令和2年第3回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書》

《請願》

小規模事業者に対する支援及び支援体制の拡充・強化に関する意見書

 我が国に存在する357.8 万者の中小企業のうち,84.9%,304.8 万者に及ぶ小規模企業は,地域の経済や雇用を支える存在として重要な役割を果たしており,我が国経済全体の発展につながる小規模企業の成長及び持続的発展が不可欠である。
 しかしながら,現下の新型コロナウイルス感染症拡大及びその影響の長期化により,小規模事業者の売上は急減し,このままでは事業継続が危ぶまれる状況にある。
 また,新たな生活様式への対応,危機的状況下での事業継続,事業承継の推進,IT 化の推進など,今後,小規模事業者の成長及び持続的発展のために取り組むべき課題も山積している。
 このような課題の解決を図るためには,小規模事業者の自助努力も必要であるが,小規模事業者にとって身近な経営相談機関である商工会による適切な助言及び支援を行うことが極めて重要である。
 しかしながら,商工会においては人員が不足しているため,施策の迅速かつ円滑な対応に支障が生じている。
 よって,国におかれては,我が国経済を支えている小規模事業者を支援するため下記の項目の実現について強く要望する。

  1.  新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化していることから,売上回復や雇用維持をはじめとする小規模事業者に対する支援の拡充・延長を図ること。
  2.  商工会の人員を増員するために必要な支援を行うとともに,小規模事業者支援体制の抜本的強化に対する支援を行うこと。

軽油引取税の課税免除措置の継続を求める意見書

 砕石業や採石業,砂利採取業は,軽油を多く使用している業種であり,砕石や砂利は,コンクリート,道路等の社会資本や産業基盤の整備に不可欠な基礎資材であるが,近年,需要が大幅に減少している。また,資機材及び人件費の上昇を製品価格に転嫁することも極めて困難な状況にあり,経営環境は厳しさを増している。
 そうした中,軽油引取税の課税免除措置が令和3年3月末に適用期限を迎えることになるが,仮に課税免除措置が廃止された場合は,課税額分を事業者が負担せざるを得なくなるため,一層苦しい経営状況に陥るのは必至であり,地域産業への影響は,極めて甚大なものとなる。
 よって,地域産業支援の観点から,国においては,軽油引取税の課税免除措置の継続又は恒久化を図るよう,強く要望する。

教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書

 学校現場では,新学習指導要領への対応だけでなく,貧困・いじめ・不登校など課題が山積しており,子どもたちの豊かな学びを実現するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。
 豊かな学びや学校の働き方改革を実現するためには,加配措置だけではなく抜本的な定数改善計画に基づく教職員定数改善が不可欠である。
 また,義務教育費国庫負担制度については,「三位一体改革」により国負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられ,厳しい財政状況の中,地方自治体では,独自財源による定数措置が行われており財政を圧迫している。
 国の施策として定数改善に向けた財源保障を行い,子どもたちが全国どこに住んでいても一定水準の教育が受けられることは憲法の要請するところであり,豊かな子どもの学びを保障するための条件整備が不可欠である。
 よって,政府の令和3年度(2021 年度)予算編成において,下記事項を実現するよう,強く求める。

  1.  計画的な教職員定数改善により,少人数学級を推進すること。
  2.  教育の機会均等と水準の維持向上を図るため,義務教育費国庫負担制度を堅持すること。

ドクターヘリの安定・持続的運用への支援強化を求める意見書

 ドクターヘリは,道路事情に関係なく医師や看護師を乗せて時速200 キロで現場に急行し,患者を機内で治療しながら医療機関に搬送できる。2001 年の本格運航以来,これまで全国43 道府県に53 機が配備されている。搬送件数も年々増加し,2018 年度には2 万9000 件を超えた。7月に九州地方を襲った豪雨被害でも出動しており,“空飛ぶ治療室”の役割は着実に増している。
 一方,ドクターヘリの要請・出動件数の増加に伴い,運航経費と公的支援との間に乖離が生じている。出動件数の増加は,整備費や燃料代,さらにはスタッフの人件費などの経費増に直結するため,事業者の財政的な負担は年々重くなっている。ドクターヘリの運航にかかる費用の多くは国が交付金などで手当てしているが,追いついている状況にない。
 そこで政府におかれては,全国におけるドクターヘリの運航状況を直視するとともに,ドクターヘリが,今後も救命救急の切り札として,安定的かつ持続的な運用の下,引き続き多くの人命救助に貢献できるよう,下記の事項について早急に取り組むことを強く求める。

  1.  ドクターヘリ運航にかかる必要経費増加の実態をはじめ,地域ごとの年間飛行回数や時間の違いを的確に把握し,適正かつ効率的な運用に見合う補助金の基準額を設定すること。
  2.  消費税の増税に伴い運行事業者の財政的な負担が増大した現状を踏まえた適切な補助金基準額の改善および予算措置を図ること。
  3.  ドクターヘリ運航の待機時間や飛行前後の点検時間を含めた操縦士などスタッフの勤務実態を的確に把握するとともに,適正な労働環境の確保を図ること。
  4.  ドクターヘリ機体の突発的な不具合時における,代替機の提供や運航経費の減額など,実質的に運行事業者に負担が強いられている現状を是正するとともに,安全基準に基づいた代替機提供責務の適正化を図ること。

防災・減災,国土強靱化対策の更なる推進を求める意見書

 令和元年東日本台風や房総半島台風など,近年相次ぎ発生している大規模自然災害を踏まえ,切迫する巨大地震等や気候変動の影響により頻発・激甚化が懸念される気象災害から国民の生命と財産を守るため,「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」を確実に実施するとともに,3か年緊急対策後も見据え,こうした取組の更なる推進を図ることが極めて重要である。
 また,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経済の下振れリスクが高まる中,税収の大幅な減少,感染拡大防止対策費や社会保障関係費,インフラ施設等の老朽化対策費の増加などにより,厳しい財政運営が懸念される。
 以上のことから,下記の事項を実施するよう要望する。

  1.  令和元年東日本台風により被害を受けた道路・河川等の迅速な災害復旧に取り組むとともに,再度の災害発生を防止するための改良復旧に必要な予算を確保すること。
  2.  「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」終了後も,引き続き国土強靱化を推進するため,別枠予算での延長及び拡充を図ること。
  3.  久慈川の災害復旧・復興などで,迅速かつ機動的に実施されている国の権限代行が円滑に推進されるよう地方整備局等の体制の充実及び機能強化を図ること。
  4.  経済の下支えとなる公共投資を確実に推進していくため,臨時交付金など,当該公共投資に係る地方負担を軽減する財政措置を講ずること。

台湾の世界保健機関(WHO)への参加及び国際的な経済連携の強化に関する意見書

 国際化の進展に伴い,訪日外客数は2019年に約3,200万人となり,年々増加している。これに伴い,台湾との往来も増加傾向にあり,同年の訪日客は約490万人と,経済的・文化的に,台湾は我が国の重要なパートナーである。
 本県においても,知事訪台による官民交流や県議会議員訪台による交流のほか,茨城空港と台湾・桃園国際空港との定期便運行など親交が深く,平成30年の台湾花蓮地震に際しては,本県から災害見舞金を贈呈し,コロナ禍にあっては台湾政府からマスク約5万枚を受領するなど,相互に浅からぬ縁がある。
 我が国と台湾との交流は,観光のみならず,経済や文化など様々な側面でさらに活性化することが予想される。一方で,新型コロナウイルス感染症の感染拡大による災禍は世界中に深刻な影響を及ぼしており,世界各国から高い評価を得ている台湾による新型コロナウイルス感染症への豊富な知見や経験を共有することは,国際的な関係からも有意義である。しかしながら,台湾は,これまでの保健衛生分野での貢献に関わらず,2017年以降はWHOの年次総会にオブザーバーとして参加が認められていない。
 世界保健機関(WHO)は,その憲章で「到達しうる最高基準の健康を享有することは,人種,宗教,政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利のひとつ」とうたっている。この理念を実現し,国や地域を越える課題を克服するためには,防疫に係る地理的空白が生じることがあってはならない。世界的な公衆衛生危機への対応を強化する観点から,台湾のWHO参加が望まれる。
 よって,国におかれては,台湾のWHOへの参加の実現に向け,関係各国・地域と連携し,これまで以上に取組を強化することを強く要望する。
 また,台湾との貿易や投資の一層の自由化を促進することは,本県はもとより,我が国の経済発展にとって重要な意義を持つ。一方で,台湾は東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故に関連して,本県を含む日本産食品に対し,今なお科学的根拠に乏しい輸入規制措置を取っている。
 よって,国におかれては,日本産食品の輸入規制撤廃のための交渉を進めることを前提に,台湾が強い関心を示している環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)への参加を積極的に支援するよう強く要望する。

「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書

 「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」は,原子力発電施設等の周辺地域について,地域の防災に配慮しつつ,生活環境や産業基盤等の総合的かつ広域的な整備に必要な特別措置を講ずること等により,これら地域の振興を図り,もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的として制定されたものであり,これまでその目的の実現に大きく貢献してきたところである。
 この法律は,令和3年3月末をもって失効することとなっているが,これに基づき国が決定した振興計画による事業は未だ完了しておらず,立地地域の振興を図るためには引き続き事業の進捗を図る必要がある。
 また,東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電施設自体の安全対策に加え,原子力災害を想定した広域避難などの防災対策を推進することが重要となっており,安全安心な生活環境の整備が強く求められていることから,今後も引き続きこの法律の特別措置を活用して,避難や物資輸送等のための道路整備などの事業の進捗を図る必要がある。
 もとより,原子力発電施設等の立地は,国のエネルギー政策の一環として行われているものであり,電気の安定供給という観点からも,立地地域の持続的な発展は必要不可欠である。
 よって,国においては令和3年度以降も法律の期限を延長し,振興計画による事業の完了に向けて必要な措置を講ずるとともに,対象事業の拡充や国の負担割合の引き上げなど,制度の充実・強化を図るよう強く要望する。

教職員定数改善と義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書採択を求める請願

 学校現場では,解決すべき課題が山積しており,子どもたちのゆたかな学びを実現するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。
 学校現場では,新学習指導要領への対応だけでなく,貧困・いじめ・不登校など解決すべき課題が山積しており,子どもたちのゆたかな学びを実現するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには,加配措置ではなく抜本的な定数改善計画に基づく教職員定数改善が不可欠である。
 義務教育費国庫負担制度については,小泉政権下の「三位一体改革」の中で国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。厳しい財政状況の中,独自財源による定数措置が行われているが,地方自治体の財政を圧迫している。国の施策として定数改善にむけた財源保障をし,子どもたちが全国のどこに住んでいても,一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請である。ゆたかな子どもの学びを保障するための条件整備は不可欠である。
 こうした観点から,2021 年度政府予算編成において本請願事項が実現されるよう,地方自治法第99 条の規定にもとづき国の関係機関への意見書提出を請願する。

  1.  計画的な教職員定数改善により少人数学級を推進すること。
  2.  教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため,義務教育費国庫負担制度を堅持すること。

軽油引取税の課税免除制度の存続を求める請願

 現在,弊業界の採取場で使用する軽油については,平成30 年4月1日から令和3年3月31 日まで軽油引取税の課税免除措置が講じられ,薄氷の経営に寄与しているところである。
 一方,砕石及び砂利の生産量は,震災復興需要として一時的に増加したものの,依然として低迷しており,弊業界を取り巻く経営環境は一層厳しさを増している。これは,砕石及び砂利の主な需要先であるコンクリート用及び道路用の骨材の需要が大幅に減少し回復の見込みが立たないためである。また,こうした需要が大きく低迷している中で近年の資機材及び人件費の上昇を製品価格に転嫁することも極めて困難な状況にある。
 そのため,仮に課税免除措置が廃止された場合は課税額分を自ら負担せざるを得なくなるため,一層苦しい経営状況に陥るのは必至であり,ほとんどが中小業者で占められる弊業界への影響は極めて甚大なものがある。
 砕石及び砂利は良好な社会資本や産業基盤の整備には欠かせない基礎資材であり,これらを質的かつ量的に安定供給する弊業界の窮状に鑑み,軽油引取税に関して下記の措置をとるよう国に求めることを請願する

  1.  軽油引取税の課税免除措置の期間延長または恒久化を図ること。