○茨城県環境基本条例
平成8年6月25日
茨城県条例第48号
茨城県環境基本条例を公布する。
茨城県環境基本条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 環境基本計画等(第9条・第10条)
第2節 県が講ずる環境の保全及び創造のための施策等(第11条―第28条)
第3節 地球環境保全の推進(第29条・第30条)
第4節 霞ケ浦流域の総合的な環境の管理(第31条)
第3章 国及び他の地方公共団体との協力等(第32条・第33条)
付則
私たちのふるさと茨城は,180キロメートルに及ぶ海岸線,霞ケ浦,筑波山に代表される豊かな水,緑の山野に恵まれ,先人たちのたゆまぬ努力と進取の精神により,自然との調和の中で今日の豊かな生活を築いてきた。
しかしながら,近年の都市化の進展や県民の生活様式の変化等に伴い,生活の利便性が高まる一方で,資源やエネルギーを大量に消費する社会経済活動に起因して,都市・生活型公害や廃棄物の問題が生じている。
また,日常生活や事業活動に伴う環境への負荷が,自然の復原力を超えるまでに大きくなりつつあり,一地域の環境に影響を及ぼすにとどまらず,地球の温暖化,海洋の汚染等地球規模の環境問題までの広がりを持つに至り,世代を超えた影響も懸念されている。
ここに,健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに,その豊かで美しい環境を将来の世代に引き継いでいく責務を有する私たちは,人類の存続の基盤である地球の環境の有限性及びぜい弱性を深く認識し,世界の事象や知見に目を開き耳を傾けるとともに,世界の各地との共感的理解に基づく連携と役割の分担を目指しつつ,県民,事業者及び地方公共団体が連携し,協力し合って,良好な環境を保全し,進んでやすらぎと潤いのある快適で住みよい環境を創造していくことを決意し,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,環境の保全及び創造について,基本理念を定め,並びに県,市町村,事業者及び県民の責務を明らかにするとともに,環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに,人類の福祉に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「環境への負荷」とは,人の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境保全」とは,人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行,海洋の汚染,野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって,人類の福祉に貢献するとともに県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この条例において「公害」とは,環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。),土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって,人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は,次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 現在及び将来の県民が恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに,人類の存続の基盤である限りある環境が将来にわたって維持されること。
(2) 人と自然が共生し,環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されること。
(3) すべての者が参加し,公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に取り組まれること。
(4) 地球環境保全が人類共通の課題であるとともに県民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保するうえでの課題であること及び地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっていることにかんがみ,地球環境保全は,本県の経験,技術等を生かして国際的な連携及び協力の下に,すべての者の参画と行動により,積極的に推進されること。
(県の責務)
第4条 県は,前条に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,次に掲げる事項に関する総合的な施策を策定し,及び実施する責務を有する。
(1) 大気,水,土壌その他の環境の自然的構成要素の良好な状態の保持及び野生生物の種の保存その他の生物の多様性の保全に関すること。
(2) 森林及び緑地の保全,良好な景観の形成,歴史的文化的遺産の保全その他の人と自然との豊かな触れ合いの確保に関すること。
(3) 公害の防止,保全すべき自然環境の適正な保全に支障を及ぼす行為の防止,災害の防止,水道水源地域の汚染の防止その他の環境の保全上の支障の防止に関すること。
(4) 上下水道,廃棄物処理施設,公園,緑地その他の環境の保全及び創造に資する施設の整備に関すること。
(5) 環境への負荷の少ない土地の合理的かつ適正な利用に関すること。
(6) 資源の循環的な利用,エネルギーの使用の合理化並びに廃棄物の減量化及び適正な処理の促進に関すること。
(7) 地球環境保全の推進に関すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか,環境の保全及び創造に関すること。
(市町村の責務)
第5条 市町村は,基本理念にのっとり,環境の保全及び創造に関し,県の施策に配慮しつつ当該市町村の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動を行うに当たっては,環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに,公害を防止し,又は自然環境を適正に保全するため,必要な措置を講ずるよう努めなければならない。この場合において,事業者は,特に次に掲げる事項に配慮するものとする。
(1) 事業の内容,地域の状況等を勘案して,環境の保全上の支障が生じないように,工場,事業所等を設置し,及び事業活動を行う場所を選定すること。
(2) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料等を利用する措置を講ずること。
(3) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように,必要な措置を講ずること。
(4) 前号に定めるもののほか,事業活動に係る製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷の低減が図られることとなるように,必要な措置を講ずること。
(5) 事業活動に係る製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するために必要な情報を提供すること。
2 前項に定めるもののほか,事業者は,県及び市町村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。
(県民の責務)
第7条 県民は,基本理念にのっとり,環境の保全上の支障を防止するため,その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか,県民は,環境の保全及び創造に自ら努めるとともに,県及び市町村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。
(年次報告等)
第8条 知事は,毎年,議会に,環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告を提出するとともに,これを公表しなければならない。
2 知事は,毎年,前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し,これを議会に提出するとともに,これを公表しなければならない。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 環境基本計画等
(環境基本計画)
第9条 知事は,環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか,環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は,環境基本計画を定めるに当たっては,県民の意見を反映することができるように,必要な措置を講ずるものとする。
4 知事は,環境基本計画を定めるに当たっては,あらかじめ茨城県環境審議会の意見を聴かなければならない。
5 知事は,環境基本計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は,環境基本計画の変更について準用する。
(施策の方針等)
第10条 県は,環境の保全及び創造に関する施策を策定し,及び実施するに当たっては,各種の施策相互の連携を図りつつ環境基本計画に基づき総合的かつ計画的に行わなければならない。
2 県は,環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し,及び実施するに当たっては,環境基本計画との整合を図ること等により環境への負荷が低減されるように行わなければならない。
第2節 県が講ずる環境の保全及び創造のための施策等
(多様な自然環境の体系的な保全及び創造)
第11条 県は,山地,山間地,平地,河川・湖沼,沿岸・海域等の県土空間における多様な自然環境を,自然の生態系がもつ環境の保全能力が維持されるように,地域の自然的社会的条件に応じて,体系的に保全し,及び創造するために必要な措置を講ずるものとする。
(森林及び緑地の保全等)
第12条 県は,人と自然が触れ合う緑豊かな県土の形成を図るため,森林及び緑地の保全,緑化の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は,野生生物の生息空間の確保,野生生物の種の保存その他の生物の多様性の保全が図られるように,必要な措置を講ずるものとする。
(良好な景観の形成等)
第13条 県は,自然環境に配慮した良好な景観の形成及び歴史的文化的遺産の保全が図られるように,必要な措置を講ずるものとする。
(規制等の措置)
第14条 県は,環境の保全上の支障を防止するため,次に掲げる規制の措置を講じなければならない。
(1) 公害を防止するために必要な規制の措置
(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し,その支障を防止するために必要な規制の措置
2 前項に定めるもののほか,県は,環境の保全上の支障を防止するために必要な規制及び指導の措置を講ずるように努めなければならない。
(経済的措置)
第15条 県は,事業者及び県民がその行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造のための適切な措置をとることを助長するため,必要かつ適正な助成,金融上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。
2 県は,事業者及び県民がその行為に係る環境への負荷を自ら低減させることとなるよう誘導することにより環境を保全し,及び創造するため,環境への負荷に応じた適正な経済的負担を求める措置を講ずることについて調査及び研究を行い,その成果の適正な活用に努めるものとする。
(施設の整備その他の事業の推進)
第16条 県は,緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつその他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため,必要な措置を講ずるものとする。
2 県は,廃棄物及び下水の処理施設,環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備並びに廃棄物の適正な処理,森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため,必要な措置を講ずるものとする。
3 県は,公園,緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため,必要な措置を講ずるものとする。
4 県は,前2項に定める公共的施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。
(土地の合理的かつ適正な利用)
第17条 県は,土地の形状の変更,工作物の新設その他これらに類する事業に係る構想又は計画の策定段階において環境への負荷の少ない合理的かつ適正な土地の利用に関し必要な調整その他の措置を講ずるものとする。
(環境影響評価の推進)
第18条 県は,土地の形状の変更,工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が,その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査,予測及び評価を行い,その結果に基づき,その事業に係る環境の保全及び創造について適正に配慮することを推進するため,必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第19条 県は,環境への負荷の低減を図るため,資源の循環的な利用,エネルギーの合理的な使用並びに廃棄物の減量化及び適正な処理が促進されるように,必要な措置を講ずるものとする。
2 県は,県の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては,資源の循環的な利用,エネルギーの合理的な使用並びに廃棄物の減量化及び適正な処理に率先して努めなければならない。
(県民の意見の反映)
第20条 県は,環境の保全及び創造に関する施策に,県民の意見を反映することができるように,必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全及び創造に関する教育,学習等)
第21条 県は,事業者及び県民が良好な環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに,これに関する活動が促進されるように,環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動の促進)
第22条 県は,事業者,県民又はこれらの者で構成する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う自然環境の保全,公害の防止,地球環境保全その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように,必要な措置を講ずるものとする。
(参加及び連携の推進)
第23条 県は,環境の保全及び創造を推進するに当たっては,民間団体等の自主的かつ積極的な参加並びに国,地方公共団体及び民間団体等による相互の連携が基本となることにかんがみ,これらに必要な情報の収集,調査研究その他の参加及び連携の推進に資する措置を講ずるものとする。
(環境管理・監査等の促進)
第24条 県は,事業者が事業活動に係る環境への負荷の低減を図るために行う自主的な環境の保全及び創造に関する計画の策定,体制の整備等からなる環境管理・監査等の実施が促進されるように,必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第25条 県は,前5条に掲げる事項を適切に推進するため,個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する行動の事例その他の環境の保全及び創造に関し必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
(調査研究体制の整備等)
第26条 県は,自然環境の保全,公害の防止,地球環境保全その他の環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な調査研究体制の整備並びに調査研究及び技術開発の推進及び成果の普及その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(監視,測定等)
第27条 県は,環境の状況を的確に把握し,並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視,測定等の体制の整備に努めるものとする。
2 県は,前項の規定により把握した環境の状況を公表するものとする。
(公害に係る紛争の処理)
第28条 県は,公害に係る紛争の処理について円滑な解決を図るために必要な措置を講じなければならない。
第3節 地球環境保全の推進
(地球環境保全に資する行動の促進)
第29条 県は,地球環境保全が人類共通の課題であるとともに県民の現在及び将来にかかわる課題であることを認識し,県,市町村,事業者及び県民が,その役割に応じ,一体となって,環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するため行動することを促進するため,必要な措置を講じなければならない。
(地球環境保全に関する国際協力)
第30条 県は,国際機関,国,他の地方公共団体及び民間団体等と連携し,地球環境保全に関する調査研究,情報の提供,技術の活用,人材の交流等により,地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第4節 霞ケ浦流域の総合的な環境の管理
第31条 県は,霞ケ浦流域の総合的な環境の保全及び創造を図るため,霞ケ浦及びその流域の河川の水質の汚濁を防止する施策,自然の水質浄化能力を保護及び活用する施策,その水源となる山林・平地林を保全する施策その他の霞ケ浦流域の全体の環境を総合的に管理する施策を講じなければならない。
第3章 国及び他の地方公共団体との協力等
(国及び他の地方公共団体との協力)
第32条 県は,環境の保全及び創造を図るための広域的な取組を必要とする施策について,国及び他の地方公共団体と協力して,その推進に努めるものとする。
(市町村への支援の措置)
第33条 県は,環境の保全及び創造を図るうえで市町村が果たす役割の重要性にかんがみ,市町村が実施する環境の保全及び創造のための施策のうち,必要と認めるものについて,財政的かつ技術的な支援措置を講ずるように努めるものとする。
付 則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
(環境の整備保全に関する基本条例の廃止)
2 環境の整備保全に関する基本条例(昭和46年茨城県条例第38号)は,廃止する。
(茨城県公害防止条例の一部改正)
3 茨城県公害防止条例(昭和46年茨城県条例第39号)の一部を次のように改正する。
次のよう〔略〕
(茨城県地球環境保全行動条例の一部改正)
4 茨城県地球環境保全行動条例(平成7年茨城県条例第10号)の一部を次のように改正する。
次のよう〔略〕