令和2年第4回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書》

《請願》

私学助成の拡充強化等に関する意見書

 本県の私立学校(高等学校,中等教育学校,中学校,小学校及び幼稚園)は,各々の建学の精神に基づき,時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し,公教育の発展に大きな役割を果たしている。

 我が国が,少子高齢化が進行する中で,今後も持続可能な社会を継続するためには,Society5.0 時代を担う子供たちに,変化に対応し想像力を発揮できる資質・能力を身に付けさせる必要があり,そのための教育環境の整備が最重要課題となっている。

 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大下において,デジタル技術の活用が進み,学校においてもICTを活用した同時双方向型のオンライン授業の取組が推進された一方で,教育のデジタル化の格差が鮮明となった。学校教育におけるICT環境の整備及び学校施設の耐震化と付帯設備の長寿命化は,公教育を担う学校の共通基盤を整備促進する観点から,国の責務として更なる支援が必要である。

 加えて,私立高等学校の授業料における各都道府県の上乗せ支援により新たな格差が生じており,さらに,大学から幼稚園に至る各学校種の公的支援制度が実施されている中で,5年間の実証事業である私立小中学校の生徒等への就学支援金制度の恒久化が望まれる。

 公教育の一翼を担う私立学校が,国の進める教育改革に的確に対応し,我が国の将来を担う子どもたちに,時代の変化に対応できる知識や能力を身に付けさせるためには,財政基盤の安定が必要不可欠であり,これからの公教育の基盤となるICT環境を整備するための膨大な経費をすべて各私立学校が負担すには自ずと限界があり,国の全面的な財政支援が求められている。

 よって,国においては,私立高等学校等教育の重要性を鑑み,教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実ともに確立するため,現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し一層の充実を図るとともに,公教育の新たな基盤となるICT環境の整備充実や,私立学校の保護者の経済的負担の軽減のための就学支援金制度等の拡充強化を図るよう強く求める。

農業由来の廃プラスチックの好循環対策に関する意見書

 海洋プラスチックごみ問題や,中国政府による廃プラスチックの輸入禁止措置などで国内での廃プラスチックの処理量が増加傾向にあるなか,プラスチック資源の循環利用の重要性が高まっている。

 特に,園芸農業が盛んな本県においては,施設用被覆材の農業用ビニール・農業用ポリエチレン,マルチング栽培用フィルム,トンネル栽培用フィルムなどプラスチック類の資材は必要不可欠であり,そのリサイクルは茨城県園芸リサイクルセンターにおいて共同処理が行われている。

 こうした再生処理施設については,今後も継続的・安定的な運営が求められるところであるが,社会情勢の変化に伴い処理費用が高騰しており,農業者における廃プラスチックを減少させる個々の努力のみでは限界がある。

 よって,国においては農業由来の廃プラスチックの排出を抑制するとともに,適正なリサイクル処理を推進するため,下記の事項に特段の措置が講じられるよう強く求める。

  1. 農業由来の廃プラスチックの排出を抑制するため,生分解性プラスチックなど環境負荷の少ない新素材への転換に係る技術開発とともに,長期展張フィルムなど耐久性強化製品の普及を強力に推進すること。
  2. 農業由来の廃プラスチックを安定的かつ確実に回収・処理できる制度を確立し,再生資源の利活用目標の設定などリサイクル対策を強化すること。

過積載による違法運行の防止に係る対策強化を求める意見書

 トラックによる国内貨物輸送はトンベースで約9割を占め,我が国の経済活動と国民生活に不可欠な基幹産業である。しかしながら,最大積載重量や車両総重量の超過など,定められた重量の限度を超えて建設資材や廃棄物,土砂を運搬するいわゆる過積載が問題となっている。

 過積載は,深刻な交通事故や建設汚泥処理物の不法投棄に繋がりやすいうえに,道路や橋などに損傷を与え,騒音や排出ガスの増加により環境や近隣住民への影響も大きく,その撲滅に向けた対策は極めて重要である。

 運送事業者や建設産業など業界団体による法令遵守への取組はもちろん,国や地方自治体においても大規模な合同取締を実施するなど対策にあたっているところであるが,過積載車両は後を絶たないことから,さらなる対策の強化が望まれるところである。

 よって,国においては過積載の撲滅を図り,安全・安心な国民の生活環境を守るとともに,道路の適正かつ安全な利用を促進するため,下記の事項に特段の措置が講じられるよう強く求める。

  1. 過積載を目的とした高いあおりや深ボディ等,荷台の不正改造に係る検査を強化し,違反車両の走行抑止と過積載運行排除に向けた取組のさらなる推進を図ること。
  2. 産業廃棄物処理専用車(土砂運搬禁止車)など荷台の深い車両による土砂等の運搬など,表示義務違反車に係る監視・取締の徹底を図ること。
  3. 過積載が繰り返されることのないよう,過積載車両の運転者,運送事業者及び荷主の関与に対する罰則を強化すること。

農業由来廃プラスチックの好循環対策に関する請願

 現在,海洋プラスチックごみ問題や中国政府による廃プラスチック輸入禁止措置,今般のコロナ禍により,国内における廃プラスチックの処理量が増加傾向にあるなか,プラスチック資源循環の重要性が高まっている。

 特に,園芸農業が盛んな本県においては,施設用被覆材の農ビ・農ポリ,マルチング栽培用フィルム,トンネル栽培用フィルムなどの農業系資材は必要不可欠な資材であり,そのリサイクルは,茨城県園芸リサイクルセンターにおいて共同処理が行われている。

 今後も継続的,安定的な運営が求められるところだが,社会情勢の変化に伴い処理料が上昇しており,農業者においても,廃プラスチックを減らす努力が必要となっている。リサイクルの好循環には,国主導による環境負荷の少ない製品開発と普及促進及びリサイクルの制度化も必要と考える。

 ついては,私どもの意を汲み取り,貴職においては,下記事項を政府・国会に対して働きかけを行うよう請願する。

  1.  廃プラスチックの減量化に繋がる生分解性マルチフィルムの技術開発と,長期展張フィルムも含めた普及促進を支援すること
  2.  農業由来廃プラスチックのリサイクルの制度化と,処理された再生資源の利活用目標の設定などリサイクル促進に取り組むこと

私立高等学校等経常費助成に関する請願

 私立高等学校等は,教育の充実・向上を図り,時代の要請に対応した特色ある教育を実践し,次代を担う優れた人材の育成に努め,県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。

しかし,少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により,私立高等学校等の経営は,いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。

ついては,将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう,新型コロナウィルス感染症対策等により,県財政の厳しい折とは思うが,私立学校教育の振興を図るため,教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ,以下の要望事項について特段のご高配を賜るようお願いする。

【請願事項】

  1. 経常費補助金について

    私立学校が時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには,これまで以上の経費を必要とするが,少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により,私立高等学校等を取り巻く状況は厳しさを増している。私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担の軽減を図るために,経常費補助金の確保について特段の配慮をお願いする。

  2. 高等学校等授業料減免事業の拡充について

     本県においては,国の就学支援金の制度改正により年収590 万円未満世帯を対象に,支給上限額が年額396,000 円となり,授業料の実質無償化が図られたが,制度を改正しても,なお,公立高校の大半は無償であるのに対し,私立の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態であり,公私間格差是正の観点から,家庭の状況に関わらず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう,国制度に加えて,実質無償化対象世帯の更なる範囲拡大,多子世帯への所得要件緩和,低所得世帯への一層の軽減等により,教育費負担の軽減化が図れるよう県事業の拡充をお願いする。

     また,文部科学省は,私立中学に対し,平成29年度より実証実験として,年収400 万円未満の世帯を対象に年額10 万円の授業料減免支援を実施し,県からは支援の上乗せをいただいているが,私立中学に対しても,私立高校と同様に,更なる教育費負担の軽減化が図られるようお願いする。

  3. 教職員研修に対する支援について

    グローバル化への対応や社会を牽引するイノベーション創出を目指す教育のための学習指導要領の改訂等,国の急速な教育改革等に対応するためには,教職員研修はこれまで以上に重要であり,経常費補助金の特別加算分の項目に計上されているが,本県私立学校の実情などを勘案し,教職員研修に対する支援の拡充をお願いする。

  4. 本県においては,今回の新型コロナウィルスの影響によって,家計が急変した保護者世帯を対象に授業料軽減措置を行う学校法人に対し,補助事業として「授業料軽減事業」が制度化されているが,当該補助金等の早期給付や影響の長期化等に伴う保護者世帯に対する新たな支援制度の創設等をお願いする。