令和5年第2回定例会で可決された意見書

《意見書》



生涯を通じた国民皆歯科健診の実現を求める意見書

 現在、我が国では法律で義務付けられた歯科健診として、母子保健法に基づく1歳6か月児、3歳児に対する健診、学校保健安全法に基づく小学校、中学校、高等学校の児童・生徒に対する健診が行われ、この年代の全ての国民が歯科健診を受診している。一方で、成人期においては、健康増進法に基づく40歳、50歳、60歳、70歳の歯周疾患検診、高齢者医療確保法に基づく後期高齢者歯科健診が行われているが、その受診率は極めて低いものとなっている。また、事業所における歯科健診は、歯科特殊健康診断として有害業務に従事する労働者に限られている。

 現在では、多くの研究により、歯の本数と全身の健康状態、歯周病と全身疾患との関係等についての科学的な根拠が明らかになっており、人生100年時代を迎える中で健康寿命を延ばすためには、「8020運動」の取組をさらに進めるなど、歯を含めた口腔内の健康維持が極めて重要である。そのためには、ライフステージに応じた切れ目のない歯科健診の受診機会を確保する必要がある。

 本県議会においては、歯と口腔の健康づくりが県民の健康づくりに果たす役割の重要性に鑑み、県民の生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを基本理念とした「茨城県歯と口腔の健康づくり8020・6424推進条例」を議員提案により制定し、それらを推進しているところである。

 こうした中、国においては、令和5年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」において、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進を行うことが盛り込まれた。

よって、国においては、国民皆歯科健診の実現に向けた取組を早急に進めるとともに、下記の事項について措置されるよう強く要望する。


1  早期に国民皆歯科健診実現に向けた法改正を行うこと。

2  国民皆歯科健診の制度設計等に関する具体的な検討を進めるに当たっては、地方自治体をはじめ関係者の意見を十分に反映させるための必要な措置を講じること。

3  国民皆歯科健診の実施に関しては、国において十分な財政措置を講じること。

4  国民皆歯科健診の実現と合わせて、国民に対して歯と口腔の健康づくり及び歯科健診の重要性についての啓発や健診受診後の定期的な歯科受診の勧奨を行うなど、歯科疾患の発症や再発、重症化予防のための総合的な取組を推進すること。


高病原性鳥インフルエンザ等防疫措置に係る財源支援を求める意見書

 本県では昨年度、県内の複数地域において、100万羽を超える3事例を含め、高病原性鳥インフルエンザの発生が相次ぎ、殺処分の対象羽数は、400万羽を超えている。

 また、昨年度は本県のみならず全国各地でも同様の事例が相次いで確認され、国内の殺処分羽数は過去最多となっている。

 現在、高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生した際に実施する殺処分等の防疫措置は、家畜伝染病予防法第16条第1項の規定により、家畜の所有者が行うものとされている。

 しかし、同条第3項の規定により、家畜防疫員(県職員(獣医師))は、周辺農場への病原体のまん延防止などの観点から、緊急の必要がある時は自ら殺処分を行うことができることから、実際は、自衛隊、地元の市町村、関係機関などとの協力の下、県職員が主体となって防疫措置を行っているところである。

 また、今回の防疫措置の実施に当たっては、県の家畜保健衛生所の職員など農林関係職員のみならず、多くの職員が24時間体制で何日にもわたり殺処分等の防疫作業に複数回従事している状況にあり、職員に対する特殊勤務手当だけでも昨年度は約2,000万円を支給し、その他にも約1億円の時間外勤務手当を支給するなど、多額の財政負担が生じており、県財政を圧迫する要因になっている。

 さらに、本県議会の令和5年6月定例会において、家畜伝染病の防疫措置に係る作業に従事した職員の疲弊に対応すべく、特殊勤務手当の上限を現行の約2.6倍に引き上げる内容の職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案を審議しているところである。今後、当該条例の施行後に同様の事例が生じた場合には、更なる多額の財政負担が生じることが想定されるため、これに対応し得る財源を十分に確保する必要がある。

 よって、国においては、下記について措置されるよう強く要望する。


1  防疫措置に従事した自治体職員の特殊勤務手当、時間外勤務手当等の人件費について、国の交付金等の支援の対象とする、又は特別交付税の算定の対象に加える等の見直しを行うこと。

2  国は、発生都道府県における負担の増加を考慮し、国庫補助率の引上げや地方財政措置の拡充等の国の財政支援を激甚災害と同程度まで引き上げること。


梅雨前線による大雨及び台風第2号に伴う災害に係る支援を求める意見書

 梅雨前線の停滞と令和5年台風第2号の影響により県内では、記録的な大雨に見舞われたことにより、家屋や事業所、福祉施設などの床上・床下浸水や道路の冠水などの被害に遭うなど、甚大な被害が発生した。

 また、道路等の公共施設、農作物や土地改良施設における被害が確認されるなど、取手市や龍ケ崎市をはじめ県内の広範囲にわたり相当な被害が生じ、いずれも極めて深刻な状況にある。

 本県では、平成27年9月関東・東北豪雨、令和元年の台風第15号及び第19号による大雨、暴風などの際にも、河川の堤防の決壊をはじめ甚大な被害を受けたことが記憶に新しいところである。

 このように、異常気象は常態化していると言っても過言ではなく、今回のような記録的な大雨による被害は、今後も頻発することが予想される。そのため、早期の復旧復興に迅速に取り組むとともに、災害に強い産業基盤を構築するなど、今後に備えた十分な対策を講ずる必要がある。

 以上を踏まえ、国においては、住民の安全・安心な日常生活が一刻も早く取り戻せるよう、また、今後予想される災害時に被害を最小限にとどめ、人命・経済・暮らしを守ることができるよう、別記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。


別記

1 被災者に対する支援
(1)被災者の生活再建支援(内閣府、国土交通省)

 被災者生活再建支援法の適用範囲を拡大するなど、市町村の区域に捉われることなく、同一災害の被災者が等しく支援を受けられるよう制度改正を行うこと。また、同法の支援金の支給に当たっては、対象となる被災世帯を「全壊」、「大規模半壊」に限定せず、「半壊」世帯にも拡大すること。
(2)被災した農業者・農業関連施設への支援(農林水産省)
 被災した農業者の経営継続を支援するとともに、今後の営農に支障を来さぬよう、農地や土地改良施設の復旧に必要な経費の負担軽減を図ること。
(3)高等学校等就学支援金の被災者への対応(文部科学省)
 私立高等学校等において、家庭の教育費負担の軽減を図るため、授業料に係る費用を支援する制度である高等学校等就学支援金について、所得制限により対象外となった家庭が被災した場合には、支援金の対象となるよう、所得制限を見直すなど、被災家庭の負担の軽減に係る特段の配慮を行うこと。

2 災害からの復旧
(1) 浸水対策施設や宅地開発における排水処理システムに係る抜本的な対策の実施(農林水産省、国土交通省)

 水路・排水ポンプなどの浸水対策施設や宅地開発における排水処理システム(河川への放流や調整池の設置等)については、過去の雨量データなどを基準に設計されている。
 しかしながら、近年の台風や線状降水帯の発生に伴う豪雨は、想定された雨量を上回っていることや、都市化の進展等に伴う森林の減少により、森林の保水機能が低下しており、浸水対策施設・排水処理システムの能力を超えていることから、より広域的な範囲の状況を勘案し、施設の構造基準や宅地開発・林地開発の許可基準の見直し、さらに遊水地などを含めた抜本的対策を行うこと。
(2)河川や道路などの災害・改良復旧(国土交通省)
今回の大雨により被害を受けた河川や道路などの迅速な災害復旧に取り組むとともに、再度の災害発生を防止するための改良復旧に必要な予算を確保すること。
(3)防災・減災、国土強靱化のための対策に必要な予算の確保(国土交通省)
 今後の局地化・集中化・頻発化する豪雨に備え、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に必要な予算を確保するとともに、その後も継続すること。
 併せて、自然災害による被災が想定される区域では、ハザードマップ等によるソフト対策のみならず、防災・減災に係るハード対策を積極的に行うこと。
(4)災害廃棄物の処理(環境省)
 被災地域においては、今回の災害により大量の廃棄物が発生しており、その処理のために過大な負担を強いられることから、必要な費用の全額を国が支援すること。
(5)医療施設等の災害復旧(厚生労働省)
 近年、想定外の局所的な自然災害により医療施設等が被災するリスクが増大していることから、災害復旧費補助金に係る次の事項について特段の措置を講ずること。

  • 地域の医療を支える医療施設等について、全ての施設を補助対象にするとともに、補助率のかさ上げを行うこと。
  • 建物、建物付属設備、設備及び機器に限らず、備品、消耗品など復旧にかかる全ての費用に補助対象を拡充すること。
  • 速やかな復旧を促すため、災害復旧費補助金について十分な財源確保を図るとともに、迅速に支給を行うこと。
(6)保育施設等の災害復旧(厚生労働省)
 被災した保育施設等について、子どもが被災前と同等の保育サービスを受けられるよう、災害復旧費補助金の補助対象に、給食用設備、机、椅子、楽器、図書、パソコン及び車両などを加えること。
 被災した保育施設等の速やかな復旧を促すため、災害復旧費補助金について十分な財源確保を図り、迅速に支給すること。
(7)保健衛生対策等(厚生労働省)
 感染症の発生・まん延を防止するための感染症予防事業を支援するとともに、被災地における通常の医療の維持に必要な医薬品などの供給について、特段の配慮を行うこと。
(8)学校施設等の災害復旧について(文部科学省)
 私立学校の学校施設において、浸水や損壊などの被害を受けた場合には、早期復旧のため、国庫補助率の上乗せなど特段の配慮を行うこと。

3 財政措置
災害復旧に係る地方財政措置について(総務省)

 被災地方公共団体が被災者支援などのために、必要な財政需要に柔軟かつ的確に対処できるよう、普通交付税の繰上げ交付及び特別交付税の増額について特段の配慮を行うこと。