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更新日:2020年7月29日

統計用語の解説≪統計一般≫

 

 統計一般

一次統計【いちじとうけい】

一般に、統計調査の結果から直接得られる統計であり、統計の大部分はこの一次統計である。

二次統計【にじとうけい】⇒加工統計

X【えっくす】

「X」は、秘密保護上統計数値を公表しないものである。これは、統計法により、個人の秘密の保護が規定されており、統計数値から、個人が特定されてしまうことがわかっている場合、統計数値を「X」として、個人のプライバシーを保護している。具体的な例でいうと、A市で豚を飼っている家がBさん1戸しかなかった場合、Bさんの飼養頭数がそのままA市の豚の頭数となる。これを公表すれば、Bさんの家の豚の頭数がわかってしまう。2戸の場合も同じように個人が特定されてしまう。このように該当する農家などが2戸以下の場合は、統計数値を「X」としている。

円グラフ【えんぐらふ】

全円を100%にして、その内訳面積の広さを比較することによって、百分比の構成比を観察する、百分比グラフの一種。

帯グラフ【おびぐらふ】

長方形の全面積(長さを含む)を100%にして、分割された内訳面積の広さを比較することによって、百分比の構成比を観察する、百分比グラフの一種。
帯グラフの種類:

  1. 階段型帯グラフ
  2. 分流型帯グラフ
  3. 縦横百分比グラフ
  4. 分離型帯グラフ
  5. スライド型帯グラフ

折れ線グラフ【おれせんぐらふ】

多くは時系列表(例えば、月別降水量や年別米の収穫量)を観察する場合に用いられるグラフで、形態は時系列棒グラフの棒頭中央を線で結び、棒を取り除いたものと思えばよい。その折れ線の傾斜を観察することによって、時間的変動の特徴を明らかにするグラフである。目盛りには算術目盛り(変動差)が多く見られるが、対数目盛り(変動率)が使われることもある。
折れ線グラフの種類:

  1. 普通目盛りの線グラフ
  2. 円形目盛りの線グラフ
  3. 階段型線グラフ
  4. 平面線グラフ
  5. 内訳線グラフ
  6. 立体内訳線グラフ

顔型グラフ【かおがたぐらふ】

このグラフは、数種類の統計数字(異なる性質)で表された、人間の顔の表情を一見することによって、それら数量がもっている総合的特性を、瞬時に明らかにすることをねらいとしたものである。
例えば、物価情報を物価の顔として目…光熱費、マユ…住居費、口…食費などとし、各数量をコンピュータで表すと、その表情は明暗のない標準的な顔を中心にして、笑顔から泣き顔まで、数種類のパターンに変化する。当然、物価の安定を望むならば笑顔に向かうほどよいのだが、その表情で直感的に良否の判断ができる。このフェース(人間の顔)分析のアイディアは、1973年、当時アメリカ・スタンフォード大学のチャーノフ教授が提案したものとされている。

加工統計【かこうとうけい】

一次統計に何らかの加工処理などを行って得られる統計で、一次統計に比べて分析色彩のある統計。例えば、県民経済計算、産業連関表等がある。

重ね合わせ円グラフ【かさねあわせえんぐらふ】

同心円に表された2個以上の円グラフを比較することによって、同内容の構成比(百分比)の場所的比較や時間的変化を観察する、百分比グラフの一種。

基準改定【きじゅんかいてい】

統計指標の中には、社会情勢や産業構造の変化を正しく反映させるため指数の基準が改定されたり、センサス等の結果に基づいて修正されるものがある。例えば、鉱工業生産指数はラスパイレス方式により計算されるが、5年毎に採用品目、ウェイトが見直され、新しい基準に基づいて改定される。また、企業物価指数や消費者物価指数も同じように5年毎に改定される。国民経済計算は高度の加工統計であるが、その基礎資料である産業連関表が5年毎に公開されるのに合わせ、おおよそ5年毎に計算方法の見直しや各種概念・定義の変更が行われ、過去に公表された係数も遡及して改訂される。

基礎統計【きそとうけい】⇒一次統計

業務統計【ぎょうむとうけい】

登録、届出、業務記録など、行政機関や民間団体が行政上あるいは業務上の必要から集めた、もしくは作成した業務記録をもとに作成した統計。例えば、輸出・輸入の通関書類から作られる貿易統計、電気、ガスなどの公益事業統計等がある。また、その作成方法が統計調査として統計法の適用を受ける業務統計には、出生・死亡・婚姻の届出に基づく人口動態統計、建築工事届に基づく建築着工統計等がある。

三角グラフ【さんかくぐらふ】

正三角形内の点の位置から3辺までの距離によって、百分比の構成比を観察する、百分比グラフの一種。ただし、その内訳の数が3つの場合のみの構成比を図示する特殊なグラフでもある。

産業分類【さんぎょうぶんるい】⇒日本標準産業分類

小地域統計【しょうちいきとうけい】

地域計画、地域分析などに利用するために、通常は市町村の境域より小さい地域別に編成した統計をいう。主な小地域統計は、地域メッシュ、町丁字、国勢調査区、農業集落別の統計などである。

職業分類【しょくぎょうぶんるい】⇒日本標準職業分類

ストック【すとっく】

1時点において存在する量。フローが一定期間内に流れた量であるのに対比される。例えば、人口、在庫量、貯蓄残高等。フローとストックとの関係は、よく貯水池の流水量と貯水量との関係に例えられる。一定期間での流入量はフローの概念であり、ある1時点での貯水量はストックの概念である。また、フローの蓄積がストックとなる。例えば毎期の投資の蓄積が毎期末の資本ストックとなるが、その間における資本減耗分を含んだグロス(総、粗)概念とそれを含まないネット(純)概念とは区別される。

星座グラフ【せいざぐらふ】

多変量データの変量を個体ごとに1つ1つをベクトルとして表し、つなぎ合わせて最終点に1つの星を対応させたグラフを星座グラフと呼ぶ。星は必ず半円の中に入るように描き、データ全体を半円内の星座として表現する。

静態統計【せいたいとうけい】

国勢調査のように、調査対象を一定の時点において把握(調査)して作成した統計を静態統計という。これに対して、人口動態統計のように、一定の期間内に発生する事象を把握して作成する統計を動態統計という。

遡及改訂【そきゅうかいてい】

毎年調査が実施されないため、実施されない中間年次は便宜上統計処理によって求めた数値を用いている統計調査について、新しい調査結果が公表されたとき、そのデータを使って過去にさかのぼって修正すること。

第一義統計【だい1ぎとうけい】⇒調査統計

第二義統計【だい2ぎとうけい】⇒業務統計

体積グラフ【たいせきぐらふ】

図で示された球体や正立方体などの体積によって、数量間(大きな差のある主要国の石油埋蔵量など)の大小を比較(場所的・時間的)する、単純比較統計グラフの一種。

地域メッシュ【ちいきめっしゅ】

各種データを総合的、かつ多角的に利用するために、国土を方形、等積(多くは1平方キロメートル)に区画した地域区分である。

調査統計【ちょうさとうけい】

何らかの調査を行うことによって集められた情報から作成される統計。

統計表に用いる記号【とうけいひょうにもちいるきごう】

0(又は0.0) 該当する数値はあるが、表章単位に満たない場合
- 定義上、該当する数値が存在しない場合

数値が得られない(計数不明の)場合

未発表のもの
X 秘密保持上統計数値を公表しないもの⇒X(えっくす)

*(アスタリスク)(又は数値にrを付与する)

訂正数値
※(米印)(又は数値にpを付与する) 暫定数値
△(三角) 負の数又は減少したもの(温度の氷点下は-)

動態統計【どうたいとうけい】⇒静態統計

日本標準産業分類【にほんひょうじゅんさんぎょうぶんるい】

事業所において行われる経済活動すなわち産業を、主として

  1. 生産された財又は提供されるサービスの種類(用途、機能等)
  2. 財の生産又はサービス提供の方法(設備、技術等)
  3. 原材料の種類及び性質、サービスの対象及び取り扱われるもの(商品等)の種類

に着目して区分し、それを体系的に配列したもの。

日本標準職業分類【にほんひょうじゅんしょくぎょうぶんるい】

個人が従事している仕事の類似性に注目して区分し、それを体系的に配列したもので、各種統計調査の結果を職業別に表示する場合に用いられるものである。職業分類において職業とは、個人が行う仕事で、報酬を伴うか又は報酬を目的とするものをいう。ただし、自分が属する世帯の家業に従事している家族従業者が行う仕事は、報酬を受けているかどうかにかかわらず、一定時間(例えば、一日平均2時間、あるいは通常の就業者の就業時間の3分の1以上の時間等)当該仕事に従事している場合には、その仕事を職業とみなす。
したがって、次のような仕事は、職業に当たらない。

  1. 自分が属する世帯のため、家事や家庭菜園の作業を行う場合又は留守番等を行い小遣いを得た場合
  2. PTA・子供会の役員、社会福祉活動、ボランティア活動等のように無給の奉仕活動に従事している場合

また、窃盗、恐喝、とばく、売春、密輸等の違法行為及び公序良俗に反する行為並びに受刑者の行う仕事は、いずれも職業とはみなさない。

フロー【ふろー】

一定期間内に流れた量をいう。ストックが1時点に存在する量であるのに対比される。例えば、出生数、死亡数、生産量、出荷量、所得額、消費額等。

棒グラフ【ぼうぐらふ】

基線から出発をした同幅の棒の長短、高低によって、数量間の差や比、また、大小の順序などを観察するのが目的のグラフである(例えば、都道府県別の人口)。
棒グラフの種類:

  1. 単純比較棒グラフ
  2. 時系列棒グラフ
  3. 内訳棒グラフ

面積グラフ【めんせきぐらふ】

図で示された円形や正方形などの面積によって、数量間の大小を比較(場所的、時間的)する、単純比較統計グラフの一種。

ラウンド【らうんど】

統計数値は一定の桁で、ラウンド(四捨五入)を行うことがある。これは、求められた数値の誤差を取り除き、信頼性を高めるために行うものである。数値の大きさによって、この桁までは信頼できる数値である、という基準を定め、その桁でラウンドしている。

レーダーチャート【れーだーちゃーと】

レーダーチャートは極グラフ、風配図、くもの巣グラフなどとも呼ばれ、複数の変量の値を放射状の複数の軸上にとり、それらを順次直線で結んでできる多角形の図表である。測定単位の異なる変量の場合、変量の値を標準化するなどして、変量間のバランスがとれているときには正多角形になるよう軸上の目盛りを操作することが多い。月別降雨量の地域別比較にはこのチャートがよく使われる。

 

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 統計調査

2相抽出法【2そうちゅうしゅつほう】

目的とする項目の調査結果を、良い精度で得るには、効果的な標本設計を行わなければならない。そのためには、一般に、その項目に関係する既存の情報を利用して、例えば、層化、ウェイト付け、系統抽出の際の配列の工夫等が行われる。しかし、既存の情報がないときは、層化などはできない。そのときは、それらの情報を得るために、特別に調査を行うことが考えられる。すなわち、本来の目的とする項目そのものを調査するのではなく、それを効果的に調査できるような標本設計の材料を得る目的で行う調査のことで、第1相の標本調査という。標本の規模は、本来目的とする項目のための標本調査より、かなり大規模なのが普通である。その結果、第1相の標本に関する情報が豊富になる。次に、この第1相の標本をあたかも母集団のように考えて、これに標本設計を施し、本来目的とする項目の調査を行うというもので、この標本を第2相の標本という。また、この方法を、2相抽出法という。
2相抽出法においては、抽出が2回行われ、調査も2回行われるが、その際、抽出方法はともかく、調査項目が異なるのが原則である。
(例)電話を通じた意識調査などの場合、まず、かなり多くの世帯の標本を抽出して電話の有無、番号、在宅時間帯、利用者の性・年齢・職業・収入・後日の調査の協力度等を第1相として調査する。次に、これらの標本全体を1つの母集団のように見立てて、第1相で得られた性・年齢、収入などによって層化し、あるいは、配列を行って次の抽出、すなわち、本調査又は第2相に備える。次の抽出によって得られる標本は、目的とする意識項目を調べるための標本で、第1相の標本の標本である。この場合、第1相の標本を親標本又はマスターサンプルという。第2相の標本はマスターサンプルから小出しにすることになる。この方式は、定期的に、繰り返し行われる標本調査などによく採り入れられている。

2段抽出法【2だんちゅうしゅつほう】

集落抽出法によって抽出した標本集落の中に、構成単位が多くあるとき、その中から再抽出を行って標本とする方法を2段抽出法という。この場合、初めに集落を抽出することを1段目の抽出又は第1次抽出、集落の中での抽出を2段目の抽出又は第2次抽出という。例えば、労働力調査は、初めに調査区を抽出し、次に、抽出された調査区の中から世帯を抽出するという方法を採っており、その方法が2段抽出法である。
2段抽出法においては、各段で抽出単位が異なるのが特徴である。すなわち、第1次抽出単位は第2次抽出単位の集落である。しかし、取り扱う項目は各段共通である。この点、取り扱う項目が各段で異なる2相抽出法とは対照的である。

意識調査【いしきちょうさ】

世論調査のように、ある主題について、個人の意見、態度、知識、関心、評価、満足度などを調べる調査を意識調査という。意識調査では、個人の主観的な意識だけでなく、実態に関する事項を含めて、多面的に調査するのがふつうである。意識調査も統計調査の一種であるが、我が国では統計法の適用を受けないのが通例である。統計法の適用を受ける統計調査の中にも、事実だけでなく、個人の意識に関しても調査しているものがあり、定義上、意識調査との明確な区分をするのは難しい。意識と実態のどちらの調査事項が多いかとか、調査の狙いによって区別しているケースが多い。我が国では、意識調査は、内閣総理大臣官房広報室、各省庁統計担当部局以外の部局あるいは、民間の機関で実施されることが多く、ふつう官庁統計という場合、意識調査は含まない。

一部集計【いちぶしゅうけい】

調査対象の一部を集計対象とするもの。通常全部集計に先立って、集計結果の早期公表を目的として行われる。集計客体の選択方法によって、抽出集計と部分集計に分けることができる。

オンライン調査【おんらいんちょうさ】

調査対象ごとにIDとパスワードを付与し、自宅のパソコンなどからインターネットを通じて回答してもらう調査方法である。インターネット調査ともいう。(1)24時間いつでも回答可能となるなど利便性の向上、(2)面接調査では答えにくい内容の事項でも調査が可能といった長所がある反面、(1)厳しいセキュリティ対策が必要、(2)利用環境が整備されていない調査対象もあるなどの短所もある。

聞き取り調査【ききとりちょうさ】⇒他計方式

系統抽出法【けいとうちゅうしゅつほう】

系統抽出法とは、標本となる抽出単位について、枠内における位置関係に規則性を持たせるような抽出方法のことである。例えば、抽出用一連番号の5番ごとの抽出単位を標本とする抽出方法を採るならば、この方法は、標本の位置が5の間隔という規則性を持つことになる。
系統抽出法のうち、最も基本的なものは等間隔抽出法といわれる方法で、これは、各抽出単位に一連の番号を与え抽出の出発点となる位置(番号)を無作為に決め、その番号から一定の間隔ごとに標本を抽出し、所定数の標本を得る方法である。抽出の作業は、他のどの抽出法よりも簡単であり、最も実用的である。このとき、抽出の出発点となる番号を抽出起番号といい、次に抽出する抽出単位までの抽出用一連番号の隔りを抽出間隔という。

サンプル【さんぷる】⇒標本

サンプル調査【さんぷるちょうさ】⇒標本調査

自計方式【じけいほうしき】

調査票を被調査者に渡して記人してもらう方式をいう。留め置き調査ともいう。これに対し、統計調査員が被調査者から必要な事項を聞き取って調査票に記入する調査方式を他計方式又は聞き取り調査という。
統計調査員からの聞き取りに直接回答することを嫌がる内容も回答してもらえる利点がある反面、記入漏れや誤記入が増える可能性がある。我が国の統計調査では、自計方式が多く使われている。

試験調査【しけんちょうさ】

大規模な調査や新規の調査を行う場合に、本調査に先立って行う小規模な調査をいう。調査項目とその定義、調査の単位、調査票の設計、調査方法、調査員の訓練方法等が適当であるか検討し、その結果に基づいて調査計画案を改善する。

市場調査【しじょうちょうさ】

企業又は業界が、生産計画、販売促進、サービス、広報・宣伝、新製品開発など、経営戦略、市場における行動を合理的に決定するために、市場の実態や動向、顧客の意識や動向などを調査し、データを収集、分析する一連の活動をいう。市場調査も、統計的手法を用いた調査で、統計調査の一種である。

悉皆調査【しっかいちょうさ】⇒全数調査

実査【じっさ】

調査対象に面接し調査票による調査活動を行うもので、統計調査員の活動の中で最も重要で根幹的なものである。実地調査ともいう。

実測調査【じっそくちょうさ】

調査員自ら調査対象を測定し、あるいは数えて記入する調査方法である。この方法は、調査の定義の統一や正確さが完全に得られるが、一般に多大の調査労力を要するという欠点があるため、標本調査によることが多くなる。この調査方法で行われる代表的なものに作物統計調査がある。

実地調査【じっちちょうさ】⇒実査

自由回答型質問【じゆうかいとうがたしつもん】

例えば、「……について、あなたはどう思うか。」という質問を、回答を提示せずに行い、被調査者に具体的内容を自由に記入させる方法。

集落抽出法【しゅうらくちゅうしゅつほう】

母集団の構成単位の一部の集まりを集落という。この集落を抽出した上で、集落内の構成単位を調査する方法を集落抽出法という。人や世帯や事業所などを調査するに当たって、調査区を設定して調査区のリストを作り、調査区を抽出単位として抽出し、その中に所在する世帯や事業所などをすべて調べる方式が、この集落抽出法の典型である。

準備調査【じゅんびちょうさ】

統計調査本来の情報を得るための本調査を実施する前に、あらかじめ行っておくもので、調査地域の範囲の確認、調査対象の把握、調査対象のリストの作成等のための調査。

世論調査【せろんちょうさ】

広く国民(県民)の意見、要望、不満、知識、関心、判断、評価、態度などに関して直接調査するものをいう。世論調査も、統計的手法を用いており、統計調査であるが、実態を調査するのが主目的ではないので、ふつうの統計調査とは区別される。しかし、意識や態度だけを調べてもあまり意味がなく、実態も含めて多面的に調査するのが通例である。我が国で行われている主な世論調査には、内閣府の各種の世論調査、新聞社などが実施する選挙予測調査、時事問題調査、社会意識調査などがある。世論調査は、統計法の適用を受けない。

センサス【せんさす】⇒全数調査

全数調査【ぜんすうちょうさ】

全部調査、悉皆調査又はセンサスともいい、調査対象のすべてを網羅的に調査する方法。調査の規模が大きくなり、多額の経費、多くの調査員が必要になる。全数調査は、一般的には国勢調査や経済センサスのように悉皆での調査が要求される場合や、地域別等の詳細で正確な結果数字が要求される場合、調査対象全体(母集団)の数が少なく標本調査では標本誤差が大きくなる場合などに用いられる。

全部集計【ぜんぶしゅうけい】

調査対象のすべてを集計対象とするもの。

全部調査【ぜんぶちょうさ】⇒全数調査

層化抽出法【そうかちゅうしゅつほう】

母集団を分割して、幾つかの部分母集団を作り、部分母集団から標本を抽出するとき、各部分母集団を層という。層を作ることを層化、各層から標本を抽出することによって全標本を得るとき、その抽出方法を層化抽出法という。言うまでもなく、層化は抽出単位に対して行われる。

他計方式【たけいほうしき】

統計調査員が、調査対象から必要な事項を聞き取って調査票に記入する調査方式をいう。聞き取り調査ともいう。
各調査対象に対して同じような聞き方をしないと、聞き方によって調査対象の回答が異なるという危険が生じる可能性がある。

単純無作為抽出法【たんじゅんむさくいちゅうしゅつほう】

最も基本的な標本抽出方法であって、一般的に一定個数のどの抽出単位が抽出される確率も等しいような抽出法のこと。単純任意抽出法ともいう。ある大きさの単純無作為標本を得るには、初めに枠から一つの抽出単位を等確率で抽出し、次にそれを枠から除いて、残りの枠から一つの抽出単位を等確率で抽出し、次にそれを枠から除いて、残りの枠から一つの抽出単位を等確率で抽出し、以下同様にこれを繰り返す。
単純無作為抽出法においては、枠内の任意の複数個の抽出単位が標本となり得るし、それらが抽出される確率は、他の同じ個数の抽出単位が抽出される確率に等しくなる。

地方集計【ちほうしゅうけい】

調査の委任を受けた地方の組織がそれぞれ所管する地域の集計を行い、それを調査実施者がまとめる方式。

中央集計(中央集査)【ちゅうおうしゅうけい(ちゅうおうしゅうさ)】

調査の実施者自らが集計を行う方式。

抽出集計【ちゅうしゅつしゅうけい】

調査結果の概要を早期に求める場合などに用いられ、抽出方法には標本調査理論が適用される。

抽出単位【ちゅうしゅつたんい】

母集団から標本を実際に抽出する際の単位をいう。母集団から調査単位を直接抜き出す場合は調査単位が抽出単位となるが、調査単位の集まりを抽出単位とする場合も多い。
例えば、個人を調査単位としてその属性を調査し、母集団全体の属性を推計しようとしたとき、世帯の名簿から世帯を抽出して世帯員の状況を調査するならば、世帯が抽出単位となる。
また、世帯を調査単位としてその家計収支を調べる調査において、第1段で市町村を、第2段で国勢調査の調査区を、第3段で世帯をそれぞれ抽出して調査を行う場合、それぞれ市町村、調査区、世帯が抽出単位となる。

抽出調査【ちゅうしゅつちょうさ】⇒標本調査

抽出率【ちゅうしゅつりつ】

母集団の調査単位数に対する標本サイズの割合をいう。例えば、単純無作為抽出において、母集団の調査単位数Nが20万世帯、標本として選ばれた数nが2000世帯であれば、n割るNすなわち100分の1が抽出率である。抽出率の逆数(この例では100)は、系統抽出をする場合の抽出間隔でもあり、また、標本の1世帯が100世帯を代表していることも示しており、母集団の家計収入の合計は標本の家計収入の合計を100倍して推計することになる。

調査員調査【ちょうさいんちょうさ】

統計調査員が、調査対象に訪問して調査する方法である。調査員調査には、調査票を配布して調査対象に記入してもらう方法(自計方式)と統計調査員が調査対象から聞き取って調査票を作成する方法(他計方式)の2つの方法がある。
この調査員調査は、(1)経費がかかる、(2)調査員の選任、指導の事務が必要、(3)調査対象が不在の場合、面接できないなどの短所がある反面、(1)調査票の回収率を確保できる、(2)調査事項が多少複雑でも調査が可能、(3)質問の内容を調査対象に理解させることができるため記入してもらえるなどの長所があり、多くの基幹統計調査でこの方法が用いられている。

調査対象【ちょうさたいしょう】

統計調査で、調査、観察、又は測定の対象とするものの集まりをいう。例えば、国勢調査の調査対象は、国勢調査の調査時において、本邦内に常住している者である。標本調査の場合は、実際に抽出され、調査される標本ではなく、その調査が対象とするものの集団を指す。なお、実際に調査される個々の被調査者を呼ぶのに、調査対象という用語が使われることもあるので注意する必要がある。

電話調査【でんわちょうさ】

電話を通して被調査者と接触し、質問をして必要な情報を集める調査方法である。電話調査には、被調査者との接触が簡単である、調査対象が地域的に限られているときには調査費用が比較的少なくてすむ、比較的精度の高い情報を迅速に集めることができる、などの利点がある。しかし、電話ではあまり長時間にわたる調査は難しい。我が国では、統計調査で電話調査を採用している例は極めて少ないが、世論調査や市場調査の一部では使われている。

留置き調査【とめおきちょうさ】⇒自計方式

任意抽出法【にんいちゅうしゅつほう】⇒無作為抽出法

ネイマン配分法【ねいまんはいぶんほう】

層化抽出法において、標本サイズを層の大きさに比例させるとともに、層内の特定項目の標準偏差にも比例させて配分しようというもの。この場合、各層の抽出率が異なる、すなわち、層の大きさのほか、特定項目の層内のばらつき(標準偏差)に応じて標本を配分しようというものであるため、その項目については比例配分法よりも理にかなった配分法であって精度も向上する。

ネイマン配分法においては、標準偏差が著しく大きい層があると、その層の抽出率が1に近くなったり、計算上の配分数が層の大きさを超えることがある。その場合は、抽出率を1にすると、その層は全数抽出となる。例えば、ある地域の企業の生産高を推定する場合に、企業を設備の大きさで層化していくと、大規模になるほど企業数は少なく、生産高のばらつきも著しくなる傾向がある。このようなとき、一定規模以上の企業については、全数を調べることがあるが、これはネイマン配分法の考え方を活かしたものである。

標本【ひょうほん】

母集団(調査対象全体)から抽出した一部分のことをいう。

標本調査【ひょうほんちょうさ】

抽出調査、一部調査又はサンプル調査ともいい、調査対象全体(母集団)の中から一部分(標本、サンプル)を抽出し、取り出された標本だけを調査し、その結果から全体についての値を推定する方法。標本調査には、標本誤差がつきものだが、全数調査に比べ、調査の規模が小さく、経費が少なく、調査結果を早期に利用できるという長所があり、短期間の周期で継続的に行う調査では、おおむね標本調査を用いている。

比例配分法【ひれいはいぶんほう】

層化抽出法において、標本を層の大きさに比例させて配分しようというもの。特定の項目に着目して配分するのではないため、特定の項目の精度を特別に高めることはできないが、その代わり、どの項目にもある程度共通した効果を持つ。比例配分を行うと、各層の抽出率は皆同一になるため、比例配分法による層化無作為標本の精度は、同じ標本規模の層化をしない単純無作為標本の精度よりよいことが多くなる。

部分集計【ぶぶんしゅうけい】

調査のねらい及び調査対象の性格等により、全調査票のうち特定範囲の客体を対象として集計する方法。その調査のポイントと思われる集計結果を早期に公表する場合に用いられる。

プリコード型質問【ぷりこーどがたしつもん】

あらかじめ回答を幾つかのタイプに分類してコードを付けておき、被調査者に該当するものを選ばせる方法。二項択一型質問と多項選択型質問がある。

母集団【ぼしゅうだん】

調査対象全体のこと。

本調査【ほんちょうさ】⇒実査

無作為抽出法【むさくいちゅうしゅつほう】

母集団から標本を抽出する際に、調査対象を選定する者の恣意的な意志が入らないように無作為に、つまり、くじ引きの原理で標本を抽出する方法。標本誤差を管理することが可能であり、標本数を多くするなどして必要な程度にまで誤差を小さくすることができる。無作為抽出法により抽出された標本を無作為標本という。

面接調査【めんせつちょうさ】

調査員が被調査者に直接面接して、調査票あるいは質問票に従って質問をし、被調査者の回答を調査員が調査票に記入する調査方法である。被調査者に直接面接して行う聞き取り調査(他計方式)である。面接調査は、被調査者を調査すること、質問を被調査者に理解させやすく、被調査者が質問の意味を取り違えてもその場で正せること、複雑な質問が可能なこと、などの利点がある。一方、調査に経費がかかること、不在など被調査者に直接面接できないケースが多くなってきていること、調査員の介在により回答に偏りが生じる恐れがあること、被調査者のプライバシーの問題などの問題がある。

有意抽出法【ゆういちゅうしゅつほう】

標本を選ぶ際に、「典型的」あるいは「代表的」と思われるものを作為的に抽出する方法。何が代表的であるかその選択基準が主観的になるため、調査結果が母集団を代表しているかどうかの客観的な保証はない。したがって、調査の問題点を把握する目的で行う試験調査などで多く用いられる。有意抽出法により抽出された標本を有意標本という。

郵送調査【ゆうそうちょうさ】

調査票を被調査者に郵送し被調査者自身に記入・返送してもらう調査方法。配付か回収の一方のみを郵送で行う方式もある。正確な住所録があることが必要である。郵送調査は(1)広い地域にわたる調査が可能、(2)調査員や特別な調査組織を必要としない、(3)面接調査では答えにくい内容の事項でも調査が可能といった長所がある反面、(1)回収率が確保しにくい、無回答から起こる誤差が大きくなる可能性がある、(2)質問の内容を誤解することにより誤回答が多くなるなどの短所がある。

枠【わく】

調査の対象となる集団(母集団)は、概念的に定められるが、実際の抽出をするには名簿や台帳が必要であり、その名簿や台帳のことを、対象とする集団の枠あるいはフレームと呼ぶ。

 

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 統計制度

基幹統計【きかんとうけい】

行政機関が作成する統計のうち、統計法で直接規定されている国勢統計及び国民経済計算のほか、全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において総務大臣が指定した特に重要な統計のこと。令和元年5月現在53統計。基幹統計を作成するための調査を基幹統計調査という。

公務災害補償【こうむさいがいほしょう】

統計調査員は公務員であるので、統計調査員が統計業務に従事中に災害を受けた場合、国または都道府県が補償する。

調査員同行者【ちょうさいんどうこうしゃ】

総務省が実施する統計調査において、統計調査員の求めに応じて、統計調査員の調査活動中の事故等の未然防止のために同行する者で、あらかじめ、統計調査員の推薦により都道府県に登録された者。

統計【とうけい】

一定の条件(時間、空間、標識)で定められた集団について調べた(あるいは集めた)結果を、集計・加工して得られた数値。

統計委員会【とうけいいいんかい】

統計法の規定により平成19年10月1日に発足した。統計委員会は、統計に関する基本的事項、基本計画の案、基幹統計調査の変更など統計法に定める事項に関する調査審議を行うこと、基本計画の実施状況に関し総務大臣等に勧告すること、関係大臣に必要な意見を述べることなど、公的統計において重要な役割を果たしている。

統計指導員【とうけいしどういん】

国(大臣又は国の機関の長)又は都道府県知事の任命により、調査活動が円滑に推進されるよう、統計調査員の指導を行う者。

統計条例【とうけいじょうれい】

県が行う統計調査について、報告義務、統計調査員、立入検査、結果の公表、調査票情報の二次利用、罰則等を規定した条例。

統計専任職員【とうけいせんにんしょくいん】

地方に配置された全額国費支弁の統計専門吏員。

統計調査員【とうけいちょうさいん】

国(大臣又は国の機関の長)又は都道府県知事の任命により、調査対象と直接接触し調査活動を行う者。
調査対象から報告を徴集する方法には、大別して、統計調査員による方法(調査員調査)、郵送による方法、オンラインによる方法の3つがあるが、我が国では、回収率や統計の精度の確保等の観点から調査員による方法をとることが多い。

統計調査員確保対策事業【とうけいちょうさいんかくほたいさくじぎょう】

国が実施する統計調査に際して統計調査員の選任が困難となっている現状を改善するため、あらかじめ統計調査員希望者を登録し、統計調査員の確保に資するとともに、統計調査員の資質の向上を図ることを目的に、国、都道府県及び市町村が行う事業。登録調査員に対し、統計調査員のしおりなどの配付や、研修会を実施する。

統計法【とうけいほう】

正確な統計を体系的に得るためには、統計調査に関する一元的な根拠法が必要になる。統計法(平成19年法律第53号)は、統計に関する基本法として、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的として、そのための諸規定を定めている。

届出統計調査【とどけでとうけいちょうさ】

(1)統計法第24条第1項に基づき指定地方公共団体(都道府県及び指定都市)が総務大臣に届出を要する統計調査、及び(2)統計法第25条に基づき指定独立行政法人等(平成31年4月現在は日本銀行のみ)が総務大臣に届出を要する統計調査のこと。

 

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