○茨城県自然環境保全条例

昭和48年4月1日

茨城県条例第4号

茨城県自然環境保全条例を公布する。

茨城県自然環境保全条例

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 自然環境保全地域(第3条―第9条の5)

第3章 緑地環境保全地域(第10条―第15条)

第4章 茨城県自然環境保全審議会(第16条―第21条)

第5章 雑則(第22条―第28条)

第6章 罰則(第29条―第33条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,自然環境保全法(昭和47年法律第85号)に基づき必要な事項を定めるほか,緑地環境保全地域の指定,当該地域における行為の規制その他必要な事項を定めることにより,生物の多様性の確保その他の自然環境の適正な保全を推進し,もつて現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(平22条例32・一部改正)

(基本方針)

第2条 知事は,自然環境の保全を図るための基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 自然環境の保全に関する基本構想

(2) 自然環境保全地域及び緑地環境保全地域の指定その他これらの地域に係る生物の多様性の確保その他の自然環境の保全に関する施策に関する基本的な事項

(3) 前号に掲げる地域とその他の自然環境の保全を目的とする地域との調整に関する基本的な方針

(4) その他自然環境の保全に関する重要事項

3 知事は,基本方針を定めようとするときは,あらかじめ,茨城県自然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は,基本方針を定めたときは,これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は,基本方針の変更について準用する。

(平4年条例1・平22条例32・一部改正)

第2章 自然環境保全地域

(指定)

第3条 知事は,次の各号のいずれかに該当する区域のうち,その区域の周辺の自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを自然環境保全地域として指定することができる。

(1) 高山性植生又は亜高山性植生が相当部分を占める森林又は草原の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)で,その面積が規則で定める面積以上のもの

(2) 優れた天然林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)で,その面積が規則で定める面積以上のもの

(3) 地形若しくは地質が特異であり,又は特異な自然の現象が生じている土地の区域及びこれと一体となつて自然環境を形成している土地の区域で,その面積が規則で定める面積以上のもの

(4) その区域内に生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している海岸,湖沼,湿原又は河川の区域で,その面積が規則で定める面積以上のもの

(5) 植物の自生地,野生動物の生息地その他の規則で定める土地の区域で,その区域における自然環境が前各号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもののうち,その面積が規則で定める面積以上のもの

2 知事は,自然環境保全地域の指定をしようとするときは,あらかじめ,関係市町村の長及び茨城県自然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。この場合においては,次条第1項に規定する自然環境保全計画の案についても,あわせて,その意見を聴かなければならない。

3 知事は,自然環境保全地域を指定しようとするときは,あらかじめ,規則で定めるところにより,その旨を公告し,その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

4 前項の規定による公告があつたときは,当該区域に係る住民及び利害関係人は,同項の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された案について,知事に意見書を提出することができる。

5 知事は,前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があつたとき又は当該自然環境保全地域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めたときは,公聴会を開催するものとする。

6 知事は,自然環境保全地域の指定するときは,その旨及びその区域を茨城県報で公示しなければならない。

7 自然環境保全地域の指定は,前項の規定による公示によつてその効力を生ずる。

8 第2項前段及び前2項の規定は自然環境保全地域の指定の解除及び区域の変更について,第2項後段及び第3項から第5項までの規定は自然環境保全地域の区域の拡張について,それぞれ準用する。

(平4条例1・平22条例32・一部改正)

(自然環境保全計画)

第4条 知事は,自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は事業に関する計画(以下「自然環境保全計画」という。)を決定するものとする。

2 自然環境保全計画には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該地域における自然環境の保全に関する基本的な事項

(2) 当該地域における自然環境の特質に即して,特に保全を図るべき土地の区域(以下「特別地区」という。)の指定に関する事項

(3) 当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項

(4) 当該地域における自然環境の保全のための事業に関する事項

3 知事は,自然環境保全計画を決定したときは,その概要を茨城県報で公示し,かつ,その自然環境保全計画を一般の閲覧に供しなければならない。

4 前条第2項前段及び前項の規定は自然環境保全計画の廃止及び変更について,同条第3項から第5項までの規定は自然環境保全計画の決定及び変更(第2項第2号又は第3号に掲げる事項に係る変更に限る。)について,それぞれ準用する。

(平22条例32・一部改正)

(自然環境保全事業の執行)

第5条 自然環境保全計画に基づいて執行する事業であつて,自然環境の保全のための施設で規則で定めるものに関するもの(以下「自然環境保全事業」という。)は,県が執行する。

(平11条例52・一部改正)

(特別地区)

第6条 知事は,自然環境保全計画に基づいて,自然環境保全地域の区域内に特別地区を指定することができる。

2 第3条第6項及び第7項の規定は,特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。

3 知事は,特別地区を指定し,又はその区域を拡張するときは,あわせて,当該自然環境保全計画に基づいて,その区域内において次項の許可を受けないで行うことができる木竹の伐採(第10項に規定する行為に該当するものを除く。)の方法及び限度を指定するものとする。自然環境保全計画で当該特別地区に係るものの変更(第4条第2項第3号に掲げる事項に係る変更以外の変更を除く。)をするときも,同様とする。

4 特別地区内においては,次の各号に掲げる行為は,知事の許可を受けなければ,してはならない。ただし,非常災害のために必要な応急措置として行う行為,第1号から第5号まで若しくは第10号に掲げる行為で森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項若しくは第2項若しくは第25条の2第1項若しくは第2項の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第41条の規定により指定された保安施設地区(第8条第1項及び第13条第1項において「保安林等の区域」という。)内において同法第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係るもの,第6号に掲げる行為で前項の規定により知事が指定する方法により当該限度内において行うもの又は第7号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものについては,この限りでない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し,改築し,又は増築すること。

(2) 宅地を造成し,土地を開墾し,その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し,又は土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て,又は干拓すること。

(5) 河川,湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

(6) 木竹を伐採すること。

(7) 知事が指定する区域内において木竹を損傷すること。

(8) 知事が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で,当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして知事が指定するものを植栽し,又は当該植物の種子をまくこと。

(9) 知事が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で,当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして知事が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)

(10) 知事が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺1キロメートルの区域内において,当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。

(11) 道路,広場,田,畑,牧場及び宅地以外の地域のうち知事が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し,又は航空機を着陸させること。

(12) 前各号に掲げるもののほか,特別地区における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で規則で定めるもの

5 前項の許可には,当該特別地区における自然環境の保全のために必要な限度において,条件を付することができる。

6 知事は,第4項各号に掲げる行為で規則で定める基準に適合しないものについては,同項の許可をしてはならない。

7 特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第4項各号に掲げる行為をした者は,その行為をした日から起算して14日以内に,知事にその旨を届け出なければならない。

8 第4項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなつた時において既に当該行為に着手している者は,その規制されることとなつた日から起算して6月間は,同項の規定にかかわらず,引き続き当該行為をすることができる。

9 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について知事に届け出たときは,第4項の許可を受けたものとみなす。

10 次の各号に掲げる行為については,第4項及び第7項の規定は,適用しない。

(1) 自然環境保全事業の執行として行う行為

(2) 認定生態系維持回復事業等(第9条の3第1項の規定により行われる生態系維持回復事業及び同条第2項の確認又は同条第3項の認定を受けた生態系維持回復事業をいう。以下同じ。)として行う行為

(3) 国又は地方公共団体が行う行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(4) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(平2条例36・平11条例52・平22条例32・一部改正)

(野生動植物保護地区)

第7条 知事は,特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは,自然環境保全計画に基づいて,その区域内に,当該保護すべき野生動植物の種類ごとに,野生動植物保護地区を指定することができる。

2 第3条第6項及び第7項の規定は,野生動植物保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。

3 何人も,野生動植物保護地区内においては,当該野生動植物保護地区に係る野生動植物(動物の卵を含む。)を捕獲し,若しくは殺傷し,又は採取し,若しくは損傷してはならない。ただし,次の各号に掲げる場合は,この限りでない。

(1) 前条第4項の許可を受けた行為を行うためにする場合

(2) 非常災害のために必要な応急措置を行うためにする場合

(3) 自然環境保全事業を執行するためにする場合

(4) 認定生態系維持回復事業等を行うためにする場合

(5) 国又は地方公共団体が行う行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので,規則で定めるものを行うためにする場合

(6) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので,規則で定めるものを行うためにする場合

(7) 前各号に掲げるもののほか,知事が特に必要があると認めて許可した場合

4 前条第5項の規定は,前項第7号の許可について準用する。

(平2条例36・平22条例32・一部改正)

(普通地区)

第8条 自然環境保全地域の区域のうち特別地区に含まれない区域(以下「普通地区」という。)内において,次の各号に掲げる行為をしようとする者は,知事に対し,規則で定めるところにより,行為の種類,場所,施行方法及び着手予定日その他規則で定める事項を届け出なければならない。ただし,第1号から第3号までに掲げる行為で森林法第34条第2項本文の規定に該当するものを保安林等の区域内においてしようとする者は,この限りでない。

(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他の工作物を新築し,改築し,又は増築すること(改築又は増築後において,その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)

(2) 宅地を造成し,土地を開墾し,その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し,又は土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て,又は干拓すること。

(5) 地別地区内の河川,湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

2 知事は,前項の規定による届出があつた場合において,自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは,その届出をした者に対して,その届出があつた日から起算して30日以内に限り,当該自然環境の保全のために必要な限度において,その届出に係る行為を禁止し,若しくは制限し,又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

3 知事は,第1項の規定による届出があつた場合において,実地の調査をする必要があるときその他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは,その理由が存続する間,同項の期間を延長することができる。この場合において,同項の期間内に,第1項の規定による届出をした者に対して,その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。

4 第1項の規定による届出をした者は,その届出をした日から起算して30日を経過した後でなければ,当該届出に係る行為に着手してはならない。

5 知事は,当該自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは,前項の期間を短縮することができる。

6 次の各号に掲げる行為については,第1項から第3項までの規定は,適用しない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(2) 自然環境保全事業の執行として行う行為

(3) 認定生態系維持回復事業等として行う行為

(4) 国又は地方公共団体が行う行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(5) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち,自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(6) 自然環境保全地域が指定され,又はその区域が拡張された際着手している行為

(昭48条例63・平4条例1・平11条例52・平22条例32・一部改正)

(中止命令等)

第9条 知事は,自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは,第6条第4項若しくは第7条第3項の規定に違反し,若しくは第6条第5項(第7条第4項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付された条件に違反した者,前条第1項の規定による届出をせず,同項各号に掲げる行為をした者又は同条第2項の規定による処分に違反した者に対して,その行為の中止を命じ,又は相当の期限を定めて,原状回復を命じ,若しくは原状回復が著しく困難である場合に,これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

(平22条例32・一部改正)

(生態系維持回復事業計画)

第9条の2 知事は,生態系維持回復事業(自然環境保全計画に基づいて行う事業であつて,当該自然環境保全計画に係る自然環境保全地域における生態系の維持又は回復を図るものをいう。以下同じ。)の適正かつ効果的な実施に資するため,自然環境保全計画に基づき,茨城県自然環境保全審議会の意見を聴いて,生態系維持回復事業に関する計画(以下「生態系維持回復事業計画」という。)を定めるものとする。

2 生態系維持回復事業計画においては,次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 生態系維持回復事業の目標

(2) 生態系維持回復事業を行う区域

(3) 生態系維持回復事業の内容

(4) 前3号に掲げるもののほか,生態系維持回復事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項

3 知事は,生態系維持回復事業計画を定めたときは,その概要を公示しなければならない。

4 知事は,生態系維持回復事業計画を廃止し,又は変更しようとするときは,茨城県自然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。

5 第3項の規定は,生態系維持回復事業計画の廃止及び変更について準用する。

(平22条例32・追加)

(生態系維持回復事業の実施)

第9条の3 県は,自然環境保全地域における自然環境の保全のため生態系の維持又は回復を図る必要があると認めるときは,生態系維持回復事業計画に従つて生態系維持回復事業を行うものとする。

2 市町村は,規則で定めるところにより,その行う生態系維持回復事業について生態系維持回復事業計画に適合する旨の知事の確認を受けて,生態系維持回復事業計画に従つてその生態系維持回復事業を行うことができる。

3 県及び市町村以外の者は,規則で定めるところにより,その行う生態系維持回復事業について,その者がその生態系維持回復事業を適正かつ確実に実施することができ,及びその生態系維持回復事業が生態系維持回復事業計画に適合する旨の知事の認定を受けて,生態系維持回復事業計画に従つてその生態系維持回復事業を行うことができる。

4 第2項の確認又は前項の認定を受けようとする者は,規則で定めるところにより,次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,その代表者の氏名

(2) 生態系維持回復事業を行う区域

(3) 生態系維持回復事業の内容

(4) 前3号に掲げるもののほか,規則で定める事項

5 前項の申請書には,生態系維持回復事業を行う区域を示す図面その他の規則で定める書類を添付しなければならない。

6 第2項の確認又は第3項の認定を受けた者は,第4項各号に掲げる事項を変更しようとするときは,市町村にあつては知事の確認を,県及び市町村以外の者にあつては知事の認定を受けなければならない。ただし,規則で定める軽微な変更については,この限りでない。

7 前項の確認又は同項の認定を受けようとする者は,規則で定めるところにより,変更に係る事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

8 第5項の規定は,前項の申請書について準用する。

9 第2項の確認又は第3項の認定を受けた者は,第6項ただし書の規則で定める軽微な変更をしたときは,遅滞なく,その旨を知事に届け出なければならない。

(平22条例32・追加)

(認定の取消し)

第9条の4 知事は,前条第3項の認定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは,同項の認定を取り消すことができる。

(1) 生態系維持回復事業計画に従つて生態系維持回復事業を行つていないと認めるとき。

(2) その生態系維持回復事業を適正かつ確実に行うことができなくなつたと認めるとき。

(3) 前条第6項又は第9項の規定に違反したとき。

(4) 次条の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をしたとき。

(5) 偽りその他の不正の手段により前条第3項又は第6項の認定を受けたとき。

(平22条例32・追加)

(報告徴収)

第9条の5 知事は,第9条の3第3項の認定を受けた者に対し,その生態系維持回復事業の実施状況その他必要な事項に関し報告を求めることができる。

(平22条例32・追加)

第3章 緑地環境保全地域

(指定)

第10条 知事は,自然環境保全地域以外の区域で,次の各号のいずれかに該当する区域のうち,その区域の自然的社会的諸条件からみてその地域における自然環境を保全することが特に必要なものを,緑地環境保全地域として指定することができる。

(1) 樹林地,池沼,丘陵,草原等の区域が市街地,集落地又はこれらの周辺の地域と一体となつて良好な自然環境を形成している土地の区域で,その面積が規則で定める面積以上のもの

(2) 歴史的,文化的,社会的資産がその周辺の地域と一体となつて良好な自然環境を形成している土地の区域で,その面積が規則で定める面積以上のもの

2 第3条第2項前段の規定は緑地環境保全地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について,同条同項後段及び同条第3項から第5項までの規定は緑地環境保全地域の指定及びその区域の拡張について,同条第6項及び第7項の規定は緑地環境保全地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について,それぞれ準用する。この場合において,第3条第2項から第7項までの規定中「自然環境保全地域」とあるのは「緑地環境保全地域」と,同条第2項後段中「次条第1項」とあるのは「第11条第1項」と読み替えるものとする。

(平4条例・一部改正)

(緑地環境保全計画)

第11条 知事は,緑地環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画(以下「緑地環境保全計画」という。)を決定するものとする。

2 緑地環境保全計画には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該地域における自然環境の保全に関する基本的な事項

(2) 当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項

(3) 当該地域における自然環境の保全のための施設に関する事項

3 第3条第2項前段の規定は緑地環境保全計画の廃止及び変更について,同条第3項から第5項までの規定は緑地環境保全計画の決定及び変更(前項第2号に掲げる事項に係る変更に限る。)について,第4条第3項の規定は緑地環境保全計画の決定,廃止及び変更について,それぞれ準用する。

(緑地環境保全事業の執行)

第12条 緑地環境保全計画に基づいて執行する事業であつて,自然環境の保全のための施設で規則で定めるものに関するもの(以下「緑地環境保全事業」という。)は,県が執行する。

(平11条例52・一部改正)

(届出)

第13条 緑地環境保全地域内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は,知事に対し,規則で定めるところにより,行為の種類,場所,施行方法及び着手予定日その他規則で定める事項を届け出なければならない。ただし,第1号から第4号までに掲げる行為で森林法第34条第2項本文の規定に該当するものを保安林等の区域内においてしようとする者は,この限りでない。

(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他の工作物を新築し,改築し,又は増築すること(改築又は増築後において,その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)

(2) 宅地を造成し,土地を開墾し,その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し,又は土石を採取すること。

(4) 木竹を伐採すること。

(5) 水面を埋め立て,又は干拓すること。

2 知事は,前項の規定による届出があつた場合において,緑地環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは,その届出をした者に対して,その届出があつた日から起算して30日以内に限り,当該自然環境の保全のために必要な限度において,その届出に係る行為を禁止し,若しくは制限し,又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

3 知事は,第1項の規定による届出があつた場合において,実地の調査をする必要があるときその他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは,その理由が存続する間,同項の期間を延長することができる。この場合において,同項の期間内に,第1項の規定による届出をした者に対して,その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。

4 第1項の規定による届出をした者は,その届出をした日から起算して30日を経過した後でなければ,当該届出に係る行為に着手してはならない。

5 知事は,当該緑地環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは,前項の期間を短縮することができる。

6 次の各号に掲げる行為については,第1項から第3項までの規定は,適用しない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(2) 緑地環境保全事業の執行として行う行為

(3) 国又は地方公共団体が行う行為のうち,緑地環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(4) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち,緑地環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの

(5) 緑地環境保全地域が指定され,又はその区域が拡張された際着手している行為

7 国又は地方公共団体は,第1項の規定による届出を要する行為をしたときは,同項の規定による届出の例により,知事にその旨を通知しなければならない。

(昭48条例63・平4条例1・平11条例52・一部改正)

(中止命令等)

第14条 知事は,緑地環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは,前条第1項の規定による届出をせず,同項各号に掲げる行為をした者又は同条第2項の規定による処分に違反した者に対して,その行為の中止を命じ,又は相当の期限を定めて,原状回復を命じ,若しくは原状回復が著しく困難である場合に,これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

(損失の補償)

第15条 県は,第13条第2項の規定による処分を受けたため損失を受けた者に対して,通常生ずべき損失を補償する。

2 県は,緑地環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張,緑地環境保全計画の決定若しくは変更又は県が行う緑地環境保全事業の執行に関し,第24条第1項の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して,通常生ずべき損失を補償する。

(平4条例1・一部改正)

第4章 茨城県自然環境保全審議会

(組織)

第16条 自然環境保全法第51条に規定する自然環境の保全に関する審議会の名称は,茨城県自然環境保全審議会(以下「審議会」という。)とする。

2 審議会は,委員29人以内で組織する。

3 委員は,関係公務員,関係団体の役職員及び学識経験のある者のうちから,知事が任命し,又は委嘱する。

4 委員の任期は,2年とする。ただし,委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

5 委員は,再任されることができる。

(平4条例1・平11条例52・一部改正)

(会長等)

第17条 審議会に,会長及び副会長を置き,委員の互選によつて定める。

2 会長は,会務を総理する。

3 副会長は,会長を補佐し,会長に事故があるときは,その職務を代理する。

(平11条例52・一部改正)

(専門委員)

第18条 審議会に,臨時又は特別の事項を調査審議させるため,専門委員若干人を置くことができる。

2 専門委員は,知事が任命し,又は委嘱する。

3 専門委員は,当該臨時又は特別の事項に関する調査審議が終了したときは,その職を失うものとする。審議会の他の委員の任期が満了したときも,同様とする。

(平11条例52・一部改正)

(会議)

第19条 審議会の会議(以下「会議」という。)は,会長が招集する。

2 会長は,会議の議長となる。

3 会議は,委員の過半数の出席がなければ開くことができない。

4 会議の議事は,出席した委員の過半数をもつて決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。

(部会)

第20条 審議会は,必要に応じ部会を置くことができる。

(平11条例52・一部改正)

(委任)

第21条 第16条から前条までに定めるもののほか,審議会の運営に関し必要な事項は,規則で定める。

第5章 雑則

(自然保護監視員等)

第22条 知事は,規則で定めるところにより,その職員のうちから自然保護監視員を命じ,第9条及び第14条に規定する権限の一部を行わせることができる。

2 前項の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。

3 知事は,自然環境保全地域及び緑地環境保全地域(以下「保全地域」という。)における自然環境の保全のための指導等にあたらせるため,自然保護指導員を置くことができる。

(平4条例1・平11条例52・一部改正)

(報告及び検査等)

第23条 知事は,保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において,第6条第4項若しくは第7条第3項第7号の規定による許可を受けた者若しくは第8条第2項若しくは第13条第2項の規定により行為を制限され,若しくは必要な措置をとるべき旨を命じられた者に対し,当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め,又はその職員に,保全地域の区域内の土地若しくは建物内に立ち入り,第6条第4項各号第7条第3項本文第8条第1項各号若しくは第13条第1項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ,若しくはこれらの行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。

2 前項の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(平22条例32・一部改正)

(実地調査)

第24条 知事は,保全地域の指定若しくはその区域の拡張,自然環境保全計画又は緑地環境保全計画の決定若しくは変更又は自然環境保全事業又は緑地環境保全事業の執行に関し,実地調査のため必要があるときは,その職員に,他人の土地に立ち入り,標識を設置させ,測量させ,又は実地調査の障害となる木竹若しくは垣,さく等を伐採させ,若しくは除去させることができる。

2 知事は,その職員に,前項の規定による行為をさせようとするときは,あらかじめ,土地の所有者(所有者の住所が明らかでないときは,その占有者。以下この条において同じ。)及び占有者並びに木竹又は垣,さく等の所有者にその旨を通知し,意見書を提出する機会を与えなければならない。

3 第1項の職員は,日出前及び日没後においては,宅地又は垣,さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。

4 第1項の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。

5 土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくは垣,さく等の所有者は,正当な理由がなく,第1項の規定による立入りその他の行為を拒み,又は妨げてはならない。

(平11条例52・一部改正)

(標識の設置)

第25条 知事は,自然環境保全地域,特別地区,野生動植物保護地区又は緑地環境保全地域を指定したときは,その区域内に当該区域である旨を表示した標識を設けるものとする。

(配慮)

第26条 知事は,保全地域に関する規定の適用に当たつては,当該地域に係る住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。

第27条 削除

(平11条例52)

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

第6章 罰則

(罰則)

第29条 第9条の規定による命令に違反した者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(平4条例1・平22条例32・一部改正)

第30条 次の各号のいずれかに該当する者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第6条第4項又は第7条第3項の規定に違反した者

(2) 第6条第5項(第7条第4項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付された条件に違反した者

(3) 第14条の規定による命令に違反した者

(平4条例1・平22条例32・一部改正)

第31条 第8条第2項又は第13条第2項の規定による処分に違反した者は,50万円以下の罰金に処する。

(平4条例1・平22条例32・一部改正)

第32条 次の各号のいずれかに該当する者は,30万円以下の罰金に処する。

(1) 第8条第1項又は第13条第1項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者

(2) 第8条第4項又は第13条第4項の規定に違反した者

(3) 第23条第1項の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をした者

(4) 第23条第1項の規定による立入検査又は立入調査を拒み,妨げ,又は忌避した者

(5) 第24条第5項の規定に違反して,同条第1項の規定による立入りその他の行為を拒み,又は妨げた者

(昭48条例63・平4条例1・平22条例32・一部改正)

第33条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業員が,その法人又は人の業務に関して,第29条から前条までの違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(平22条例32・一部改正)

1 この条例は,規則で定める日から施行する。

(昭和48年規則第36号で第2章,第3章,第5章及び第6章の規定以外は昭和48年4月12日から施行)

(昭和48年規則第89号で第1章及び第4章の規定以外は昭和48年12月27日から施行)

2 茨城県立自然公園条例(昭和37年茨城県条例第17号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(昭和48年条例第63号)

この条例は,公布の日から施行する。

(平成2年条例第36号)

この条例は,平成2年12月1日から施行する。

(平成4年条例第1号)

1 この条例は,平成4年4月1日から施行する。

2 茨城県温泉審議会廃止の際同審議会の委員の職にあつた者は,その委員としての任期の末日(同日以前においてこの条例による改正後の茨城県自然環境保全条例(以下「改正後の条例」という。)第16条第2項の規定により茨城県自然環境保全審議会の委員に選任された場合は,当該選任された日)までの間は,改正後の条例第16条第2項の規定に基づき選任された委員とみなす。この場合において,同条第1項中「29人」とあるのは「32人」とする。

3 茨城県温泉審議会条例(昭和30年茨城県条例第25号)は,廃止する。

(平成11年条例第52号)

この条例は,平成12年4月1日から施行する。

(平成22年条例第32号)

(施行期日)

1 この条例は,平成23年4月1日から施行する。

茨城県自然環境保全条例

昭和48年4月1日 条例第4号

(平成23年4月1日施行)

体系情報
第7編 生/第4章 環境保全/第3節 自然保護
沿革情報
昭和48年4月1日 条例第4号
昭和48年12月27日 条例第63号
平成2年11月19日 条例第36号
平成4年3月27日 条例第1号
平成11年12月24日 条例第52号
平成22年9月28日 条例第32号