令和4年第4回定例会で可決された意見書・請願


私学助成の充実強化等に関する意見書

 本県の私立中学高等学校は、各々の建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしている。

 現在、国際情勢が緊迫化し急激な円安をはじめとして経済情勢が混乱する中で、我が国では少子高齢化が更に進行していくことが予想されている。このような状況にあっても、今後も我が国が国力を維持し発展していくためには、社会的資本ともいえる子供たちを時代の状況変化に対応できる真のグローバル人材として育成することが重要となっている。このことは「経済財政運営と改革の基本方針2022」においても「人への投資」として掲げられており、私立中学高等学校は、如何なる状況下にあっても、それぞれの学校が有為な人材の育成を通じて国や社会の発展に寄与していくことを目指して、日々教育活動を続けている。

 先の見えない状況の中で、私立中学高等学校が新しい教育への移行、教職員の資質向上、学校運営の効率化、更には、学校のICT環境の整備をはじめ、学校施設の耐震化及びコロナ禍における空調・換気設備等の整備を進めていくには、まずは学校経営の安定的継続が前提であり、そのためには経常費助成の更なる拡充とともに、これからの公教育の共通基盤となるICT等の教育環境の整備への国公私立を問わない支援が喫緊の課題となっている。授業料支援においても、私立高校において年収590万円を境に生じている支援金格差の是正とともに、私立中学校生徒に対する経済的支援の拡充が強く求められる。

 公教育の一翼を担う私立学校が、国の進める教育改革に的確に対応し、新しい教育、特色ある教育を提供できるよう、財政基盤の安定のため、国の全面的な財政支援が求められる。

 よって、国においては、私立高等学校等教育の重要性に鑑み、教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実ともに確立するため、現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し一層の充実を図るとともに、公教育の新たな基盤となるICT環境の整備充実や、私立学校の保護者の経済的負担の軽減のための就学支援金制度の拡充強化を図るよう強く求める。

    

水産加工業者に対する電気料金高騰への支援を求める意見書

 国内の食用魚介類の国内消費仕向量の7割は加工品として供給されており、水産加工業は食料供給産業として重要な役割を果たしている。また、水産加工場の多くは沿海地区に立地し、漁業地域の活性化にも大きく寄与している。

 他方、水産加工業をめぐる情勢については、「長引くコロナ禍による経営への深刻な影響」、「サンマ、イカなど主要魚種の不漁継続」、「世界的な水産物需要の増大や急激な円安による加工原料の不足・高騰」など厳しい環境に陥っている。特に、ウクライナ情勢を背景とするエネルギー価格の上昇により、電気料金が高騰し、冷凍・冷蔵庫や加工機器を使用する水産加工業の経営を著しく圧迫する状況となっている。水産加工業者は、各自、創意工夫を重ね、節電に努めているが、それらの取組もおのずと限界がある。

 よって、国においては、国民への食料供給の重要な役割を担う水産加工業者の経済活動における負担を軽減するため、下記の事項について緊急の対策を講ずるよう強く要望する。

 水産加工業者に対する電気料金高騰への対応に向けた支援策を講じること。

    

令和5年度私立高等学校等経常費等助成に関する請願

 長期化するコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナへの侵略により世界情勢が混迷を深めるなか、我が国では円安の影響も加わり、物価の高騰が続いている。

 私立高等学校等は、教育の充実・向上を図り、時代の要請に対応した特色ある教育を実践し、次代を担う優れた人材の育成に努め、県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。

 しかし、少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により、私立高等学校等の経営は、いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。

 ついては、将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう、新型コロナウイルス感染症対策等により、県財政の厳しい折とは思うが、私立学校教育の振興を図るため、教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、以下の要望事項について特段の高配をお願いする。


[要望事項]

1 経常費補助金について
 私立学校が時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには、これまで以上の経費を必要とするが、少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により、私立高等学校等を取り巻く状況は厳しさを増している。私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担の軽減を図るために、経常費補助金の確保について特段の配慮をお願いする。

2 高等学校等授業料減免事業の拡充について
 本県においては、国の就学支援金の制度改正により令和2年度から年収590 万円未満世帯を対象に、支給上限額が年額396,000 円となり、授業料の実質無償化が図られたが、制度を改正しても、なお、公立高校の大半は無償であるのに対し、私立の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態であり、公私間格差是正の観点から、家庭の状況に関わらず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう、国制度に加えて、実質無償化対象世帯の更なる範囲拡大、多子世帯への所得要件緩和、低所得世帯への一層の軽減等により、教育費負担の軽減化が図れるよう県事業の拡充をお願いする。
 また、私立中学においては、県の授業料軽減事業として、令和4年度から保護者(家計急変世帯)向けの年収要件の拡充と中学校向け事業の補助上限額の拡充がなされた。今後も引き続き、私立中学に対しても、私立高校と一体的に教育費負担の軽減化が図られるようお願いする。

3 教職員研修に対する支援について
 グローバル化への対応や社会を牽引するイノベーション創出を目指す教育のための学習指導要領の改訂等、国の急速な教育改革等に対応するためには、教職員研修はこれまで以上に重要であり、経常費補助金の特別加算分の項目に計上されているが、本県私立学校の実情などを勘案し、教職員研修に対する支援の拡充をお願いする。

4 新型コロナウイルスの影響に対する保護者支援について
 本県においては、今回の新型コロナウイルスの影響によって、家計が急変した保護者世帯を対象に授業料軽減措置を行う学校法人に対し、補助事業として「授業料軽減事業」が制度化されているが、当該補助金等の早期給付や影響の長期化等に伴う保護者世帯に対する新たな支援制度の創設等をお願いする。