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更新日:2017年7月26日

自治体法務研究 2015年夏号

自治体法務研究2015年夏号「オピニオン」のコーナーに掲載された記事の転載です。

自治体職員に期待する

 地方分権改革が進む中、本県では、全庁を挙げて「人が輝く、元気で住みよい」茨城づくりを進めているところです。また、市町村が自主的かつ総合的にまちづくりに取り組めるよう土地利用や福祉分野等の事務を包括的に移譲する「まちづくり特例市」制度の創設などにより、市町村への権限移譲を積極的に推進しています。
 ここでは、本県が知恵を絞って実現させた独自の取組を、いくつか御紹介したいと思います。
 まず、最初は、北朝鮮船舶(チルソン号)の座礁事故を契機に、無保険船などの接岸を拒否できるよう港湾施設管理条例を改正したことです。最初国では、港湾法上、このような規制は港湾管理者が行い得るものに含まれないのではないかという考えや、国連海洋法条約に定める航海自由の原則との関係などから、反対の意向を示しました。しかし、本県では、船舶が構造上安全でないことや、港湾を損傷した場合等の損害賠償保険に入っていないことなどを理由に港湾を利用させないことは、港湾管理者である県に認められた合理的な規制の範囲内である旨アメリカなどの例を踏まえ強く主張しました。最終的には国も、参議院予算委員会において内閣法制局長官がこの条例案を確認した上で問題ない旨答弁するなど、本県の主張を認めるに至りました。
 その後、本県の条例改正を一つのきっかけとして、国において油濁損害賠償法の改正や、万景峰号(まんぎょんぼん)のような船舶の入港を禁ずる特定船舶入港禁止法の制定などが行われました。
 また、企業誘致を進めるため、県内に事務所等を新・増設した法人の事業税等の課税免除をする、当時としては画期的な条例を平成15年に制定いたしました。これは、3年間課税免除しても、企業が立地してくれれば、雇用の創出はもちろんのこと、将来の税収増に結びつくことから導入を決断したものです。
 本県では、市町村にも固定資産税の課税免除をするよう働き掛け、企業誘致に努めてきましたが、立地補助金や茨城産業再生特区などの効果と相まって、昨年、一昨年と、電気業を除く工場立地件数、面積、県外企業立地件数の3部門で全国1位となっています。
 一方、次のような例もあります。
 廃棄物処分場を運営する県環境保全事業団については、廃棄物の減量化の進展や急激な景気の悪化などにより、廃棄物の受入れが伸び悩む中、長期借入金の返済が困難となり、県が運転資金について短期貸付けによる支援を行う状況となっていたため、県議会からは、経営の見直しなどについて厳しい指摘をされていました。そこで、廃棄物処理によって得られる将来の売上げを証券化し、投資家から資金調達する「レベニュー信託」を全国で初めて導入しました。元々、長期的に見れば黒字が見込まれる事業でありましたので、これにより、事業団は資金ショートから解放され、県のお荷物から優良企業に生まれ変わりました。この政策は、全国知事会先進政策バンク優秀政策に選定されたところです。
 また、これも全国初の取組でしたが、県内全市町村が参加する滞納整理のための一部事務組合「茨城租税債権管理機構」の設立を支援し、直近では個人県民税を含め23億円程度の徴収実績をあげています。
 その他、高速道路のインターチェンジの増設に当たり、SA・PA接続型ではなく、道路本線から直接出入りできる本線直結型のスマートインターチェンジを首都高速以外では全国で初めて実現することもできました。これも最初警察から安全性を心配する声がありましたが、首都高速の例を参考に説明し、理解が得られたところです。
 地方分権が進み、自治体職員の役割は極めて大きくなっています。皆さん一人ひとりが、自分たちが県政・市町村政を担っているのだという意識を強く持ち、どうすれば自分の自治体をよりよくできるのか、どうすれば住民の皆様により満足してもらえるのかを常に考え、行動する、前向きの心構えが大変大事です。皆さん方の御活躍を期待します。

 

 

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