トップページ > 組織について > センター事業評価 >  第2期茨城県霞ケ浦環境科学センター中期運営計画(平成28年度〜平成32年度)

第2期茨城県霞ケ浦環境科学センター中期運営計画(平成28年度〜平成32年度)

はじめに

霞ケ浦環境科学センター(以下「センター」という。)は、平成7年度に本県で開催された「第6回世界湖沼会議−霞ヶ浦‘95」において設置が提唱され、「人と自然の共生する環境の保全・創造」を実現するため、環境保全に関する調査研究に取り組むとともに、環境学習や市民活動の拠点として、平成17年4月に開設された。

このため、センターは、霞ヶ浦をはじめとする県内の湖沼・河川の水環境や大気環境等の保全に向け、「調査研究・技術開発」、「環境学習」、「市民活動との連携・支援」、「情報・交流」の4つの機能を、市民、研究者、企業及び行政の4者のパートナーシップのもと進めている。

 

センター設立当初の研究・事業推進体制は、総務課、企画・交流課、水環境研究室、大気環境研究室及び化学物質研究室の2課3研究室体制であったが、平成21年度には、大気及び化学物質研究室の統合と課室名の名称変更が行われ、総務課、環境活動推進課、湖沼環境研究室及び大気・化学物質研究室の2課2研究室体制となった。

なお、センターの前身は、旧公害技術センターの水質、大気及び化学環境部門と霞ヶ浦対策課の事業企画部門である。

調査研究については、外部有識者による検討委員会により策定された「第1期調査研究計画 (平成17年度から21年度)」(平成17年3月策定)により開始し、平成22年3月には、「第2期調査研究計画」(平成22年度から26年度)」が策定された。その後、茨城県科学技術戦略本部により、「県立試験研究機関中期運営計画・年度実施計画策定指針」(以下「策定指針」という。)が決定されたことから、第2期調査研究計画を継承して、「第1期霞ケ浦環境科学センター中期運営計画(平成23年度から27年度)」を平成23年4月に策定し、さらに調査研究事業の充実と効率化を図ってきた。

また、センターが行う研究・事業については、設立当初から事業評価委員会を設置し、公正かつ客観的な評価を行うことにより、効率的・効果的な推進を図ってきたが、平成23年度からは、策定指針に基づく機関評価委員会による年度評価を行い、更なる研究・事業のレベルアップを推進している。

このような中、県内の環境については、霞ヶ浦などの湖沼や光化学オキシダントなどの大気環境において、未だ環境基準が達成されていない状況にあることなどから、センターは、湖沼水質保全対策や大気保全対策の諸課題を解決するため、調査研究・技術開発の実施と、環境学習や情報・交流事業による県民の環境意識の醸成を、より強力に進めていく考えである。さらに、環境の保全による本県のイメージアップや経済活動への波及効果の観点からも、生活排水対策や農地対策等への理解を一層促進していく必要がある。

この度、「第2期霞ケ浦環境科学センター中期運営計画」を策定するにあたり、実効性のある施策に繋がるような視点で「調査研究・技術開発」を整理するとともに、「環境学習」、「市民活動との連携支援」、「情報・交流」を「県民に対して提供する業務」として明文化した他、平成30年度に本県での開催が決定した第17回世界湖沼会議を見据えて調査研究に取り組み、成果の利活用と情報交流をさらに強化するなど、センター事業全体として、県の環境保全に対する役割を再確認することとした。

T 中期運営計画の期間

第2期中期運営計画の期間は、平成28年度から32年度の5年間とする。

U 霞ケ浦環境科学センターの果たす役割

県では、茨城県環境基本計画を定めて、県内環境の保全と維持に努めているが、霞ヶ浦等の湖沼の水質や人の健康に影響を与える光化学オキシダント濃度が継続して環境基準未達成となっており、また平成21年度に環境基準が設定された微小粒子状物質(PM2.5)も環境基準未達成であることから、今後も引き続き水質保全対策及び大気保全対策を推進する必要がある。

特に、霞ヶ浦については、昭和56年に霞ケ浦富栄養化防止条例を制定し、また、昭和61年度からは湖沼水質保全特別措置法に基づく湖沼水質保全計画を5年ごとに策定し、生活排水対策や工場・事業場対策など陸域からの汚濁負荷量の削減などの水質保全対策を総合的・計画的に推進してきた。また、平成20年度からは森林湖沼環境税を導入し、生活排水対策や農地対策などの強化を図ってきた。その結果、霞ヶ浦湖内の水質は,COD(化学的酸素要求量)で見ると、平成21年度の9.5mg/Lをピークとして低下傾向にあり、平成25年度には6.8mg/L、26年度も7.0mg/Lとなったが、環境基準(3mg/L)と比較すると依然として高い濃度で推移している。

このような状況の中、センターの役割は、本県の環境上の課題を解決するため、「調査研究・技術開発」、「環境学習」、「市民活動との連携支援」、「情報・交流」を柱とした取組を進めていくことである。

調査研究・技術開発においては、環境分野における県の唯一の研究機関として、調査研究や実態把握に取り組むことはもとより、調査研究の成果から効果的かつ実効性のある対策を立案・提案していく。特に霞ヶ浦の水質保全対策に関しては、国等の研究機関や大学と連携して、調査研究・技術開発を行い、水質浄化対策の提言を行っていく。

また、環境学習の拠点として、県民の環境保全に対する意識の高揚を図るため、子どもから大人まで「学び」「考え」「行動」ができる体験型学習の場を提供するともに、市民活動との連携・支援を図り、多くの関係機関が協働して環境保全活動に取り組めるようにする。

さらに、霞ヶ浦に関する情報等を国内外に分かりやすく広報・発信するとともに、県民や関係機関、国内外の研究者との交流を促進し新たな知見を収集することにより、今後の環境保全対策に役立てていく。

V 県民に対して提供する業務

1 調査研究・技術開発

 

(1)霞ヶ浦等の湖沼に関する調査研究・技術開発

霞ヶ浦の水質は、平成26年度はCOD 7.0 mg/L(第6期湖沼水質保全計画の目標値:7.4 mg/L)、全窒素1.2 mg/L(同:1.0 mg/L)、全りん 0.090 mg/L(同:0.084 mg/L)と目標値前後まで改善したが、環境基準と比較すると依然として高い値である。

これまでセンターでは、湖内の水質や植物プランクトンなどについて調査研究を行い、植物プランクトンの増殖による有機物の増加、底泥からの溶出による栄養塩の増加及び湖内での窒素の自然浄化等の水質変動要因の解析と水質汚濁機構の解明をしてきた。例えば、湖内の有機物の約7割(懸濁態のほぼ全部と溶存態有機物の約4割)が、植物プランクトンに由来していることや、湖内で優占する植物プランクトン種は、珪藻類(平成17年度以前)から糸状藍藻類(平成18年から22年)を経て、アオコ形成藍藻のミクロキスティス(平成23年以降の夏季)へと変遷しているが、この要因が、無機系懸濁物質の増減による光環境の変動であることを明らかにした。更に、北浦の北部に流入する鉾田川の窒素濃度の影響を受け湖内窒素濃度は上昇しているが、河川流入水域では脱窒活性も高く、湖内窒素濃度の低減に寄与していること、また、硝酸性窒素の存在が底泥からのりんの溶出を抑制していることなども明らかにしている。

センターにおいては、今後も水質や植物プランクトンについての詳細調査を実施し、その変動要因を解析するとともに、COD変動の直接の要因である植物プランクトンの動態解明と、その増殖要因である窒素・りんの削減に向けた調査研究・技術開発を進めていく。

また、涸沼や牛久沼についても、CODや全窒素・全りんの環境基準未達成の状況が継続しており、その汚濁機構の解明のために、湖内の水質詳細調査等を実施し、解析を行っていく。

特に、世界湖沼会議を見据えて、霞ヶ浦流域からの窒素負荷の把握や農地からの削減に係る研究に重点的に取り組んでいくとともに、霞ヶ浦の水質変動要因や汚濁負荷削減対策等に係るこれまでの調査研究成果の発表を通し、国際的な湖沼の環境保全に貢献する。

@水質変動要因の解明
【研究の方向】

霞ヶ浦湖内の詳細調査を実施し、霞ヶ浦の水質変動要因を解明する。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・湖内の水質変動の解析や湖沼水質保全計画の策定に必要な水質や植物プランクトンのデータを収集した。
    ・霞ヶ浦は底泥からのりん溶出による影響が大きいので、底泥からの溶出機構を組み込んだシミュレーションモデルを構築し、霞ヶ浦の水質変動の再現ができるようにした。
    ・湖内の水質変動要因の解明のために必要な水質やプランクトン等のデータを収集し、解析する。[継続]
    ・霞ヶ浦水質予測モデルに、毎年度の調査研究成果等を組み込み、水質変動を解明する。
    ・霞ヶ浦水質予測モデルにより、水質浄化対策の効果検証を行う。
    ・研究成果に基づき、水質浄化対策を提言する。
Aアオコの発生要因の解明
【研究の方向】

霞ヶ浦の水質に大きく影響を及ぼす植物プランクトンに関し、その優占に係わる環境条件を明らかにする。これにより、過去に優占した植物プランクトンの要因を解明でき、また、環境条件により、将来優占する植物プランクトンの予測も可能となる。

平成23年度以降、夏季にアオコが発生していることから、先ずは、ミクロキスティスの動態解明を行う。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・霞ヶ浦の植物プランクトンについては、CODが上昇した平成18〜22年度に優占していた糸状藍藻について優占機構を明らかにした。 ・平成23年夏にアオコが大発し次年度以降も発生が予測されたことから、アオコの発生要因について解析し、短期の発生状況を予測した「アオコ情報」を平成24年度から発信している。 ・アオコの発生規模や発生時期等の予測を行うため、ミクロキスティスの底泥や湖水中の現存量把握等を行い、アオコの発生・移動・集積機構など動態を解明する。
    ・今後もアオコの発生が予測されることから、「アオコ情報」の発信を行う。
    ・アオコの動態をモデル化し、アオコの発生予測を行い、アオコ情報の精度向上を図る。
B流域からの汚濁負荷の把握
【研究の方向】

霞ヶ浦流域の負荷を正確に把握する。特に農地は施肥等により窒素の負荷割合が高く、また、畜産業から発生する家畜排せつ物を堆肥として施肥している実態もあることから、農地からの窒素負荷の動態並びに流域土壌中に許容できる環境容量について研究する。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・鉾田川流域について窒素の動態に関するモデルを構築し、地下水や鉾田川の窒素濃度の予測を行った。 ・北浦流域において、土壌、地下水、表流水中の分解・形態変化、蓄積・溶脱・地下浸透過程等の把握のための調査を行い、窒素動態の解明を行う。
    ・鉾田川の窒素モデルを発展させ北浦流域の窒素循環モデルを構築し、その解析から北浦流域の環境容量を求める。
    ・水質保全計画で利用している農地に関する原単位や溶脱率、流出率等を再検証する。
    ・研究成果に基づき、水質浄化対策に関する提言を行う。
C農地からの汚濁物質の削減手法の開発
【研究の方向】

水稲田、ハス田など農地からの面源負荷を削減する手法の効果検証を行い、他機関と連携して技術開発を行う。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・水稲田について、循環かんがいによる汚濁負荷流出削減効果を明らかにした。
    ・ハス田について、養分吸肥特性に合わせて開発された肥効調節型肥料について、それを用いることで抑制される栄養塩類の削減量を明らかにした。
    ・農業総合センター等と協力して、農地(ハス田、水田)においては、水質汚濁物質の排出抑制策について検証し、技術開発を行う。
    ・ハス田において畦畔や用排水設備等を整備したことによる汚濁負荷の削減効果を検証する。
    ・研究成果に基づき、負荷削減対策を提案する。
D事業場等からの汚濁物質の削減手法の開発
【研究の方向】

小規模事業場排水等の点源負荷の削減手法や小河川等に適用可能な汚濁負荷削減技術等に関する研究を推進し、技術開発を行う。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・小規模事業場の浄化槽処理水の水質改善のための方策について、改善手法を現地実験により検証した。
    ・公募型浄化施設による小河川水質の改善効果を検証し、水処理工程の改善に役立てた。
    ・水質浄化が期待できる機器や装置で、十分に性能が検証されていないものについて、実験場所等の検討も含め水質浄化機器、装置の検証を行い、技術開発を行う。
    ・河川や事業場排水の処理技術について、情報の収集・解析を行い、技術開発を行う。
    ・研究成果に基づき、負荷削減対策を提案する。
E涸沼の水質詳細調査・解析
【研究の方向】

湖内における汚濁機構を解明するため、水質やプランクトン等の詳細調査及び底泥からの溶出量等の調査を行う。

流入河川の特性に合わせた効果的な浄化対策手法を検討するため、流入河川の負荷量調査等を行う。

F牛久沼の水質詳細調査・解析
【研究の方向】

湖内における汚濁機構を解明するため、水質やプランクトン等の詳細調査及び水収支実態把握調査を行う。

(2) 大気環境・化学物質に関する調査研究

茨城県の大気環境は、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質及びベンゼン等の有害大気汚染物質について、おおむね環境基準等を達成している。

しかし、微小粒子状物質(PM2.5)の平成26年度の環境基準達成率は63%であり、光化学オキシダントは、県内全ての測定局において環境基準未達成の状況が続いている。

センターにおいては、今後も環境基準未達成要因の解析や汚染機構解明に向けた調査研究を行っていく。

また、有害大気汚染物質及び百里飛行場周辺の航空機騒音の調査を実施し、環境基準の達成状況等の把握に加え、化学物質等の実態調査も実施する。

@微小粒子状物質(PM2.5)に関する調査研究
【研究の方向】

県内のPM2.5の発生要因や地域特性を明らかにするとともに、移流による影響を解析する。また、総合的な発生源解析を行うことにより高濃度要因を把握し、必要な対策を提案する。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・常時監視のデータ解析や成分分析を行い、県内の季節変動や高濃度日の状況を把握した。 ・成分分析調査を継続的に実施することで県内の特性を明らかにするとともに、高濃度時にはその原因調査を行う。
    ・国立環境研究所や他県等の研究機関と協力し、詳細な成分分析を実施することで、大陸や都市部からの移流等も含めた挙動を明らかにする。
    ・発生源解析を行うことで高濃度要因を把握し、常時監視測定局の効果的な配置等を提案する。
A光化学オキシダントの高濃度要因に関する調査研究
【研究の方向】

移流による光化学オキシダントの高濃度現象に加え、地域的な要因による高濃度現象の実態を解析する。また、これらの解析に基づく大気汚染モデルを作成し、光化学スモッグ被害の防止対策等に活用する。

    【これまでの成果】

    【今後の取組み】

    ・高濃度要因を解明するため、光化学オキシダント発生要因である炭化水素濃度の詳細調査を行い、夏季に植物由来炭化水素が高くなることが判明した。
    ・窒素酸化物濃度や気象状況など他の要因の調査を行った。
    ・光化学オキシダントの原因物質である炭化水素について、詳細調査を継続し、実態を把握する。
    ・光化学オキシダント高濃度予測モデルを構築し、移流や地域的な要因による光化学オキシダント発生寄与解析を行う。
    ・予測モデルの精緻化を進め、光化学オキシダント高濃度時の光化学スモッグ注意報の発令等に活用する。
B有害大気汚染物質等の実態把握
【調査の方向】

大気汚染防止法に基づき、ベンゼン等の人の健康を損なうおそれのある有害大気汚染物質について、継続して調査を実施し環境基準等の達成適合状況を把握するとともに、高濃度が検出された場合には、排出事業場等の調査を実施する。

また、アスベスト及びフロン類については大気環境中の実態調査を行うとともに、県民に対し情報提供するための調査を継続する。

更に、酸性雨については、全国の地方自治体の環境研究機関の調査に加わることにより、国内における本県の状況を把握する。

C航空機騒音の実態把握
【調査の方向】

百里飛行場の航空機騒音について、航空機騒音調査を実施し、環境基準の適合状況を把握する。

D化学物質の実態把握
【調査の方向】

県が策定した公共用水域の水質測定計画に基づき、県内の河川、湖沼において、要監視項目や内分泌攪乱化学物質の実態を把握する。

2 事案対応

魚類へい死等の緊急水質事案や有害物質による地下水汚染事案、産業廃棄物による事案等、環境に関する事案解決のために、各種検体の分析を行うとともに、原因解明に向けて技術的側面から取り組んでいく。

特に、平成24年度以降は、地下水事案の増加により、依頼分析の総検体数が400〜900検体と平成23年度以前に比べ5〜10倍に増加しているが、これらの検査等に迅速に対応していく。

【事業の方向】

魚類へい死等の緊急水質事案の発生時には、茨城県緊急水質事案対策要領に基づき関係機関と協力しながら原因物質の検査等を迅速に実施する。

地下水事案については、茨城県地下水汚染対策事務処理要領に基づき、関係機関と連携して硝酸性窒素やひ素等の各種検体の分析を実施し、原因究明のための調査・解析を行う。

土壌汚染、廃棄物の不法投棄等の事案についても、迅速に各種検体の分析を実施する。

地下水事案、土壌汚染、廃棄物の不法投棄等の事案に対応するため、関係機関と連携して原因究明のための調査計画を立案するなど、事案の拡大防止のために積極的に対応する。

市町村が対応している騒音・振動・悪臭苦情については、測定方法の研修や測定装置の貸出し等を行い、技術的支援を行う。

3 環境学習(外部人材育成、教育活動)

【事業の方向】

幅広い年代の県民が、霞ヶ浦をはじめとした県内の環境について楽しく学び、日々の暮らしの中で意識して環境保全活動に取り組めるよう、環境学習に関する情報や機会の提供等の支援に取り組んで行く。

【これまでの成果】

【今後の取組み】

・小中学生を対象に湖上体験スクールを実施したほか活動の成果発表の場の提供を行った。
・幅広い年代を対象に霞ヶ浦周辺の自然観察会や霞ヶ浦学講座、親子で参加できるサイエンスラボを実施した。
・センターの展示室や研修室等での観察、実験をとおした体験型の環境学習を実施した。
・出前講座として、学校や市民団体の活動場所において環境学習を実施した。
・7月の海の日から9月1日の霞ヶ浦の日を水質浄化強調月間に設定し、夏まつりをはじめとした啓発イベントを実施した。
・年間をとおしたイベントの開催やキャンペーンへの参加など、県民の水質浄化意識の向上に努めた。

・引き続き環境学習、普及啓発を実施し、県民の環境保全意識の高揚を図る。
・参加者が学習の趣旨を理解できるよう、実施内容・方法等の充実に努める。
・教職員研修、エコ・カレッジ等をとおして環境学習の指導者養成に努める。

数値目標

計画期間中の環境学習の参加者

85,000名

4 市民活動との連携・支援

【事業の方向】

県民、市民団体、事業者、霞ヶ浦流域市町村などと連携して事業を行うとともに、各主体が自主的かつ積極的に環境問題についての理解を深め、環境保全活動を実践できるよう、支援、情報提供に取り組んでいく。

【これまでの成果】

【今後の取組み】

・霞ヶ浦の水質浄化運動を促進し、流域対策を推進するため、流域市町村により構成される霞ヶ浦問題協議会の活動に協力・支援を行った。
・水生植生物とのふれあい、人と人の交流をとおして水質浄化意識を高める市民参加型の啓発事業を実施した。
・市民感覚の発想を生かし、センター事業に積極的に参画するセンターパートナー(ボランティア)とともに事業を実施した。
・市民団体等が行う環境保全活動に対して、補助や機材貸出等の支援を実施した。

・引き続き、県民、市民団体、事業者、霞ヶ浦流域市町村との連携・支援を行い、霞ヶ浦の水質浄化運動を活発化する。

数値目標

計画期間中の霞ヶ浦の水質浄化運動の参加者

1,200,000名

5 情報・交流

 

(1)広報・情報発信

【事業の方向】

センターが取り組む調査研究の成果、センターや市町村、市民団体が実施するイベント情報、霞ヶ浦に関する情報等を県民等に効果的に広報・発信する。

【これまでの成果】

【今後の取組み】

ア 調査研究関係
・調査研究の内容・成果について、定期的に研究発表会を開催するほか、出前講座を実施するなどして積極的に広報した。また、年報や研究報告の作成・配布、ホームページ等により、広く一般県民へ情報を発信した。
・研究室への見学を積極的に受け入れ、研究内容を理解しやすいよう平易に解説したパネルを設置し定期的に更新した。
イ 環境活動推進関係
・霞ヶ浦をはじめとする水環境保全に関する情報等について、広報誌、ホームページ、マスメディアなどの活用により広報した。
・センターを訪れた県民が情報を容易に入手できるよう、展示室で霞ヶ浦流域の情報を発信するほか、文献、資料を収集・整理し、貸出等を行った。

・県民の環境に関する理解を深めるため、引き続き、調査研究や霞ヶ浦等に関する情報を発信する。
・センター内に設置する情報発信委員会を定期的に開催し、分かりやすく、効果的な情報発信の検討・実施を図る。
・ホームページの一層の充実を図るとともに、双方向の情報交換のため、SNSの利点と課題を整理したうえで、効果的な手法の検討・実施を図る。

(2)世界湖沼会議を契機とした交流の促進

【事業の方向】

本県の試験研究及び環境保全活動を世界へ発信するとともに、環境の保全に取り組む市民や市民団体、関係機関等が連携、協働しながら活動を展開できるよう交流を促進する。

世界湖沼会議の開催を契機とし、国内の他の湖沼について調査研究を実施している機関と連携するとともに、国外の研究者等と相互に交流する。

【これまでの成果】

【今後の取組み】

・センターが市民活動の拠点となり、多くの市民団体が清掃活動や環境学習などの様々な環境保全活動を行うようになった。
・環境の保全に取り組む市民や市民団体が交流し、相互に活動のネットワークを広げるための場を提供した。
・第17回世界湖沼会議の基本構想や基本計画の立案に参画するとともに、企画準備委員会や実行委員会等の運営に協力する。
・世界湖沼会議の機会を捉え、センターの知見を国内外に発信するとともに、研究者間の双方向の交流を促進する。
・ホームページ等を活用し、市民団体や研究機関等との相互の情報発信や情報共有、交流を促進する。

W 業務の質的向上、効率化のために実施する方策

1 全体マネジメント

 

(1) 研究体制

県行政の課題、他の研究機関の情報、客員研究員等外部の専門家の意見を踏まえ、センター長を中心として、適宜、調査研究の進行管理や研究成果の内部評価を実施することにより、調査研究の質的向上を図る。

研究テーマの設定・見直しについては、主管課である環境対策課との協議により、行政のニーズを考慮して決定する。また、共同研究や他機関との連携を進め、研究の効率性を高める。

専門的能力(知識や技術)が、維持・継承されるような研究体制を構築し、研究の効率化を図る。

調査研究に必要な機器については保守点検を徹底し、特に事案等への迅速な対応が可能な体制を構築する。

世界湖沼会議に向けて、重点的に取り組む課題を選定し研究に取り組むとともに、会議の成果を踏まえて、研究テーマの検討等を行う。

(2) 客員研究員の活用

研究企画、研究手法、研究成果の取りまとめ等については、高度な専門的知識を有する外部の研究者からの指導・助言が欠かせないため、客員研究員を十分に活用する。

(3) 事業評価

県民ニーズに沿った試験研究等を効率的・効果的に推進するため、中期運営計画の進捗状況及び個別の試験研究内容等について、定期的に公正かつ客観的な評価を実施する。

評価結果に基づき、必要に応じ研究内容等や研究手法の変更、新たな研究テーマの検討等を行う。

2 県民ニーズの把握

関係市町村からの意見聴取とともに、流域住民や来館者等へのアンケートの実施などにより、日頃から県民ニーズを的確に把握し、調査研究や情報発信の内容に反映する。

3 他機関との連携

分析技術や研究手法の向上、研究の効率化等を図るため、国や他県の研究機関、大学等との共同研究、共同調査などに積極的に参加する。

また、調査研究を効果的かつ的確に行うために、農業総合センターや畜産センター等と共同で研究を行うなど、県の関係試験研究機関との連携を強化する。

大学の学生等のセンターでの研究を支援するなど、大学等との連携を強化する。

4 外部資金の獲得方針

試験研究を効率的・効果的に推進するため、外部資金の獲得能力を高めるとともに、予算・人員等に配慮しつつ、国の競争的資金等について応募するなど、外部資金の導入・活用を図る。

5 内部人材育成

日頃から、研究室内及び研究室間等で、研究内容についての意見交換、研究成果の発表などを行い、研究員の資質の向上を図る。

環境省環境調査研修所の研修制度などを活用し、研究員に対して体系的な研修を行い、基礎的な研究能力の向上を図る。

茨城大学や筑波大学、国立環境研究所等の研究員と、日頃から意見交換等を活発に行う等、研究員の意識改革に努めるとともに、研究能力の向上を図る。

国や団体が実施する精度管理プログラムに積極的に参加し、分析技術・計測技術のレベルアップを図る。

若手研究員に対して博士号の取得を積極的に推奨、サポートを実施する。

学会等における研究成果発表や研究論文執筆について、計画的・積極的に進める。

○数値目標  学会等での年当りの発表回数 1回(のべ発表回数/研究員数)