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更新日:2017年11月18日

茨城県北はクリエイター移住の“フロンティア”【後編|しごとバー「奥茨城クリエイティブナイト」大子町】

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茨城県北はクリエイター移住の“フロンティア”

「職人」「NPO」「デザイン」など、さまざまな分野で働いたり活動したりしている人を“バーテンダー”として招き、お酒を飲みながらお話するイベント「しごとバー」。求人サイト「日本仕事百貨」(外部サイトへリンク)株式会社シゴトヒト(外部サイトへリンク)が運営するリトルトーキョーにてほぼ毎日のように開催されています。

9/15に常陸太田での働きかたをテーマにしごとバー「里山の中で仕事しナイト」を開催。翌週9/22には、大子町の和田宗介副町長、大子と神奈川を拠点に活動するグラフィックデザイナー・大内智子さんを招いて「奥茨城クリエイティブナイト」が開催されました。

今回は「茨城県北はクリエイター移住の“フロンティア”」の後編として、「奥茨城クリエイティブナイト」のレポートをお届けします。

地方暮らしは不便なのか

NHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」で話題となった架空の村「奥茨城」。茨城県北部に位置する大子町がそのモデルとされています。大子町は、栃木・福島の県境、茨城の「奥」に位置する人口17,000人ほどの山間の街です。一大観光地として、日本三名瀑のひとつ「袋田の滝」、最近では徐々にメジャーになりつつあるブランド蕎麦「常陸秋そば」。また、こんにゃく発祥の地のひとつとされています。一方で、他の地方都市同様、高齢化と人口減少の問題をかかえており、移住者を呼び込むためのさまざまな施策を打ち出しています。

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大子町役場から参加者に無償で振る舞われた「刺身こんにゃく」。

今回のしごとバーの“バーテンダー”のひとり、大子町で副町長を務める和田宗介さん。和田さんのご出身は東京ですが、茨城と縁があり、この4月に経済産業省から大子町に出向してきました。清流として知られる久慈川のそばに住み、川沿いの道を自転車で通勤。都会ぐらしと違って、毎日リフレッシュできているとのこと。

 

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大子町・和田宗介副町長

 

大子で暮らしはじめて半年が経ちます。スーパーも、家電量販店も、ホームセンターも、大型のものがひとつずつある。商店街にはおしゃれなカフェや飲食店もある。都会と比べて「選択肢がない」といえばそうなのかもしれませんが、それを不便と思うかどうかなんです。実際に暮らしてみて、生活する分にはまったく不便はありません。

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大子ブルワリー(外部サイトへリンク)で醸造される地ビール「やみぞ森林ビール」

暮らしには事欠かないという和田副町長。これからの大子町のヴィジョンについて伺いました。

大子町の過疎化と高齢化は本当に深刻です。でも、その最前線だからこそやれることはたくさんあるし、何より山あいの自然が豊かで、寒暖の差が大きいために美味しく育つ大子ならではの農産物が沢山あります。いろんなひとたちが町の人たちとかかわってもらえるように、大子で何かやりたいひとはいつでも相談できるようにいつもオープンにしています。

クリエイティブな活動をする拠点としての大子

 

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グラフィックデザイナー・大内智子さん(中央左)

 

神奈川県川崎市と大子町の二拠点でフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する大内智子さん。大内さんの実家はひたちなか市。学校の遠足や観光で大子町を訪れたことは何度かあり、接点がなかったわけではないといいます。しかし、他にも選択肢があるなかで、活動の場として大子町を選んだ理由は何だったのでしょうか。

一年ぐらい前のことですが、東京で開催されていた県北の移住セミナーがあって、なにげない気持ちで行ってみました。お話をうかがっていくなかで、ものづくりなどのクリエイティブな活動をする拠点として面白そうだなと。あまり知られていないのですが、大子町は木材や漆など、伝統工芸には欠かせない素材の原産地なんです。でも、まだまだプレイヤーが少ない。そのポテンシャルに惹かれました。

 

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大子町役場からは副町長のほかに2名の職員が駆けつける。本当にフットワークの軽い大子町の皆さん。

 

いま自宅を構える神奈川県と、当初はそれほど縁があるわけではなかった大子町との二拠点で仕事をされていますが、最初から大子町で仕事があったわけではありません。大子町との接点を持ちつつ、東京向けの仕事をこなしているそうです。例えば大子町にいるときに東京の仕事をする場合、取引先とのコミュニケーションに支障はないのでしょうか。

仕事を受ける側として、対面での打ち合わせにこだわらなければまったく問題ないと思います。一度でも会っておけば、あとはネットさえつながっていればいつでもコミュニケーションがとれる。神奈川の自宅にいても大子にいても、デザインの作業自体は基本的にどこでもできるんです。

地方の仕事をはじめるということ

デザイン業の延長として“ものづくり”に挑戦したいという大内さん。いまはその足がかりとして、積極的に大子町でのデザインの仕事に取り組んでいます。最近はその割合が少しずつ増えてきたといいます。

大子町役場さんやNPOまちの研究室さんから、少しずつ仕事をいただいております。例えば、役場のみなさんの名刺や、まちの研究室さんが企画するイベントのフライヤー。自分の仕事の3割が大子町の仕事になってきています。

 

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大内さんが地元の農家さんとつくった「なつはぜコンフィチュール」(写真提供:大内智子)

 

地方でデザインの仕事をするにあたり、都会でするのとは勝手が違うはずです。デザインについての価値観や作業を進行させるときのスピード感が違うこともあるのではないでしょうか。

もちろん、都会とは仕事の進め方が違うということはあります。ただ、都内でする仕事は役割分担がはっきりしていて、効率化されている。それは、いい意味では「効率的」ですが、あえていうなら、他の部分に関われないということ。でも、ここでの仕事は、一番最初のコンセプトをつくるところから関わることができるんです。最近、農産加工品のパッケージのしごとをやらせてもらいましたが、確かに共通言語が違う部分があるけど、実際にイメージを共有しながら進めていけたので問題はありませんでした。

デザイナー人材がいない地域では、ひとつのプロダクトをつくるのに、地域外へデザインを発注するか、自前でなんとかするか、そのどちらかしかありません。前者の場合、デザイナーとコミュニケーションが取りづらかったり、発注費=売上が地域に残らない。自前で何とかする場合はセンスのよさは当然期待できません。大子町もそういう地域だったといいます。しかし、大子に拠点を置くようになってから、大内さんは引っ張りだこ。しかも、プロダクトの最初から関わることで、デザインが“作業”ではなく、“ものづくり”の一環になってきているとのこと。地域とデザイナーに幸せな関係が築けていると思いました。


 

二回にわたって県北を特集した「しごとバー」。このイベントは茨城県と日本仕事百貨が連携して企画した「働き方を考える視察ツアー 奥茨城編」10/27-28、11/9-10)のプレイベントとして開催されました。次回の記事では、ツアーの様子をレポートしていきたいと思います。

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Text 中岡祐介(三輪舎(外部サイトへリンク))/ Photo 山根シン

 

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