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原子力・放射線の基礎知識

 

 1,茨城県と原子力

戦後,資源が乏しい我が国は,少ない資源で大きなエネルギーを生み出すことが出来る原子力の平和利用に大きな期待を寄せておりました。

昭和31年(1956年)2月,茨城県では当時候補地に上がっていた東海村へ日本原子力研究所(現在の国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)を誘致するため,「原子力研究施設誘致茨城県期成同盟会」を結成し,知事,周辺市町村長などの関係者が一丸となって国へ積極的な働きかけを行いました。

その結果,同年4月に日本原子力研究所を東海村に設置することが,国の原子力委員会で決定されました。この研究所は日本で初めての原子力研究機関です。

その後,日本原子力研究所東海研究所からJR東海駅まで舗装道路で結ばれたのを始め,多くの道路が整備されたほか,我が国の原子力の平和利用が進展するにつれて,多くの原子力関係機関が日本原子力研究所の近隣に進出しました。

例えば,昭和41年(1966年)に運転を開始した東海発電所は日本初の商業用原子力発電所であり,発電所の建設と運転の過程で積み上げられた技術,経験,人材は我が国の原子力発電開発の基礎を築きました。また,平成10年(1998年)に営業運転を終了後,平成13年(2001年)に我が国初の廃止措置に着手しています。

これら各種施設の立地により,東海・大洗・那珂地域は,科学技術の集積したつくば,ものづくり技術が集積した日立などとともに産業大県づくりの原動力となるなど,茨城県の発展につながりました。

その一方,平成11年(1999年)には株式会社ジェー・シー・オー(JCO)において,国内初の臨界事故が発生しました。

この事故ではJCOの従業員3名が重篤な被ばくをうけ,うち2名の方が亡くなられたほか,救急活動のために出動した救急隊員や事業所周辺の住民の方々が被ばくしました。

住民への被ばく,住民避難および屋内退避要請と全てが我が国初の事故であったため,その教訓から,原子力災害対策特別措置法の制定をはじめ安全・防災対策の抜本的見直しが行われました。

また,平成23年(2011年)の東日本大震災では,福島第一原子力発電所事故によって県内の農林水産物の出荷制限など多大な影響を受けました。

この事故を教訓に,原子力施設に新たな規制基準が設けられたほか,万が一事故が発生した場合の避難計画の策定など,多くの安全・防災対策が強化されています。

原子力の研究開発および利用に関する施設の安全規制は,法律上国が一元的に行うこととされていますが,県は関係市町村とともに,地域住民の安全を確保するため,東海・大洗地区の原子力施設と原子力安全協定を締結し,原子力施設周辺の安全の確保と地域の生活環境の保全を図っています。

 1-1,現在の原子力施設

県内の主な原子力施設の位置は下図のとおりです。

県内原子力施設位置図
施設概要

県内には主に以下の施設があります。

1(国研)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(外部サイトへリンク)

原子力の開発に関する研究などを総合的・効率的に行い,原子力利用の促進に寄与することを目的として設立されました。現在,わが国の原子力分野における中心的な機関として,先進的な研究開発が行われており,7基の研究用原子炉を所有しています。

2(国研)日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所(外部サイトへリンク)

使用済燃料の再処理とその技術開発,またその際に発生する高レベル放射性廃棄物の処理・処分に関する技術の開発を行う施設です。再処理することによって取り出されたウランやプルトニウムは,プルトニウム燃料開発施設において,新しい燃料になります。

また,核分裂生成物(高レベル放射性廃液)を,ガラス原料とともに固める技術(ガラス固化)の研究をしています。

プルトニウム燃料開発施設では,高速実験炉「常陽」のMOX燃料等の製造を通じて,MOX燃料の製造技術開発を行っています。
また,更なる経済性向上を目指した製造プロセスや燃料の研究開発を行っています。

3日本原子力発電(株)(外部サイトへリンク)

  • 東海第二発電所

日本初の大型原子力発電所として,昭和53年(1978年)11月に営業運転を開始。福島第一原子力発電所の事故を契機とした新規制基準の適合のため,さまざまな安全向上対策に取り組んでいます。

  • 東海発電所

昭和41年(1966年),日本初の商業用原子力発電所として営業運転を開始,平成10年(1998年)に運転を停止し,平成13年(2001年)12月から我が国初となる商業用原子力発電所の廃止措置に着手しました。約25年間をかけて施設を解体・撤去し,最終的に更地にすることを予定しています。

4(国研)日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(外部サイトへリンク)

研究用原子炉(高温工学試験研究炉(HTTR),高速実験炉「常陽」)と関連研究施設において,高温ガス炉の開発及び原子力水素技術に係る研究,高速炉の開発等を実施しています。また,多様な中性子照射場を広く大学や産業界に提供することで,我が国の学術や産業の振興にも貢献しています。さらに,これらの研究施設の研究実績に基づいて福島技術支援,国内外の人材育成にも貢献しています。

5ニュークリア・デベロップメント(株)(外部サイトへリンク)

原子力発電所で使われるウラン燃料,原子炉部品の改良や放射線の計測に関する研究開発を行っています。またウラン燃料(ウランペレット,被覆管)の改良,開発をはじめ,原子炉の部品の安全性の確認,原子力発電所に設置されている空気清浄フィルターの性能確認,放射性廃棄物の分別計測技術の開発などに携わっています。

6東京大学大学院工学系研究科原子力専攻(外部サイトへリンク)

日本初の高速中性子源炉「弥生」をはじめ,各種の加速器やレーザ装置などを用いて,原子力開発の基礎研究をはじめ,中性子工学,核融合炉工学,量子ビーム工学研究など,原子力工学の総合的研究が行われています。これらの研究の中には,全国の大学や研究機関と共同で行われているものもあります。また,大学院生の教育・研究や専門職大学院生を含む学生の教育実習にも利用されています。

なお,原子炉「弥生」は,40年にわたり運転されてきましたが,平成23年(2011年)3月をもって停止し,現在廃止措置中です。

7原子燃料工業(株)(外部サイトへリンク)

二酸化ウラン粉末を原料として,沸騰水型(BWR)の軽水炉の燃料など各種の原子燃料を加工・製造している成型加工工場です。

また,燃料集合体用の部品の製造,燃料関連装置の設計・製造,燃料関連技術サービスなども行っています。

8公益財団法人核物質管理センター(外部サイトへリンク)

国の指定保障措置検査等実施機関として,原子力施設に立ち入り,帳簿等の検査及び非破壊検査などの保障措置検査,核物質の分析並びに保障措置技術に関する調査研究などを行っています。また,国の指定情報処理機関として,原子力事業者から国に提出される核物質に関する各種報告書の処理を行うほか,核物質管理に関する技術者の養成などを行っています。

9三菱原子燃料(株)(外部サイトへリンク)

原子力発電所で使用する原子燃料の設計・製造・開発を行っています。原子燃料の原料である濃縮六フッ化ウランの再転換加工から燃料集合体の製造までを一貫して手がけ,製品は全国の加圧水型(PWR)原子力発電所で使われています。

10日本核燃料開発(株)(外部サイトへリンク)

使用済の燃料集合体を扱える世界有数の大型研究施設や新型燃料開発のための燃料研究棟,材料研究棟などを有し,核燃料,プラント材料の研究開発,使用済燃料集合体の外観検査,強度試験などを行っています。また,海外も含めた研究機関との共同研究や研究の受託も行っています。

11(株)ジェー・シー・オー(外部サイトへリンク)

原子力施設の保全及び放射性廃棄物の管理を行っています。工場等については,国によりウラン加工事業の許可を取り消され,運転を停止しており,平成15年(2003年)4月18日にはウラン再転換事業の再開を断念しました。
現在は,使用予定のない設備・装置の解体撤去を行っています。

12住友金属鉱山(株)(外部サイトへリンク)

技術開発試験に用いた施設・設備の維持管理に伴う点検,補修及び除染等を行っています。また,使用予定の無い設備・装置の解体撤去及び残存物の適切な整理と処理を順次進めています。

13日本照射サービス(株)(外部サイトへリンク)

未使用の医療機器や医薬品容器等の滅菌処理など,照射サービス事業を行うために設立されました。医療機器をはじめ,食品容器,衛生用品,理化学器材,実験動物用飼料等の滅菌,殺菌のための照射サービス,また各種工業材料の照射改質処理サービスを,放射線照射によって行っています。

14積水メディカル(株)(外部サイトへリンク)

医薬品などの体内への吸収,分布,代謝,排泄の様子をラジオアイソトープを活用して明らかにし,安全性を調べる研究を行っています。また,遺伝子技術や超微量分析技術を応用して,より安全な医薬品をつくる研究をしています。

15三菱マテリアル(株)(外部サイトへリンク)

ウランの精錬転換,原子燃料製造,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物処理及び放射性廃棄物処分など,原子燃料サイクル全般にわたる分野で研究開発に取り組んでいます。核燃料物質や放射性同位元素を用いて,基礎的な原理確認から,要素技術開発,工学規模の実証試験までを実施しています。

16(国研)量子科学技術研究開発機構那珂核融合研究所(外部サイトへリンク)

核融合エネルギーの実用化をめざして,核融合の総合的な研究開発を行っています。

平成8年(1996年)には臨界プラズマ試験装置JT-60によってエネルギー増倍率(入力と出力の比)が1となる臨界プラズマ条件を達成,現在はJT-60の超伝導化を進めています。

また,フランスで建設中の国際熱核融合実験炉イーター計画においても重要な役割を担っています。

17東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センター(外部サイトへリンク)

全国の大学・公的研究機関の研究者や大学院生が利用できる全国共同利用研究センターです。

大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターの中にあり,国内の原子炉(JMTR,JRR-3,常陽)や海外の原子炉を用いてエネルギー関連材料の研究やアクチノイド元素の研究を行っています。

18日揮(株)(外部サイトへリンク)

総合エンジニアリング企業の研究開発拠点として,次代を担う技術開発を行っています。領域はエネルギー,地球環境,原子力,ライフサイエンスなど広範囲に及んでいます。コンピュータを用いたシミュレーションから実験プラントによる実証まで,様々な手法を駆使して技術の実用化に取り組んでいます。

(国研)→国立研究開発法人,(株)→株式会社,公益財団法人→公益財団法人の略称です。

 

 1-2,原子力や放射線の利用の現状

 1-2-1,発電

原子力は少量の資源で大きなエネルギーを生み出せることから,現代社会を支える電気を生み出す原子力発電として利用されています。

茨城県には,日本原子力発電株式会社の東海発電所と東海第二発電所の2つの原子力発電所があります。

東海発電所は,日本最初の商業用原子力発電所として昭和41年(1966年)7月に営業運転を開始し,その後の原子力発電技術の向上に大きく貢献しましたが,平成10年(1998年)3月31日に運転を停止し,現在は廃炉作業が進められています。

東海第二発電所は日本初の大型原子力発電所として昭和53年(1978年)11月に営業運転を開始しました。しかし,平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災で原子炉が自動停止し,現在は福島第一原子力発電所事故を契機に強化された新規制基準の適合性審査が国において進められています。

日本原子力発電(株)(外部サイトへリンク)

発電所を管理する日本原子力発電株式会社のホームページです。

敷地内には発電所だけではなく,原子力について解説する東海テラパークという施設もあり,展示ホールでは模型やパネルで,シアターでは映画で原子力発電の仕組みをわかりやすく紹介しています。

 1-2-2,医療

放射線が物質を透過したり,散乱したりする性質を利用して身体の状態を診断するエックス線診断装置は疫病の早期発見により,多くの人々の命を救っています。また,放射線で細胞を死滅させる性質を利用した放射線治療は,ガン治療などに役立っています。そのほか,医療器具に放射線を当てることにより,細菌などの微生物を死滅させるなど,医療において放射線は無くてはならない存在です。

茨城県では,次世代のがん治療の一種であるホウ素中性子捕捉療法(BoronNeutronCaptureTherapy通称BNCT)を推進するため,東海村に「いばらき中性子医療研究センター」を設置し,治療装置を開発しています。

次世代がん治療(BNCT)(外部サイトへリンク)

本県のBNCTについて解説するホームページです。

 1-2-3,農業

農業の分野では,放射線を当てることで意図的に突然変異を起こさせ,新しい品種を作る品種改良により,病気に強い農作物やカラフルな花などを作って生活に彩りを与えています。また,放射線を当てて不妊化した害虫を大量に自然へ放して次世代の個体数を減らしていく事で,環境や人体への影響を抑えながら害虫を駆除し,農業を守ることにも役立てています。

常陸大宮市には,品種改良用の大型のガンマフィールドを持つ放射線育種場があり,「ゴールド二十世紀」梨など,新品種の育成に貢献しています。

次世代作物開発研究センター(外部サイトへリンク)

放射線育種場を運営する国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構次世代作物開発研究センターのホームページです。

 1-2-4,工業

放射線を当てることで耐熱性や強度などが向上する性質を利用して,自動車のタイヤ,お風呂場のマット,電線の絶縁体などの製造に利用されています。

また,放射線を使うことで,触らないまま構造物の中身を確認できることから,機器内部の傷やひび割れといったもののチェックや,厚さを測定して均一に保つ作業などに用いられています。

茨城県内でも,工場で高温状態の鋼板の厚さを測定することなどに活用されています。

 1-2-5,学術分野

工業とおなじく,仏像などを壊さずに内部の様子を調べる目的で利用しているほか,炭素14の放射能の量を調べる「放射性炭素年代測定法」で遺跡から出てきた土器などの年代の調査に利用されています。

常陸大宮市にある泉坂下遺跡や,ひたちなか市にある十五郎穴横穴墓群では,この方法で年代を特定しています。

泉坂下遺跡について,常陸大宮市ホームページでの解説です。

泉坂下遺跡(外部サイトへリンク)

十五郎穴横穴墓群について,茨城県教育委員会ホームページでの解説です。

十五郎穴(外部サイトへリンク)

 1-2-6,先端科学

高速まで加速された陽子をターゲットに当てると,中性子,ミューオン,ニュートリノ,反陽子など多様な粒子を生成します。これらを利用して原子核物理,素粒子物理,物質科学,生命科学,原子力工学などの分野における最先端の研究が行われています。東海村には,大強度陽子加速器施設(JapanProton AcceleratorResearchComplex通称J-PARC)があり,例えば素粒子物理の実験では,この施設で発生させたニュートリノを岐阜県にあるスーパーカミオカンデで検出するT2K実験が行われており,物質と反物質の非対称性の謎を解明しようとしています。

J-PARC|大強度陽子加速器施設(外部サイトへリンク)

J-PARCのホームページです。

 2,原子力について知りたい

 2-1,原子とその「中身」のおはなし

この世界のすべての物(私たちも、空気も、花も)は、原子が集まってできています。

原子は大ざっぱに言ってしまえば、目にはまったく見えない小さな「粒」です(※1)。ですから私たちには物が“粒の集まり”だとはなかなか信じられないのですが、私たちが生きているこの世界には100種類くらいの原子(※2)があります。
この世の物質のおおもとである原子にもさらに〈中身〉があり、原子核と呼ばれる中心のかたまりとそのまわりを回る何個かの電子からできています。加えて原子核にも〈中身〉があって、陽子、中性子(※3)という粒が強い力で結びつけられてできた小さなかたまりなのです。

1,1センチメートルの1億分の1の大きさである。
※2,よく使われる「元素」は「原子」とほぼ同じ意味である。
※3,陽子と中性子の個数の合計を質量数と呼び、陽子の個数が原子番号である。

 2-2,核分裂と臨界のおはなし

原子核が壊れ,別の原子核に変わるときに放出されるエネルギーを原子力と言います。

壊れやすい性質を持った原子核に中性子が当たると2つ以上に分裂します。「核分裂」は、この〈原子核が壊れること〉であり、その連鎖反応が一定の割合で続く状態が「臨界」です。

 

例えばウランの場合,ウランには核分裂しやすいウラン235と核分裂しにくいウラン238があり、ウラン235は原子核に中性子がぶつかると、すぐに2つ以上の原子核に分裂して中性子を放出します。ここで飛び出した中性子が次の核分裂を起こし、連続的に核分裂が続いていくことを〈核分裂の連鎖反応〉といい、連鎖反応が同じ割合で持続する状態を〈臨界〉と呼びます。

原子核が壊れるときには,大きなエネルギーと放射線が発生します。

 2-3,原子力発電の仕組みについて知る

原子力発電は、ウラン235を燃料にして人工的に臨界状態をつくり出し、発生する熱エネルギーを電気に変える仕組みで発電しています。熱で作った蒸気でタービンを回すという点では基本的には火力発電と同じ仕組みです。

火力発電はボイラーの中で石油や天然ガスなどを燃やし、その熱でつくった蒸気でタービンを回して発電します。一方、原子力発電は、石油などを燃やすボイラーの代わりに原子炉(※4)の中で、核分裂が生み出す熱エネルギーを利用して蒸気をつくり、タービンを回して発電します。

4,世界の原子炉の約80%を占めているのは軽水炉である。軽水炉には、蒸気を発生させる仕組みの違いにより、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類がある。

 2-4,原子力を学べる施設

茨城県内には原子力を学べる施設がいくつかありますので,是非一度足を運んでみてください。

原子力科学館(外部サイトへリンク)(東海村)

宇宙と原子の世界を大型映像で紹介した「アトミック・パノラマ・スコープ」や,放射線の飛跡が見える世界最大級の霧箱など,体験しながら原子と放射線についての正しい知識を学ぶことが出来ます。

また,イベントや講演会,実験,工作教室などを実施しています。

東海テラパーク(外部サイトへリンク)(東海村)

展示ホールでは模型やパネルで,シアターでは映画で原子力発電の仕組みをわかりやすく紹介しています。

大洗わくわく科学館(外部サイトへリンク)(大洗町)

海をテーマに,科学や原子力についてわかりやすく体験できます。行事や実験,工作教室もたくさん開催しています。

つくばエキスポセンター(外部サイトへリンク)(つくば市)

世界最大級のプラネタリウムと,宇宙・海洋・原子力・ナノテクノロジーなどを見て触れて楽しめる科学館です。

 3,放射線について知りたい

 3-1,放射線ってなに?

放射線は放射性物質から放出される,光とよく似た性質と高いエネルギーを持った粒子の流れをいいます。これは目には見えませんし,体に当たっても痛くもかゆくも熱くもありません。しかし,物質を通り抜けたり,体内でDNA(遺伝子)を傷つける性質を持っています。

放射線の主な種類
主な種類 本質 透過力
アルファ線(α線) 陽子2個,中性子2個からなる粒子(ヘリウムの原子核) 極めて小さい。紙1枚で止まる。皮ふの角質層で止まる。
空気中では,放出されてから4センチメートル程度の距離で止まる。
ベータ線(β線) 電子 小さい。厚さ数ミリメートルのアルミニウムやプラスチックで止まる。空気中ででは,放出されてから5m程度の距離で止まる。

ガンマ線(&gaミリメートルa;線)

エックス線(X線)

電磁波(光子) 大きい。鉛や鉄など密度の大きな物質で止まる。
中性子線(n線) 中性子 鉄や鉛などを突き抜けるほど大きい。厚いコンクリートや水などの水素の多い物質で止まる。

より知りたい方は茨城県原子力安全対策課が発行している2016年度版原子力ハンドブックP08,原子力とエネルギーブック高校生版P21,中学生版P16,小学生版P21を読んでみてください。(なお,過去の冊子については国立国会図書館,茨城県立図書館などに所蔵されています)

 3-2,放射性物質ってなに?

放射線を出す性質を持った物質のことです。カリウム40,ラドン222,セシウム137,ヨウ素131など,多くの物質があります。

温泉に含まれるラドンやラジウム,動植物などにも放射性物質は含まれており,もともとは自然界に存在する物質のひとつです。また,過去に行われた核実験による人工の放射性物質もあります。

 

代表的な放射性物質
自然 ウラン238,ラジウム226,ラドン222,カリウム40,炭素14など
人工 セシウム137,ヨウ素131,ストロンチウム90,プルトニウム239など

より知りたい方は茨城県原子力安全対策課が発行している2016年度版原子力ハンドブックP6とP13~14,原子力とエネルギーブック高校生版P27~P28,中学生版P22~P23,小学生版P23~P24を読んでみてください。(なお,過去の冊子については国立国会図書館,茨城県立図書館などに所蔵されています)

 3-3,放射能ってなに?

放射性物質が放射線を出す能力のことです。放射性物質の原子核は放射線を放出して,別の原子核へ変化していきますが,放射能はその変化の時間割合をいい,単位は1秒あたりの変化率としてベクレルを使用しています。

より知りたい方は茨城県原子力安全対策課が発行している2016年度版原子力ハンドブックP6~P7,原子力とエネルギーブック高校生版P21,中学生版P16,小学生版P21を読んでみてください。(なお,過去の冊子については国立国会図書館,茨城県立図書館などに所蔵されています)

 3-4,放射線や放射能でよく聞くベクレルやシーベルトってなに?

放射線や放射能に関する単位です。以下の単位があります。

放射線や放射能に関する単位
  単位 記号 解説
放射線量に関する単位 グレイ Gy

放射線が物質にあたったとき,その物質や人体にどれだけのエネルギーが吸収されたかを表す単位です。

放射線や物質の種類によらず適用されることから,放射線が物質(人体を含む)に与える影響を評価するときの基本的な物差しになります。

放射線量に関する単位 シーベルト Sv 放射線を受けたとき,人体がどの程度放射線による影響を受けたかを表すのに用いられます。
放射能に関する単位 ベクレル Bq

1秒間に何個の原子核が壊れるかを表す単位です。(放射性物質は不安定な原子核を持っているため一定の割合で崩壊し,その時に放射線を出します)

放射能と放射性物質の量は比例しているため,ベクレルは放射性物質の量を示す単位としても使用されています。例えば,食品や水の汚染の場合はベクレル毎キログラム(Bq/kg)という単位を使います。

茨城県の環境放射線監視季報や放射線インターネット・テレメータ表示局では、ナノグレイ(nGy)という単位を用いています。

ナノ(n)は、マイクロ(μ)の1,000分の1の単位であり、ナノ単位で表記された値を1,000で割ると、マイクロ単位で表すことができ、さらに1,000で割るとミリ(m)単位で表すことができます。

(例)

1ナノグレイ(nGy)=1ナノシーベルト(nSv)

1ナノグレイ(nGy)=0.001マイクログレイ(μGy)=0.000001ミリグレイ(mGy)

より知りたい方は茨城県原子力安全対策課が発行している2016年度版原子力ハンドブックP10,原子力とエネルギーブック高校生版P21,中学生版P16を読んでみてください。(なお,過去の冊子については国立国会図書館,茨城県立図書館などに所蔵されています)

 3-5,放射線を見たり,測ることはできるの?

放射線は自然のままでは見ることや,量を認識することはできませんが,特殊な装置を使うことで,目で見たり,どれぐらい放射線量を高いかを測ることができます。

放射線を見るには?

飛行機雲を思い浮かべてみましょう。

飛行機雲は,1空気が冷えていて,2水蒸気がいっぱいあるときに,3飛行機が飛んでいると発生します。

霧箱はこのうち2をエタノールの蒸気,3を放射線に変えて箱の中で再現することで,直接見ることができるようになります。この霧箱は身近な素材でも簡単に作ることができます。

この霧箱の発明は画期的だったことから,考案したウィルソンという人は,その功績をたたえられて昭和2年(1927年)にノーベル物理学賞を受賞しています。

東海村にある原子力科学館(外部サイトへリンク)には,世界最大級の霧箱が設置されていますので,興味のある方は実際に見てみましょう。

放射線を測るには?

放射線の量を知るためには,放射線測定器という装置を使います。

この装置を用いることで,どれぐらいの放射線があるかを確認することが出来ます。

しかし,1つの放射線測定器でどんな放射線も確認できるわけではありません。アルファ線に対応した測定器,ガンマ線に対応した測定器などがあります。

放射線測定器は精密機器であることから,年月が経つと劣化や不具合が発生するため,定期的に点検し,精度を維持する必要があります。

この放射線測定器については公益財団法人放射線計測協会のホームページ(外部サイトへリンク)などに詳しく解説されています。

 3-6,自然界からも放射線を受けているって聞いたんだけど…

人間は空中や地中からの放射線によって常に外部被ばくし,塩をはじめとした食べ物に含まれるカリウム40などの放射性物質の摂取等によって内部被ばくしています。こうした自然が発する放射線を自然放射線といいますが,これは地域の環境によって変わります。

日本の場合,自然界から受ける被ばく線量は年間約2.1ミリシーベルトほどですが,世界に目を向けてみると,イランのラムサールなどでは,大地からの放射線だけで年間0.6~149ミリシーベルト,インドのケララでは1.8~35ミリシーベルトになります。

また,高度が上昇すると放射線量率も高くなる傾向にあり,飛行機に乗ると地上にいるときよりも高い放射線量を受ける事になります。宇宙ステーションでは1日あたり0.5~1ミリシーベルトになります。

このほか,雨が降ると大気中にある自然放射性物質(ラドンやラドンが変化した物質)が、雨とともに落下し、地表面に集まるため、放射線量が上昇することがあります。

より知りたい方は茨城県原子力安全対策課が発行している2016年度版原子力ハンドブックP13,原子力とエネルギーブック高校生版P27,中学生版P22,小学生版P23を読んでみてください。(なお,過去の冊子については国立国会図書館,茨城県立図書館などに所蔵されています)

 3-7,どのくらい被ばくすると体に影響が出るの?

放射線がカラダに与える影響は,被ばく者本人に影響がある「身体的影響」と被ばく者の子孫に影響の出る「遺伝的影響」の2種類がありますが,人体に対する遺伝的影響と放射線の因果関係については,(研究が進んでいるものの)具体的な事例が見つかっていません。身体的影響は,被ばく後数日から症状が現れる「急性障害」と数年~数十年後に発症する「晩発障害」があります。

急性障害は被ばくから数日から数ヶ月以内に症状が現れ,1,000ミリシーベルト以上になると,一時的な脱毛や皮膚の障害となります。そして,全身に約4,000ミリシーベルトを受け,何も医療行為をしなかった場合,浴びた人のうち半数の人が数ヶ月以内に死亡すると言われています。

晩発障害は被ばくから数年~数十年後に症状が現れ,100ミリシーベルト以上の被ばく線量では,がん死亡のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっています。しかし,低い被ばく線量を長期間被ばくする場合は,同じ総線量を短時間に被ばくする場合よりも影響が少なくなることがわかっています。

放射線被ばくの影響については,放射線医学総合研究所のホームページ(外部サイトへリンク)で詳しく解説されています。

 3-8,半減期ってなに?

多くの放射性物質は放射線を出しながら「放射線を出さない物質」に変化することから,時間とともに放射性物質の量は減っていきます。この放射性物質の量が半分になるまでの時間を「半減期」といいます。

核種別の半減期(例)
核種 半減期
ラドン222 3.8日
ヨウ素131 8.0日
ポロニウム210 138.4日
セシウム134 2.1年
コバルト60 5.3年
トリチウム 12.3年
鉛210 22.2年
ストロンチウム90 28.8年
セシウム137 30.2年
ラジウム226 1.600年
炭素14 5.700年
プルトニウム239 2.4万年
カリウム40 12.5億年
ウラン238 45億年
ルビジウム87 492億年

出典:公益社団法人日本アイソトープ協会「アイソトープ手帳(11版)」(2011年)より一部改変

 3-9,放射線の被ばく限度には何か法律上の決まりってないの

法律では、一般公衆の原子力施設からの影響による被ばく限度は、1年間で1ミリシーベルトと定められています。(核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示,平成27年8月31日原子力規制委員会告示第8号)

被ばく限度の詳細については,原子力規制委員会のホームページの上記告示(外部サイトへリンク)でみることができます。

 4,原子力の安全と防災(工事中)

 

 5,より詳しく原子力・放射線について確認するためのリンク集

ここまで原子力・放射線について解説してきましたが,原子力・放射線と社会の関わりは多くの分野にわたります。個別具体的に各分野について知りたい場合は,下記ページから各機関のホームページをご確認ください。

原子力関連ページリンク集(関連機関集)