栽培のマニュアル化で産地を支える(2019年6月)

鉾田市
JA茨城旭村メロン研究会

写真1:先進地研修のようす

(写真1:先進地研修のようす)

鉾田市のメロンは、産出額日本一を誇ります。発祥の地であるJA茨城旭村のメロンは、昭和41年にプリンスメロン部会が発足して以来、技術を積み重ね高品質出荷を実現した結果、昭和57年には、茨城県銘柄産地第一号に指定されました。
一昨年、部会設立50年を契機にさらなる産地の発展に向けて、「栽培マニュアル」を作成することになりました。その中心的な役割を担っている研究会の取り組みについてご紹介します。

なぜ栽培マニュアルの作成か?

(写真2:オトメメロンとアンデスメロンの栽培マニュアル)

メロン研究会は、20~40代の若い生産者8名で組織され、新品種の試作や新技術の実証を行い、産地全体に普及させる役割を担っています。
部会設立50年という節目を迎えて、研究会として何かできないかというのが、取り組みのきっかけでした。
これまでメロン栽培は、先輩農業者の技術を学び自ら体験して身につけていくことが一般的でした。しかし、需要減少に伴うメロン農家の急減により、技術の継承が難しく、特に篤農家の技術が継承できないことが大きな問題となりました。また、近年の気象変動は激しく、10年に一度、100年に一度と言われる極端な気象が頻繁に起こるようになり、技術対応も必要になっています。
そこで、篤農家の技術をICT等により取り込んだ栽培マニュアルを研究会を中心に作成することとしました。

関係機関の連携で作成

マニュアルの作成は、研究会を中心に、JA営農指導課、普及センター、種苗会社が連携し役割を分担して進めました。
研究会は、調査圃場の巡回および栽培管理と記録、普及センターは測定ツールによる温湿度データの収集と分析、種苗会社は品種特性に基づく基本管理のアドバイスを行いました。
管理技術のマニュアルは、温湿度データなどを元に、換気方法、生育状況を振り返りながら、気象変動の影響や生育状況に応じた温湿度管理について、研究会を中心に検討を重ねて作成しました。

マニュアルを通して研究会も成長

平成30年現在、オトメメロン、アンデスメロンのマニュアルが完成しました。現在は、クインシーメロンのマニュアル作成のための準備を進めているところです。作成されたマニュアルは全戸に配布され、「写真が多くて分かりやすい」「数字があるとよかった」等様々な意見をいただいています。今後は、これらを踏まえ、さらに充実したマニュアルに改訂する予定です。
また、研究会員からは、「今まではなんとなく栽培管理していたが、会員同士が温湿度データ、生育状況、栽培管理を共有でき、技術を高めやすくなった」との声があります。特に、現在作成中のクインシーのマニュアルは、温湿度データから栽培管理が推測できるところまでレベルアップしています。
マニュアルづくりは、研究会員個々の栽培技術の向上にも一役買っています。産地の発展と併せて、クインシーのマニュアルが完成したあとの研究会員の成長が楽しみです。

茨城県鹿行農林事務所 経営・普及部門
(鉾田地域農業改良普及センター)

2019年06月03日