令和7年第2回定例会で可決された意見書

意見書


高額療養費制度の堅持を求める意見書

 高額療養費制度は、がんや難病、慢性疾患などで長期にわたり治療を余儀なくされている患者や、その患者を支える家族にとってのセーフティネットであり、命綱である。その重要性に鑑みれば、患者の自己負担上限額について現行の制度を堅持することが求められるところ、政府は、令和6年12月、医療保険財政の悪化や現役世代の保険料負担軽減を理由に自己負担上限額を段階的に引き上げる方針を決定した。

 これに対して、全国各地の医療・福祉分野をはじめとする関係団体から自己負担上限額の引上げ撤回を求める声が相次ぐとともに、一般社団法人全国がん患者団体連合会が実施した「高額療養費制度の負担上限額引上げ反対に関するアンケート」では、わずか3日間の募集期間であったにもかかわらず、がん患者や医療関係者等3,623人から回答があり、「治療の継続を断念しなければならなくなる」、「生活が成り立たなくなる」といった切実な声が上げられた。

 このような状況の中、政府は令和7年8月の自己負担上限額の引上げ方針の見送りを決定し、今年秋までに再検討する方針を示したが、今後の検討次第では自己負担上限額の引上げが再度進められる可能性がある。

 自己負担上限額の引上げは、長期にわたり治療を余儀なくされている患者等に更なる負担を強いるものであり、治療中断や治療回数の抑制、それによる症状の悪化も懸念されるところである。

 よって、国においては、患者が命に関わる治療を諦めることがないよう、高額療養費制度を堅持するとともにその制度の維持のための議論に当たっては、当事者である患者や関係団体から丁寧に意見を聞き、その意見を反映することを強く要望する。