市ともに平成9年をピークに減少した後,平成14年以降は上昇に転じている。その後平成19~20年をピークに平成21年に落ち込んだ後平成22年には平成20年に近い額に回復している。
これ以外の4市町については横ばいから減少傾向が続いている。(第28図)

第28図:製造品出荷額等の推移
第28図製造品出荷額等の推移グラフ

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 (3)年間商品販売額の状況

次に平成6年以降の沿線6市町にける年間商品販売額の推移を見てみると第29図のようになる。これをみてもわかるように,水戸市の販売額が群を抜いており,これにより,6市町の平均を押し上げる結果となっている。

年間商品販売額の県平均を見ると,平成9年以降減少傾向が続いている。6市町の平均でも同じ傾向を示している。

続いて6市町別に見てみると,水戸市においては減少傾向が続き,特に平成11年から14年にかけての落ち込みが激しかったが,平成19年は上昇に転じている。また,ひたちなか市は,平成19年まで減少傾向が続いている。筑西市及び桜川市ではほぼ減少傾向が続いている。笠間市については,平成11年に上昇したもののその後はゆるやかに減少し続けている。また,茨城町については,平成19年まで徐々に伸びてきたことがわかる。

なお,今回の経済センサスで集計した卸売業及び小売業の年間商品販売額は,これまでの商業統計調査とは調査手法が異なるため比較はできない。(第29図)

第29図:年間商品販売額の推移
第29図年間商品販売額の推移グラフ

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 (4)入込客数の状況

最後に,平成16年以降の沿線6市町における入込客数の状況及び,主なイベントの入込客数の状況を見てみると下図のとおりとなる(※なお,この調査は本県では年度単位で集計していたが,国が暦年での集計に統一することとしたため,平成23年以降は暦年でのデータとなっている。よって,平成22年度と平成23年は一部集計データが重複するため,単純比較ができない。)。

平成24年の年間入込客数が6市町の中で最も多かったのは笠間市で,約347万人となっており,次いで水戸市の約314万入,ひたちなか市の約238万人の順となっている。その他の3市町は上位3市とは差があり,30~50万人程度となっている。

また,経年変化を見てみると,上位3位の市は平成18年度以降上昇していたが,いずれも平成22年度から平成23年にかけて減少しており,平成24年にはやや回復している。減少したのは東日本大震災による影響と思われる。また,平成16年度から21年度にかけては水戸市が1位であった。ひたちなか市では平成18年度に大きく入り込み客数が増加しているのが目に付く。一方,下位の3市町については,平成22年度に桜川市において若干増加している以外はほぼ横ばいとなっている。(第30図)

第30図:観光客入込客数の推移
第30図観光客入込客数の推移グラフ

次に,6市町の主要イベントにおける入込客数を見ると下図のとおりとなる。平成24年の結果で最も入り込み客数が多かったは水戸黄門祭りで約95万人,2位が笠間稲荷初詣の約81万人,3位が笠間の菊祭りの約79万人などとなっている。第31図を見てもわかるように震災のあった平成23年以前まではほとんどのイベントで入込客数が増加し続けているのがわかる。特に,笠間市においては年間を通してさまざまなイベントを企画し,入込客数の伸びが大きくなっているのがわかる。

北関東自動車道の開通区間が延伸されるにつれて入込客数が増加している。このことから,北関東自動車道の開通によって移動時間が短縮され,他県からの観光客が増加したものと推測される。(第31図)

笠間市陶炎祭の写真

第31図:県内主要イベントの入込客数
第31図県内主要イベントの入込客数グラフ

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 6.おわりに

今回の調査結果から,県全体では全国同様,事業所数及び従業者数の減少傾向が見られた。
一方,沿線6市町でも同様の結果となったが,市町別に見てみると,常磐自動車道から東側の市町(水戸市,ひたちなか市及び茨城町)において,事業所数や従業者数の増加もしくは減少しているもの減少率の低い傾向が見られた。また,その中でも,一部のインターチェンジ周辺地域においては増加傾向が見られた。特にひたちなか市においてその傾向が顕著であった。また,その他の統計調査においては,東日本大震災発生前までは人口・製造品出荷額等,入込客数等で,一部例外はあるものの増加傾向が続く結果となった。
一方,常磐自動車道から西側の市(笠間市,筑西市及び桜川市)においては,事業所数・従業者数ともに県平均より減少率が高い傾向にあり,特に桜川市における減少率が高かった。ただ,インターチェンジ周辺地域等に限ると,工業団地が造成されている地域においては従業者数の増加が見られる地域もあった。また,その他の調査では,人口・製造品出荷額等・年間商品販売額において比較的減少傾向が高かった。ただ,入込客数については,笠間市の増加傾向が顕著にみられた。

このように,本県内における北関東自動車道が常磐自動車道を境にして傾向が分かれたのは,東側での整備が先に進められたことや,東側には茨城港常陸那珂港区や茨城空港などが整備されていることなどがその要因と考えられる。特に,常陸那珂港区においては定期コンテナ航路等が徐々に増加したことなどによって,首都圏を回避して北関東自動車道経由で同港を利用するメリットが高まったためと思われる。
一方,西側においては東側と比較して整備が遅れたことや,県境を越えた栃木県上三川IC近くには大規模な複合型工業流通団地「上三川インターパーク」が整備され,大規模ショッピングモールが完成するなど商業集積地域となったことにより,近接する本県から同パーク内の事業所への就職や買物等流出があったものと考えられる。
ただ,笠間市においては入込客数が伸びており,観光面での効果は高かったものと考えられる。

このように,「卸売業,小売業」を中心に小規模事業所の減少傾向が続く中で,高速道路のインターチェンジ周辺地域等のうち,特に交通アクセスの優れた地域において,規模の大きな「卸売業,小売業」や「製造業」等の事業所が集中するという傾向が見られた。その一方で地元の産業不振が続く地域等においては,高速道路の開通で交通の利便性が高くなったことによって,逆に他地域への人口や事業所の異動・流出が発生するという負の効果も見られた。

常陸那珂地区,桜の郷地区の写真

群馬県前橋市においては総面積23万平方メートルに及ぶ敷地に大型商業施設「パワーモール前橋みなみ」が平成22年12月に開業した。現在も出店が続いている。先に述べた栃木県の「上三川インターパーク」や本県の常陸那珂地区に集積する商業施設など,インターチェンジ周辺地域等に整備された巨大商業施設は休日などは車と買い物客で一杯になる。いずれも同じような店舗構成となっており,低価格,豊富な品揃え等で人気を集めている。
また,今年度上期の工場立地件数で1位となった本県をはじめ,栃木県,群馬県の北関東自動車道沿線の工場立地状況は引き続き好調である。
今後も,首都圏に近接した3県においては北関東自動車道の開通効果により,インターチェンジ周辺地域等に事業所の進出が続き,産業の活性化が図られることが見込まれるが,本分析で見たように,その効果は地域一様とは言えない。今後,ますます激化する地域間競争の中で,地域をどのように作り上げていくかが大きな課題となっていると思われる。その端緒として,経済センサスをはじめ各種統計調査の重要性を再認識し,調査で得られたなデータを,各方面で有効に活用していただきたい。


平成26年7月1日に「経済センサス-基礎調査」を実施します。
ご理解とご協力をお願いします。

経済センサスキャラクターのイラスト

総務省統計局ホームページの「経済センサス総合ガイド」を御覧ください。
http://www.stat.go.jp/data/e-census/guide/index.htm(外部サイトへリンク)

 

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茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2656

FAX番号:029-301-2669

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