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平成25年度 第10回霞ヶ浦野外講座 巴川源流の植物と千年前の古道跡

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概要

巴川源流部の愛宕山を歩きました。落葉樹はすっかり葉を落とし冬支度です。

今回の観察会の課題植物は,ガガイモ科のキジョランです。関東以西に分布し,県内では県北・県央・鹿行地域や筑波山に生育しており県の準絶滅危惧種に指定されています。照葉樹林内に生えますが愛宕山ではスギ林下のアオキやヒサカキが生育する南斜面で見ることができました。アサギマダラの食草で葉の裏に幼虫も見られました。有毒植物ですが幼虫は毒成分を体内に蓄え捕食から免れているようです。自然の妙に感動しました。

フユイチゴ・アオキ・マルバノホロシ・ヤブコウジ・マンリョウ・ウメモドキなどが赤い実をつけて輝いています。特にフユイチゴの実は甘酸っぱい味がして今が旬です。

コブシ・シロダモ・タブノキなどは麟芽に包まれた冬芽がきれいです。オニドコロとヤマノイモはどちらも3枚の翼をもった刮ハをたくさんつけてよく似た形をしていますが,見比べると翼の形が違うことで区別できました。サカキ・イタビカズラ・イヌガヤ・ツルマサキなど暖かい地域に生育する植物も見られました。スダジイの巨木林は極相林を思わせ見事です。

巴川源流部の沢は水量は多くはないのですが流域の多様な植物が霞ヶ浦の水を育んでいることを裏付ける場所です。観察会の意義についても皆さん納得しました。

今回の観察会では136種類の植物を観察しました。

午後は千年前の古道跡について,岩波さんから資料を用いての話がありました。

今回は涸沼川を挟んだ笠間市安居(あご)地区と仁古田(にこた)地区の古道を訪ねました。

安居地区は涸沼川の右岸に位置しています。発掘調査で騎兵長の墨書土器が出土し軍事的な駐屯施設であった可能性が考えられ,炭化米も見つかり大型の穀倉であったと推測されています。この地に安侯(あご)の駅家があったと考えられており軍事・経済両面で重要な役割をもったことが伺えます。またこの地に持丸長者屋敷があったといわれ,屋敷内に2つの古墳がある地元の持丸さんに今に伝わる話を伺うことができ千年前にタイムスリップした気分に浸りました。

涸沼川左岸の仁古田地区では,源義家の五万の軍勢が奥州征伐のための通ったとの伝承がある五万掘り古道を歩きました。台地を上がる部分の切通しが良好に保存されています。栗畑を通り抜ける直線道路です。奥州街道と呼ばれ,茨城最古の駅道で,常陸国府(石岡市)から陸奥国へ行く主要な路であったとのことです。


愛宕山の植物観察


千年前の古道跡について研修

 


フユイチゴ(バラ科)


キジョランとアサギマダラの幼虫

 


マルバノホロシの赤い実(ナス科)


巴川源流部に架かる橋