平成28年第4回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書・決議》


《請願》


地方の安定的な財政運営のための財源確保を求める意見書

 地方が責任をもって,地方創生・人口減少対策をはじめ,福祉・医療,教育,地域経済活性化・雇用対策,防災・減災事業など,地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担っていくためには,その基盤となる安定した財源の確保が必要である。
 さらに,本県においては,関東・東北豪雨及び東日本大震災からの復旧・復興等,喫緊の優先すべき課題を強力に推進していく必要がある。
 現在,地方の基金が増加していることなどを理由として地方財政計画の歳出の適正化等を目指して地方交付税の減額を速やかに行うべきとの議論が行われているが,地方においては,大規模災害や経済不況による税収減等不測の事態により生ずる財源不足については,歳出削減や基金取崩し等で対応せざるを得ないことに十分配慮すべきである。
 よって,国においては,地方の安定的な財政運営のための財源確保に向けて,次の措置を講ずるよう強く要望する。

  1. 「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)において,「地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について,2018年度(平成30年度)までにおいて,2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされていることから,閣議決定を遵守し,必要となる一般財源総額を確保すること。
  2. 平成29年度地方財政計画の策定にあたっては,高齢化に伴う社会保障関係費の増嵩や人口減少・少子化への対策,地域経済活性化・雇用対策に係る歳出を特別枠で確保してきたこと等を踏まえ,引き続き,実質的に同水準の歳出特別枠を確保し,地方歳出の一方的な削減は行わないこと。

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私学助成の充実強化等に関する意見書

 私立高等学校等(高等学校,中等教育学校,中学校,小学校及び幼稚園)は,建学の精神に基づき,時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し,公教育の発展に大きな役割を果たしている。
 現在,我が国では,グローバル人材育成への対応と教育におけるICT化の推進の観点から,「新しい教育」の展開に向け,様々な教育改革が進められている。
 しかしながら,各私立学校が,国が主導する「新しい教育」に対応するには,身を切るような経営努力により,保護者の経済的負担の軽減に協力してきた現下の厳しい状況の中では,自ずと限界があり,残された手立ては授業料等の増額によるほかはなく,これでは公私間の負担格差の拡大に繋がることが懸念される。
 また,子どもたちの安全・安心は国の責務として,学校施設の耐震化は急務であり,私立学校の耐震化の促進に更なる支援が必要である。
 加えて,私立専門学校生に対する授業料減免や私立幼稚園児に対する保育料等の一部無償化などの諸施策が実施され,私立学校に係る教育費の負担軽減の対象が拡大する一方で,私立中学校に学ぶ生徒には,そのような公的支援が何らなく,その改善が急務である。
 我が国の将来を担う子どもたちの学校選択の自由を実質的に保障し,国が主導する「新しい教育」に,公教育機関である私立学校が対応するためには,公立に比べはるかに財政的基盤の脆弱な私立高等学校等に対する助成措置の拡充が必要不可欠である。
 よって,国においては,私立高等学校等教育の重要性を認識し,教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため,現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し,一層の充実を図るとともに,私立学校施設耐震化への補助の拡充など私立学校の教育環境の整備充実や私立学校生徒等への修学支援の充実強化を図るよう,強く要望する。

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災害対策の充実・強化を求める意見書

 近年,地球規模の気候変動などにより我が国を取り巻く環境は大きく変容しており,台風や竜巻,ゲリラ豪雨,大雪などの異常気象が多発するなど,住民の安全・安心な生活が脅かされている。
 本県においても,平成27年9月関東・東北豪雨災害をはじめ,台風や竜巻,ゲリラ豪雨,大雪などの発生により甚大な被害を受けている。
 一方,地震についても,広範囲で甚大な被害が生じた平成23年の東北地方太平洋沖地震はもとより,熊本県や鳥取県での地震など,近年,大規模な地震が頻発しており,更に今後,首都直下地震や南海トラフ沿いの巨大地震などの大規模な地震やそれらに伴う津波の発生などが危惧されている。
 加えて,社会・産業の高度化,複雑化,多様化に伴い,火災や爆発などの人為的災害についても,ひとたび発生すれば,その被害は従前にも増して甚大なものになるといった懸念がある。
 このように大規模災害発生の蓋然性が高まる状況下において,これら災害から住民の生命と財産を守るための災害対策は急務となっている。
 以上を踏まえ,国においては,住民の安全・安心を確保するため,下記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

  1. 社会資本整備に係る予算措置
     災害に強い地域づくりに資する社会資本(道路,河川,水道等)の整備推進を図るとともに,地方においても計画的に防災対策に取り組めるよう,十分な公共事業予算を確保すること。
     特に,庁舎や学校施設を始めとする防災拠点となる公共施設等の耐震改修や建て替え等の施設整備に対しては積極的な財政支援措置を講ずること。

  2. 被災者・被災地支援の充実・強化
     被災者・被災地の支援に当たっては,既存の支援制度の充実・強化を図るとともに,新たな補助制度を創設するなど被災者・被災地の実情に即した十分な支援措置を講ずること。
     特に,以下の点については,これまでの大規模災害対応における課題等を踏まえ,十分な措置を講じること。

    (1)災害救助法関係
     災害救助法に基づく住宅の応急修理について,住宅の応急修理の対象範囲を拡大するとともに,半壊世帯に係る資力要件を撤廃すること。
     また,被災者が自ら応急修理を発注して支払いを行った場合でも,支援の対象とできるようにすること。
     さらに,住宅の応急修理については,現物給付の原則を見直し,現金給付の導入を検討すること。

    (2)被災者生活再建支援法関係
     被災者生活再建支援制度について,以下の見直し等を実施するとともに,これらの財源を確保するため,被災者生活再建支援基金への国庫補助の拡充を図ること。
    • ア 一部地域が支援法の適用対象となるような自然災害が発生した場合には,全ての被災区域が支援の対象となるよう見直すこと。
    • イ 支援金の支給対象となる被災世帯を半壊世帯まで拡大すること。
    • ウ 支援金の支給限度額を引き上げること。

    (3)国の財政支援に係る見直し
     国の財政支援について,大規模災害への迅速な対応を図るため,地方自治体の事務手続きの簡素化,資金使途や期間制限等の撤廃及び包括的な財政支援制度の設立など,必要な見直しを行うこと。

  3. 地域防災力強化のための財政措置
     地方が行う防災知識の普及・啓発やハザードマップの作成,地域防災の担い手となる自主防災組織や消防団等の活動の活性化に向けた様々な取組等に対し,十分な財政措置を講ずること。

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「森林・林業基本計画」の推進を求める意見書

 森林は,食料や水,木材・エネルギー等の供給や二酸化炭素の吸収など,国民の安全・安心,国土・環境を守る重要な国民共通の財産である。
 また,我が国の森林資源は,戦後造林された人工林を中心に本格的な利用期を迎えており,豊富な森林資源の循環利用を確立させ,森林の公益的機能の維持・増進を図るとともに,林業・木材関連産業を振興させることが重要な課題である。
 しかし,森林・林業・木材関連産業の現状は,木材価格の低迷の影響により,経営基盤が依然として脆弱であり,山村の疲弊も著しい状況にある。
 こうした中,新たな「森林・林業基本計画」が,本年5月24日に閣議決定されたが,この間,講じられてきた路網整備,施業集約化,国産材の安定供給体制の構築等の一層の推進はもとより,主伐後の確実な再造林,国産材需要拡大等の施策の確立が重要となっている。
 よって,国におかれては,森林資源の循環利用の確立をはじめとする森林・林業施策の推進,平成29年度当初予算額の確保等について,具体的進展が図られるよう,次の事項を早急に実施されたく強く要望する。

  1. 森林資源の循環利用確立に向け,主伐後の確実な再造林を推進するため,公的補助の拡充を図るとともに,苗木の安定供給に向けた施策の拡充を図ること。
  2. 林地の集約化,森林経営計画策定の促進に向け,市町村への林務担当職員の配置,人材育成に向けた国の支援策を講じること。
  3. 地域材の安定供給体制の確立に向け,官民の連携を強化するとともに,安定供給,需給調整,販売をコーディネートする組織・人材の育成を図ること。また,地域材利用促進については,公共建築物の木造化・木質化等を一層推進させること。
  4. 「山村振興法」の基本理念,附帯決議に基づき,山村地域において雇用の拡大・改善を行う企業に対する支援措置を講じる等の具体的施策の確立を図るとともに,地域振興・地域林業確立の観点から,国等の発注する事業については,地域の事業体が優先的・安定的に受注出来る発注方式に変更すること。
    また,林業労働力の育成・確保に向けた施策の拡充,労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策の強化を図ること。
  5. 経営意欲の低下した所有者の森林,不在村所有者森林など,林地集約の支障となっている森林については,地方公共団体による公有林化の促進に向け,全額国費による助成措置を講じる等,支援の強化を図ること。

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平成29年度私立高等学校等経常費等助成に関する請願

【請願趣旨】

 私立高等学校等は,教育の充実・向上を図り,時代の要請に対応した特色ある教育を実践し,次代を担う優れた人材の育成に努め,県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。
 しかし,少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により,私立高等学校等の経営は,いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。
 ついては,将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう,県財政の厳しい折とは思うが,私立学校教育の振興を図るため,新教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ,以下の要望事項について特段のご高配を賜るようお願いする。

【請願事項】

  1. 経常費補助金について
     私立学校が時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには,これまで以上の経費を必要とするが,少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により,私立高等学校等を取り巻く状況は厳しさを増している。私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担の軽減を図るために,経常費補助金の確保について特段の配慮をお願いする。
  2. 高等学校等就学支援金制度の改善充実と授業料減免事業の拡充について
     平成26年4月以降の入学生からは,所得制限が設けられ,保護者の年収により加算区分が見直されるとともに支援金の加算の拡充や私立高等学校等奨学給付金制度が創設され,低所得世帯への支援の拡充が図られた。しかし,新制度においてもなお,公立の大半は無償であるのに対し,私立の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態であり,公私間格差是正の観点から,家庭の状況に関わらず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう,支援金の加算の拡充や加算措置限度額(年収590万円)の引き上げ等により教育費負担の軽減化が図れるようお願いする。また,就学支援金加算所得層の授業料の一層の軽減が実現できるよう授業料減免事業の拡充をお願いする。
  3. 教職員研修に係る補助金について
     近年グローバル化が進展する社会の中で,各私立学校は時代や社会の要請に応じた新しい教育の推進が求められている。また,益々深刻化しているいじめ問題や,多様化している生徒や保護者の抱える悩みへの対応に教職員は苦慮している。このような社会状況を踏まえた実践力を十分備えた教職員を育成するため,教職員の総合的な資質向上を目的に更に研修の充実に努める必要があることから,教職員研修費補助金の現補助制度の堅持と増額をお願いする。

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