令和8年第3回定例会で可決された意見書・請願・決議

意見書

請願

決議


持続可能な米の生産を可能とするための体制づくりを求める意見書

 国民の主食である米の安定供給は、食料安全保障の観点から不可欠であり、そのためにも、生産者の再生産が可能で、かつ消費者にも理解が得られるような価格水準に落ち着いていくことが重要である。

 しかしながら、近年の米の需給環境は不安定な状況にあり、令和6年から令和7年にかけての価格高騰から一転、令和8年産米の価格下落が報じられており、生産者の間に先行きへの不安が広がっている。

 長年、資材高騰や米価の低迷に苦しんできた生産者にとって、再生産が可能となる適正な価格の形成は、営農の継続に不可欠である。今般の大幅な米価下落は、生産者の経営を圧迫し、営農意欲の減退や担い手不足を加速させ、ひいては、米生産基盤の弱体化を招き、食料安全保障にも大きな影響を及ぼしかねない。

 よって、国においては、生産者が安心して経営を維持し、将来にわたり米の安定供給が図られるよう、次の事項について速やかに措置を講ずることを強く要望する。

記

  1. 生産者が意欲を持って米の生産を継続できるよう、物価上昇や生産コストを踏まえた再生産価格を確保できる適正な価格形成の仕組みを構築すること。
  2. 食料安全保障及び需給バランスの改善の観点から、政府備蓄米の買入れ等により、適正な備蓄水準を早期に回復すること。
  3. 令和8年産米の価格形成に悪影響を及ぼさないよう、令和7年に放出した政府備蓄米の十分な買戻しを行うこと。
  4. 流通構造の透明性を確保するための実態把握や流通の適正化に努めること。
  5. 米生産者が安心して生産に専念できるよう、米価の著しい変動に左右されない強固かつ持続的なセーフティネットを構築すること。

米国産一般流通用生鮮ばれいしょの輸入検疫協議に関する意見書

 ばれいしょは、全国的に生産され、農業経営、地域産業及び食料安全保障の観点から大変重要な農作物であり、指定野菜として安定供給の確保が求められている。特に本県は、生産量全国第4位の産地であり、鹿行・県央地域を中心に大規模な生産が行われている。

 現在、令和2年(2020年)に米国から輸入解禁要請のあった同国産の一般流通用生鮮ばれいしょについて、日米両国の検疫当局間で病害虫のリスク評価が行われているところである。

 輸入解禁によって我が国の農業に悪影響を与えるおそれがある病害虫が侵入することは決して許されない。特に、ジャガイモシストセンチュウなどの侵入後の根絶が困難な病害虫については、本県をはじめとする我が国のばれいしょ生産全体に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

 また、近年の気候変動や不安定な国際情勢などを踏まえ、食料安全保障のさらなる強化が求められる中、将来にわたって安定的な食料供給を確保するためには、国内農業の生産基盤を維持・強化し、輸入に過度に依存しない持続可能な食料供給体制を構築することが不可欠である。

 よって、国においては、毅然とした姿勢で米国との協議に臨むとともに、国内の生産者への影響を最小限にとどめるよう、次の事項について万全の措置を講ずることを強く要望する。

記

  1. 病害虫が我が国に侵入することがないよう、日米の検疫当局間で、科学的知見に基づいて病害虫ごとの特性に応じたリスク管理措置の策定について十分に協議し、当該措置の実施を徹底させること。
  2. ばれいしょ生産者の不安が解消されるよう、丁寧に意見交換を行うとともに、米国との協議に関する情報を随時提供すること。
  3. 万が一にも病害虫の侵入があった場合は、発生ほ場外への病害虫のまん延を防止するため、植物防疫法に基づく緊急防除など必要な対策を実施し、速やかに防除を完了させること。
  4. 輸入解禁となった場合の影響を踏まえ、国内産地において安定的な生産が行われるよう、生産基盤の強化など、生産者に寄り添った施策及び必要な予算措置を講ずること。

防災・減災、国土強靱化対策の更なる推進を求める意見書

 近年、気候変動の影響等により自然災害は頻発化・激甚化するとともに、高度経済成長期以降に整備されたインフラの老朽化が進行している。このため、計画的な老朽化対策を進め、災害に強い社会基盤を構築することが喫緊の課題となっている。

 国においては、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、令和3年度から令和7年度まで、重点的・集中的に取組を推進してきた。さらに、令和6年能登半島地震や令和7年1月の埼玉県八潮市における道路陥没事故等により、防災・減災対策やインフラ老朽化対策の重要性が改めて認識される中、同年6月に「第1次国土強靱化実施中期計画」を策定し、防災インフラの整備・管理、ライフラインの強靱化、デジタル等新技術の活用、官民連携強化及び地域防災力の強化が進められている。

 本県においても、令和元年東日本台風をはじめ、令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号や、令和5年台風第13号による大雨等により、甚大な被害が発生した。これらの災害を踏まえ、河川改修や流域治水対策等の防災・減災対策を着実に推進するとともに、老朽化したインフラの計画的な更新・維持管理を進め、災害に強い社会基盤を構築することが求められている。

 また、令和8年熊本地震や令和8年8月千葉豪雨など、相次ぐ大規模災害を踏まえ、防災・減災対策とインフラ老朽化対策を一層推進する必要がある。

 加えて、中東情勢の不安定化や円安等を背景に、物価・資材価格の高騰が続く中、社会保障関係費やインフラの維持・更新費も増大しており、地方公共団体の財政環境は一層厳しさを増している。

 以上のことから、下記の事項を実施するよう要望する。

記

  1. 「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、耐震化や老朽化対策をはじめとした取組の更なる加速化・深化を図るため、今後の物価高や賃金水準等を適切に反映した上で、当該計画に係る予算については、引き続き、通常の公共事業予算とは別枠で、例年以上の規模を当初予算として確保すること。
  2. 利根川水系について、首都圏及び流域住民の安全・安心を確保するため、気候変動の影響による降雨量の増大や災害の頻発化・激甚化を踏まえた「令和の大改修」を着実に推進するとともに、令和元年東日本台風により被害を受けた那珂川及び久慈川については、緊急治水対策プロジェクト完了後においても、切れ目のない河川改修を推進すること。
  3. 令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号並びに台風第13号等による浸水被害や土砂災害等の再発を防止するための対策に必要な予算を確保すること。
  4. 内水氾濫による被害を抑制するため、排水ポンプなどの浸水対策施設や、宅地開発等における排水処理システム(河川への放流や調整池の設置等)について、近年激甚化する豪雨に対応した能力を確保できるよう、施設の構造基準や開発許可基準の見直しなどを含めた抜本的な対策を講ずること。
  5. 下水道施設については、全国特別重点調査の結果を踏まえ、各地方公共団体が老朽化対策をより一層推進できるよう、対策工事に必要な財政支援に加え、住民の日常生活を維持しながら効率的に改修するために必要な技術支援を行うこと。また、上下水道などのインフラの更新・長寿命化対策に要する費用の増加を踏まえ、必要な予算・財源を継続的かつ安定的に確保すること。
  6. 道路については、幹線道路の整備や橋梁の耐震化、橋梁や道路舗装などの更新・長寿命化対策を推進し、災害に強い道路ネットワークの構築を図るため、必要な予算・財源を継続的かつ安定的に確保すること。
  7. 経済の下支えとなる公共投資を確実に推進していくため、公共投資に係る地方負担を軽減する財政措置を講ずること。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続を求める意見書

 社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉事業に従事する人材を確保し、福祉サービスの安定的な供給と質の向上を図ることにより、社会福祉事業の振興に寄与することを目的としたものである。この社会福祉施設等のうち、保育所等については、女性の就業率が上昇傾向にある中、保護者の仕事と子育ての両立を支える重要な役割を担っている。

 本制度における保育所等の退職手当金の支給財源の負担割合は、国及び県が3分の2、事業主が3分の1であるが、国及び県による公費助成の在り方については、令和7年4月24日に開催された社会保障審議会福祉部会において、保育所等に対する公費助成を一旦継続しつつ、公費助成の在り方について、他の経営主体とのイコールフッティングの観点及びこども未来戦略(こども・子育て支援加速化プラン)に基づく保育人材確保の状況等を踏まえて、更に検討を加え、令和8年度までに改めて結論を得る旨が報告されたところである。

 この検討の結果、公費助成の打切り又は削減という結論が示され、事業主が退職手当金の支給財源の全額を確保できなくなった場合には、職員への退職手当金の支給が不可能となり、これまで改善されてきた職員の処遇が不安定なものとなってしまう。また、これにより、保育人材の確保が現状よりも更に困難となり、ひいては少子化・子育て政策の推進の大きな支障となりかねない。

 よって、国においては、保育所等で従事する職員の身分の継続的な安定を図るとともに、少子化・子育て政策の更なる推進のため、社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続を強く要望する。

「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産への2030年登録に向けた「温泉文化」の保護・継承等への支援及び発信を求める意見書

 「温泉文化」は、縄文遺跡にも痕跡が見つけられ、「古事記」「日本書紀」などにも記載され、古より健康や癒し、交流の場として日本人の暮らしに深く根付いた社会的慣習であり、長年にわたり地域の歴史、文化、観光、健康づくりを支えてきた文化である。

 この「温泉文化」は、令和7年(2025年)11月28日に開催された文化庁文化審議会無形文化遺産部会においてユネスコ無形文化遺産への登録の国内候補として選定され、今後ユネスコでの審議を経て、令和12年(2030年)の登録が見込まれている。茨城県には、筑波山温泉郷、大子温泉、袋田温泉、磯原温泉、五浦温泉、平潟港温泉など、それぞれ特色ある温泉地が県内各地に点在している。これらは古くから湯治や保養の場として親しまれるとともに、地域の歴史・文化・自然・食と結び付きながら、地域経済やコミュニティを支える重要な役割を果たしてきた。

 また、本県は、筑波山や霞ヶ浦、袋田の滝をはじめとする豊かな自然、「筑波研究学園都市」に代表される科学技術、常陸牛やメロン、栗など全国有数の農林水産物、酒蔵や伝統工芸、さらには茨城空港や高速道路網、港湾など広域交通基盤にも恵まれている。温泉地は、これら多様な地域資源を結び付ける観光・交流の拠点として、県内周遊、さらには温泉地としても名高く、北関東自動車道などで繋がる群馬県・栃木県との連携による滞在型観光を促進する上で極めて重要な存在である。

 一方で、人口減少や少子高齢化の進行に加え、人手不足や施設の老朽化、観光需要の変化などにより、県内の温泉地を取り巻く環境は厳しさを増している。

 このような中、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録は、日本の温泉文化の価値を国内外へ広く発信するとともに、本県の温泉地や観光資源の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、インバウンド誘客や交流人口・関係人口の拡大、地域経済の活性化、地方創生の推進につながることが大いに期待される。

 さらに、文化審議会においても、「ユネスコでの審議までの期間を生かして、国内でその内容についてより幅広い層と共有していくことが期待される。」とされており、「温泉文化」の価値を次世代へ継承するとともに、地域資源として積極的に活用していくことが重要である。

 よって、国においては、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産への2030年登録の実現に向け、次の事項について積極的に取り組むよう強く求める。

記

  1. 「温泉文化」の保護・継承に資する活動や、温泉地の歴史・文化・景観の維持、後継者育成等に対する支援を充実すること。
  2. 「温泉文化」を核とした地域活性化を推進するため、温泉地の魅力向上、観光コンテンツの造成、受入環境整備等への支援を強化すること。
  3. 温泉と世界遺産・国立公園・自然景観・農林水産物・食文化・伝統工芸・科学技術など地域資源を組み合わせた広域周遊観光や文化観光を推進し、地方への誘客を促進すること。
  4. 温泉入浴や湯治、健康増進、介護予防、スポーツ・ウェルネス等に関する医科学的な調査研究を推進するとともに、その成果の普及・活用を支援すること。
  5. 「温泉文化」の価値や魅力について、国内外へ戦略的な情報発信を行うとともに、2030年のユネスコ無形文化遺産登録に向けた機運醸成を図ること。

教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書

 学校現場では、貧困・いじめ・不登校・教職員の長時間労働や未配置など、解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには、教職員定数改善が不可欠である。

 給特法等改正を受けた義務標準法の改正により、小学校に続き中学校の学級編制標準は令和10年度までに35人に引き下げられることとなった。今後は、高等学校での早期実施と、きめ細かい教育活動を進めるために、さらなる学級編制標準の引下げや少人数学級の実現が必要である。また、学校の働き方改革は教育委員会作成の業務量管理・健康確保措置実施計画により進められるが、「学校と教師の業務の3分類」にかかわらず業務の外部移行・委託を行うため、国による自治体への財政措置等が不可欠である。

 厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行う自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題である。義務教育費国庫負担制度については、平成18年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。国の施策として定数改善に向けた財源を保障し、子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、ゆたかな子どもの学びを保障するためにも国庫負担制度の堅持、さらには国庫負担率2分の1への復元が必要である。

 こうした観点から、国会及び政府においては、地方教育行政の実情を十分に認識し、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるように、下記の措置を講じられるよう強く要請する。

記

  1. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 自治体が実効性のある働き方改革を実行するため、必要な予算措置を講じること。

教職員定数改善と義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書採択を求める請願

 学校現場では、貧困・いじめ・不登校・教職員の長時間労働や未配置など解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や 授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには、教職員定数改善が不可欠である。

 給特法等改正を受け、義務標準法が改正され、小学校に続き中学校の学級編制標準は 2028年度までに35人に引き下げられる。今後は、高等学校での早期実施と、きめ細かい教育活動をすすめるために、さらなる学級編制標準の引き下げ、少人数学級の実現が必要である。また、学校の働き方改革は教育委員会作成の業務量管理・健康 確保措置実施計画によりすすめられるが、「3分類」にかかわらず業務の外部移行・委託を行うための国による自治体への財政措置等が不可欠である。

 厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている自治体もあるが、 自治体間の教育格差が生じることは大きな問題である。義務教育費国庫負担制度については、2006年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。国の施策として定数改善にむけた財源保障をし、子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、ゆたかな子どもの学びを保障するためにも国庫負担制度の堅持、さらには国庫負担率2分の1への復元が必要である。

 こうした観点から、政府予算編成において下記の請願事項が実現されるよう、地方自治法第99条の規定にもとづき、国の関係機関への意見書提出を請願する。

  1. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  2. 教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  3. 自治体が実効性のある働き方改革を実行するために必要な予算措置を講じること。

プーチン・ロシア連邦大統領の北方領土訪問を非難する決議

 去る8月13日、プーチン・ロシア連邦大統領が、北方領土の択捉島を訪問した。今回の訪問は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土である北方領土に対する我が国の主権を侵害し、ロシアの不法占拠を正当化しようとする極めて悪質な行動である。

 このことは、北方領土に関する日本の一貫した立場と相容れず、また、本県で暮らす元島民の方々をはじめとする県民の感情を大いに傷つけるものであり、断じて容認することはできない。

 茨城県議会として、ロシア連邦及びプーチン大統領に対し、今回の北方領土への不当な訪問及び国際法を無視した不法占拠を断固として非難するものである。

 政府においては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的方針に基づき、国際社会に日本の主張を粘り強く発信し、理解の拡大に努めるとともに、ロシアが事態の重大さを深刻に受け止めて、今後このような行動を繰り返さぬよう、可能な限りの手段を講じて対応することを強く要請する。