令和7年第4回定例会で可決された意見書・請願

意見書

請願


私学助成の充実強化等に関する意見書

 本県の私立中学高等学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある質の高い教育を展開し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしてきた。

 現在、少子化の進行が深刻な問題となる中、本県及び我が国の将来を担う子供たちの資質・能力の育成を担う学校教育の役割は、これまで以上に重要なものとなっている。

 しかしながら、全国の私立中学高等学校の現場においては、様々な課題が山積している状況にある。

 私立高等学校等経常費助成費補助金における一般補助については、教員の維持・確保に必要な人件費の高騰や物価上昇への対応とともに、猛暑等の影響による光熱費の上昇への対応が必要であるが、追いついておらず、大幅な拡充強化が必要である。特別補助についても、ICT支援員やスクールカウンセラー、障害のある生徒のための介助者等様々な支援員に対する補助の拡充強化が望まれる。

 また、ICT環境の整備(特にPC・タブレット等端末の更新時期を迎えることからその更新費用)、学校施設の耐震化・高機能化、昨今の学校への要望の多様化や保護者対応など学校運営に係る問題解決への支援も必要である。

 さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2025 」( 以下「骨太の方針」という。)に明記された「いわゆる高校無償化」が実現されれば、子供たちが自由に高等学校を選択できる機会が保障されるが、私立中学高等学校が多様で質の高い教育を実践していくためには、合理的根拠に基づく授業料の引上げは必要であり、幼稚園から大学まで授業料無償化が進められている中で、私立中学校の生徒への就学支援制度の創設も必要である。

 これらに加え、私立中学高等学校の生徒が海外への留学、研修・修学旅行等を経験し、将来にわたってグローバル人材として活躍するための支援拡充も不可欠である。

 こうした課題は、本県の私立中学高等学校も同様に抱えているものであり、課題解決には、県だけでなく、国による全面的な財政支援及び制度の整備が不可欠である。

 よって、国会及び政府においては、骨太の方針において「公教育の内容や質を充実させる」、「物価上昇等も踏まえつつ・・・私学助成等の基盤的経費を確保する」と記載され、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)の目的(第1条)に「教育条件の維持及び向上」、「修学上の経済的負担の軽減」及び「私立学校の経営の健全性を高め」ることが掲げられている趣旨を踏まえ、私学助成に係る国庫補助制度をはじめとする様々な支援を一層拡充するよう強く要望する。

令和8年度私立高等学校等経常費等助成に関する請願

 私立高等学校等は、教育の充実・向上を図り、時代の要請に対応した特色ある教育を実践し、次代を担う優れた人材の育成に努め、県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。

 しかし、承知のとおり、少子化による生徒数の減少の影響に加え、近年の物価・光熱費・人件費の高騰等により、私立高等学校等の経営は、いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。

 ついては、将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう、県財政を取り巻く状況は厳しいとは思うが、私立学校教育の振興を図るため、教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、以下の要望事項について特段の配慮をお願いする。

[要望事項]

  1. 私立高等学校等経常費補助金の拡充強化について
     私立学校が、時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには、これまで以上の経費を必要とするが、少子化による生徒数減少の影響に加え、近年の猛暑による光熱費の大幅上昇、諸物価の高騰、教育の高度化による経費の膨大化など、私立高等学校等を取り巻く状況は年々厳しさを増している。
     さらには、特色ある質の高い教育を行っていくため教員のなり手不足が深刻化する中、社会全体で人件費が高騰し、教員の維持・確保に必要な経費も増大している。
     このような中、現在の私立高等学校等経常費補助金の生徒一人当たりの単価の伸び率は1%程度であり、こうした社会情勢に全く追いついていない状況である。
     私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担軽減を図るため、経常費補助金の大幅な拡充強化について特段の配慮をお願いする。
  2. 私立高等学校等授業料無償化の確実な実施について
     若い世代に対する多様で質の高い教育の実現、経済的事情による教育格差の是正、子育て世帯への支援強化の観点から、令和7年2月に三党(自由民主党、公明党、日本維新の会)合意により、いわゆる高等教育無償化の道筋が示され、令和8年度から、収入要件を撤廃し、私立加算額を45.7万円に引き上げることとされた。
     家庭環境や地域に左右されず全ての意志ある子供たちが安心して私立学校を選択できるよう、高校教育無償化の確実な実施をお願いする。
     さらに、私立中学校が教育無償化策から抜け落ちてしまっているので、私立中学校等就学支援金制度の創設を強く要望する。
  3. 教職員研修に対する支援について
     グローバル化への対応や社会を牽引するイノベーション創出を目指す教育のための学習指導要領の改訂等、国の急速な教育改革に対応するためには、教職員研修はこれまで以上に重要である。経常費補助金の特別加算分の項目に計上されているが、本県私立学校の実情を勘案し、教職員研修に対する支援の拡充をお願いする。
  4. 家計急変保護者世帯等に対する支援について
     家計急変等の理由により、授業料等の納入が困難な中学生を含む生徒等を対象に授業料等の軽減措置を行う学校法人に対し、県補助事業の授業料等軽減事業が制度化されており、当該補助金等の早期給付や影響の長期化等に伴う保護者世帯に対する支援について特段の配慮をお願いする。
     今後も引き続き、私立中学高等学校保護者の教育費の負担軽減が図られるようお願いする。