令和7年第3回定例会で可決された意見書・請願

意見書

請願


地域医療を守るために医療機関及び看護職員等の処遇改善に向けた財政支援を求める意見書

 現在、物価高騰に伴うあらゆるコストの上昇が医療機関等の経営を著しく圧迫しているのに対し、診療報酬の改定が物価や賃金の上昇に追いついておらず、医療機関等は深刻な経営難に陥っている。

 令和6年度診療報酬改定においては、医療機関等で働く看護職員等の賃金改善のためにベースアップ評価料が新設されたが、必ずしも実質的な処遇改善につながっていないとの声も上がっている。このことは、医療機関等が厳しい経営を強いられ、賃上げが困難な実態を如実に表しているといえる。

 医療提供体制の基盤は「人」であり、人材の確保は不可欠であるところ、他産業並みの賃上げや労働に見合う処遇改善が実現されなければ、人材の流出を招き、地域医療が崩壊するおそれがある。

 よって、国においては、全ての地域において、あらゆる世代の人々が、適切に医療・看護を受けられる社会を守り抜くため、下記の措置を講じられるよう強く要請する。

  1. 令和7年度補正予算において、物価高騰・賃金上昇に苦しむ医療機関等の経営支援策及び看護職員等の処遇改善に向けた対策を講じること。
  2. 令和8年度診療報酬改定において、医療機関等が物価高騰や職員の処遇改善に適切に対応できるよう十分な改定率を確保すること。
  3. 診療報酬制度について、物価や賃金の上昇に合わせ適時適切に対応できる仕組みを組み込むこと。

教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書

 学校現場では、子どもの貧困・いじめ・不登校、教職員の長時間労働や未配置など、解決すべき課題が山積しており、子どもたちの豊かな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。豊かな子どもの学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。

 令和3年3月の義務標準法の改正により、小学校の学級編制標準は、令和7年度までに35人に引き下げられた。また、中学校においては令和8年度から引き下げる方針となっている。今後は、高等学校における早期実施ときめ細やかな教育を進めるための更なる学級編成標準の引下げ、少人数学級の実現も不可欠である。

 義務教育費国庫負担制度については、平成18年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方公共団体もあるが、教育格差が生じることは大きな問題である。子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、豊かな子どもの学びを保障するためにも、国における定数改善に向けた財源の確保、国庫負担制度の堅持、更には国庫負担率2分の1への復元が不可欠である。

 先の通常国会では、学校の働き方改革の推進と教員の処遇改善を図るとして、給特法等の一部改正法が成立した。これにより、学校の働き方改革について、地方公共団体での体制整備が図られるものの、「業務の3分類」をはじめ実行は地方公共団体ごとの対応となっている。確実な推進のためには、国による財源や人の配置などの支援が不可欠である。

 よって、国会及び政府においては、地方教育行政の実情を十分に認識され、地方公共団体が計画的に教育行政を進めることができるよう、下記の措置を講じられるよう強く要請する。

  1. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 地方公共団体が実効性のある働き方改革を実行するため、必要な予算措置を講じること。

防災・減災、国土強靱化対策の更なる推進を求める意見書

 近年、異常気象の常態化・局地化が進む中、令和5年6月に改正国土強靱化基本法が成立し、「国土強靱化実施中期計画」の策定が法定化されるなど、国土強靱化の取組が切れ目なく、より継続的・安定的に推進されることになった。

 一方、本県では、令和元年東日本台風に続き、令和5年6月には令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号、9月には令和5年台風第13号の影響による大雨に見舞われ、家屋等の床上・床下浸水や道路への土砂流出、河川護岸の崩壊など甚大な被害が発生した。

 このような中、近年の気候変動により頻発化・激甚化する自然災害から国民の生命と財産を守るため、令和3年度から「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が着実に実施されてきたことにより、その取組が効果を発揮しているところであるが、令和6年能登半島地震や本年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故などの教訓を踏まえ、今後も、取組の更なる加速化・深化を図ることが極めて重要である。

 また、我が国を取り巻く環境は、物価高騰による影響などにより、経済の下振れリスクが高まる中、税収の減少や社会保障関係費、インフラ施設等の老朽化対策費の増加など、厳しい財政運営が懸念される。

 以上のことから、下記の事項を実施するよう要望する。

  1. 新たに策定された「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、耐震化や老朽化対策をはじめとした取組の更なる加速化、深化を図るために必要な予算・財源については、今後の物価高や賃金水準等を適切に反映するとともに、引き続き、通常予算とは別枠で確保すること。
  2. 令和元年東日本台風により被害を受けた那珂川、久慈川及び恋瀬川の迅速な災害復旧に取り組むこと。また、令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号並びに台風第13号等により被害を受けた河川等の再度の災害発生を防止するための改良復旧に必要な予算を確保すること。
  3. 久慈川緊急治水対策プロジェクトにより、迅速かつ機動的に実施されている国の権限代行による事業について、令和8年度の完了目標に向けて、地方整備局等の体制の更なる充実・強化を図ること。また、災害対応に必要となる資機材の確保を図ること。
  4. 内水氾濫の発生を未然に防ぐため、排水ポンプなどの浸水対策施設や宅地開発等における排水処理システム(河川への放流や調整池の設置等)が、近年激甚化する豪雨に対応した能力を確保できるよう、施設の構造基準や開発許可基準の見直しなどを含めた抜本的対策を行うこと。
  5. 下水道施設については、全国特別重点調査の結果を踏まえ、各地方公共団体が老朽化対策をより一層推進していくため、対策工事に必要な財政支援に加え、住民の日常生活を維持したまま効率的に改修するために必要な技術支援を行うこと。また、今後、上下水道をはじめ、橋梁などのインフラの更新や長寿命化対策に要する費用は増加していくことが見込まれることから、必要となる予算・財源を継続的・安定的に確保すること。
  6. 経済の下支えとなる公共投資を確実に推進していくため、当該公共投資に係る地方負担を軽減する財政措置を講ずること。

教職員定数改善と義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書採択を求める請願

 学校現場では、子どもの貧困•いじめ•不登校、教職員 の長時間労働や未配置など、解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。

 2021年3月の義務標準法改正により、小学校の学級編制標準は2025年度までに35人に引き下げられた。また、中学校においては2026年度から引き下げる方針となっている。今後は、高等学校での早期実施と、きめ細かい教育活動をすすめるために、さらなる学級編制標準の引き下げ、少人数学級の実現が必要である。 義務教育費国庫負担制度については、2006年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題である。子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、国の施策として定数改善にむけた財源保障をし、ゆたかな子どもの学びを保障するためにも、国庫負担制度の堅持、さらには国庫負担率2分の1への復元が必要である。

 今国会では、学校の働き方改革の推進と教員の処遇改善をはかるとして、給特法等の一部改正法案が国会に提出されている。法案では、学校の働き方改革について、自治体での体制整備がはかられるものの、「業務の3分類」をはじめ実行は自治体ごとの対応となっている。確実な推進のためには、国による財源や人の配置などの支援が不可欠である。

 こうした観点から、政府予算編成において下記の請願事項が実現されるよう、地方自治法第99条の規定にもとづき、国の関係機関への意見書提出を請願する。

  1. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 自治体が実効性のある働き方改革を実行するために必要な予算措置を講じること。