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平成24年度 第8回霞ヶ浦野外講座 冬の湖岸植物と馬掛不動

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概要

さわやかな秋風が吹き抜ける晩秋の絶好の観察日和でした。

馬掛の鼻は霞ヶ浦を眼下に見下ろし、遠く筑波山・日光連山を眺める景勝地です。 斜面にはベニシダ・イタチシダ・ゲジゲジシダなどのシダ植物やヒヨドリバナ・トネアザミ・ カントウヨメナ・イヌタデ・アキノノゲシなどの花が見られます。ヤブコウジの赤い実もきれいでした。 スダジイ・タブノキ・シロダモの巨木もみられます。

下の田んぼの畦にはヤナギタデ・タウコギ・アイノゲシ・キカシグサ・トキワハゼ・ コゴメガヤツリ・タマガヤツリ・ヒメクグ・ハマスゲ・ヌメリグサ・キクモ・ミズワラビ などが生育しています。用水の縁にはチョウジタデ・ヤノネグサの花も見られます。

霞ヶ浦河畔はヤナギ・ヨシ群落になっており、オギやヨシの穂が秋の日に輝いています。 ノイバラの実は赤く色づいてきました。シロバナサクラタデ・サクラタデ・ヒロハホウキギク・ ガガイモ・スイカズラ・マツカサススキ・スズメウリ・シロネ・トダシバ・アシボソなどがみられます。 ヤナギ科のカワヤナギ・アカメヤナギ・タチヤナギなどもみられます。馬掛不動下の崖には コモチシダが無性芽をつけていました。ここは自然環境保全地域に指定されています。スダジイの 巨木林の林床にはベニシダ・アスカイノデ・ヤブソテツの他テリハヤブソテツ・ミウライノデ・ミゾシダ・トウゴクシダ・セイタカシケシダ・オオイタチシダ・ハシゴシダ・オクマワラビ・ホシダ・ヤマイタチシダ・オオバノイノモトソウ・フモトシダ などのシダ植物がみられます。今回の観察会で160種類観察することができました。

午後は、馬掛不動へ移動して研修しました。1398年創建といわれる馬掛不動尊は、安産不動と して有名です。古代に京と国府(現石岡市)を結ぶ官道が通り交通の要衝であった地域です。 「湖底にはえがい岩がいっぱいあって馬掛の岩つって有名な岩だ。岩の間に網を入れて引く州引 きには腕のいい漁師しかできなかった。」そういう偉い親父の話を伺った。岩の本体は砂まじりの シルト層で不動尊境内に露出しているのをみることができました。湖に生きる先人の姿が語り継 がれていることは民俗学的資料としてもまた歴史、地理、環境科学的見地からも貴重なものである という話に皆さん納得です。

馬掛・牛込・対岸の牛渡などの地名からここから対岸まで歩いて渡っていたのでは・・・という 大胆な想像をした講師の顔はほころんでいました。


秋景色;カントウヨメナ・イヌタデの花々


トネアザミ(キク科)別名タイアザミ

 


シロダモ(クスノキ科)の雄花;雌雄異株です


湖底の えがい岩 は砂混じりのシルト層(堆積岩)