○茨城県ひとにやさしいまちづくり条例

平成8年3月28日

茨城県条例第10号

茨城県ひとにやさしいまちづくり条例を公布する。

茨城県ひとにやさしいまちづくり条例

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本方針(第8条)

第3章 県の施策の実施(第9条―第14条)

第4章 公共的施設等の整備

第1節 公共的施設の整備(第15条―第17条)

第2節 特定公共的施設の整備(第18条―第27条)

第3節 公共車両等の整備(第28条)

第4節 住宅の整備(第29条)

第5章 雑則(第30条)

付則

すべての人が,社会参加の機会を等しく有し,共に安心して快適に生活することができる地域社会の実現は,私たちすべての願いであり,また責務である。

このためには,県民一人ひとりが互いに理解し合い,やさしい心,相手を思いやる心を持つことが必要である。

そして,県,市町村,事業者及び県民が,それぞれの責務の重要性を認識し,高齢者,障害者を含むすべての人が等しく社会参加できるよう環境の整備を進める必要がある。

これらのことにより,やさしさや思いやりの心に満ちた人々のふれあい,交流のあるまち,すなわち「ひとにやさしいまち」の実現が期待できる。

ここに,私たちは,人々が共に支え合い,共に快適に暮らせる地域社会の実現のために,県,市町村,事業者及び県民が一体となって「ひとにやさしいまちづくり」に取り組むことを決意し,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,ひとにやさしいまちづくりについて,県,市町村,事業者及び県民の責務を明らかにするとともに,基本方針を定めて県の施策の実施及び公共的施設等の整備を図ることにより,ひとにやさしいまちづくりを総合的に推進し,もって県民の福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「公共的施設等」とは,公共的施設,公共車両等及び住宅をいう。

2 この条例において「公共的施設」とは,病院,劇場,集会場,百貨店,ホテル,飲食店,学校その他の多くの人が利用する施設及び道路,公園その他の公共の用に供する施設で規則で定めるものをいう。

3 この条例において「特定公共的施設」とは,公共的施設のうち,当該施設に係る建築物が規則で定める規模以上のものをいう。

4 この条例において「公共車両等」とは,一般旅客の用に供する鉄道の車両,自動車,船舶等で規則で定めるものをいう。

(県の責務)

第3条 県は,ひとにやさしいまちづくりについて,基本的かつ総合的な施策を策定し,及びこれを実施するものとする。

(市町村の責務)

第4条 市町村は,当該市町村の実状に応じて,ひとにやさしいまちづくりに関する施策を策定し,及びこれを実施するとともに,県の実施する施策に協力するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は,その事業の用に供する施設について,すべての人が安全かつ容易に利用できるよう,その整備に努めるとともに,県及び市町村の実施する施策に協力しなければならない。

2 事業者は,事業活動を実施するに当たっては,その供給する物品及びサービスについて,すべての人がこれらを安全かつ容易に利用できるように配慮するとともに,県及び市町村の実施する施策に協力しなければならない。

(県民の責務)

第6条 県民は,ひとにやさしいまちづくりについての理解を深め,自ら進んで,ひとにやさしいまちづくりに努めるとともに,県及び市町村の実施する施策に協力しなければならない。

(総合的推進)

第7条 県,市町村,事業者及び県民は,ひとにやさしいまちづくりについてのそれぞれの責務を認識し,相互に連携することにより,一体となってひとにやさしいまちづくりの推進に努めるものとする。

第2章 基本方針

(ひとにやさしいまちづくりに関する基本方針)

第8条 ひとにやさしいまちづくりは,次に掲げる事項を基本方針として,これを行うものとする。

(1) すべての県民が,ひとにやさしいまちづくりについて,理解を深め,積極的にこれに参画する意識を持つようにすること。

(2) すべての人が安全かつ容易に社会参加できるための環境の整備を促進すること。

第3章 県の施策の実施

(広報及び情報提供)

第9条 県は,事業者及び県民に対し,ひとにやさしいまちづくりに関し,必要な広報及び情報の提供を行うものとする。

(教育の充実)

第10条 県は,児童及び生徒に対し,ひとにやさしいまちづくりについての理解を深め,やさしさや思いやりの心を醸成するための教育の充実に努めるものとする。

(学習機会の充実)

第11条 県は,事業者及び県民に対し,ひとにやさしいまちづくりに関する学習機会の提供に努めるものとする。

2 県は,事業者及び県民がひとにやさしいまちづくりに関して行う学習について,必要な技術的指導その他の支援を行うものとする。

(ボランティア活動の促進)

第12条 県は,県民によるひとにやさしいまちづくりに関するボランティア活動の促進に努めるものとする。

(調査及び研究)

第13条 県は,ひとにやさしいまちづくりを推進するため,必要な調査及び研究に努めるものとする。

(財政上の措置)

第14条 県は,ひとにやさしいまちづくりを推進するため,必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第4章 公共的施設等の整備

第1節 公共的施設の整備

(整備基準の設定)

第15条 知事は,公共的施設について,高齢者,障害者を含む多くの人が安全かつ容易にこれを利用できるために備えるべき構造及び設備に関する基準(以下「整備基準」という。)を定めなければならない。

2 整備基準は,次に掲げる項目について,公共的施設の種別ごとに規則で定める。

(1) 出入口

(2) 廊下その他これに類するもの

(3) 階段(その踊り場を含む。)

(4) 昇降機

(5) 便所

(6) 駐車場

(7) 敷地内の通路

(8) その他公共的施設の利用者が通常使用するものとして規則で定めるもの

(公共的施設の整備)

第16条 公共的施設を設置し,所有し,又は管理する者は,当該公共的施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない。

(県等の公共的施設の整備)

第17条 県は,自ら設置し,又は管理する公共的施設を整備基準に適合させるよう率先して努めるものとする。

2 知事は,国,市町村その他規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)に対し,その設置し,又は管理する公共的施設の整備基準への適合に率先して努めるよう要請するものとする。

第2節 特定公共的施設の整備

(工事の届出)

第18条 特定公共的施設の新築,増築,改築,大規模の修繕又は大規模の模様替(既存の建築物の全部又は一部の用途を変更することにより特定公共的施設となる場合を含む。)の工事をしようとする者は,あらかじめ,規則で定めるところにより,当該工事の内容を知事に届け出なければならない。

2 前項の規定により届出をした者は,当該届出の内容の変更(規則で定める変更を除く。)をしようとするときは,あらかじめ,規則で定めるところにより,その内容を知事に届け出なければならない。

(指導及び助言)

第19条 知事は,前条の規定による届出があった場合において,必要があると認めるときは,当該届出をした者に対し,当該届出に係る特定公共的施設について,整備基準への適合に関し必要な指導及び助言を行うことができる。

(勧告)

第20条 知事は,第18条の規定による届出を怠っている者があるときは,その者に対し,同条の規定による届出を行うよう勧告することができる。

(公表)

第21条 知事は,前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは,その旨を公表することができる。

2 知事は,前項の規定により公表をしようとするときは,あらかじめ,当該勧告を受けた者に対し,意見陳述の機会を与えなければならない。

(施設の状況の把握及び整備)

第22条 特定公共的施設を設置し,所有し,又は管理する者(以下「設置者等」という。)は,これを維持管理するに当たっては,当該施設について,定期的に必要な調査を行い,整備基準への適合状況について把握するよう努めなければならない。

2 設置者等は,当該特定公共的施設について,必要に応じ,整備基準に適合させるための措置を講じ,その整備に努めなければならない。

(報告の徴収)

第23条 知事は,必要があると認めるときは,設置者等に対し,当該特定公共的施設の整備基準への適合状況について,報告を求めることができる。

(整備計画の提出)

第24条 知事は,前条の報告を受けた場合において,特に必要があると認めるときは,設置者等に対し,当該特定公共的施設について,整備基準に適合させるための整備計画を作成し,提出するよう求めることができる。

(指導及び助言)

第25条 知事は,第23条の規定による報告又は前条の規定による整備計画の提出があった場合において,必要があると認めるときは,設置者等に対し,当該特定公共的施設について,整備基準への適合に関し必要な指導及び助言を行うことができる。

(立入調査)

第26条 知事は,この節の規定の施行に必要な限度において,その指定する職員に,特定公共的施設に立ち入り,整備基準への適合状況を調査させることができる。

2 前項の規定により立入調査を行う職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者にこれを提示しなければならない。

(国等及び県に対する適用除外)

第27条 国等及び県については,この節の規定は適用しない。

第3節 公共車両等の整備

(公共車両等の整備)

第28条 公共車両等を所有し,又は管理する者は,当該公共車両等について,多くの人が安全かつ容易に利用できるよう,その整備に努めなければならない。

第4節 住宅の整備

(住宅の整備)

第29条 県民は,その所有し,又は管理する住宅について,多くの人が安全かつ容易に利用できるよう,その整備に努めるものとする。

2 住宅を供給する事業者は,事業活動を実施するに当たっては,多くの人が安全かつ容易に利用できるように配慮された住宅の供給に努めなければならない。

第5章 雑則

(委任)

第30条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

この条例は,平成8年4月1日から施行する。ただし,第4章の規定は,規則で定める日から施行する。

(平成8年規則第69号で平成9年1月1日から施行)

茨城県ひとにやさしいまちづくり条例

平成8年3月28日 条例第10号

(平成8年3月28日施行)

体系情報
第6編 生/第1章 会/第6節の2 県民福祉
沿革情報
平成8年3月28日 条例第10号