《意見書》
《請願》
私学助成の充実強化等に関する意見書
本県の私立中学高等学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある質の高い教育を展開し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしてきた。
現在、少子化の進行が深刻な問題となる中、本県及び我が国の将来を担う子供たちの資質・能力の育成を担う学校教育の役割は、これまで以上に重要なものとなっている。
しかしながら、全国の私立中学高等学校の現場においては、様々な課題が山積している状況にある。
私立高等学校等経常費助成費補助金における一般補助については、教員の維持・確保に必要な経費の増大や政府が目標とする3パーセントの賃上げ、物価高騰に全く対応しておらず、私立高等学校等の特色ある教育を推進する観点からも、大幅な拡充が急務である。併せて、特別補助については、障害のある生徒への介助者や、ICT支援員など様々な支援員に対する補助の拡充強化が望まれる。
また、国による私立高等学校等就学支援金制度については、拡大する地域間格差の解消に向けた補助額の大幅な増額や、私立中学校の生徒への就学支援制度の創設が求められている。
さらに、保護者の教育費負担を軽減するための「教育費減税」制度の創設のほか、公立学校と同等の全額補助や支援額・補助率の拡充が望まれる学習用端末・通信環境等のICT環境の整備、学校施設の耐震化・高機能化への対応も必要である。
これらに加え、私立高等学校等の生徒が海外への留学、研修・修学旅行等を経験し、将来にわたってグローバル人材として活躍するための支援の拡充とともに、外国人生徒を受け入れるに当たっての取組を促進するための教育課程等の整備、支援の拡充も求められている。
こうした課題は、本県の私立中学高等学校も同様に抱えているものであり、その解消には、県だけでなく、国による全面的な財政支援及び制度の整備が不可欠である。
よって、政府及び国会におかれては、「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、「質の高い公教育の再生」「学校教育の更なる高みを目指す」旨が掲げられていること、さらに教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」、私学振興助成法第1条の「私立学校の教育条件の維持及び向上」「修学上の経済的負担の軽減」の趣旨を踏まえ、私学助成に係る国庫補助制度をはじめとする様々な支援が一層拡充されるよう、強く要望する。
公共交通及び物流に関する対策の充実・強化を求める意見書
鉄道・バスをはじめとした公共交通は、高齢者や児童生徒などにとって不可欠な「移 動の足」であるとともに、普段は自家用車を利用している住民にとっても、代替の移動手段としてなくてはならないものである。
また、「経済を回す血液」ともいわれる、トラック輸送をはじめとした物流は、生活様式の変化に伴う宅配需要の増加などに象徴されるとおり、私たちの暮らしとは切り離すことができない密接な関係になっている。
一方、公共交通と物流の両分野においては、かねてより人手不足や燃料費の高騰など様々な課題に直面していたところであるが、自動車運転業務の労働時間に上限規制が適用されることに伴う、いわゆる「2024年問題」という新たな状況までもが生じている。
さらに、業界団体などの試算によれば、6年後の2030年度にはバスの運転手や物流における輸送能力の不足が一層拡大する可能性も指摘されるなど、公共交通及び物流への対策についてはさらなる充実・強化が求められている局面にある。
よって、国においては、国民生活に不可欠なインフラである公共交通と物流のシステムが、人口減少社会にあっても持続的にその機能を発揮するため、別記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
[別記]
1 公共交通関係
- (1) 運転手の人手不足や燃料費の高騰などを背景に、厳しい経営状況にあるバス事業者に対し、補助の拡大を検討すること。
- (2) 死亡事故が発生するなど構造的に課題のある危険な踏切については、鉄道事業者をはじめとした関係者との連携の下、さらなる安全対策が進展するよう必要な支援を行うこと。
- (3)TX土浦延伸や茨城県西南部地域への地下鉄8号線の延伸など、将来的な鉄道ネットワークの早期実現に向けた取組を支援すること。
- (4) デマンドタクシーについては、市町村によって運行料金の格差が広がらないよう、また、事業者にとって適正な運行料金が担保されるよう必要な支援を行うこと。
- (5) AIデマンドや自動運転などDXの視点に立った交通事業者への支援について、最新の知見を取り入れながら一層の強化を図ること。
- (6) バスの利便性を向上させる観点から、バス情報のGTFS化が着実に進展するよう取組を進めること。
- (7) タクシーを呼ぶための配車アプリについては、対応できる事業者の裾野が広がるよう、機材等に対する補助制度の拡大に取り組むこと。
- (8) 自家用有償旅客運送においては、そのエリアや実施時間帯が各地域で適切に設定されるよう必要な指針を定めること。
- (9) サイクルシェアやカーシェア、電動キックボードシェアといった多様なモビリティサービスが、地域課題に対応するための選択肢となるよう、安全性に配慮しつつ必要な規制の緩和を検討すること。
- (10) 利用者が負担すべきコストの割合など、公共交通における自己負担の在り方について、地方自治体とも連携しながら検討すること。
- (11) 外国人のバス利用については、インバウンドによる観光利用を含め、さらなる獲得につながる施策を講じること。
- (12) 第二種免許の撤廃などを求める意見もある中、「2024年問題」の到来を契機として、現行の第二種免許制度の抜本的な改正など、今の時代に求められる在り方を改めて検討すること。
- (13) 誰もが安心して公共交通を利用できる環境を実現するため、ハード・ソフトの両面から公共交通におけるバリアフリー化が進展するよう、必要な支援を行うこと。
2 物流関係
- (1) 運転手にも時間外労働の上限規制が適用される一方で、社会の活力が低下することのないよう、今後の物流政策を立案すること。
- (2) 運転手による手荷役作業の位置付けについては、国が主体となって根本的な整理を行うこと。
- (3) 中小企業庁が実施しているフォローアップ調査の活用も含め、物流業界における価格転嫁の実態を把握し、価格転嫁のさらなる円滑化に取り組むこと。
- (4) 「これだけ運賃が上がれば、これだけ運転手の年収が増える」といった具体的で説得力のある賃金モデルを、トラック輸送の標準的運賃と同様、国が主体となって示すこと。
- (5) いわゆる「物流2法」の改正(令和6年4月)に基づく対応が、物流現場で真に実効性のあるものとなるよう取り組むこと。
- (6) デジタル技術の導入が十分進んでいない物流事業者に対し、DXなど業務効率化の視点に立った取組を拡充すること。
- (7) 物流における自動運転やドローンの活用を加速できるよう、実証実験の円滑化に向けた規制の緩和など必要な支援を行うこと。
- (8) トラックによる幹線輸送を鉄道や船舶に転換するモーダルシフトについては、その実現に向けた重要性を関係者が強く認識できるよう周知等に努めること。
- (9) 港湾において、貨物の増加や船舶の大型化に対応するための岸壁整備や、安全な荷役・船舶航行を確保するための防波堤整備など、取扱貨物量を増加させるためのハード面の整備を支援すること。
- (10) 高速道路とリンクする国道などのアクセス道路やスマートインターチェンジを整備して、より効率的に移動することが可能となる縦横無尽な幹線道路網を実現できるようにすること。
- (11) 茨城空港が県内や北関東などにおける航空貨物の需要に対応するため、将来の在り方検討において、スムーズな物流に向けた構想を打ち出し、その実現が図られるよう支援すること。
令和7年度私立高等学校等経常費等助成に関する請願
私立高等学校等は、教育の充実・向上を図り、時代の要請に対応した特色ある教育を実践し、次代を担う優れた人材の育成に努め、県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。
しかし、承知のとおり、少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により、私立高等学校等の経営は、いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。
ついては、将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう、県財政を取り巻く状況は厳しいとは思うが、私立学校教育の振興を図るため、教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、以下の要望事項について特段の配慮をお願いする。
[要望事項]
-
経常費補助金の確保について
私立学校が、時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには、これまで以上の経費を必要とするが、少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により、私立高等学校等を取り巻く環境は厳しさを増している。
さらに、教員の維持・確保に必要な経費は増大しており、政府が目標に掲げる賃上げへの対応や、諸物価の高騰による経費の膨大化など様々な課題が山積している。
私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担軽減を図るため、経常費補助金の大幅な拡充強化について特段の配慮をお願いする。 -
高等学校等授業料減免事業の拡充について
本県においては、高等学校等を対象に国の就学支援金の制度改正より、令和2年度から年収590万円未満世帯を対象に支給上限額が年額396,000円となり、授業料の実質無償化が図られたが、制度を改正しても、なお、公立高校の大半は無償であるのに対し私立高校の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態である。一方、東京都では、令和6年度から所得制限を撤廃し、全ての高等学校等授業料を年額484,000円まで無償化するなど地域格差が拡大している。家庭環境や地域に左右されず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう、国制度に加えて、実質無償化対象世帯のさらなる範囲拡大、多子世帯への所得要件緩和、低所得世帯への一層の負担軽減等が図れるよう県独自の上乗せ支援をお願いする。 -
教職員研修に対する支援について
グローバル化への対応や社会を牽引するイノベーション創出を目指す教育のための学習指導要領の改訂等、国の急速な教育改革に対応するためには、教職員研修はこれまで以上に重要である。経常費補助金の特別加算分の項目に計上されているが、本県私立学校の実情を勘案し、教職員研修に対する支援の拡充をお願いする。 -
家計急変保護者世帯等に対する支援について
家計急変等の理由により、授業料等の納入が困難な中学生を含む生徒等を対象に授業料等の軽減措置を行う学校法人に対し、県補助事業の授業料等軽減事業が制度化されており、当該補助金等の早期給付や影響の長期化等に伴う保護者世帯に対する支援について特段の配慮をお願いする。