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いばらキッス

生物工学研究所野菜育種研究室

研究の背景とねらい

茨城県のイチゴは、栽培面積267ヘクタール(全国7位)、産出額78億円(平成24年)であり、本県の主要な園芸作物のひとつとなっています。近年、全国のイチゴ主産県では県独自の品種が育成され、ブランド化による有利販売を推進しています。そこで、本県においても県内産地の活性化を図るため、果実が大きくて食味が良く、多収でシーズンを通して安定的に収穫でき、さらに果実硬度が高くて市場流通にも適することを目標に品種開発を進めました。
その結果、県オリジナル品種「いばらキッス」を育成することができました。

品種の特徴

写真:「いばらキッス」の果実「いばらキッス」の最大の特長は、糖度が高く、酸味とのバランスも良く食味が濃厚で優れていることです。さらに、適度な硬さを持ち、ジューシーな食感も特長です。

(写真右:「いばらキッス」の果実)
果形はやや長めで、果皮は濃い赤色で光沢があります。果肉は赤色です。

生育は旺盛で、厳寒期における草勢の低下が少ないため「中休み」が発生しにくく、収穫期間を通して安定した収穫・出荷を行なうことができます。収量も多く、特に2Lサイズ(15グラム)以上の大きな果実が多く収穫できます。果実表面は光沢が強く、濃い赤色で、形状が整ってるのも特長です。萎黄病やうどんこ病の発生は少ない傾向が見られますが、一方で炭そ病の発生がやや多いため、育苗期からの防除を徹底する必要があります。

写真:「いばらキッス」の果実(写真左:「いばらキッス」の果実)
大きくて形状が揃っています。

写真:「いばらキッス」の草姿(写真右:「いばらキッス」の草姿)
草姿は立性で草勢が強いです。

育成の経緯

平成9年に「レッドパール」と「章姫」を交配し、その後数年間、選抜を進め有望な親系統「ひたち1号」を育成しました。そして、平成14年に「ひたち1号」を父親、「とちおとめ」を母親にした交配を行い、収量や食味、果実品質などの評価を続け、平成17年に生研9号として選抜しました。その後、園芸研究所での適応性検定で有望と認められ、平成18年から平成22年にかけて「ひたち4号」として現地試作を行いました。現地においても収量や食味、果実品質が優れることが認められたことから、平成22年2月に「いばらキッス」として品種登録出願を行ない、平成24年12月に登録されました(登録番号22111)。

育成の裏話

イチゴの育種は、収量、食味、果実品質など優れる形質を持つ系統を親にして交配を行い、生まれた系統の中からさらに果実特性が優れるものを選んでいきます。同じ親から生まれた兄弟であっても果実特性などが異なっているため、交配組合せごとに多くの系統を評価する必要があります。この10年で「いばらキッス」と同じ親から生まれた兄弟は297系統、その他の組合せから1万以上の系統が生まれており、その全てについて実際に食べながら評価をしてきました。

このような多くの系統の中から最も有望なものとして選んだのが「いばらキッス」です。収量、食味、形状、輸送性を兼ね備えた品種として期待されています。

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