令和7年 営業戦略農林水産委員会 調査結果
令和7年の営業戦略農林水産委員会(金子晃久委員長)の重点審査テーマは、営業戦略部関係は「国内外から選ばれる、魅力ある茨城づくりの推進」、農林水産部関係は「農林水産業の成長産業化の推進」です。
本委員会では、この審査テーマに対して県が取り組むべき施策について検討するとともに、その他所管事項についての調査等も行ってまいります。
以下、調査の概要につきまして、ご報告いたします。
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令和7年7月31日(木曜日)
株式会社ファーマ村いちご農園(稲敷市)
株式会社ファーマ村いちご農園は、全国規模でゴールドチェーンを展開する青果物の流通大手「株式会社ファーマインド」(本社:東京都)のグループ会社です。令和7年4月に、稲敷市の圏央道稲敷東ICの隣に約2haの栽培棟を備えた、大規模いちご農園を開設しました。
本施設では、空間を有効活用できる上下稼働式「リフティングシステム」や、ハウス内の温度を自動で調整できる「統合環境制御装置」などの最新のシステムを導入しております。
また、局所暖房と太陽光集熱パネによる省エネルギー技術の活用や、環境負荷の少ない循環型養液栽培方式を取り入れるなど、持続可能な農業を実践しております。
令和7年12月頃に出荷を予定しているいちごは、高品質と希少性を重視し、「ロイヤルクイーン」、「みくのか」、「かおり野」の3品種を栽培しています。
今回の視察では、同社の事業内容や環境に配慮した農業の取り組みについて説明を受けた後、各種の最新システムや輸出向けの施設などを見学しました。


カルビーかいつかスイートポテト株式会社(かすみがうら市)
株式会社ポテトかいつかは、オリジナルブランドのさつまいも「紅天使」を主力に、焼き芋用の原料販売や焼き芋の直接販売などを手がける卸売問屋として、昭和42年(1967年)に創業しました。令和2年(2020年)にはカルビーのグループ会社となり、現在の「カルビーかいつかスイートポテト株式会社」が誕生しました。
原料となるさつまいもは、主に県内の農家から直接仕入れており、自社で生産・加工・販売までの一貫管理を行い、国内はもとより、東南アジアや欧米など、海外にも幅広く展開しております。
また、「蔵出し焼き芋かいつか」のブランド名で通信販売を展開し、県内外に直販店6店舗を構え、消費者との接点を広げながらブランド力の強化に努めています。
今回の視察では、同社の事業内容や今後の展望について説明を受けた後、さつまいもの貯蔵施設や工場を見学しました。


令和7年5月23日(金曜日)
有限会社アグリ山﨑(坂東市)
有限会社アグリ山﨑は、海外への輸出展開や有機農業など、需要に応じた米生産と環境にやさしい農業を実践する先進的な大規模普通作(米・麦・大豆)経営体です。
輸出については、平成25年から取り組みを開始し、有機栽培による「コシヒカリ」、「ミルキークイーン」、県オリジナル品種「ふくまる」など、さまざまな品種を作付けしています。生産する米の品質の高さは、海外現地でも認められており、富裕層を中心に高価格帯で販売されています。
また、令和2年度から農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト」に参画し、環境に配慮したスマート農業など、最先端の技術を積極的に導入しています。
事業内容や有機農業の取り組み、海外※への輸出の状況についてお話を伺った後、「アイガモロボ」や「ラジコン草刈機」といった環境保全型のスマート農業機械、有機JAS認証を取得している乾燥調製施設などを見学しました。
※アメリカ、カナダ、フランス、スイス、イギリス、オーストラリア等


古谷 光義氏(平塚ライスセンター代表)(八千代町)
古谷 光義氏(平塚ライスセンター代表)は、効率的かつ計画的な圃場管理を実現するため、ICT技術を積極的に活用した米作りに取り組んでいます。これにより、作業の省力化や品質の均一化を図り、持続可能で収益性の高い農業経営を実践されています。
古谷氏が導入しているクボタのスマートアグリシステム「KSAS(Kubota Smart
Agri
System)」※は、米の収量・水分量・タンパク含有量といったデータを数値として把握でき、圃場内の状況を可視化することができます。
この取り組みにより、圃場ごとに異なる米の品質を客観的な数値に基づいて差別化し、高品質な米の安定的な生産につなげています。
結城地域農業改良普及センターにて、事業内容やICT技術を活用した農業経営についてお話を伺った後、現地では無人ヘリコプターによる空中散布の取り組みと操縦の様子を見学しました。
※KSASシステムは、ICT(情報通信技術)と農業機械が融合した新しい営農支援システムです。

